著者
新谷 義弘 長坂 篤
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 記号処理研究会報告
巻号頁・発行日
vol.94, no.3, pp.33-40, 1994-01-14

Common Lisp第2版準拠の高速かつ高い移植性を持つ処理系であるTachyon Common Lispにおけるコンパイラの実現方式について述べる.本処理系は現在UNIXワークステーションOKI Station 7300(i860), SPARCstation(SPARC), HP-PAシリーズ700(PA-RISC),上で動作する.Tachyon Common Lispは実行速度を重視するため,従来から行なわれているTail Recursionの繰り返しへの変換などのLisp固有の最適化の他に,RISCプロセッサ特有の最適化を含む各種の高速化を行った.本論文は,Tachyon Common Lispのコンパイラにおける,高速化手法及びRISCプロセッサ特有のコンパイル手法について述べ,最適化技術の評価を行なう.また,今までに移植した3つのプロセッサに対する経験をもとにコンパイラの移植の際に留意すべき点について説明し,移植性の評価を行なう.
著者
森 優子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.139-146, 2001-11-30

文を書くには, 文字以外に句読点をはじめとするさまざまな記号や符号が使用される。文をより正確に, 読みやすく表現するためには, これらの記号類は重要な要素となる。日本語の横組の文で用いられている句読点には, 現在3通りの組み合わせが存在する。本稿では, 句読点の不統一性に着目することでその現状について把握し, 問題点の所在を明確にすることを目的とする。まず, これらの句読点がどのような規則に基づいて決められ, 使用されるに至ったのかを把握するため, 句読の指針を示す記述がある文献について調査した。次に, 句読点の使用の現状を知るために, 現在発行されている定期刊行物がどの方式を採用しているのか調査し, それらの分野ごとの傾向について比較した。最後に, アンケートを通して個人の句読点に関する意識調査を行った。句読点の不統一性に着目した3調査の結果, 句読点に関する一般の規則と, 印刷物における使用の実態, さらに個人が持つ意識の間には差異があることが明らかになった。
著者
金子 豊 竹内 真也 南 浩樹 和泉 吉則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.203, pp.57-62, 2008-09-04

DHT (Distributed Hash Tables)を使った構造型P2P (Peer-to-Peer)は,中央集権的な管理機構が無いためスケーラビリティがあり,障害耐性,拡張性にも優れるため,大規模な分散ストレージシステムの構築に有効な技術である.筆者らは放送局における番組素材ファイルの分散ストレージシステムへの利用を想定し,OneHop拡張方式を提案している.本稿ではこのOneHop拡張方式の実装方法について述べ,さらに,1,000から10,000ノード規模の実験による本実装による提案方式の性能評価結果について述べる.実験の結果,提案方式はサイト間ネットワークのパケット量の削減効果があること,公開するキー数に応じてキーの割り当て数を制御可能なことを確認した.また,提案方式はネットワーク障害による通知メッセージの輻輳を起こさず,スケーラビリティの点で有利であることが分かった.
著者
角道 正佳
出版者
大阪外国語大学
雑誌
大阪外国語大学論集 (ISSN:09166637)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.69-96, 2002-03-22

Variations in Monguor orthography mainly arise from (1) how to assign a sound, (2) presence or absence of a space, (3) combination of (1) and (2), (4) choice of allomorph, (5) presence or absence of a segment,. The main purpose of this paper is to pick up all the possible variations which occur in two dictionaries and seven books. A wrong assignment of a sound may ambiguate grammatical functions in a sentence and a space may cause a problem, if it corresponds to a lower rather than a higher morpheme boundary. In general, the authors of the books have a tendency to spell as they like ; even a single book written only by one author has a lot of variations in spelling.
著者
高田 真吾 佐藤 聡 新城 靖 中井 央 板野 肯三
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.1043-1052, 2009-03

企業や大学など多数のコンピュータが導入されている組織では,利用者に対する計算機利用の自由度を高く維持しつつ,稼動しているOS の種類とその最大稼動数を適切に管理する必要がある.本研究では認証デバイスを用いて,管理者により承認された複数のOSから適切なOSの起動と終了を制御できるシステムを提案する.提案システムの特徴は,OSの種類とは独立に,起動されるOSの数を把握するために認証デバイスを用いる点にある.利用者は,システム利用時に利用したいハードウェアに認証デバイスを挿入する.提案システムは,デバイスの挿入を検出するとハードウェアと認証デバイスの組合せにより,管理者が定めた起動すべきOSを決定し,起動する.認証デバイスが抜かれると,起動したOSを停止する.これらの動作は,制御対象のOSより下位に配置するOS制御レイヤにおいて行う.このOS制御レイヤを仮想計算機モニタXenを用いて実装し,動作実験を行い,提案システムの有効性を確認した.
著者
金澤 一郎
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.765-774, 2008-11-20

東洋医学が見直されている。日本では特に保険適用もあり,医学教育の中にも不十分ながら東洋医学が取り入れられてきた。一方,東洋医学そのものには,まだプラセボ効果が払拭できていないところがあり,二重盲検ランダム化比較試験を行う必要がある。東洋医学と西洋医学が互いの利点・欠点をわきまえて統合的に医療を進めることが望ましい。
著者
森田 和宏 望月久稔 山川 善弘 青江 順一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.9, pp.2563-2571, 1998-09-15

自然言語辞書に構築される基本語彙は有限であるが,それら基本語の関係を定義することで,膨大な数の関係情報が作り出される.複合語,慣用表現,格関係などもこの関係情報の範疇に属し,これらを基本単語の共起情報と呼ぶ.共起情報を基本単語の並びとして格納すると,記憶効率が非常に悪くなるので,これら関係情報の効率的な記憶検索技法は重要な課題である.本論文では,基本単語からなる共起情報をトライ構造で効率的に記憶検索する手法を提案する.本手法では共起情報を構成する2つの基本単語を1つのトライに登録し,関係情報をトライの葉ノード間のリンク関数で定義する.共起情報の登録による記憶量の増加はこのリンク情報のみとなり,リンク情報もトライに格納する.本手法では,トライのアークを高速にたどる必要があるので,これをO(1)の計算量で実現するダブル配列法を適用する.この結果,共起情報の検索時間は,基本単語数や葉ノード間のリンク数に依存しない一定の計算量となった.約10万語の基本単語に対して,複合語,同音語判定の共起語,格構造辞書などの約100万の関係情報を構築した実験結果より,検索時間は1.2msと一定となること,また記憶量は従来法より1/3に圧縮できることが分かった.Collocational information is very useful for natural language processing systems and it includes compound words,cooccurrency words,verbs and the role of nouns in the case slot,and so on.Collocational information can be constructed by combining basic words infinitely,so it is important to propose a fast and compact structure representing them.This paper presents an efficient data structure by introducing a trie that can define the linkage among leaves.It enables us to decrease the amount of memory required for the same basic words.Theoretical observations show that the worst-case time complexity of retrieving collocational information is a constant,independent of the number of words and linkages.From the simulation results for collocational information,it is shown that the presented method is about 1/3 smaller than that of the competitive methods.
著者
長 慎也
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2005-04

制度:新 ; 文部省報告番号:甲2082号 ; 学位の種類:博士(情報科学) ; 授与年月日:2005/4/21 ; 早大学位記番号:新4050
著者
大崎 雅代 寺岡 照彦 中田 秀男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.467, pp.19-24, 2004-11-19
被引用文献数
1

本稿では,Webアプリケーションを,UMLの状態マシンに基づいてモデル化する手法について提案する.本手法では,Webページ,ページの遷移,サーバ・サイドにおけるビジネスロジックを分離し,それぞれUMLの状態マシンにおける状態,状態遷移,アクションと捉えることにより,Webアプリケーションの振る舞いを状態マシンとしてモデル化する.提案モデルを,状態遷移図を用いて記述することにより,直感的にWebアプリケーションを開発することができる.本稿では,さらに,提案モデルに基づくWebアプリケーション構築環境について説明する.
著者
藤木 淳 赤穂 昭太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.119, pp.41-46, 2005-06-10
被引用文献数
3

複数の2次元画像からカメラ運動と対象物体の立体形状を同時に復元する問題はコンピュータビジョンにおいて基本的かつ重要な問題であり, その復元において複数の画像間に成立する幾何学, 特に2枚の画像の間に成立するエピポーラ幾何学を知ることは, コンピュータビジョンの理論を理解するために不可欠である.一方, 近年, 監視システムやロボットナビゲーション等への応用が期待される全方位カメラを用いたコンピュータビジョンが脚光を浴びており, 複数の全方位画像間に成立する幾何学の重要性が増している.本稿では, 全方位カメラの一つである球面カメラに着目し, 2枚の球面カメラ画像の間に成立するエピポーラ幾何の新しい計算法を提案する.そして提案手法の有効性をシミュレーションにより確認する.
著者
藤木 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.531, pp.55-60, 2002-12-12
被引用文献数
1

点対応を用いた複数のアフィン射影画像からの運動と形状の復元は基本的かつ重要な問題である.本稿では,この問題が球面3角形の復元問題であることをエピポーラ幾何学を通して示し,かつ新しい復元手法を提案する.
著者
増井 三夫 宮沢 謙市 海野 浩 大石 義敬
出版者
上越教育大学
雑誌
上越教育大学研究紀要 (ISSN:09158162)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.199-215, 2005-09-30

本稿はJ.ハーバーマスのコミュニケイション的行為研究法の開発研究第2報になる。中学生の逸脱行為をインタビューからどこまで叙述できるか。この方法の開発が今回試みられる。ここで採用される分析方法はテキスト解釈学の方法でインタビューはテキストとして扱われる。従来はエソノメソドロジーが有力な方法であった。たしかにその方法では生徒の規範的行為は解釈できる。しかし逸脱行為は日常生活世界における事実認識・規範意識・身体表現の諸相が様々な場面に未分化な形で現れる。エソノメソドロジーではこの<状況>を叙述することは難しい(増井他(1):235以下)。本稿はこの複雑で未分化な行為<状況>をコミュニケイション的行為研究法で分析を試みた。分析は逸脱行為の<状況>をその行為の意味づけによって構成した。かかる<状況>では逸脱者が主役となり周りの生徒が観客となる「親密圏」が生み出されており,それは逸脱者に「居やすさ」の意味を付与された意味空間であった。