著者
田淵 俊人
出版者
日本野鳥の会 神奈川支部
雑誌
BINOS (ISSN:13451227)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1-7, 2014-11-10 (Released:2016-07-25)
参考文献数
13

1987 年から2013 年までの27 年間に渡り、東京都町田市、神奈川県横浜市青葉区、および川崎市麻生区にまたがる多摩丘陵南端の人工建築物で集団繁殖したチョウゲンボウのヒナについて、ヒナが巣立つ様子を調べた。さらに、人間に保護されたヒナをどのようにして放鳥すべきかについても調査した。結果は以下のように要約される。 1 巣立ちに適するヒナの大きさは、親鳥とほぼ同じ大きさである。 2 人工建築物に営巣した場合、人工建築物のパイプから外に出てくることが即ち、巣立ちであるとみなすことができた。 3 巣立ちの時期は、27 年間平均で6 月24 日前後で、時間帯は午前中の8:30 から10:00 に集中し、午後には認められなかった。 4 27 年間を通して、巣立ち日の約7 日前になると、親鳥はヒナに対して給餌行動をやめた。 5 人工建築物のパイプから出たヒナは30 分程度で飛翔して上空を舞う個体と、降下して一旦、木々の茂みに身を隠す個体があった。 6 巣立ったものの、飛翔力にやや欠けるヒナは、降下して植木の間に身を隠し最低3 日間は親鳥から給餌を受けた。 7 「やむを得ない事情」により、人間に保護されたヒナは、軍手やゴム手袋を着用し、段ボール箱の上蓋を閉めて落ち着かせてから、保護された地点に持って行って放鳥するのが望ましい。 8 チョウゲンボウのヒナが巣立つ条件として、営巣場所の前面が開けていることが必要である。このことはチョウゲンボウの繁殖場所を決める要因になると推察される。
著者
青野 篤子
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.81-90, 2017 (Released:2018-07-20)
参考文献数
27
被引用文献数
1

The distinction between sex and gender differences is very ambiguous in the Japanese language as discussed in this special issue. It is important that we use these two terms correctly, i.e., sex differences have a biological basis, and gender differences are based on social behaviors and conventions. Within this special issue, the distinction between sex differences and gender differences are presented by several authors. Sasaki emphasizes the usefulness of sex/gender limitation analysis which could redefine sex/gender differences. Morinaga tries to explain women’s relative inferiority in the fields of science and mathematics by the stereotypic misnomer “not being good at mathematics”. Suzuki reviews the psychological factors, such as gender role attitudes that affect gender inequality. Yokota examines the popular “male warrior” hypothesis in evolutionary psychology through new findings in both experimental psychology and archeology. Numazaki’s article explains the origins of sex differences through both cultural and evolutionary approaches. Each article advances our understanding of the origins of sex/gender differences. On the other hand, the studies that redefine the origins of both sexist societies and institutions and promote ways to change gender differences, should be further evaluated. To that end, more in depth interactions among behavioral geneticists, evolutionary psychologists, and social psychologists are needed.

2 0 0 0 OA 味噌の調理

著者
伊東 清枝
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.75-79, 1968-07-25 (Released:2013-04-26)
参考文献数
10

2 0 0 0 OA 諸系譜

巻号頁・発行日
vol.第30冊, 1800
著者
有森 茂 吉田 美代子 市村 香
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.80-86, 1990-02-28 (Released:2009-01-22)
参考文献数
13
被引用文献数
6 8

Ge-132, 1, 500mg per day, was administered to 47 y-o house wife who suffered from rheumatoid arthritis associated with Sjögren's syndrome and microcytic hypochromic anemia since 1983. Her clinical stage of rheumatoid arthritis was Stage II and class was 1. Polyarth-ralgia and joint swelling were getting worse even though she was administered both non-steroidal antiinflammatory drug and small dose of prednisolone. Treatment with Ge-132 brought her in a remission state of rheumatoid arthritis and MCV and MCH as well as Hb were improved within 5 months. Two-color flow cytometry of peripheral lymphocytes demonstrated an increase of lymphocyte, CD3-, CD21+ (B cell), CD3+, CD21- (T cell), CD4-, CD8+ (suppressor T cell), CD4+, CD8- (helper T cell), CD16+, DR- (NK cell) and all of double negative cells such as CD3-, CD21- cell, CD4-, C8- cell, and CD16-, DR-cell, parallel to clinical status.These data surely indicated that Ge-132 is effective to this patient.
著者
仲 真紀子
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.24-30, 2016 (Released:2018-01-29)
被引用文献数
1

本報告は法と心理学会第16 回シンポジウム「司法面接をどう使うか─スキル、連携、法制度─」の一つを成すものである。司法面接とは目撃者、被害者となった可能性のある子どもから、精神的負担を最小限にしつつ正確な情報を最大限得ることを目指した面接法である。本報告では、まず、司法面接の概要と特徴について述べ、その上で多機関連携の必要性、日本での現状、専門家を対象とした司法面接や多機関連携の実施に関する調査結果について述べた。多機関連携が要請される背景としては、⑴虐待事案では福祉、司法の介入が必要となることが多く、特段の配慮をしなければ複数回の面接が行われがちであること、⑵虐待を受けたとされる子どもは一般に開示に時間がかかり、このことも面接の回数を増やす方向に働き得ること、を指摘した。面接を繰り返すことは供述を不正確にし、精神的な二次被害の原因ともなる。このことを改善するために、事実確認のための面接は、関係機関が連携し、適切な方法による面接を最小限の回数で行うことが重要である。司法面接に関する現状としては、児童相談所、検察官、警察官へのトレーニングが進みつつあること、調査結果としては、司法面接の使用に関する動機は高まっているが、知識や理解の不足が連携を阻む一つの要因だと認識されていることなどを示した。連携に関するスキルや知識の提供は、多機関連携の促進に貢献することが期待される。
著者
須長 史生 小倉 浩 堀川 浩之 倉田 知光 正木 啓子
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.530-545, 2018-10-20 (Released:2018-03-13)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究の目的は18歳から20代前半の男女の,セクシュアル・マイノリティに対する意識や態度を明らかにすることである.目的を達成するために,首都圏の医療系のA大学の一年生439名(男性137名,女性300名,その他2名)に対してアンケート調査を行った.本調査はその性質上,プライバシーの確保と回収率の向上が課題となる.そこで,今回はその双方への効果を期待して,手段としてインターネットを活用することとした.学生はスマートフォンもしくはタブレット端末を用いてアンケートに回答した(回収率76.9%).質問紙の作成およびデータの分析では先行研究として釜野さおりらが行った「性的マイノリティについての全国調査(2016年)」の報告会資料を参考にし,その比較において若者,特に今回は18歳から20代前半まで大学生の,性的少数者に対する意識や行動の実情の把握を試みた.調査の結果,調査対象者の持つセクシュアル・マイノリティに関する客観的知識は「全国調査」が明らかにした一般的な傾向に比べてより正確であることが分かった.また,セクシュアル・マイノリティに対する意識や態度も差別的な内容を含む項目では,より抑制しようとする傾向を示した.これらのことは本調査の対象者が「全国調査」に比べて高学歴かつ医療系という独自性を有していることが関係している可能性がある.それゆえこの結果は社会の全体像をそのまま映し出したものとは言えないが,医療に関する知識がより広範に普及するであろう将来の社会像の一端を予見させるものとしての価値は有しているといえよう.なお,本研究は3か年に渡って毎年同大学の1年生に対する調査が予定されており,その1年目の中間報告に位置づけられる.