著者
月田 光 羽藤 英二
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.A_194-A_202, 2022-02-01 (Released:2022-02-18)
参考文献数
6

新たな交通モードの挿入により駅まち空間の改変が進むなか、近年では歩行者回遊が大きなテーマとなっている。歩行者の回遊行動は経路選択モデルで記述され、経路を列挙する必要が無い再帰的ロジットモデルが使われることも多いが、既存のモデルでは全ての交差点間で同じ所要時間が仮定されているなど、将来価値の低減が正しく評価されておらず、歩行者回遊の特徴である逐次的な意思決定を正しく評価できていない。そこで本研究では、リンク長が異なるネットワークにも適用可能な、リンク長に対して一般化された時間割引率を持つ再帰的回遊モデルの定式化を行った。8 つの駅まちネットワークでパラメータ推定とバリデーション比較を行うことでモデルの妥当性とパラメータの転移可能性を検証し、さらに従来型のモデルと尤度を比較することでモデルの優位性を示した。
著者
水野 由多加
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Sociology, Kansai University (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.61-74, 2018-10

海外では先行する事象がありながらも(注1)、日本で、主として公的な施設の「名前」が、契約によって使用権として対価を伴って売買される、いわゆる「ネーミングライツ(命名権)」として認識され実践が伴ったのは、2002年以降ときわめて近年の事象である(水野、2017)。行政学、私法商法実務などでこれに対する整理も試みられているが、本稿は広告研究としてその価値の泉源を確認し、断片的ながらも、その基底的な認識に向かう議論を試みる続編である。
著者
水野 由多加
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Sociology, Kansai University (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.205-217, 2017-10

海外では先行する事象がありながらも、日本で、主として公的な施設の「名前」が、契約によって使用権として対価を伴って売買される、いわゆる「ネーミングライツ(命名権)」として認識され実践が伴ったのは、2002年ときわめて近年の事象である。行政学、私法商法実務などでこれに対する整理も試みられているが、本稿では広告研究としてその価値の泉源を確認し、断片的ながらも、その基底的な認識に向かう議論を試みる。
著者
原田 健太郎
出版者
日本高等教育学会
雑誌
高等教育研究 (ISSN:24342343)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.237-253, 2009-05-23 (Released:2019-05-13)
参考文献数
25

本稿では,大学の教科書を分析対象にして,大学教育の標準性の実態について基礎的・試験的な検討を行った.これまでの大学の教科書に関する研究の蓄積について整理した上で,索引を用いて,大学の教科書における標準性の共時的差異と通時的変化を明らかにした.標準性を測る指標としては,浦田(1987)で作成された合意度という指標を用いた.この分析に加えて,記載の頻度の高い単語に注目し,教科書の内容の変化についての検討も行った.結果としては,調査した三つの専門分野全てで標準化が進んでいること,文系分野よりも理系分野で標準性が高いこと,文系分野では会計学が教育学よりも標準性が高いこと,また,記載頻度の高い単語は,物理学では変化の程度が低く,教育学では変化の程度が高いことなどを明らかにした.
著者
林 あつみ 清水 真澄 七戸 和博 長谷場 健 木元 幸一
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.321-329, 1996 (Released:2010-02-22)
参考文献数
30

スナネズミの肝と胃における各クラスのADHアイソザイムの存在ならびにそれら組織におけるADH活性をマウス, ラット, モルモット等の超歯類と比較検討した。スナネズミは, 肝においては, 電気泳動により3本のADHバンド (A, B, C) が検出された。陰極側のバンドAは低濃度エタノールを基質とした場合に濃く染色され, 4-methylpyrazoleで強く阻害されたことから, クラスIと同定された。陽極側のバンドCはヘキセノールに対して強い活性を示し, エタノールを基質とした場合2.5Mまで活性が飽和せず, 4-methylpyrazoleにより阻害されないことより, クラスIIIと同定された。クラスとクラスIIIの間にみられたバンドBは, 肝に存在することおよびIとIIIの中間の酵素的性質を有することより, クラスIIと同定された。胃においても2本のバンド (D, E) が検出された。陰極側のバンドDは, 胃に特異的であること, エタノール1Mで最大活性を示したこと, また4-methylpyrazoleによる阻害感受性が肝のクラスI ADHより低いことより, クラスIVと同定された。陽極側のバンドEは肝のバンドCと同様の基質特異性および4-methylpyrazoleによる阻害感受性および移動度より, クラスIIIと同定された。以上のように, スナネズミのADHアイソザイムシステムは他の齧歯類と同様であった。スナネズミの肝におけるADH活性は, マウスやラットと同様, 15mMエタノールおよび5mMヘキセノールのいずれの基質でもモルモットより有意に高かった。一方, スナネズミの胃ADH活性はいずれの基質でもモルモットと同様, マウスおよびラットに比べ著しく低かった。また, 肝ADHはいずれの種においても, 15mM以上のエタノール濃度では活性の低下がみられたが, 胃ADH活性はマウスやラットにおいては逆に上昇し, 0.25M以上になると逆転し, 肝の活性より高くなった。このことは, 胃が摂取された高濃度のアルコールを代謝する場として重要であると考えられた。一方, スナネズミおよびモルモットにおける胃ADH活性は, 高濃度エタノールでも有意な活性の上昇はみられず, 低値のままであった。したがって, これらの動物種のアルコール代謝における胃の役割は小さいと考えられた。さらに, 動物種間における各ADHアイソザイム活性の相違は, とくに胃ADHのヘキセノールに対する活性で著しく, 各動物種の食性との関連が示唆された。
著者
谷 昌幸
出版者
北海道協同組合通信社
雑誌
ニューカントリー
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.52-53, 2020-02

土の「基本」に立ち返る No. 23
著者
阪本 要一 西澤 美幸 佐藤 富男 大野 誠 池田 義雄
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.38-41, 1993-10-20 (Released:2012-08-27)
参考文献数
14
被引用文献数
5

体脂肪の測定法として,近年いろいろな簡易法が開発されてきている。今回,生体インピーダンス法の応用として,立位で測定した両足間の生体インピーダンスから体脂肪を推定する方法を新たに考案し,皮脂厚法及びBMIとの相関性について検討した。その結果,皮脂厚法及びBMIのいずれとも高い相関性を示し,体脂肪の評価に有用である事が確認された。
著者
竹下 隆晴 野村 尚史 松井 信行
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.115, no.4, pp.420-427, 1995-03-20 (Released:2008-12-19)
参考文献数
10
被引用文献数
5 11

This paper presents a position sensorless drive of a brushless dc motor with a sinusoidal flux distribution. The estimation of position and emf is performed by using the integration of the current differences between the actual motor and model. The estimation speed is calculated by the differential calculus of the estimated position. The stability of the proposed algorithm and the design of the estimation gains are explained and it is shown that the parameter differences do not give serious effects on the estimation characteristics.In the experimental results using a 6-pole 1.2kW test motor, the speed control range from 35 to 1500rpm is obtained. To verify the proposed algorithm, the estimation and speed control characteristics are shown. Furthermore, the starting characteristics of the motor from arbitrary rotor position are shown.
著者
松井 貴英
出版者
名古屋工業大学技術倫理研究会
雑誌
技術倫理研究 = Journal of engineering ethics (ISSN:13494805)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.41-55, 2006-09-30

社会的に蓄積されていく財あるいはストックとしての建築物、特にマンションやオフィス用のビルディングに関して、スクラップ・アンド・ビルドという従来の方法ではなく、リニューアルや適切なメンテナンスにより古い建築物の寿命を延ばすことの可能性を探る。ロングライフビルディングとしての建築物を再生し再利用するための方策として今後一層注目されるべきである使用方途の転換(コンバーション)や建築物のもつ働きや機能の更新(リノベーション)について検討する。そして、建築物の用途を変更することがどのような効果を生み出すかを念頭に置いた建築物の再生・再利用の可能性を考察する。