- 著者
-
杉本 久美子
- 出版者
- The Japanese Group Dynamics Association
- 雑誌
- 実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.2, pp.137-144, 2001-07-15 (Released:2010-06-04)
- 参考文献数
- 9
本研究では, 極化したプロトタイプに同調するという準拠情報的影響過程の立場から, Group Polarization (集団成極化: 以下GPと略す) の生起過程を明らかにすることを目的とした。プロトタイプは内集団の類似性と外集団との差異性を考慮したメタ・コントラスト比 (MCR) で規定される。内集団と外集団の態度が同質の場合には, 内集団の位置づけをより明確にしようとするためプロトタイプが極化し, そのプロトタイプに同調することでGPが生起する, また態度が異なる場合では方向性にかかわらず生起しないと仮説を立て, 実験検証を行った。外集団の態度は内集団と同質, 同方向だがより極端, 逆方向の3水準に設定し, VTRで操作した。VTRを呈示した後, 実験参加者に討論を行わせた結果, 仮説は支持される傾向を示した。また, 従来のGP研究の従属変数である態度変化量と本研究で用いた準拠情報的影響過程による同調との関連性を検討した結果, 外集団が同質な条件ではプロトタイプへの同調が生起し, 実際の態度変化も生起したことから, GPを準拠情報的影響過程で説明することの妥当性が示唆された。