著者
新田 真由美 板山 稔 天谷 真奈美
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.5_31-5_40, 2011-12-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
26

精神疾患をもつ患者の喫煙率は健常者より多いにもかかわらず,積極的な禁煙指導は少ない現状がある。本研究は,統合失調症をもつ患者の禁煙認識や禁煙阻害因子に着目し,よりよい禁煙支援方法を考察するための研究である。研究期間は平成20年5月7日から平成20年5月31日。研究対象者は病院の外来およびデイケアに通院する喫煙中の統合失調症患者16名であった。半構造化面接を行い,分析にはKJ法の手法を用いた。結果,統合失調症患者の禁煙認識と禁煙阻害因子を説明する10のグループが導き出された。統合失調症患者の禁煙認識は,「喫煙者として社会のなかで窮屈さを感じている」などであった。また,禁煙阻害因子は,「日常生活を送るなかで,タバコが日々の営みの支えや,潤い,楽しみ,さらには達成感を与える役割を果たしている」などであった。禁煙を支援する際には,QOLを高める介入や社会からのはたらきかけ,禁煙の目的の設定などが重要であると考えられた。
著者
吉野 輝雄
出版者
SOCIETY OF COMPUTER CHEMISTRY, JAPAN
雑誌
The Journal of chemical software (ISSN:09180761)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.196-205, 1995-12-01
参考文献数
2
被引用文献数
2

糖質 <SUP>1</SUP>H-NMRデータをファイルメーカーpro (クラリス社) を用いて作成した。このデータベースは、NMRデータを測定条件、文献とともに保存管理する目的だけでなく、構造未知の糖質のスペクトルを解析する場合に利用しやすい形にデータ表示する。例えば、NMRデータを画面またはプリンターに以下のように出力する;1) NMRデータと化学構造式を組み合わせたカード型表示、2) 3個または6個のデータの一画面への同時表示、3) 検索データについて統計処理計算を自動的に行い、ソートして表形式に表示する。また、保存データを他のアプリケーションで利用できるファイル形式で出力する。例えば、著者が開発した糖質、<SUP>1</SUP>H-NMRデータの線スペクトル表示ソフト (HNMR.BAS) へ転送して利用できる。

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1900年03月29日, 1900-03-29
著者
和田 崇
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.17, 2010

日本の観光は近年,物見遊山,団体客,発地型,一過性,通過型などを特徴とする形態から,体験・交流,個人客・小グループ,着地型,持続性,滞在型などを特徴とする形態へと変化してきた。これらの新しい観光は,「見る」「食べる」といった従来からの目的に加え,「体験する」「学ぶ」「癒す」「追体験する」という目的も顕在化している。このうち,「追体験する」ことを主目的とする旅行形態として,小説や映画,テレビ番組,歌,漫画,アニメなど,メディアを介して記録・伝送・鑑賞される映像や画像,音楽,文章などのコンテンツに関わる場所を訪ねるコンテンツ・ツーリズムが盛んになりつつある。本発表では,コンテンツ・ツーリズムの一つとしてアニメキャラクターを活用した観光をとりあげ,鳥取県境港市と同北栄町を事例に,自治体や地元企業,市民・NPOなどの関係機関が観光地づくりにどのように関わっているかという点を中心に報告する。すなわち,2つの事例について,アニメキャラクターを活用した観光まちづくりの実態を報告するものである。 アニメキャラクターを活用した観光まちづくりは,コンテンツの種類および地域との関わりという2つの視点から,いくつかのパターンに分類できる。コンテンツの種類からみると,アニメは商業系アニメ,芸術系アニメ,自生系アニメの3つに分類できる。また,地域との関わりからみると,題材型,ゆかり型,機会型の3つに分類できる。 鳥取県境港市は,漫画家・水木しげる氏が育った地であることに着目して,水木氏の代表作品である「ゲゲゲの鬼太郎」を活用した観光まちづくりを推進している。1992年から商店街(水木しげるロード)に「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する妖怪などのブロンズ像を設置したほか,鬼太郎列車の運行(1993年~),水木しげる記念館の運営(2003年~),各種イベントの実施などにより,水木しげるロードへの入込客数は1994年の約28万人から2008年には約172万人へと大幅に増加した。取組みの中心的役割を果たしたのは,当初は境港市役所であった。その後,商店街にブロンズ像が設置され,集客効果が実感できるようになると,鬼太郎音頭保存会(1996年),水木しげるロード振興会(1998年)など市民活動団体が組織されたほか,境港市観光協会や境港商工会議所も妖怪そっくりコンテストや境港妖怪検定,妖怪川柳コンテストなどユニークなイベントを主催した。また,水木作品(漫画およびその原画)の著作権を保有する水木プロダクションが,水木氏ゆかりの境港市のまちづくりに協力的であったことも,市内の各主体による取組みを後押しした。例えば,水木プロダクションはブロンズ像や記念館展示物のキュレイションを担当したほか,市内事業者が関連グッズを開発する際の著作権使用料を減免するなどした。 鳥取県北栄町は,「名探偵コナン」の原作者・青山剛昌氏が同町出身であることに着目し,1999年から「名探偵コナンに会える町」づくりを推進している。具体的に,1999年にJR由良駅と国道9号を結ぶ県道を「コナン通り」と命名し,7体のブロンズ像を設置したほか,2007年に青山氏の作品や仕事ぶりなどを紹介する「青山剛昌ふるさと館」を整備した。同記念館の入館者数は年間約64,000人(2008年)である。北栄町の取組みは,旧大栄町商工会が提案した「コナンの里」構想をきっかけに,旧大栄町役場が地域振興券に名探偵コナンをデザインしたことに始まる。その後も旧大栄町(2005年から北栄町)が名探偵コナンを冠したイベントを開催したり,観光プロモーションを展開したりした。活動が進展するに従い,町民の活動に対する認知度と参加意欲が高まり,2000年にはコナングッズを販売する「コナン探偵社」が町民有志によって設立された。北栄町では,町役場が漫画の著作権者である小学館プロダクションとの交渉を担当している。小学館プロダクションは,作品のイメージ保持と適切な著作権管理の観点から,著作物使用協議を慎重に行うほか,ふるさと館での展示方法や接客方法について北栄町役場に対してきめ細かく指導している。しかし,こうした慎重な協議ときめ細かな指導は,北栄町にとって時間的・精神的な負担,迅速な観光プロモーションへの障害となっている面があることも否めない。
著者
今津 勝紀
出版者
岡山大学文明動態学研究所
雑誌
文明動態学 (ISSN:24368326)
巻号頁・発行日
no.1, pp.3-20, 2022-03

The purpose of this paper is to clarify the population dynamics of ancient Japan using spatio-temporal information science. Spatio-temporal information science is a computer simulation of time and space. In the first half of the eighth century, the population under the rule of the Japanese Ritsuryō State was about 4.5 million, and the country was in a state of chronic famine. In the first half of the ninth century, the population distribution showed a mosaic-like pattern with high population density in the central and western archipelago. With the exception of infectious diseases such as smallpox, famine caused by drought and rainstorms, and the resulting epidemics, were confined to regional areas, and the population of the areas seriously affected by famine and epidemics declined significantly. In the eighth century, the average annual population growth rate was between 0.1% and 0.2%, and the total population in the first half of the ninth century is estimated to have been between 5 million and 5.5 million.
著者
木村 昌紀 塩谷 尚正 北小屋 裕 Masanori KIMURA Takamasa SHIOTANI Yutaka KITAGOYA
出版者
神戸女学院大学研究所
雑誌
神戸女学院大学論集 = Kobe College studies (ISSN:03891658)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.29-44, 2021-12

119番通報の件数が膨大な数に上る中、市民が適切に通報できないことが救急現場の負担や救急隊や消防隊の到着遅延の原因となっている。本研究は、円滑な通報の実現を目指して、119番通報における市民の心理的要因を探索的に検討する。20代から60代までの各世代の男女約100名ずつからなる、全国1063名を対象にインターネット調査を実施した。119番通報の際、市民の感情的動揺が激しいほど通信指令員とのコミュニケーションは阻害される一方で、通報に対する正確な知識が多いほど円滑なコミュニケーションは促進されていた。特に、初めての通報で知識の効果は顕著だった。市民が119番通報の正確な知識を身につけることは、たとえ感情的に動揺していても、通信指令員との円滑なコミュニケーションにつながる。様々な機会や方法を通じて、市民に119番通報に関する情報を周知していくことが求められる。