著者
長島 孝 横山 淳一 松田 信一 中平 勝子 福村 好美
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.15, pp.81-87, 2005-02-19
被引用文献数
2

日本の製造業においては,暗黙知である高度技能の伝承が注目されている.高度技能は熟練者と被伝承者との長期間にわたる体験共有により継承がなされてきた.少子高齢化の傾向の中で,伝承期間の短縮と同時に被伝承者の成長が望まれていた.ここでマルチメディアのeラーニングを応用して,新たに開発した簡易編集機能により、熟練者による技能実演収録画像にノウハウ上のポイントを抽出して形式知化して明示した.新たな技術知識を含めて製作した教材のポイントを,納得ゆく繰返再生を被伝承者の意思で簡単にでき,従来と比べて短期間で技能五輪に出場可能な選手を育成することができた.Recently, Japanese production activity is focusing for high technical skill transfer to next generation. A high technical skill has been usually transferred by collaborated work between high skill worker and follower, but it has been not so success. New multimedia contents of high technical skill are proposed, which has utilized e-learning with the multimedia like a video record consisting from actual high skill worker's technique. This multimedia as explicit knowledge has developed by new easy editing system. So, the follower was easily able to learn by review himself for the multimedia until full understanding. Employing those contents on the training for Japanese Skills Competition, members of our team are successfully gotten to short period coaching.
著者
松浦 智和
出版者
名寄市立大学保健福祉学部社会福祉学科
雑誌
名寄市立大学保健福祉学部社会福祉学科 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
no.11, pp.11-16, 2021-03-31

【要約】 育児を行う統合失調症患者について、祖父母の育児への関わりの現状について探索的に 検討した。孫育てを担う祖父母の現況や先行研究を概観したとき、統合失調症患者の妊娠・ 出産の困難は明白で、どれだけ母親にリカバリーや自己実現という視点を加味しても、本 人の疾病管理、祖父母等の家族の負担など、現実に後押しするに足る理論的背景を見出すことは難しい感があった。とはいえ、本研究のインタビュー調査によって祖父母から聞か れた言葉は統合失調症患者ゆえのものもあるが、一般的に、孫育てをする祖父母が遭遇す る困難や喜びと符合する部分も大い減とフォーマル、インフォーマルサポート体制の構築 などを考えることは、統合失調症の有無に関わらず、少子化のわが国にあって、子育て・ 育児の社会化やシームレスな支援の構築という近年の課題を具現化する契機とすべきと思 われた。
著者
楽木 章子 藤井 厚紀 東村 知子 八ッ塚 一郎
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF HEALTH AND WELFARE SCIENCE, OKAYAMA PREFECTURAL UNIVERSITY (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.149-155, 2018-03-12

養子、養親、および養子の実父母に対して学生が有するイメージに焦点をあて、学生が養親当事者と交流することによって、そのイメージがどのように変化したかを、当事者との交流前と交流後のアンケート調査を比較することを通して明らかにした。分析の結果、①養子の実父母についての批判的なイメージが同情的なイメージに変化すること、②養子についての「かわいそうで心配な」イメージが減少し、これに代わって「その他(自由記述)」の回答が顕著に増加することが見出された。また自由記述の回答の増加を、養子に関するイメージの多様化として捉え、単語の出現頻度、新出単語、単語同士の連関に着目して再分析した結果、「普通」という単語の出現、および、「普通→子ども」「普通→家庭」という連関が新たに生じていることが見出された。このことから、当事者との交流は、学生に養子縁組家庭を身近なイメージをもたらす効果があることが明らかになった。This paper focused on stereotypes of adoptive family in Japan, i.e. adoptive parents, adopted children, and their birth parents. An adoptive mother was invited to talk about her experience to University & College student in 5 classes. The effect of the talk was examined by comparing the pre- and post-class questionnaires. The results revealed that (1) negative images of birth parents changes to sympathetic ones, (2) free description about adopted children in questionnaire significantly increases contrary to decreased pity stereotypes. Focusing of the words in free description, the word "ordinary '" was newly appeared and the word "ordinary" and "children/family" were linked together. It was found that the tales by an adoptive mother made the students feel closer to adopted families.
著者
國重 智宏
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.30-40, 2019

<p>本研究は,長期入院精神障害者の退院支援場面における相談支援事業所の精神保健福祉士(PSW)の「かかわり」のプロセスについて明らかにすることを目的とする.A圏域の7名のPSWに対するインタビュー調査を実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによる分析を行った.分析の結果,三つのカテゴリーからなる「かかわり」のプロセスを明らかにした.まずPSWは,退院支援という自らの業務をいったん横におき,長期入院精神障害者との〈お互いを知るための「つきあい」〉を通して,彼らに「人」として信用してもらう.次に彼らと〈パートナーとして認めあう関係〉を築き,退院という共通の目標に向けて協働する.最後に退院という目標がなくなり,援助関係が終結した後も,彼らと「人」として〈つながり続ける「かかわり」〉を築くに至っていた.</p>
著者
松倉 聡史 三戸 尚史
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.13-29, 2018-12-28

社会福祉学を学ぶ学生にとって、しかも教職課程で高校公民の免許取得を目指す学生にとって、社会権の意義及び生存権の法的性格を学ぶことは福祉国家における人権思想の基礎を築くことになろう。憲法の生存権規定がどのような性格であるのかが真正面から争われたのが、朝日訴訟と呼ばれる事件である。朝日訴訟最高裁判決では、朝日茂の死亡によって生活保護受給権の一身専属性を理由に訴訟継承しうる余地はなしとし、その後の「なお、念のため・・・当裁判所意見を付加する」とする傍論ではプログラム規程説とされる見解が示されている。最高裁判決50周年を迎え、朝日訴訟の先例的な意義への注目度は薄くなっているかもしれない。しかしながら、朝日訴訟の「人間裁判」としての「人間に値する生存」を朝日茂の手記から考察し、防衛費予算に占める社会保障費の減少、生活保護世帯の増加等、当時と酷似する現代的意義を「朝日訴訟運動史」から考察する。
著者
黒川 京子
出版者
日本社会事業大学
雑誌
日本社会事業大学研究紀要 = Study report of Japan College of Social Work : issues in social work (ISSN:0916765X)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.57-65, 2018-03

本学には、日本患者同盟から本学図書館に寄贈され、膨大な時間をかけ手作業で整理・分類され、マイクロフィルムとして保管されている患者同盟の資料(朝日訴訟を含む)がある。また、本学の授業にゲスト講師としてしばしばお越しくださった朝日健二氏(朝日訴訟の原告である朝日茂氏の養子となって訴訟を継承した方。2015 年にご逝去)と親しく交流させていただく中で、朝日訴訟を次世代に伝えたいとの強い思いを知った。氏の思いを引き継いでいくにあたり、朝日訴訟を語りつぐのみならず、本学所蔵の貴重な資料を専門職としての力量形成に活かすことを模索している。そのプロセスとしての報告となる。
著者
川口 真実 / 行實 志都子
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
no.141, pp.83-94, 2019-09-30

本研究は,神奈川県における医療と介護に携わる福祉専門職がもつ連携に対する意識を明らかにすることを目的とした.また,本研究の仮説は,福祉専門職はそれぞれの職場が違っても,地域共生社会を支えるための連携に関する共通認識があるとした. 医療と介護の連携における具体的な共通課題として,「自分たちに求められる力」,「連携を見据えた研修体制の構築」の2つが明らかとなった.しかし,それぞれの専門職間において,"連携"に対する促え方の違いもみられた.この課題を解決するためにも「連携を見据えた研修体制の構築」が必要である.だが一方では,職場の事情により研修に参加したくても参加できないことや,「支援の縦割りの弊害」から自分の支援範囲以外に対する関心の低さが目立った.ただ連携に関する研修を整備するだけでは解決には至らない.連携には何がいるのか,自分はその中で何をするのかということをしっかりと理解し,行動に移すことができるようになる研修が必要である.
著者
江川 哲雄
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学医学雑誌 (ISSN:03858367)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.259-268, 2003-12-25

1998年8月より当院メンタルヘルス科においても性同一性障害患者を対象とした専門外来を開設した.当初より近畿圏を中心として数多くの患者が来院し,その診察・鑑別診断を進めるにあたって心理検査を施行した.今回,HTPP検査について120人(MTF56名,FTM64名)の確定診断のついた性同一性障害患者における検討を行った.特に性別に関連した反応についての分析を行い,MTF及びFTM間・中核群及び周辺群間における差異について精査した.その結果,各群間において性別反応に特定の項目について有意差が見い出され,HTPP検査の診断上における有用性,及びMTF周辺群における情緒的不安定さ,性的迎合性の低さが明らかになった.
著者
鈴木 良
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.33-46, 2019

<p>本研究は,知的障害者入所施設によるグループホームへの移行を前提とした施設解体を受け入れた家族がこれをどのように捉えたのかを自立規範に焦点を当てた質的調査によって明らかにした.第一に,移行前は,家族は施設からの移行は生活・就労面の自立を意味するものと認識し,ここには障害者自立支援法に関わる施設側の説明も影響していた.この結果,家族は子の自立困難性に伴う不安感や自宅復帰への懸念を抱えた.しかし,家族は職員への信頼や遠慮ゆえに施設側の決定に委ねるという受動的態度が見られ,これは家族が自立規範に基づき養育すべきだという家族規範が影響していた.第二に,移行後はまず,グループホームは生活・就労面の自立を前提とする場と認識されていた.次に,自立困難になる将来の予測不可能性に伴う不安ゆえに施設入所を容認/肯定する状況が見られた.本研究は自立規範の相対化と家族支援による脱施設化政策の必要性を示唆する.</p>
著者
田中 みどり
出版者
佛教大学
雑誌
京都語文 (ISSN:13424254)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.223-251, 2011-11-26

古代のアサガホはカホガハナのうちの、朝に咲くことが特徴である花である。このアサガオには、現在の朝顔、桔梗、槿、昼顔、のあさがおなどの説がある。朝顔は十月十一月に咲くこともある。源氏物語のアサガホは、長月に咲いている例もあるが、つる性の植物で、現代と同じ朝顔と考えてよい。桔梗説について。源氏物語にも枕草子にもキキヤウとアサガホとが出てくるので、この時代には別の植物をさしていたことは明らかである。薬草としてのツルニンジンの根あるいは食用としての若芽をトトキと呼ぶが、古代のキキヤウは、そのトトキの一種でヲカトトキと呼ばれていたものであるだろう。槿説について。ムクゲは和漢朗詠集に「槿」の詩と「あさがほ」の歌とが並べられているが、これは命の短い花ということで並べられたもので、「槿」がアサガホであるのではない。萬葉集のアサガホは朝に咲く花であることが明らかであるので、桔梗、槿、昼顔、のあさがお説は否定される。夕まで咲いている例があるが、朝顔は、早朝つぼみを開いて夕刻まで咲き続けることも、ないわけではない。よって、萬葉集のアサガホも、現代の朝顔と同じ牽牛子である。すなわち、牽牛子は、奈良時代に将来されたものである。アサガホの諸説は、古辞書や和漢朗詠集を文証とするものであるが、古辞書には出典を記してないものが多く、その記述をそのまま信じることができないものもある。また、和漢朗詠集は同じ趣の漢詩と和歌とを並べているものであって、必ずしも同じ風物を集めたものでもないので、注意を要する。