著者
北村 美穂子 松本 裕治
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.3-25, 2006

高精度の機械翻訳システムや言語横断検索システムを構築するためには, 大規模な対訳辞書が必要である.文対応済みの対訳文書に出現する原言語と目的言語の単語列の共起頻度に基づいて対訳表現を自動抽出する試みは, 対訳辞書を自動的に作成する方法として精度が高く有効な手法の一つである.本稿はこの手法をベースにし, 文節区切り情報や対訳辞書などの言語知識を利用したり, 抽出結果を人間が確認する工程を設けたりすることにより, 高精度で, かつ, カバレッジの高い対訳表現抽出方法を提案する.また, 抽出にかかる時間を削減するために, 対訳文書を分割し, 抽出対象とする文書量を徐々に増やしながら確からしい対訳表現から段階的に抽出していくという手法についても検討する.8,000文の対訳文書による実験では, 従来手法は精度40%, カバレッジ79%であったのに対し, 言語知識を利用した提案手法では, 精度89%, カバレッジ85%と向上した.さらに人手による確認工程を設けることにより, 精度が96%, カバレッジが85%と向上した.また, 16,000文の対訳文書による実験では, 対訳文書を分割しない方法では抽出時間が約16時間であったのに対し, 文書を4分割する方法では, 約9時間に短縮されたことを確認した.
著者
村上 修一
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.352-359, 2001-03-29
被引用文献数
1 1

米国のランドスケープ・デザイナー,ガレット・エクボ(1910-2000)の空間理論に対する近代芸術の作用を解明することを目的に,1937〜69年の著作52点を調査して表明される注目対象を抽出し,理論展開との関係や位置づけを考察した。その結果,空間理論構築の契機,基本概念や芸術原理の空間理論への継承や適用,空間特性の応用による多領域性と連続性の共存する形態創出,抽象による形態理念の意見や生成というエクボの空間理論に対する近代芸術の作用が明らかとなった。また,近代芸術の一動向というエクボの理論および実践に対する意識が判明したことを受けて,近代芸術におけるエクボの空間形態の位置づけを明らかにするための課題を示した。
著者
乾 智行
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.282-285, 1989
被引用文献数
1

石油は, 近代文明を支えるエネルギーや化学原料の資源として欠かせないものになっている。数十年前, 国際間の緊張から我が国への石油の供給が途絶えた。そのころ石炭から石油を合成する必死の努力が京大などで行われ, ついに, 安価な鉄を材料にしながら, 高価なコバルト系に劣らないものが完成して, 生産にも使われた。しかしその技術は, 到底, 大量消費を支えるまでには至らなかった。十数年前, 石油危機が訪れた際, 従来とは原理も手段も異なる画期的なガソリン合成触媒がアメリカから登場した。それは, 特別な微細構造をもつゼオライト系触媒で, 昔の触媒に比べると, 格段に高い性能が発揮される。ニュージーランドに生産プラントが建てられたが, 経費が高くつくのでまだ普及には至っていない。しかし, この成功は, 多くの研究者を勇気づけ, 今やこの分野では第3の技術革新へ向けて研究が進められている。
出版者
日経BP社
雑誌
日経automotive
巻号頁・発行日
no.76, pp.74-78, 2017-07

TARCは、運転者から2m先に情報を表示できるHUDを公開した(図9)。特徴は表示する情報量の多さだ。日本メーカーの製品には見られない、テレビ電話の通話画面や、天気予報などの情報をコンバイナー(表示部)に映す。映像の大きさは26インチ相当。
著者
山本 敦久
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.19-34, 2016

<p> 本論は、支配の完全な外部を想定できない諸条件のなかで、「スポーツを通じた抵抗」を見いだすための視座について論じている。そのために、まず英国の産物であるクリケットが反植民地闘争の現場になっていく過程を描いたC.L.R.ジェームズの『境界を越えて』を読み解きながら、そこで提示されたスポーツの抵抗理論を概観する。ジェームズにとってスポーツは、国境や文化ジャンルを越えて別の歴史や場所、別の文脈や記憶と繋がりなおすことによって新しい集合性が想起される契機を含むものであった。次に本論はジェームズのこうしたスポーツ論が後のバーミンガム学派に受け継がれていく回路を再発見していく。スチュアート・ホールのポピュラー文化へのまなざし、ポール・ギルロイの「黒い大西洋」、ポール・ウィリスの「象徴的創造性」といった議論を踏まえながら、現代のカルチュラル・スタディーズのスポーツ研究における抵抗理論を検証していく。そうした思考は黒人アスリートの活躍が形成したアウターナショナルな黒人ディアスポラの連帯を論じたベン・カリントンの「スポーツの黒い大西洋」として結実するが、それはスポーツを通じた国民国家の境界線を越えていく複雑な文化的・政治的空間の形成であった。だがそうした対抗的公共圏は、近代資本主義のなかにその一部として生み出されたものでもある。これらの議論をふまえ、本論は最後に、スポーツ文化が資本主義や近代社会、帝国主義といった支配の内部で、その支配的な力や回路を通じて、別の公共圏や別の集合性へと節合される契機を掴まえるための視座を提起する。</p>
著者
久保田 敬介 根本 俊男
出版者
文教大学大学院情報学研究科
雑誌
情報学ジャーナル (ISSN:21856850)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-14, 2014-03

本研究は,三重県四日市市の期日前投票所設置について,住民の移動距離の観点から定量分析を行い考察を与えた.具体的には,施設配置問題に対する代表的な最適化モデルであるp-medianモデルとp-enterモデルを利用することで最適配置を導出し, 現在の配置及び配置数について分析を行った.また,より現実に近い投票所配置を考慮して現状にある四日市市の代表的施設1箇所をそのままの配置にした上で他の施設の最適な配置場所の導出に取り組んだ.その結果,現状の期日前投票所の設置数に対する,増設の効果,削減の妥当性,再配置の有効性などを示すことができた. This study analyzed the locations of early voting places in Yokkaichi city (in Mie prefecture, Japan) from an operations research perspective. Proposing optimal locations for early voting places make it more convenient for local residents and this could increase the voter turnout. In this study, by applying the p-median model and p-center model, we calculated optimal locations and examined current locations and the number of early voting places. In order to design early voting locations more realistically, we placed the main early voting places in their current locations and estimated the optimal locations of other early voting places. As a result, we identified that the current locations of early voting could be improved.
著者
太田 道男 山海 嘉之 山内 真 鎌田 忠夫 熊谷 頼篤 熊谷 頼明 小路 良 池辺 潤
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
人工透析研究会会誌 (ISSN:02887045)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.181-185, 1984

HF用に開発されたダイアライザーのようなHi-Flux形のダイアライザーを用いて透析を行えばより高分子の物質の除去が期待できる. しかし, これらのダイアライザーは水の透過性が良く, 所定の除水量を得るためには, 従来の透析に比して膜間圧 (TMP) を低く保つ必要がある.<br>そのために限外濾過圧制御装置 (オートクランプ) を開発し, TMPを一定値に保ち所期の除水速度を自動的に保持することを試みた. この装置ではダイアライザー膜にかかる血液側と透析液側の差圧を測定し, この差圧を外部で設定した値に保つように, 血液回路に設けられたチューブ絞り機構を自動的に調節する. 東レB1シリーズのダイアライザーを使用することを想定して, 400500m<i>l</i>/hr程度の除水速度を設定するために, TMPが40-80mmHgの間を5mmHgごとに設定可能とした. 圧調整の精度は±3%, 測定系の精度を保持するために, 1台の差圧変換器のみを使用している. クランプ部は, チューブをベアリング機構を介して, 滑らかな曲面で締めつけ, チューブに余分な歪が加わらないようにし, またクランプの急激な開閉は避け, 回路中の血流量の急激な変化を避けている. In vitroの限外濾過量調節を東レ, B1-100, 200, Lで行った. Hi-Fluxのため, アセテートイントレランスを回避するため, ラクテート透析液を使用し, 模擬血液としてサビオゾールを用いた. 実験結果からは, 500m<i>l</i>/hrのUFRを得るためのTMPは, 45mmHg (B1-L), 65mmHg (B1-200), 80mmHg (B1-100) 等であり, 本方法が十分実現可能であることが確認された.
著者
船津 麻美 田原 義朗 山中 桜子 後藤 雅宏
出版者
THE MEMBRANE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
(ISSN:03851036)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.57-62, 2011-03-01
参考文献数
20
被引用文献数
2

In this article, we report a novel oil gel sheet, which is contained ascorbic acid and hyaluronic acid as an ingredient of cosmetics. An efficient permeation method of the ingredients into a deep skin would be a key technology to develop novel functional cosmetics. The outer surface of the skin that is stratum corneum has a strong barrier to avoid the invasion of hazardous materials into our body. The barrier function causes the difficulty in the transport of effective ingredients into a deep region of our skin. To overcome this problem, solid-in-oil (S/O) nano dispersion technique has been developed by coating the ingredients with hydrophobic surfactant molecules. The coated hyaluronic acid was well dispersed in an oil phase and its permeation rate into the skin was significantly enhanced by the formation of the complex. An oil gel sheet was created by utilizing the S/O techniques for ascorbic acid and hyaluronic acid. The oil gel sheet could improve the moisture condition of faces by using at least 30 minutes.
著者
松丸 智美 奥村 幸恵 山形 知広 力武 史郎 滝口 靖憲 石橋 源次
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.1-11, 2003-09

本研究は、ヒアルロン酸を添加したプリンおよびゼラチンゼリーの嗜好に及ぼす影響について検討した。ヒアルロン酸のみかけの粘度は、グアガムおよびカルボキシメチルセルロース(CMC)の粘度よりも高い値であった。ヒアルロン酸を添加した飲料水の嗜好性については、グアガムおよびCMCを添加した飲料水と比較した結果、最も良いと評価された。ゼリーとプリンでは、一般に基準とされているゼラチン濃度および卵使用量をできる限りヒアルロン酸、グアガムおよびCMCと置換して調製した結果、ヒアルロン酸添加ゼリーの硬さ、咀嚼性および付着性のテクスチャー特性値はグアガムおよびCMCよりも高くなった。パネルによるヒアルロン酸添加ゼリーの舌触り、飲み込みやすさおよび残留感はグアガムおよびCMCよりも高い評価であった。
著者
石橋 源次 山形 知広 力武 史郎 滝口 靖憲
出版者
THE JAPAN ASSOCIATION FOR THE INTEGRATED STUDY OF DIETARY HABITS
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.107-111, 2002
被引用文献数
1

鶏の鶏冠から抽出されたムコ多糖類のピアルロン酸を用いて, in vitroとin vivoにおける消化性および腸内細菌叢について検討した.<BR>1. ピアルロン酸は, 消化管内の消化酵素で消化されず, また, ラットに経口投与した場合, 糞中に排泄されなかった.これは, ピアルロン酸が内在する腸内細菌により発酵を受けると思われた.<BR>2. ピアルロン酸を摂取すると盲腸内のLactobacillusやBifidobacteriumが増加することが分かった.
著者
村上 陽子
出版者
一般社団法人 日本食育学会
雑誌
日本食育学会誌 (ISSN:18824773)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.35-50, 2012

The macaroon is a western sweet made with egg whites, sugar, and almond powder. The colorful appearance of this confection can evoke interest in food and its colors in children. The aim of this study was to propose new teaching materials for shokuiku (nutrition education) using macaroons, focusing on foamability and the foam stability of the egg white, as well as the colors of the macaroon. The effects of additives on foamability and the foam stability of the egg white were investigated. Sugar, salt, vinegar, honey, and thick malt syrup made the foam more stable. Oil and egg yolk inhibited the egg white from whipping. On the other hand, freezing hardly affected the foamability and the foam stability of the egg white.
著者
小方 孝
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.92, pp.87-94, 1992-11-19

本稿では、解釈に基づく物語生成について考察する。物語生成は、断片的な事象の集まりを個々の語り手ごとに特有の解釈を通じて一貫した記述に変形する過程である。物語生成システムにおいてこのような解釈機構を強化することによって、断片的な事象を特定の視点から整合的に構成すること、事象の配列や取捨選択の基準の明確化、物語生成のための戦略や技法あるいはレトリックの組織的な使用が可能になる。ここでは、このような解釈に基づく物語生成過程が、語り手と聞き手の対話に基づく解釈枠組の設定、この解釈枠組を通じて断片的事象の空間を探索することによるテーマ生成、テーマに基づく素材の収集と物語生成戦略?物語生成技法の設定、これらを用いた物語の具体的生成というフェーズからなるという仮説を示す。そして、エスノメソドロジー研究で取り上げられた物語例を用いて、このような解釈に基づく物語生成過程を具体的に説明する。In this paper, I describe the narrative generation mechanisnas based on interpretive processes of events. In the narrative generation, narrators transform fragmental events to a narrative text with a coherent structure based on each narrators' frameworks of interpretations. A narrative generation process by an interpretation consists of next phases: deciding a framework for the interpretation by the interaction between a narrator and a lisner; searching a events' space by this framework; the generation of a narrative's theme; collection of necessary events based on the theme; planning both the narrative generation strategies and techniques; the narrative generation using these strategies and techniques.