著者
中本 宏 杉沢 肇 佐藤 友彦 島田 和基 五十嵐 孝義 深瀬 康公 西山 實
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.1084-1089, 1996-12-01
参考文献数
5
被引用文献数
3

歯冠修復物マージンの支台歯フィニッシュラインに対する適合性の良否は,その予後を左右する重要な因子である.本研究は,研究者によりまちまちに分類,表現されているこの適合状態を,その観察および測定するための方法,装置の進歩に伴い,これらを整理,統合し,より合理的に分類,命名することと,修復物の適合状態の観察,測定のために走査型レーザー顕微鏡の有用性を検討することを目的とした. 適合状態は,(1) Ideal,(2) Open-Closed,(3) Extra-Lined-Intra,(4) Overlapped,の4つの評価基準で,(1) Ideal,(2) Open-Extra,(3) Open-Lined,(4) Open-Intra,(5) Open-Extra-Overlapped,(6) Closed-Extra,(7)Closed-Intra,(8) Closed-Extra-Overlappedの8つの適合状態に分類,命名した.また,走査型レーザー顕微鏡はきわめて合目的性の装置であることが実証された.
著者
大庭 哲治 柄谷 友香 中川 大 青山 吉隆
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.227-238, 2006-07-20
参考文献数
48
被引用文献数
6

本研究は,京都市都心部の京町家集積による近隣外部効果やその影響範囲の把握を目的に,通常回帰モデルと地理的加重回帰モデルを併用して,ヘドニック法により定量的に計測した.また,得られた計測結果については,GISを利用して空間的な広がりや分布の特徴を把握した.その結果,京町家集積による近隣外部効果の存在が土地の資産価値を高める傾向にあり,近隣外部効果の特に高い町丁目は,東西や南北にはしる通りに沿って連担,あるいは面を形成しているという空間的特徴を明らかにした.また,近隣外部効果の影響範囲は,京町家が隣接する町丁目やその町丁目にさらに隣接する町丁目程度であるのに対し,中高層建築物は学区レベルに相当し,京町家よりも影響範囲が広域であることを明らかにした.
著者
今田 高俊
出版者
北海道社会学会
雑誌
現代社会学研究 (ISSN:09151214)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.27-48, 1998

本稿の目的は,ラグビー日本選手権で7連覇を遂げた神戸製鋼ラグビーチームを事例にして,非管理型の自己組織化がどのような条件の下になされるかを分析することにある。現代的自己組織性論から導かれる組織原理は,ゆらぎと自己言及性に依拠した脱管理・反制御のシステム形成であるが,それが具体的にどのようになされるかは開かれた課題である。本稿では,自己組織化の条件として,1)個の発想を優先すること,2)ゆらぎを秩序の源泉とみなすこと,3)不均衡ないし混沌を排除しないこと,4)コントロール・センターを認めないこと,の4つを設定する。これらの条件にかんし,既存の資料を用いて,神戸製鋼チームがどのように取り組んできたかを明らかし,非管理型の自己組織化を実証的にあとづけることで,スポーツ界だけでなく一般の組織ひいては社会システムにおける自己変革過程の具体像を探求する。
著者
植村 渉 村田 正
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告デジタルドキュメント(DD) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.114, pp.71-76, 2008-11-20
参考文献数
11

基地局を介さず端末のみでネットワークを構築するアドホックネットワークが近年注目されている.このネットワークでは,管理者となるサーバが存在しないため,ネットワークに流れる情報の管理が難しい.本研究では,アドホックネットワークの技術を監視カメラシステムに適用し,新しいシステムを提案する.撮影したカメラ画像をネットワーク内の端末で共有することで,犯罪証拠画像の完全破壊を困難にする.In ad-hoc network, we can build a network infrastructure easily. In addition, it is easy to add nodes to the network and to remove them from it. So the ad-hoc network technology lends itself to applications such as the environment where a lot of nodes go in and out frequently. In this paper, we propose a novel surveillance camera system at a car park in ad-hoc network. A node mounted on a vehicle has a camera and sends a picture to neighbor nodes. Even if the node is damaged or removed by a vehicle thief, we can know the thief information from the other nodes which received its picture. Each node has own random strings data, and the picture information is calculated by XOR operation from its original picture data, so the picture information can not be decoded into the original picture without the same strings data. We can not know its strings data even if using a lot of picture information because the length of the strings data is more longer than one of the picture data. Then a node cannot get the neighbor original picture. The strings data can be kept at only both the own node and the administrator of its car parking lot. If the node is stolen or broken down, then the administrator can decode the picture information at the neighbor node into the original picture data. We propose a novel surveillance ad-hoc network system at a car park in this paper.
著者
山村 研一
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.129, no.5, pp.337-342, 2007-05-01
参考文献数
14

ヒトゲノムプロジェクトの進展により種々の生物のゲノムの塩基配列は明らかとなったが,塩基配列のみでは,遺伝子およびコード領域以外の部分がどのような機能を持っているのか推定すらできないし,また遺伝子自身の機能に関する情報も不十分である.このため全長cDNA配列の決定,DNAチップによる発現パターンの解析,タンパクの構造解析,タンパクに対する抗体作製等の機能解析系が必要であるといわれている.しかし,これらは重要ではあるが,あくまで機能を同定するための状況証拠を提供するにすぎないとみるべきである.具体例を一つあげれば,Cbfa1は,リンパ球で発現する遺伝子の転写因子として発見されたが,その破壊マウスでは骨形成がみられず,骨形成のマスター遺伝子であることが分かった.このことは,構造や発現パターンからだけでは,必ずしも機能は推測できないことを示唆している.そこで,遺伝子改変マウスを用いたin vivoの解析の重要性が再認識され,欧米でノックアウトマウスプロジェクトが始まり,合計すれば年間約40億円に達する金額が投じられることとなった.その内容は,遺伝子トラップ法や相同組換え法を用いてほぼ網羅的にノックアウトESクローンを取るプロジェクトであるが,当面は129系統由来のES細胞を用い,やがて確立されればC57BL/6由来のES細胞を用いて行うというものである.筆者らは網羅的遺伝子破壊を目指して,可変型遺伝子トラップ法を開発した.この方法により,第1段階で完全破壊が,第2段階でトラップベクター内のマーカー遺伝子を,別の遺伝子で置換,第3段階で条件的遺伝子破壊が可能となった.やがて,遺伝子破壊されたES細胞が全世界に配られ,遺伝子破壊マウスが多量に作製され,保存される時が来る.熊本大学生命資源研究支援センターでは,世界の主要なリソースセンターが参加し,保存と供給の支援を行うFIMRe(Federation of International Mouse Resources)にも創立メンバーとして参加し,また,アジアにおけるミュータジェネシスとリソースセンターの連合体であるAMMRA(Asian Mouse Mutagenesis and Resource Association)も立ち上げ,今後の対応も視野にいれた活動を行っている.<br>
著者
高倉 亨
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.75, no.7, pp.749-763, 1972

1)研究屋的と実験方法平衡機能に対して,視器系,前庭迷路系および深部受容器系がどのような相関性をもつているかを検討するために,家兎の鼓室内に4%キシロカインを注入して迷路を一過性に麻酔したり,深層項筋群を1%プロカインで麻酔した時の視運動眼振触発態度の変化を主として眼振数の変動をもとに,迷路破壊術も加えて検索した.<br>2)結果および結論<br>(i)一側迷路麻酔では前庭性眼振の強さにより種々な反応態度を示し,常に前庭性impulseの影響を受けた.<br>(ii)両側迷路麻酔では前庭性筋緊張が低下して,四肢,頸筋の筋緊張が一過牲に低下し特異なを示し,視運動眼振は抑制され,特に網膜型眼振において著明であつた.<br>(iii)深層項筋群のprocainizationによる視運動眼振の解発態度は両側お路麻酔時に比して軽度であるが抑制が起り,迷路麻酔時と同様に網膜型眼振において著明であつた.<br>(iv)両側迷路を完全破壊すると,四肢およびが頸筋の緊張が低下するが時間の経過とともに次第に回復し,やがて過緊張が起り視運動眼振の解発も改善された.
著者
山口 日吉 清野 弘明 三崎 麻子 坂田 芳之 北川 昌之 山崎 俊朗 菊池 宏明 阿部 隆三
出版者
THE JAPAN DIABETES SOCIETY
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.211-215, 2003

Imagawaらは, ケトアシドーシスにて発症し, 発症時のHbA1cが正常かもしくは軽度の上昇にとどまり, 膵β細胞の自己抗体が陰性で発症時にインスリン分泌能の著しく低下している例を非自己免疫性劇症1型糖尿病として疾患概念を提唱した. 当院において, この劇症1型糖尿病のスクリーニング基準を満たす7例の臨床像と6例のインスリン分泌能を経年的にグルカゴン負荷試験にて検討してきた. 発症時にグルカゴン負荷試験を検査しえた6例中5例で, グルカゴン負荷6分後の血清CPRは0.1ng/m<I>l</I>以下であり, 発症時に膵臓β細胞の完全破壊が示唆された. さらに, 発症後約6ヵ月ことにグルカゴン負荷試験を施行し, インスリン分泌能を経年的に最長7年間検討してきたが, 6例全例でグルカゴン負荷6分後の血清CPRは0.1ng/m<I>l</I>以下でありインスリン分泌能の回復を認めた例はいなかった.
著者
佐々木 恵彦 小谷 圭司 西山 嘉彦 林 良興
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.141-148, 1984-04-25
被引用文献数
2

マツの苗木の樹液流動を水溶性の色素によって追跡した。この方法により, マツノザイセンチュウ病の初期症状および回復現象を観察することが可能である。ザイセンチュウ接種1日後に, 幹の下部の横断面に白い斑点が現われる。この斑点は樹脂道から樹脂が異常に仮道管部に浸出し, 拡散するために生じたものである。病状が進行するにつれて, 白い斑点が拡大していく。水分の通導は異常になっているが, この段階では, まだ葉に水の供給が行われている。さらに病状が進行すると, 死んだ樹脂道, 髄に水が侵入し, 異常な樹液上昇を示す。病状の最終段階では, 通導組織が完全に閉そく状態になり, 水の上昇は見られない。マツノザイセンチュウを接種した苗木の中に, 回復現象を示した苗木があった。この苗木の材部内側には, 樹脂の流出した斑点が認められるが, 外側は新しい仮道管ができ, 正常な水分通導が行われている。マツが枯死に至るためには, 形成層の完全破壊が必要であることを示唆している。上記の方法は, マツノザイセンチュウ病の初期診断に利用可能である。
著者
清野 弘明 大久保 健太郎 山口 日吉 木村 美奈子 宮口 修一 山崎 俊朗 三崎 麻子 菊池 宏明 阿部 隆三
出版者
THE JAPAN DIABETES SOCIETY
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.333-335, 2003-04-30
参考文献数
8
被引用文献数
3

症例は31歳の男性, 2002年5月12日より口渇感, 全身倦怠感が出現し5月15日に初診した. 初診時血糖値778mgd<SUB>l</SUB>, 尿ケトン体強陽性, 動脈血分析ではpH7.249, HCO<SUB>3</SUB>13.6mmo<I>l</I>, 血中総ケトン体9800μmol<I>l</I>で糖尿病性ケトアシドーシスと診断した. 入院時のHbA<SUB>1c</SUB>は6.1%であった.入院中3回測定した尿中CPRは (3.4, <1.0, <1.0μg/day) でグルカゴン負荷試験でも負荷前・負荷6分後の血清CPRは検出限界の0.2ng/m<I>l</I>以下でβ 細胞の完全破壊が示唆された. 以上より本例は劇症1型糖尿病のスクリーニング基準を満たしたが, 2回測定した抗GAD抗体は, 11.6Um<I>l</I>, 10.2Um<I>l</I>と陽性であった. 本例は劇症1型糖尿病と考えられるが, 抗GAD抗体が陽性であったことより自己免疫の関与が示唆される劇症1型糖尿病であり, 興味ある症例である.
著者
眞田 英一
出版者
一般社団法人 日本内分泌学会
雑誌
日本内分泌学会雑誌 (ISSN:00290661)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.263-286,9, 1937

Früher hat der Verfasser über den Einfluss der Nebenniere auf die Indicansynthese im Organismus mitgeteilt. Diesmal hat er den Einfluss der Hypophyse auf die Indicansynthese bei der Indolinjektion. im Organismus untersucht.<BR>Die vorliegende Mitteilung berichtet über den Einfluss der voliständigen Zerstörung der Hypophyse, des HypophysenvorderlappenNacl- extraktes und des Pituitrins.<BR>Versuchstiere und Methodik waren wie zuvor.<BR>Die Resultate lassen sich wie folgt zusammenfassen : <BR>1) Bei Kaninchen mit vollständig zerstörter Hypophyse vermindert sich die durch Indolinejektion verursachte Indicanausscheidung im Urin sehr beträchtlich.<BR>2) Bei mit Hypophysenvorderlappen- Nacl- extrakt injizierten Kaninchen erscheint das injizierte Indol als Indican irn Urin deutlicher als bei den Kontrollen.<BR>3) Bei mit Pituitrin injizierten Kaninchen nimmt die Ausscheid ung des Indicans nach Indolinjektion im Urin ausgesprochen ab.
出版者
日経BP社
雑誌
日経automotive technology (ISSN:18819362)
巻号頁・発行日
no.18, pp.64-69, 2010-05

2010年1月に開催されたデトロイトモーターショー。会場で異彩を放っていた車種の一つが、このショーで初めて一般公開されたドイツAudi社の最高級車である新型「A8」(扉写真参照)だ。同社のスポーツカー「R8」に続き、ロービーム、ハイビームを含むすべての光源をLED化したフルLEDヘッドランプをオプション設定した。
出版者
日経BP社
雑誌
日経automotive technology (ISSN:18819362)
巻号頁・発行日
no.46, pp.70-75, 2015-01

マツダは、先行車や対向車の運転者にまぶしくないように制御できるLEDヘッドランプを出展した(図2)。ハイビームのLED光源を四つのブロックに分割し、それぞれのブロックを個別に点灯・消灯できるようにしている。別体のカメラで対向車のヘッドランプや先行…
著者
中村 弘 石黒 章夫 内川 嘉樹 ROLF Pfeifer
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.18, no.7, pp.963-971, 2000-10-15
参考文献数
9
被引用文献数
10 3

Conventional artificial intelligence and cognitive science approaches have been arguing the emergence of intelligence by completely separating the cognitive agent from its environment. In this paper, we intensively investigate and analyze the role of the system-environment interaction through the comparison between the information processing and embodied cognitive approaches. By taking account of this interaction, we experimentally show some of the hard classification problems suffering from the large input space and the ambiguities due to the perceptual aliasing problem can be greatly alleviated. To demonstrate this concept, we apply to a garbage-collecting task as a practical example.
著者
亀井 伸孝
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

近年の大学および学生を取り巻く環境の変化を受け、フィールドワーク教育いかに構想していくかについて、実践事例をもとに検討する。愛知県立大学国際関係学科では、2011年から実施しているフィールドワーク・フェスタ「旅の写真展」の実践を通じ、フィールドワークの振興を図っている。フィールドワーク教育においては、学生たちがすでにもっているモノなどに着目し、その潜在能力を引き出して活かすことも重要であろう。
著者
鷹取 万里子 須永 剛司
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.62, 2015

「mini-cam」とは、旅行やお出かけのシーンで、風景や料理といった撮影対象と一緒に自分の「mini」が写り込んだ写真が撮れるカメラアプリである。「mini」とは、自分の顔写真から生成したアバターのことで、ファッションやメイクなど詳細な設定ができる。「mini」はカメラのファインダの中を自由に動きまわっていて、他にも「性格設定」によって様々な振る舞いをする。「mini-cam」の特徴的な良さは大きく3つある。1つは「mini」が旅の写真に映り込んでくれること。2つめは「mini」の姿や振る舞いが可愛いこと。3つめは旅ごとに「mini」の「かわり映え」を楽しめることである。<br>