1 0 0 0 防災堤防

著者
近藤 泰夫
出版者
The Society of Sea Water Science, Japan
雑誌
日本塩学会誌 (ISSN:03695646)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.137-153, 1955

昭和21年12月21日の土佐沖地震を起因とする地盤沈下の問題が中国及び四国の海岸に関係する各種構造物に対して重大な影響を与えたので、学術振興会を始め建設省中国四国地力建設局その他の各種機関を通じて、沈下の調査とその対策について研究が行われた。学振第33特別委員会第4分科会 (塩田) 及び四国地方地盤沈下調査委員会の塩田部会において、塩田外堤の現状、対策、維持管理等について行つた調査はこれである。<BR>昭和28年9月25日台風13号は愛知三重両県下の海岸堤防に莫大な災害を与えたので、その後旧計画について建設省関係各機関の協力によつて斬新な理論的考察がなされた、その一部を本講に紹介する。<BR>最後に昭和29年9月13日台風12号及び同年9月26日台風15号が香川県下に与えた災害及びその後旧対策について言及したい。
著者
谷口 森俊
出版者
日本生態学会
雑誌
植物生態学会報 (ISSN:02899949)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.282-289, 1954-06-30
被引用文献数
1
著者
近藤 悟
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.265-273, 1988

国や民間企業が将来の技術開発計画を立案する際には、今後の技術発展の方向を把握しておく必要があり、この技術発展の方向を予測する重要な活動がいわゆる「技術予測」である。この技術予測の手法にはいろいろなものが開発されている。ちなみに科学記述庁では、昭和46年以来、約5年ごとに「デルファイ法」により技術予測調査を実施してきており、昭和62年9月に第4回目の予測結果を発表した。この技術予測調査は世界でも類を見ない大規模なもので、国や民間企業での技術開発計画立案の羅針盤として期待されている。科学技術庁の今回の技術予測の特徴や読み方(企業の技術開発計画への活用等)については、いくつか報告がなされている。しかし、「デルファイ法」についての手法面からの分析はほとんどなされていないのが現状である。今後より有効な技術予測を実施して、その結果を技術開発計画に活用していくためには、手法面についても検討しておく必要がある。本論文では、特に予測された「実現時期」に着目して、実現時期やそのバラツキと回答特性との関連、高い信頼性が得られると思われる回答者数や予測期間、楽観的予測と悲観的予測との比較、繰返しアンケート調査の収れん効果等いくつかの面から、科学技術庁の技術予測調査結果を題材に、「デルファイ法」の手法に対する考察を試みた。
著者
三好 清文 蘆田 宏
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.12-12, 2015

We investigated the effect of processing fluency induced by spatial cueing on recognition memory judgments. Participants memorized pictures of everyday objects, and their spatial attention was manipulated in a Remember/Know recognition memory test. Stimulus location was either predicted (valid condition) or unpredicted (invalid condition) using an arrow cue. The results revealed that familiarity-based false recognition increased in the invalid condition. In the invalid condition, participants may have attributed part of the perceived disfluency to the spatial cue and overestimated the fluency for the stimulus, leading to increased false recognition. In contrast, in the valid condition, participants may have attributed some parts of the perceived fluency to the spatial cue and underestimated the fluency for the stimulus, leading to decreased false recognition. In short, spatial cueing induces&nbsp;reasoning about the source of fluency and biases recognition memory.
著者
安尾 浩行 石原 朋浩 森口 雅弘 山口 正義
出版者
The Laser Society of Japan
雑誌
レーザー研究 (ISSN:03870200)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.238-242, 1997
被引用文献数
7

We have developed a compact, lightweight laser range finder system using Q-switched erbium doped fiber laser with peak power of 600W at a repetition frequency of 1kHz. The system can measure the distance between overhead transmission lines and a tree top 300m away with an accuracy of ± 0.2m. This is a commercial version of a system which has been jointly developed by The Kansai Electric Power Inc. and Sumitomo Electric Industries, LTD.
著者
竹中 克久
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.780-796, 2006-03-31

本稿では, 組織戦略という概念に焦点をあて, 社会学的な見地からアプローチを試みる.組織戦略概念は組織を軍隊に喩えることから提起された概念であり, 市場という環境のなかで組織がほかの組織と合理的に争う側面を分析するために提起されたものである.ただ, 戦略概念の登場とその発展とともに, それを専門とするディシプリンとして戦略論という学問分野が独立したため, 組織戦略について論じつつも, 組織が主題となることは少ない.また, この概念は組織の経済的な競争という側面を重視するものであるために, 自ずと経済学や経営学からのアプローチが支配的であり, 社会学からのアプローチはほぼ皆無であるといっても過言ではない.ところが, 今日の社会状況に鑑みれば, むしろ社会学的な見地から, この組織戦略概念を再考することの意義ならびに社会からの要請があるように思われる.<BR>そこで本稿では, 戦略概念に代替可能な概念を模索する.その1つは企業倫理であり, もう1つはアカウンタビリティである.とりわけ本稿では後者を支持し, その概念の有効性を合理性ではなく<理解可能性>という基準で立証することを試みる.その際に参考となるのが, 近年着目されている組織アイデンティティや表出的組織という概念である.<BR>このような視座に立つことで, 現代組織にとっての新たなレゾン・デートルを提起できるとかんがえられる.
著者
坂本 勉
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.2_77-2_90, 1995

This paper is concerned with the question of how &ldquo;transparent&rdquo; the relation is between the parser and the grammar with respect to filler-gap associations. Some previous research has argued for non-transparency; this would invalidate a whole line of psycholinguistic research in which the representations assigned to sentences by the parser are taken as revealing the representations assigned to sentences by the mental grammar.<br>The experimental results on Japanese sentence processing reported here show a constant preference for the object filler as a filler in both Subject-Object word order and Object-Subject word order. On the standard assumption that scrambling of word order leaves a trace, this consistency of object filler preference suggests that the trace is recognized by the processor as a legitimate filler. Thus, the findings here do not support the non-transparency hypothesis, which is based on the following two claims: (i) the parser uses a strategy that depends on recency (the &ldquo;Most Recent Filler, MRF&rdquo; strategy) and (ii) the parser does not accept an empty category as the filler for another empty category (the &ldquo;Lexical Filler Only, LFO&rdquo; hypothesis). Rather, the findings are compatible with the transparency hypothesis, which assumes that the parser can make use of all the information available from the grammar. Furthermore, the results presented here support the hypothesis that the language module is independent of general inference mechanisms.
著者
大和大峯研究グループ 岩橋 豊彦 奥田 尚 佐藤 浩一 竹内 靖夫 南浦 育弘 八尾 昭
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.11-26, 2002-01-25
参考文献数
31
被引用文献数
11

入之波地域の地質は,構造的に上位から下位に向かって秩父帯の三之公層(ジュラ紀中世前期頃)・北股川層(ジュラ紀中世中期-後期)・奥玉谷層(ジュラ紀新世前期)・黒石層(ジュラ紀新世中期-後期)・大普賢岳層(ジュラ紀新世中期-後期)・山葵谷層(ジュラ紀新世後期)・高原層(白亜紀古世前期)・,四万十帯の伯母谷川層(Albian-Cenomanian)・赤滝層(Turonian-Campanian?)と重なり,各地質体はスラストで境される.今回新たに報告した三之公層・北股川層・奥玉谷層・黒石層はメランジュからなる地質体であり,付加コンプレックスの特徴を示す.当地域の秩父帯は,ジュラ紀中世から白亜紀古世に至る付加過程で形成された一連の地質体で構成される.秩父帯の各地質体は低角度のスラストで境され,地帯を境するような高角度の断層はない.また,黒瀬川帯の存在を示すような地質体や岩石も見いだされない.秩父帯は,大峯-大台スラストを境してナップとして四万十帯の上に衝上している.南北性の高角度断層である入之波断層を境して,西側の地質体が上昇している.
著者
木本 圭子 宮崎 亮一
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.P35-P35, 2009

ニュートンの運動方程式によると質点に働く力が決まると質点の運動が決まるが、「変化」とは化学反応なども含めた、より広い概念である。これを記述するのが状態空間という概念であり、より一般の「変化」を考えることができる。本報ではシステムの変動とそれを幾何学的に捉える状態空間を用いて、リズムの生成を考える。<BR> 状態空間は微分方程式または写像により定義される。状態空間と変動する仕組みを表す方程式をあわせて力学系という。<BR>我々はこの変動の仕組みの内包された状態空間を表現のメディア(キャンバス)と見なしていく。このキャンバスは質的に異なる複数の状態を内包しており、システムのパラメータを動かすことで流れを制御できる。透視図法という数理が遠近法という絵画構成の手法となり、双曲幾何が平面充填パターンへと応用されたように、動的表現においては状態空間が動きとリズムの表現手法となると考える。<BR> また、状態空間の座標に変換を施すことで、リズム生成のメディア自体も変換の対象とし、動的表現の可能性を探っていく。<BR>
著者
Sam S Baskegtt
出版者
神戸女学院大学
雑誌
女性学評論 (ISSN:09136630)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.31-42, 1989-03

H.G.ウェルズの『海の女』(The Sea Lady)(1902)はエリオットの最初の重要な詩、「J.アルフレッド・プルフロックの恋の歌」("The Love Song of J.Alfred Prufrock")に重大な影響を与えた。『海の女』は英国の礼儀正しい(proper)若い芸術愛好家(ディレッタント)と彼の愛をもとめて海からやってきた人魚とのファンタジーである。優柔不断に苦しんだ後、彼は彼女と共に海に消えていく。プルフロックの葛藤も本質的には同じで、社会的因習のしがらみと人魚に象徴される無意識への渇望との間の逡巡である。ウェルズの主人公、シャタリス(Chatteris)の持つ多くの特長はプルフロックも共有する。さらに、主題や言語表現上の共鳴がみられる。もちろん、その主なものは人魚の比喩である。ウェルズの人魚の魅力は明らかにセクシュアルなものだがそれ以上のものでもある。シャタリスにとって、彼女は自然美、自由、夢(脅威を伴うが)であって、義務、調和の世界からの逃避を表わす。なによりも重要なのは、ウェルズが、シティーとディオニュシオスの間の、因習的秩序と神秘の世界との間の"根源的な闘い"を提供していることで、エリオットがウェルズのこの小品にひかれた理由がこの点にあろう。以上、3つの関連あるモチーフは若い詩人のこころの琴線に触れた。エリオットは、シャタリスのように、セクシャリティに関しては優柔不断であった。さらに広く言えば、シャタリスを苦しめる優柔不断はエリオットが自己診断をした"aboulie"(どのようなレベルにおいても決断する能力がない)と似ている。しかし、もっとも注目すべきことは、「J.アルフレッド・プルフロックの恋の歌」だけでなく、かれのすべての作品に見られる審美的重要性を左右する政治的、哲学的、性的衝動の単純な扱い方をエリオットはウェルズの『海の女』の中に見つけたのである。シャタリスとプルフロックの両者は、またその著者たちも、1980年代の視点からは不徹底とはいえ、今世紀はじめの新しい"性の自由"の問題を扱おうとした。エリオットは、多分自己防衛の偽装として、彼自身が恐れた衝撃的な失敗者の肖像(恐ろしいが魅力ある人魚が彼に歌わないかもしれないということ)をウェルズの材料の「流用」によってつくりだしたといえよう。