著者
武田 真人 矢田 紀子 長尾 智晴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.10, pp.1631-1639, 2011-10-01
被引用文献数
1

人は不審物に関する情報がなくても,普段見かけない物に注目し意識を向けることによって結果的に不審物を見つけることができる.このような検知が可能なのは,環境を繰り返し観測することによって次第に反応しなくなるように刺激が記憶されたり,反応しなくなるような領域が形成されたりすることで環境の通常状態といえるものが記憶されているためと我々は考えている.そこで本論文では,監視カメラに代表される固定カメラからの映像を用い,環境に応じてそのような通常状態を表現するネットワークモデルを提案する.実験では,車両や歩行者を検知対象の異常として定義した侵入物体検知問題を扱い,異常とされる領域への提案モデルの出力を評価することでその有効性を検証した.
著者
坂本 武
出版者
駒澤大学
雑誌
外国文学研究 (ISSN:04350332)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.41-56, 1976-03-30
著者
飯塚 有紀
出版者
Japan Society of Developmental Psychology
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.263-272, 2013

本研究は,低出生体重等の理由で子どもが保育器に入ることによって母子分離を経験した8名の母親の心理・情緒的経験,葛藤を丁寧に描くことを目的とした。語られたインタビューの内容については,現象学的分析を用いて検討した。その結果,NICUへの入院を経験した低出生体重児の母親は,妊娠・分娩・出産のトラウマティックな傷つき体験と早産に関する自責の念を背景としながら,最初期の母子関係の構築を始めることが明らかとなった。保育器に子どもが入ることになり母子分離が起こると,子どもとの間に心理的な距離が発生し,母子関係構築のための貴重な時期に危機的状態が発生することが確認された。しかし,自由に抱っこができる状況,すなわち母子再統合がなされるとこの母子間の心理的な距離は一気に解消される。母子再統合によって,母親は,母親としての実感を抱くようになった。一時的な母子分離は,抱っこやそれに付随する授乳などによって容易に克服できる可能性が示された。しかし,妊娠・分娩・出産に伴うトラウマティックな傷つき体験と自責の念は,ことあるごとに繰り返しよみがえってくるようであった。カンガルーケア等の母子関係構築の初期における母子の接触を積極的に行うことが必要であろうし,また,このような母親の心性を医療スタッフが理解しておくことも重要である。
著者
稲田 倍穂
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土と基礎 (ISSN:00413798)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.13-18, 1960-02-15
被引用文献数
10
著者
中川 栄照
出版者
東京音楽大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:02861518)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.A47-A62, 1976
著者
外村 中
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.21-40, 2015-03

日本の奈良の東大寺大仏(752年開眼)は、宇宙に花咲く蓮の花托に坐す仏を表したもので、世界的にも有名な芸術作品の一つである。また、日本の華厳宗の大本山である東大寺の本尊であるから、大乗仏教の最も代表的な経典の一つである『華厳経』を当時の日本人が如何に理解していたかを考察する上でも、非常に重要な仏像である。ところが、大仏は、意匠的には、華厳宗がもとづく『華厳経』よりも律宗で重んじられた『梵網経』の内容に符合しているようにも見える。その理由は、いまだ明らかにはされておらず、大仏は、実のところは華厳教主像ではなく、梵網教主像であろうとする説もある。しかしながら、やはり華厳教主像と見るべきであろう。小稿は、そのように思われる理由を整理するものである。『華厳経』の漢訳完本である『六十華厳』と『八十華厳』の内容、とくに両仏典が記す宇宙論の内容を比較分析するに、『六十華厳』の内容には重大な欠落があることが知られる。おそらくは、大仏の意匠を決定するにあたり、『六十華厳』のその欠落を補うために、『梵網経』の内容が援用されたのであろう。ただし、大仏は、積極的に梵網教主像として造られたものではなく、あくまで華厳教主像として造られたものらしい。大仏の意匠は、確かに『八十華厳』の内容とは齟齬をきたすが、実は『六十華厳』の内容とは必ずしも違うものではない。この点は、従来の研究においては注意が払われていないが、大仏が六十華厳教主廬舎那像として造られたものであることをしめすものであろう。
著者
陳 永裕
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.1079-1072, 2009-03-20
著者
荒木 良子
出版者
福井大学
雑誌
福井大学教育実践研究 (ISSN:13427261)
巻号頁・発行日
no.32, pp.203-215, 2008-01-31

全盲の一誠くん※が小学校に就学した頃,点字の学習をするのはまだ少し時間が必要だった。文字がなくてもたくさんのことを一誠くんは学んできた。小学校での豊かな生活が積み重なって6年生になった時に,彼は点字の勉強を始めた。その時々を大切にして,生活が膨らんできたときに文字を学ぶようになる時が訪れることを一誠くんに教えて貰った。大切にしてきたことはなんだったのか。一誠くんは全身を使って周りの世界を調べてきた。その時間は彼の生活のすべての土台である。朝読書で友だちに絵本を読んで貰ってきた。担任とともに友だちや先生に手紙を書いてきた。思い出に残る出来事を作文に仕立ててきた。位置や方向について教材を工夫して机上での学習を積み上げてきた。盲学校の教育相談担当者はクッキーを作りを通して点字の環境を取り入れてきた。これらの学習が展開され,「点字に向かう」時が満ちた。※ 保護者の了解により実名で記す。これは保護者のご希望でもある。
著者
石賀 裕明 三原 章人 三瓶 良和
出版者
島根大学総合理工学部地球資源環境学教室
雑誌
島根大学地球資源環境学研究報告 (ISSN:13439774)
巻号頁・発行日
no.19, pp.47-55, 2000-12

Geochemical amlyses of bottom sediments and cored samples have been carried out to evaluate environmental changes of the non-marine Lake Jaike of San'in district.Soils of surrounding areas and sediments of the Lake Jinzai of brachish environment are also examined for comparative study.Cored samples with 70cm length showed gradually increasing concentrations of arsenic(from 12 to 31 ppm),lead(from 24 to 31 ppm),zinc(from 95 to 144 Pppm),phosphorous(P_2O_5,from O.09 to O.28 wt%)and total iron(from 8.20 to 11.15 wt%)but with relatively consistent values in chromium(75-83 ppm)and thorium(11-12 ppm)suggesting that the variations were caused by environmental change related to the land modification.Abrupt projection of total sulfur(TS)contents in this profile is suggestive of an excess supply of common fertilizer such as sulfate ammonium,of which the event was coincident to an extinction of fishes in 1988.In contrast to the decline of TS,phosphorus increased steadily indicating switching of aglochemicals.
著者
国井 秀伸 国井 加代子 高木 嘉子
出版者
島根大学理学部
雑誌
島根大学理学部紀要 (ISSN:03879925)
巻号頁・発行日
no.19, pp.p113-119, 1985-12

蓮池は島根県簸川郡湖陵町にある淡水池で,大学からは国遣9号線を利用して車で約1時間の行程にある。この池は海岸からの直線距離約1kmに位置する砂丘堰塞湖であり,アカマツ林を隔てて西方約200mに隣接する蛇池と同じく,弥生後期以降の新砂丘の発達により形成されたものである(蛇池については秋山の未発表資料による)。13; 蓮池の水生植物相や水質に関しては,高木(1984)が卒業研究として1983年7月から12月の半年間にわたって付着藻類の調査を行った際の記録があるが,一年間を通しての水質の季節変化は調べられていない。そこで著者らは今後の水生植物に関する生態学的調査の基礎資料を得る目的で、この池での水生植物の生育状況と水質の季節変化について通年の調査を行った。以下にその調査緒果を報告する。
著者
多田 幸雄 山脇 一郎 上田 修一 松本 宏 松浦 直資 安本 三治 江田 昭英 堀 幹夫
出版者
情報計算化学生物学会(CBI学会)
雑誌
CBIジャーナル (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.86-94, 2002
被引用文献数
1

I 型アレルギー疾患治療薬を開発する目的でトシル酸 2-ヒドロキシエチルジメチルスルホニウム (1) 誘導体の抗アレルギー作用を検討した。それらの中でトシル酸 2-アルコキシと2-フェノキシエチルジメチルスルホニウムの数化合物がIgE 誘導ラット同種受身皮膚アナフィラキシー(PCA)の抑制作用を示した。抗アレルギー作用および急性毒性と化合物の疎水性または電子的性質(HOMOまたは酸素原子上の電荷)との間に相関が見られた。そしてトシル酸2-フェノキシエチルジメチルスルホニウム(5)を、次の開発段階における第二のリード化合物として選定した。