著者
冨岡 慎一 松田 晋哉
出版者
社会保険研究所
雑誌
社会保険旬報 (ISSN:13435728)
巻号頁・発行日
no.2575, pp.14-20, 2014-08-01
著者
内田 毅彦 小林 宏彰 石倉 大樹 虞都 韻 村上 哲朗 中野 壮陛
出版者
Society for Regulatory Science of Medical Products
雑誌
レギュラトリーサイエンス学会誌 (ISSN:21857113)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.211-217, 2015

世界の医療機器マーケットは拡大し続けているが,日本の医療機器産業はあまり活発ではなく,毎年7000億円もの貿易赤字を作り出している.しかしながら,技術力があり,モノづくりが匠で,医療水準が高い日本は本来であれば世界の医療機器産業を牽引していても不思議ではない.日本の医療機器産業が世界をリードするようになるために,幾つかのポイントが考えられる.米国のオバマケア,費用対効果,リバースイノベーション,国際共同治験,デジタルヘルスといったキーワードを踏まえた上で,日本のベンチャー企業が医療イノベーションを作り出そうとする際に,これからはよりグローバルな視点で事業化を行っていく必要があると考える.
著者
増山 博之
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.671-677, 2014-11-01

「解けない」待ち行列の系内客数分布や待ち時間分布は,しばしば,ある種の構造化マルコフ連鎖の定常分布として数値的に求めることになる.しかし,その構造化マルコフ連鎖の遷移確率行列が無限次元である場合には,何らかの方法で遷移確率行列を切断してから,計算機実装を行う必要がある.無論,切断された遷移確率行列から得られる定常分布は,本来求めるべき定常分布に対する「近似」である.本稿では,「最終列増大切断」によって得られる定常分布の誤差上界と,その導出に必要となる確率行列の「単調性」について述べる.また,関連する結果についても言及する.
著者
鈴木 幹男 小川 富美雄 北野 博也 矢澤 代四郎 北嶋 和智
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.103, no.8, pp.879-884, 2000-08-20
被引用文献数
2 4

音刺激の聴覚野への交叉性投射を調べる目的で単音節刺激時の聴覚野脳活動をfunctional MRIを用いて検討した.対象は聴力正常な成人6名(右利き)である.1秒間に1個の単音節(95dBSPL)を呈示し,OFF-ONパラダイム(OFF;音刺激なし,20秒,ON;音刺激あり,20秒)を4回繰り返した.機能画像は1.5テスラMRI装置(GE社製Signa Horizon)でグラジエントエコーエコープラナー画像(EPI)として得た.EPIはワークステーション上でSPM99bを使用し解析を行い,聴覚野賦活部位を測定した.<br>予備実験としてEPI撮像時の騒音を測定した.ERI撮像時の騒音は97dBSPLであったが,MR対応のヘッドホンを使用することにより80dBSPLまで減少させることが可能であった.片耳単音節刺激により主に反対側の1次聴覚野,両側の聴覚連合野に広い賦活部位が観察された.賦活は一次聴覚野より聴覚連合野に著明であった.右耳に単音節刺激を与えた際は左聴覚野に,左耳に与えた際は右聴覚野に有意に広い賦活部位がみられた.このパターンは被験者全員に観察された.この結果から単音節聴取時の音情報は両側の聴覚野に入力されるが,刺激対側の聴覚野に反応が強く交叉性投射が確認された.撮像時の騒音を減少させれば聴覚刺激による反応をfunctional MRIで測定することが可能であり今後臨床応用できると結論した.
著者
古賀 崇
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.111-127, 2001-03-31

アメリカ合衆国の連邦政府刊行物寄託図書館制度(FDLP)は,19世紀半ばより政府刊行物への無償のアクセスを保証する制度として存続してきた。しかし,政府情報提供の電子化が進行するにつれ,寄託図書館制度の改革が求められるようになった。寄託図書館制度を管轄する政府印刷局(GPO)は,1993年制定の「GPO電子情報アクセス推進法」に基づき,政府情報のオンライン・データベースとして"GPO Access"を構築した。GPOはまた1996年より,寄託図書館や他の政府機関との協力関係に基づく「寄託図書館制度の電子化」という方向性を打ち出し,電子化された政府情報の永続的アクセス保証への取り組みを進めている。しかし,GPOの将来計画は,電子的な環境に対応しうるように,寄託図書館制度の構造を抜本的に変革するまでには至っていない。本稿は,こうした「寄託図書館制度の電子化」の過程とその課題,およびその政策形成上の背景について論じる。
著者
和田 幸一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.208-212, 2001-04-01

図書館員は, 米国でさえ準専門職とされている。専門職の要件に沿って, 米国と日本の大学図書館員を比較したところ, 少なくとも教育, 資格, 自律性の点で明らかに日本の大学図書館員は, 専門職の度合が低いことがわかった。一方, 業務区分・何をもって専門職とするかの困難さ, 終身雇用制の存在, 社会奉仕の概念の欠如から, 日本の専門職化が困難であることを指摘した。そして, 筆者が目の当たりにした米国の専門職制の背景として, (1)専門職というラベルがポジションにつけられていること, (2)社会への大学図書館の奉仕, (3)図書館員が図書館界全体を育てていくという意識の存在を紹介した。
著者
内村 要介 佐藤 大和 松江 勇次
出版者
福岡県農業総合試験場
雑誌
福岡県農業総合試験場研究報告 (ISSN:13414593)
巻号頁・発行日
no.20, pp.1-4, 2001-03

'安富白'(岡山県産白小豆の派生系統の一つ)と'兵庫大納言'を交配し,その後代から系統育種法により育成した'白雪大納言'の特性ならびに加工適性について検討した. 1.'白雪大納言'子実の百粒重は19.8gで,'岡山白'の約2.2倍,'兵庫大納言'の0.8倍で白小豆では類例のない大粒である.粒形は円筒形で,種皮色は'岡山白'より明度,黄色度,彩度が高い黄白色である. 2.'白雪大納言'は浸漬増加比および煮熟増加比が高く,加工適性全般の形質で優れていた. 3.'白雪大納言'の蜜漬け豆は,色,外観,味,香り,濃厚さにおいて,白あん用豆類との対比では高く評価された.
著者
高橋 宏佳 今井 克美 高山 留美子 美根 潤 大谷 早苗 池田 浩子 久保田 裕子 高橋 幸利 井上 有史 藤原 建樹
出版者
The Japanese Society of Child Neurology
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.305-308, 2011-07-01

乳児期に発症した難治性のてんかんに対して緩和ケトン食が著効した1例を経験した. 生後8カ月からてんかん性スパズムが出現し, 一時ACTH療法にて発作は消失したが, 1歳1カ月時に部分発作で再発し, 2歳以後は部分発作とスパズムの複合発作となり, 種々の抗てんかん薬に抵抗性であった. 2歳6カ月時に絶食期間をおかず, カロリー制限・水分制限をせず, MCTオイルを使用した緩和ケトン食を開始し, 20日目に発作消失かつ脳波も著明改善した. 従来の古典的ケトン食を緩和した緩和ケトン食療法は副作用が少なく継続しやすいため, 難治性のてんかんにおいて試してみる価値のある治療法であり, わが国においても再評価されるべきである.
著者
Riordan Jim
出版者
社団法人日本体育学会
雑誌
体育學研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.118-125, 1994-07-10

ソヴィエトのオリンピックにおける成功やその背後にあるスポーツ組織について書かれたものは数多い. しかし, ソ連の力で平和が維持されてきた諸国間に, これまでの価値観を疑問視する新たなムードが生まれ, 現在では, コミュニスト・スポーツの暗い部分を照射したスポーツ史の検討, およびその書き直しがおこなわれている. 本研究では, このような共産主義スポーツ史の中にみられる, いくつかの「空白部分」の検討をおこなうことが目的である. それらは, 支配関係や勝利至上主義, 国家によるアマチュアリズム, 歪んで優先されたもの, 薬物の乱用や競技者の酷使, KGBとスポーツ, そして, 不正や詐欺行為などである.
著者
下方 浩史 葛谷 文男 吉峯 徳 浅井 幹一 坂本 信夫
出版者
The Japan Geriatrics Society
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.391-397, 1983

老化と深いかかわりを持つ高脂血症・動脈硬化の予防と治療に関する研究の一環として, 食事と血清脂質の関係について明らかにするための検討を行なった. 121名の健康な成人を対象に3日間の食事内容を調査し, 同時に測定した肥満度, 血圧, 血清脂質との関係について多変量解析の手法を用いて検討した.<br>まず血清脂質と食事内容とに対して正準相関分析を行ない, 弱いが有意な相関があることを確認した. 食事内容に血圧, 肥満度を加えて血清脂質との間に正準相関分析を行なったところ, より強い相関関係が示された. 次に血清脂質の各々について食事内容との間に重回帰分析を行なった. 総コレステロール, 高比重リボ蛋白コレステロール (以下HDL-コレステロールと略す), トリグリセライド, Atherogenic Index は食事内容に肥満度, 血圧を加えることによってはじめて有意な相関を示したが, リン脂質は食事内容のみでも有意な相関を示した.<br>食事のどのようなかたよりが血清脂質に大きな影響を及ぼすかについて次に検討した. 摂取食品に対して因子分析を行ない, 各食品の摂取状態の分布を求めたところ, 食品を大きく4つの群に分けることができた. しかし得られた各因子と血清脂質との間には, はっきりした関係は見い出されなかった. そこで食事のかたよりの具体的な指標として, 食品を植物性のものとそうでないものに分け, 植物性食品の摂取量と血清脂質との関係について検討した. その結果, 植物性食品は多少総コレステロールを低下させる傾向があるが, それ以上にHDL-コレステロールを大きく下げることがわかった.