著者
大井田 晴彦 OIDA Haruhiko
出版者
名古屋大学文学部
雑誌
名古屋大学文学部研究論集. 文学 (ISSN:04694716)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.113-123, 2011-03-31

In the Heian era, the invention of kana (Japanese syllabary) has brought about many linguistic changes. Especially the changes were remarkable in the field of literature. Many monogataris (novels or romans) were written in kana, read by many people. In waka, kakekotoba (homonymy), a kind of rhetoric has been polished. At last, Japanese had got letter they can write their own language more easilly and exactly. As soon as kana was invented, Taketori-Monogatari, the oldest monogatari, called “A father of monogatari”, was written. This monogatari contains 15 waka. This monogatari consists of topics about 5 noblemen’s proposal to Kaguya-Hime and topics of emperor’s proposal and Hime’s return to the moon. In the story of 5men’s proposal, waka is skillful with kakekotoba and humorous, contrary in the story of emperor’s proposal and return, waka is simple, serious and lyrical. The difference between the two shows Kaguya-Hime’s change into a human. And it is important that exchanges of waka form human relations in this monogatari. As the progress of monogatari, poetic lyricism arises, but, it is negated. In the scene of Mt. Fuji, finally monogatari has regained the poetic lyricism. Taketori-Monogatari has been enriched by the use of kana.
著者
小川 剛生
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 = The Bulletin of The National Institute of Japanese Literature (ISSN:03873447)
巻号頁・発行日
no.30, pp.53-94, 2004-02-28

艶書文例集とは、さまざまな恋の状況における懸想文を掲げ筆法を解説した書札礼の故実書であるが、その包摂する範囲は広きに及んで、艶書文学というべきジャンルを形成している。たとえば『堀河院艶書合』も艶書や艶書歌の手引きとして読まれたし、室町物語や仮名草子には登場人物の艶書のやりとりによって筋が展開するものがある。東山御文庫に蔵される『思露』は中世に成立した艶書文例集である。やはり艶書の「書様」と「文例」からなり、艶書をしるし相手に贈る際の、さまざまな知識を解説した書物であるが、その成立・作者については、これまではっきりしたことは知られていなかった。本稿において、本書は南北朝末期、二条良基が著したもので、公武の間で広く読まれていたことを述べた。さらにその内容は文学的にも見るべきものがあり、当時の『源氏物語』をはじめ王朝物語への理解を示し、また仮名文をいかに書くべきかを初めて具体的に説いた書物として注目に値することを指摘した。続いて、代表的な艶書文例集として知られる『詞花懸露集』はこの『思露』を後人が改編した本であること、また『堀河院艶書合』の伝本の一部にも『思露』を吸収したものがあることなどを述べ、中世の艶書文学作品に『思露』が与えた影響が甚だ大きいことを明らかにした。附録として東山御文庫蔵本の全文を翻刻した。 A collection of love letter examples is an ancient customs book that was printed love letters written under various situations of love and it was commented on style of writing Kojitusyo (the protocol or events in the imperial court and Bu-ke) of Shosatsurei. It was widely subsumed and formed a genre called the love letter literature. For example,”Horikawain-ensho-awase”(堀河院艶書合)was also read as a guide book of Enshouta in Muromachi-monogatari(室町物語) or in Kana-zoshi(仮名草子), the plot was developed by exchanging love letters of the characters. “Shiro”(思露) which belongs to the Higashiyama Library is a collection of love letter examples formed in the middle ages. Though this is also a book composed with the way of writing and examples about various knowledge for people who wrote love letters to their lovers. Regarding to the time of establishment or about the author have been uncertain so far. In this paper, it is mentioned that this book was written by Nijo Yoshimoto and read by the imperial court and the shogunate. In addition, the content contains the specific character in literary terms showing to appreciate Japanese imperial tales including “Genji-monogatari”(源氏物語) in those days. It also pointed out that it is worthy of notice as the book explained specifically how should the kana texts were written for the first time. Then “Shika Kenro Shu”(詞花懸露集) known as a representative of a collection of love letter examples is a book which was revised by later hands, there is also something which absorbed “Shiro” in the part of handed-down manuscript of Horikawain-ensho-awase were mentioned. It was shown that “Shiro” greatly influenced the medieval love letter literary works. The whole text in Higashiyama Library reprinted as an appendix.
著者
鹿子木 和寛 飯盛 光葉 末田 加奈 古賀 稔健 塚本 裕二 山邉 素子 島田 達生
出版者
コ・メディカル形態機能学会
雑誌
形態・機能 (ISSN:13477145)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.53-60, 2006-03-01 (Released:2010-09-09)
参考文献数
36
被引用文献数
3

近年、ハイヒールやミュールの着用により外反母趾や扁平足などの足のトラブルが増えている。本研究はヒト足型の形態的特徴を明らかにするために、82名の女子看護大学生を対象に足型測定器「Foot Grapher」を用い、足型を調査した。その結果、足型からみた足の異常は、中等度5名 (6.1%) 、第5指の浮き指33名 (40.2%) 、鉤足6名 (7.3%) 、扁平足7名 (8.5%) に認められた。上記の4項目のいずれかに該当した女子看護大学生は44名 (53.7%) であり、約半数以上の足に何らかの問題がみられた。
著者
山下 かおり 石川 幹雄 手塚 正人 伊藤 信行
出版者
一般社団法人 表面技術協会
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.143-146, 2017-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
22
被引用文献数
3
著者
保科 英人
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.13-16, 2002 (Released:2017-07-20)
参考文献数
5

Agathidiini族Besuchetionella属は,ANGELINI and PECK(2000)によって記載された属で,東南アジアから日本にかけて18種が記録されている.今まで琉球からは,Agathidiini族に含まれる属の分布は,Agathidium属とCyrtoplastus属の2属のみが知られていた.今回,著者は琉球からBesuchetionella属の1新種を採集し,本論文においてB. kamiyai(カミヤツブタマキノコムシ)として命名・記載した.本種は,タマキノコムシ亜科の中では世界で最も体が小さい種の一つである.
著者
内外書籍株式会社 編
出版者
内外書籍
巻号頁・発行日
vol.第四巻, 1937
著者
西田 耀 木村 啓二
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:2188868X)
巻号頁・発行日
vol.2020-EMB-53, no.14, pp.1-6, 2020-02-20

アプリケーションの耐障害性を向上させる手法の一つにチェックポインティングがある.これまでに,アプリケーションを変更することなく透過的にチェックポイントを行う手法がいくつか発表されている.また,Non-volatile DIMM (NVDIMM) を状態の保存先として利用することで,主記憶に比べて 100 倍以上遅い外部記憶へのアクセスに依存することなくチェックポイントを行う手法が提案されている.しかし,DRAM で構成された主記憶から不揮発性の記憶装置に状態をコピーするという操作は依然存在しており,これがチェックポイントのオーバーヘッドの大部分を占めている.本研究では,アプリケーションを NVDIMM 上に直接マッピングして実行することで状態のコピーを最小限に抑え,さらにページテーブルも含めたプロセスのメモリ空間を二重化して一貫性を確保しつつチェックポインティングを行う,NDCKPT という手法を提案する.Linux Kernel に NDCKPT を実装し,Optane DC Persistent Memory を用いて評価を行った結果,メモリ消費量が 1MB 程度のアプリケーションでは,100ms 程度の高頻度でチェックポイントを行っても実行時間の増加を 1% 以下に抑えられることがわかった.また,数百 MB のメモリを消費するアプリケーションにおいては,NVDIMM 上で実行を行うオーバーヘッドが支配的で実行時間比で 2 倍から 3 倍以上となる一方,チェックポイントによって加わるオーバーヘッドは 20-30 秒間隔で 10% 前後となることがわかった.

2 0 0 0 OA 刀装類聚抄

著者
森, 久寛
出版者
巻号頁・発行日
vol.[8],
著者
池上 剛
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.573-579, 2017-08-10 (Released:2017-08-19)
参考文献数
19
被引用文献数
1
著者
北村 修
出版者
The Society of Agricultural Meteorology of Japan
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.33-41, 1994-06-10 (Released:2010-02-25)
被引用文献数
1 1
著者
小柴 久子
出版者
山口大学大学院東アジア研究科
雑誌
東アジア研究 (ISSN:13479415)
巻号頁・発行日
no.8, pp.37-51, 2010-03

戦後日本の高度経済成長は、経済発展至上主義の下、強力な官僚制によって主導された。それを一方で支えたのは、「男性稼ぎ主型」家族を基盤にした日本型雇用システムと日本型福祉である。しかし、1980年代末にバブル経済がはじけ、90年代以降の「失われた10年」によって、日本は、もはや右肩上がりの経済発展は望めなくなった。また、急速に進展するグローバリゼーションの影響によって、労働市場の規制緩和を初めとする様々な規制緩和が進み、これは日本のこれまでの社会システムを破壊しながら、富める者と貧しき者=社会的弱者との格差を急激に拡大させていった。この過程で、これまで見過ごされてきた、様々な政治課題が浮上し、それらの解決が緊急かつ強力に社会から要請された。これは、言い換えれば、経済発展至上主義や企業中心社会の論理から、生活者の視点への転換であり、官僚制から市民参画型政治への政治システム変革の流れである。そこで本稿では、市民参画型政治の具体的例として、日本のDV政策について考察する。DV政策は、日本のジェンダー政策の中でもとりわけ市民参画が進んだ分野である。すなわち、2001年にDV防止法は議員立法で制定されたのち、二度の改正DV防止法は市民立法によって制定された。また、その制定過程では、被害当事者や支援者たちの声が強く反映されるものとなった。したがって、本稿では、まず、このDV防止法の制定過程を「市民参画」の視点から検証した。さらに、DV施策を実施する立場である地方自治体では、民間支援団体と行政との協働がいかに行われているかについて、いくつかの地方自治体のDV防止基本計画とその実態を比較分析することによって見てみた。その結果、地方自治体と民間支援団体との協働ができているところは、きめ細かな支援が行われていること、行政とのチャンネルができていることがわかった。さらに、地域間格差が大きいことが分かった。地方自治体において実効性のあるDV防止施策を展開するためには、行政と民間支援団体との協働関係が必要不可欠であることが実証された。