出版者
日経BP社
雑誌
日経ヘルスケア : 医療・介護の経営情報 (ISSN:18815707)
巻号頁・発行日
no.302, pp.50-53, 2014-12

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)にとっては、逆風の中での改定になりそうだ。社会福祉法人の内部留保問題や、2014年介…
著者
溝口 佑爾
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

2012年度は、前年度に引き続き、これまでの研究のアウトプットを続けると同時に、これまでの理論的研究で得られた洞察を、巨大災害後の復興支援プロジェクトへと直接生かしつつ、その成果を残すための地盤作りに取り組んだ。2010年度に築いたルーマン社会システム理論の時間論的、そしてメディア論的な拡張を、2011年3月11日に起きた東日本大震災を受けて立ち上げた被災地支援活動「思い出サルベージ」プロジェクトにおいて実践していった。同プロジェクトは、宮城県亘理郡山元町において津波に飲まれて持ち主不明となった写真約70万枚を、洗浄・デジタル化・データベース化して持ち主へと届けることを目的とした支援活動である。申請者は、同プロジェクトの立ち上げ人兼現代表として、宮城県亘理郡山元町における被災写真救済活動の実質的な指導およびフィールドワークを続けてきた。また、山元町以外の被災写真救済活動(沿岸部の各被災自治体)についても、技術指導、ネットワーキングに勤めながら、フィールドワークを行った。その実践的な成果の一部は、研究発表1.および学会発表1.~4.としてアウトプットしてきた。また、アウトリーチ活動として、山元町内の各教育機関及び各地の大学、また市民に向けた学問的なコミュニケーションの場へと積極的に還元してきた。本研究は、当初の計画に比べ、理論よりも実践的な還元に重きを置くものとなった。しかし、そのことは、理論的な洞察が実践的な還元へと直結するという意味で、理論的研究たる本研究の意義を示す結果であると言えるだろう。現在も続く復興支援活動「思い出サルベージ」において活かされているのは、本研究が築いたルーマン社会システム理論の時間論的・メディア論的拡張である。もちろん、限られた時間の中で震災というイレギュラーな事態を受けたことで、やり残した課題は多いといえるだろう。一番大きな課題は、実践から理論への逆方向の還元である。再びの理論化による社会学理論への還元については、来年度以降の日本学術振興会特別研究員PDとして実施する研究での課題とする所存である。PDにおける研究は、実践的なフィールドワークから得られる洞察を、拡張されたルーマンメディア理論を手がかりにして、現代の社会学理論へと還元するものとなる見通しである。また、採用の初年度より着手している、アジアにおける「圧縮された近代」の計量的な検討もさらに発展させ、その成果を発表する機会を得た(学会発表(国内)5.&学会発表(海外)1.)。近代化のスピードに着目するこの研究は、社会学のカギとなる概念の一つである近代化のバリエーションを計量的に考察することで、当該研究であるルーマン社会システム理論の時間論的・メディア論的拡張の、応用的な側面を補うものとして位置づけられるものである。今年度は、タイのチュラロンコーン大学での研究会において、東アジアにおける家族観に対する高学歴化の影響に対して、非儒教圏にも通じる視座を獲得することができた。
著者
佐藤 和艮
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.42-46, 1981

音叉の振動エネルギーの一部分は音のエネルギーとして空気中に放出される.また,音叉に共鳴箱を近づけると大きな共鳴音が聞こえる.この場合には音叉のエネルギー消費は当然大きくなり,振動の減衰も早くなる.音叉の振動エネルギーが消費される行く先として,(1)音叉から直接空気中に放出される音のエネルギー,(2)音叉の内部吸収などによるロスエネルギー,(3)共鳴箱の効果によって放出されるエネルギー,の3種類が考えられる.そこで,音叉が1周期振動する間に消費されるこの3種類のエネルギーの割合を求める実験を行った.そのために,共鳴箱の有無及び空気の有無による音叉の減衰時間のちがいを測定した.その結果の一例として,音叉の消費エネルギーは先の順番でおおよそ1:5:22の割合となった.また,共鳴箱のある場合に音叉の音の可聴時間が共鳴箱のない場合の時間に比べて長く感じることがありうることを実験データを使って解析した.なお,減衰時間の測定は,音叉の振幅が半減する間の振動の回数を自動的に数える装置を考案して行った。
著者
岡原 正幸 木田 邦治
出版者
慶應義塾大学
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.25-46, 1993-01

荻野先生の略歴0. 荻野恒一先生を追悼する1. 慶應義塾時代の荻野先生2. まよい出づる旅の思想Professor med. Dr. Kohichi Ogino, ein immer uns alle stutzender und von neben uns out der Reise zur echt wissenschaftlichen Uberlegung begleitender Lehrer, 1st am 15. Okt. 1991 mit Tode abgegangen. Es lag auf der Hand, dass wir alle in tiefste Trauer und in grauen Schock versetzt wurden. Aber deswegen ist unbedingt notwendig, daruber hinaus eine neue Beziehung mit unserem grossen Lehrer, die nicht mehr "wirklich" sondern seelisch und wissenschaftlich sein muss, mit aller Kraft zu stellen. Wir beide sollen, semen Tod betrauend, diesen Aufsatz mit dem Ziel schreiben, etwas Wichtiges fur unsere Gesellschaft vom psychiatrischen (phanomenologischen, Daseinanalytischen, vergleichend, trans-kulturellen) Denken Oginos heraus in die sozialwissenschaftliche Diskurse uberzuleiten.
著者
続 栄治 島崎 敦 ナイバルレブ ロサバティ ウルカラ 富山 一男
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.195-200, 1995-06-05
被引用文献数
1

サトイモは宮崎県における主要な作物であり, 需要の増加と共に生産量も増えている. これに伴い栽培農家ではサトイモの連作障害の発現が問題となってきている. 本研究ではサトイモの連作障害の実態を調査すると共に, 連作土壌の理化学性, 土壌線虫, およびサトイモ由来の生長抑制物質について分析・調査した. サトイモを5年連作すると地上部の乾物重および塊茎収量は著しく低下し, 初年度作に比べ地上部乾物重において50%, 塊茎収量においで59%それぞれ低下した. サトイモ連作区と輪作区における土壌について分析した結果, 両者間に土壌の理化学性および線虫数について明瞭な差異は認められなかった. サトイモ地上部(茎葉)およびその連作土壌を水ならびにメタノールで抽出し, その抽出液について生理活性を検討した結果, これらの抽出液はダイコンならびにカブの初期生育を著しく抑制することが認められた. 以上の結果から, サトイモの連作障害はサ卜イモ由来の生長抑制物質と密接に関連しているものと推察した.
著者
西村 清和
出版者
美学会
雑誌
美學 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.1-14, 2006-03-31

As opposed to the linear perspective since Renaissance, Wolfgang Kemp recognizes new ways of pictorial composition in the 19th century which constitute new types of spectators seeing the world from their particular positions. Then he argues a parallelism between the new perspectives of modern paintings and those of modern novels. Different from the transcendent and omniscient viewpoint of narrating stories in the old age, and from the omniscient and transcendental viewpoint based on linear perspective, modern historical paintings and novels were concerned with narrative modes of individual experiences. According to Kemp, paintings newly defined spectators as individual witnesses of depicted events. But he does not assign the narrative mode of 'la vision ≪avec≫' (Jean Pouillon) to paintings which lets readers stand at the position of a diegetic character, because paintings always require the physical presence of spectators standing in front of them. He confuses the 'angle' of physical eye with the 'viewpoint' of narration. In fact, the narrative mode of 'la vision ≪avec≫' exists in paintings as well.
著者
内野 大介 渡辺 文治
出版者
視覚障害リハビリテーション協会
雑誌
視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.117, 2012

<B>【はじめに】</B><BR> 日本における視覚障害者の職業状況は厳しい。渡辺ら(1995)は、中途視覚障害者の職業問題で、比較的可能性の高いのが復職であり、あはき以外の新しい職業・職種に就くことは困難な状況にあると報告している。<BR> 七沢更生ライトホーム(以下ライトホーム)は、視覚障害者に自立訓練(感覚・歩行・コミュニケーション・日常生活技術)を中心とした総合的なサービスを提供する施設である。退所後の進路では、あはきを希望する利用者が多い。本報告では、あはきの資格取得のために、盲学校や養成施設(国立障害者リハビリテーションセンター、以下国リハ)に進んだ利用者の状況を分析し、必要な支援の内容を明らかにしたい。<BR><BR><B>【方法】</B><BR> 対象は、1999年4月から2009年3月末までのライトホーム入所利用者172名(男性122名、女性50名)である。様々な資料が集約されている各利用者のケースファイルをもとに調査した。利用者のプロフィールは、年齢、利用期間、障害等級、原因疾患、学歴、職歴、家族構成、経済基盤等である。支援状況は、学力テスト(中卒程度の教科テスト)、学習手段の検討、各訓練(歩行、点字、PC)の結果についてである。<BR><BR><B>【結果と考察】</B><BR> 盲学校や国リハに進んだ利用者は31名(男性26名、女性5名)であった。平均年齢は39.9歳(最小20、最大61)、利用期間の平均は12.4ヶ月(最小2、最大23)である。<BR> 学歴は、大卒が少なく、中卒・高卒が多い。職歴のある利用者の多くは、入所時に無職である。前職が現業職の者が多いことは、受障後に前職のキャリアを生かしにくく、新たな職業技術を身に付ける必要性を示している。これらの利用者は、訓練により新たなコミュニケーション手段と移動技術を習得しても事務職に就くことは困難である。彼らは職歴や年齢等を考慮し、あはきを選択することが多い。<BR><BR><B>【おわりに】</B><BR> あはきに対してネガティブなイメージを持つ利用者もいる。安易に「視覚障害者の職業=三療」とするのではなく、様々な選択肢を提示し、自らの意思で選んだ進路があはきとなるように支援をする必要がある。杉山和一をはじめ先人の努力の結果として現存する職業システムを有効に活用すべきである。また盲学校や国リハとの連携も欠かせない。
著者
神田 康行
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集
巻号頁・発行日
2019
被引用文献数
1

<p>The rigid plastic finite element method (RPFEM) is used in many re-meshing procedures in material processing analysis. Currently, the four-node quadrilateral element, which can avoid volumetric locking, is applied in the RPFEM. However, it is desirable to apply the three-node triangular element instead because of its easy and robust mesh generation procedure. This study applied the three-node triangular element with drilling and strain degrees of freedoms (GNTri3) to the RPFEM, the validity of which was verified by analyzing some numerical examples. First, as verification for the volumetric locking characteristic of the GNTri3, FEM analysis of a nearly incompressible elastic body under plane strain conditions was performed. Volumetric locking was recognized by applying full integration to the element stiffness matrix of the GNTri3. Therefore, it was revealed that the RPFEM using the GNTri3 is necessary for applying selective reduced integration to the element stiffness matrix. Analysis of the RPFEM using the GNTri3 showed that the tool pressure was in good agreement with theoretical solutions and FEM results obtained using a conventional four-node quadrilateral element at a rigid punch indentation. In addition, reasonable material processing deformations were computed in the plane strain compression test.Therefore, validity of the RPFEM using the GNTri3 was verified by numerical results.</p>
著者
塚谷 文武
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.141-161, 2008-03

雇用税額控除(Work Opportunity Tax Credit)は,アメリカ連邦政府が定める「経済的困窮者」(economically disadvantaged person)や,「障害者」(disabled person)を雇用する雇用主に対して,支払った賃金の一部について企業の税額から税額控除を認める制度である.WOTCは,1990年代アメリカの福祉再編過程において,就労を促進することで自立を促す福祉改革の一環として導入された.1996年福祉改革において拡充された勤労所得税額控除(EITC)が福祉受給者の就労を促進する一方で,WOTCは雇用主に対して福祉受給者を雇用するインセンティブを与えていた.税制を通じた雇用促進へのインセンティブ策は,小売業,ホテル・モーテル業などの労働集約型産業への就労を促進する効果をもっていた.WOTCが機能するうえでは,Goodwill Industriesのような地域サービスプロバイダーが,雇用主,福祉受給者を労働市場において結びつける重要な役割を果たしていた.今後,これら3者の関係の全体像を提示することで,アメリカ的な福祉改革のより具体的な姿が明らかにされるであろう.