著者
坂元 茂樹 Shigeki Sakamoto
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法學 = The Doshisha Hogaku (The Doshisha law review) (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.815-856, 2019-05-31

2018年12月26日、日本政府は、国際捕鯨取締条約からの脱退を公表した。この脱退通告に伴い、日本は2019年7月から商業捕鯨を再開することが可能となった。しかし、日本が商業捕鯨を再開するや、国連海洋法条約の締約国が日本を相手取って、同条約第65条や第194条5項の違反を理由に、強制的仲裁手続に訴える国際訴訟リスクがある。日本としては同条約第297条3項(a)但し書きによって、管轄権を否認することになろう。本論文は、日本がIWC脱退に至った背景とともに、こうした海洋法条約上の義務の抵触の有無について検討する。
著者
千田 稔
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.405-419, 2007-05-21

古代日本における政治・軍事権力の頂点に立つ者に対して、天皇という称号が用いられたが、その称号が用いられる以前は大王であった。大王から天皇へと称号が変わったのは、いつ頃かについては、これまで多くの議論があった。現在においても、その時期については、断案がない。

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著者
岩本 浩史 Hiroshi IWAMOTO
雑誌
総合政策論叢 (ISSN:13463829)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.29-41, 2011-03-14
著者
青木 靖子
出版者
こども教育宝仙大学
雑誌
こども教育宝仙大学紀要 = Bulletin of Hosen College of Childhood Education
巻号頁・発行日
vol.2, pp.87-96, 2011-03-16

This notes are concerned with musical performance in what is known as the " Galant Style ". In order to show how the performing style of this period evolved, and to show the impact of J. J. Quantz, F. W. Marpurg, D. G. Türk, and F.J. Haydn of forgotten period on later generations of musicians, I have had to describe the function of Italian tempo directions (Allegro, Andante, Largo, etc.).This notes attempts to describe some of the rules and conventions which governed musical performance in the times of Galant. The rules mentioned in this notes should be checked by every modern performer.
著者
宗臺 秀明
出版者
鶴見大学
雑誌
鶴見大学紀要. 第4部, 人文・社会・自然科学篇 = The bulletin of Tsurumi University. Pt. 4, Studies in humanities, social and natural sciences (ISSN:03898032)
巻号頁・発行日
no.56, pp.39-96, 2019-03

かわらけの型式分類とその変遷を遺跡内層序と遺跡間年代差から探り、かわらけは土師質土器が器種単純化と法量の二分化をとげる12 世紀前半から中頃に生じたと考えた。12 世紀第3 四半期までには在地土器がかわらけに収斂するのと併行して器種ごとに産地が異なる焼物を搬入する中世土器様式が成立した。その背景には京都における院政の開始と同様に東国社会に家の成立があり、惣領を核とする武士団が海上と陸上の物資流通に大きくかかわっていたことが要因としてあげられる。また、かわらけの変遷に年代を与えるには、共伴遺物よりも伴出遺物の最新年代が有効で、それも生産から廃棄までの期間が短い消耗品である東海系の山茶碗や瀬戸・常滑窯製品の内、碗・皿や鉢の年代を用いた。これらの検討を経て、かつて筆者が示したかわらけの編年に大きな変更を加える必要のないことを確認する一方で、土師質土器からかわらけが生じる点を重視して、かつてのⅠ期とⅡ期をⅠ期のab 小期に統合し、以後Ⅲ期をⅡ期へと一段階づつ段階を減少させた。鎌倉におけるかわらけの変遷において、大きな意味をもつのが「薄手丸深」と呼称されていたG型である。G 型はそれまでの皿形から埦形への移行と大・中・小の法量の3 分化を特徴とする。この特徴は併存する他型式のかわらけにも影響を与えた。13 世紀第3 四半期に登場し、1300 年前後に確立して14 世紀いっぱい生産され続けるG 型を「東国の武家政権のかわらけ」と措定した。ただし、G 型の形成には従来あまり注視されていなかったX 型が影響を与えていたのではないかと考えられるが、今回その証跡を確認することはできなかった。
著者
暦本 純一
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.734-735, 2015-07-15
著者
伊藤 理絵
出版者
白梅学園大学
巻号頁・発行日
2016-03-15

2015年度
著者
中西 尋子 Hiroko Nakanishi
出版者
甲南大学
巻号頁・発行日
2018-03-31

元来日本はキリスト教が根づきにくい国である。そうした状況にありながら、韓国出自のキリスト教会が日本で宣教を展開し、日本在住の韓国人のみならず、日本人信者も一定程度獲得している事例が見られる。在日大韓基督教会(1908年創立)、統一教会(1954年創立)および「韓国系キリスト教会」(1990年代以降来日)である。本論文の課題は、これらがどのように日本宣教を行い、信者を獲得しているかを問うことにある。 従来の宗教社会学は、これら3教会を別個に性格づけてきた。在日大韓基督教会は「在日の宗教」、韓国系キリスト教会は「ニューカマーの宗教」、統一教会は「反社会的宗教」として。確かにそうなのだが、3者を同じ俎上に乗せることによって新たに見えてくるものがある。申請者の狙いはここにある。 本論文は、以上の問題設定に加えて調査概要、概念枠組みなどを提示する序章に続き、全3部12章および結章で構成されている。 第Ⅰ部「在日大韓基督教会―民族の教会として」では、第1章「民族の教会としての教会形成―在日大韓基督教会を事例として」で、教団機関紙『福音新聞』(1951年創刊)の内容分析を行い、在日大韓基督教会の民族主義的性格を明らかにする。植民地支配下の朝鮮半島から日本に来た人々が受けた差別に向き合う教会の姿勢が鮮明である。 第2章「一世にとっての教会、二世にとっての教会」では、在日一世にとっては教会が日本での厳しい暮らしに耐えるための民族共同体であったのに対して、二世にとってはエスニック・アイデンティティの獲得の場であることを、信者の生活史から明らかにする。 第3章「在日大韓基督教会と韓国系キリスト教の日本宣教のあり方を比較して」は、在日大韓基督教会と韓国系キリスト教会の間に日本人信者の獲得で差があることを、教会での使用言語や民族主義的色合いの有無から説明する。 第4章「韓国系キリスト教会の在日大韓基督教会への加入」では、在日同胞の教団として日本に定着した在日大韓基督教会だったが、現在は牧師の3分の2が韓国の教団から派遣されていること、および、1980年代以降、韓国系キリスト教会が在日大韓基督教会に加入するケースが増えてきたことから、両者がボーダーレスの関係になりつつある現状を報告する。 第Ⅱ部「韓国系キリスト教会群―普遍主義のもとに」は、日本の植民地支配という日韓関係の「負の歴史」を乗り越えて、日本人宣教を精力的に行う韓国系キリスト教会がテーマである。まず、第5章「日本における韓国系キリスト教会の概要」で、これまであまり知られていなかった韓国系キリスト教会の全体像を明らかにする。データソースに『クリスチャン情報ブック』(2010年版)を用いて、当該教会が大都市圏だけでなく38都道府県に分布し、推計300近くもあることをつきとめた。また、1990年前後から2000年代前半にかけての設立が全体の81%にのぼることがわかった。 続く第6章「韓国人宣教師にとっての日本宣教―『汝の敵』『隣り人』としての日本」は、韓国系キリスト教会が活発な日本宣教を行う要因の考察である。キリスト教人口が25%の韓国では牧師が供給過剰であり、それが海外宣教の構造的要因となっている。だが、それだけでは盛んな日本宣教を十分に説明することはできない。韓国では儒教道徳がエートスとして国民の間に深く浸透している。ここで「儒教道徳」とは、ものごとを道徳的な上下関係に位置づける思考様式のことを言うが、これを韓国系キリスト教会も共有していた。韓国人宣教師にとって日本は韓国を侵略した道徳的に劣った国である。しかし、そうした恩讐を越えて日本人に福音を伝える崇高な使命として日本宣教が意味づけられていることを、牧師の語りから明らかにする。 第7章「なぜ日本人が韓国系キリスト教会の信者になるのか」は、日本人が信者になる教化過程の考察である。教会には「7週の学び」、「小グループ(筍)」、「Quiet Time」、など、学びのプログラムが用意されている。新来者はこのプログラムに沿って信仰を強化していくが、この点で日本の教会に物足りなさを感じる人が韓国系キリスト教会にアプローチしている場合が少なくないことを、本章は明らかにする。 第Ⅲ部「統一教会―建前の普遍主義、本音の民族主義」、第8章「韓国社会と統一教会」では次の諸点が明らかになる。第1に、統一教会の性格が韓国と日本では大きく異なっている。韓国の統一教会は宗教団体を越えて巨大な事業体である。第2に、合同結婚式で韓国人と結婚し、韓国に暮らす日本人女性が現在、7千人いることが韓国と日本の統計データから明らかになる。第3に、統一教会による韓国人男性と日本人女性のカップリングが韓国で許容される背後には、韓国農村における男性の結婚難や、男性の非正規雇用率の異常な高さといった社会構造の歪みがある。 第9章「日韓両国における統一教会のあり方の差異―新聞報道の比較から見えること」では、『朝日新聞』と『朝鮮日報』の統一教会関連記事を分析し、両国における統一教会のあり方を比較する。日本では霊感商法が1980年代後半から社会問題化した。『朝日新聞』にはその提訴、判決などの記事が多数見られる一方、『朝鮮日報』にはそのような記事は一切なく、統一教会や教祖の動向、および傘下の関連企業などの記事が多く見られた。統一教会の活動内容が日本と韓国では大きく異なっている。 続く第10章と第11章のデータソースは、合同結婚式を経て韓国で暮らす日本人女性信者38人の語りである。まず第10章「在韓日本人信者の信仰生活」では、彼女たちが韓国で暮らすことの意味づけを明らかにする。教団が決めた韓国人男性と愛情のない結婚をし子供を産むのは、日本の植民地支配を贖罪し、国境と民族を超えた「地上天国」を建設するためだと、彼女たちは語るのだった。 次いで、第11章「統一教会への入信―『女性性』の回復」は、日本人女性信者たちが統一教会に入信し、結婚に至る背後経験の考察である。日本で彼女たちは、結婚と家庭に関して深刻な絶望体験を持ち、職業経験からも「女は損」という感情を抱いていた。女性であることに積極的な意味を見出せない状況で、統一教会に救済を求めていた。そして統一教会で結婚し、子どもを産み育てることに宗教的な意義を見出すことによって女性性を回復できたと、彼女たちは信じている。 第12章「『本郷人』に見る祝福家庭の理想と現実」は、統一教会が発行する在韓日本人信者向けの機関紙『本郷人』の内容分析である。分析の目的は、1つに申請者の調査対象者を相対化すること、2つに教団が在韓日本人信者に伝えようとしているメッセージの解読である。調査対象者たちは現地で比較的平穏無事に暮らしていた。しかし『本郷人』の記事からは夫や子どもの問題、病気、生活苦などで問題を抱える信者が少なくないことがわかる。また、『本郷人』には教団の行事と、そこで語られる教祖や幹部の言葉がつねに掲載されている。それは、日々の生活で精一杯な信者に対し、初心忘れることなく、統一教会の信者として使命を遂行せよというメッセージであった。機関誌『本郷人』は、統一教会の思考の枠組みを維持・強化させる機能を果たしていた。 結章「日韓関係を背景にした三者三様の宣教」では、第1章から第12章までの知見をまとめ、3教会の日本宣教が日韓関係の「負の歴史」を背景に展開されてきたことを確認する。在日大韓基督教会の場合は、戦前の植民地から日本に渡った同胞を対象に宣教を始めた。そして戦後は、同胞の人権問題に積極的に関与することによって民族主義的な性格を強めていった。韓国系キリスト教会の場合は、負の日韓関係を倫理的な上下関係に置き直して宣教を展開する。宣教師にとって日本は「傷ついた隣人」であり、彼らはその隣人を助ける「よきサマリヤ人」の使命感をもって行動している。そして統一教会によれば、日本は朝鮮半島を植民地支配した罪深い国である。日本は贖罪のために韓国にできる限りの人的・財的協力をする事は当然である。こうした信仰を内面化した日本人女性がすすんで韓国人と結婚し、韓国で家庭を営んでいる。 以上のように、韓国出自の3教会は近代日韓関係史をそれぞれの仕方で定義づけることによって日本宣教を可能にしたと言うことができるのである。
著者
佐藤 卓己
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
Historical Consciousness, Historiography, and Modern Japanese Values
巻号頁・発行日
pp.65-73, 2006-11-30

Historical Consciousness, Historiography, and Modern Japanese Values, 2002年10月末-11月, カナダ, アルバータ州バンフ

10 0 0 0 OA OS-18 感情とAI

著者
日永田 智絵 堀井 隆斗 長井 隆行
雑誌
人工知能
巻号頁・発行日
vol.34, 2019-11-01
著者
初宿 成彦
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786675)
巻号頁・発行日
vol.76, pp.67-96, 2022-03-31

ヒメハルゼミの近畿地方における個体群産地を過去の利用可能な記録を含めて評価した.紀伊半島南部,淡路島南部,兵庫県西部・北部には多数の産地があるが,それ以外では社寺林に極めて局地的に分布する,または全く欠いているエリアもある.縄文時代からの森が現代まで途絶えることなく継続されてきた森において,ヒメハルゼミの個体群は存続してきた.古代以前の自然崇拝は現代では神社または寺院の形で受け継がれた.このような日本の伝統的宗教形態が深く関わっている.