著者
空閑 浩人
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.44-54, 2001-08-31

今日,社会福祉施設における利用者への虐待の問題が表面化・深刻化している。本稿では,その要因の1つとして施設内における職員組織や集団のあり方に着目する。まず,施設における援助者は職員組織や集団の一員として働くことになるが,そのことにより周囲からのさまざまな影響(状況の圧力)が,結果的に援助者を専門職倫理に反する行為に至らしめるといった社会心理的な要因を「服従」「同調」「内面化」という現象を通じて明らかにする。次に,そのような状況の圧力に屈してしまう援助者の「弱さ」に着目して,その克服に向けての考察を行う。援助者には,いかなる状況であっても,専門職倫理や価値に基づき,利用者の人権と生活を護るという職業的責任を果たす「強さ」が求められる。そのような「強さ」は自らの「弱さ」を認め,それに向き合うことによってこそ得られると考える。
著者
有田 素子
出版者
北海道教育大学
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.31-34, 1985-03-15

北海道留萌市にあるかもめ幼稚園は,昭和32年開園と同時に障害児を受け入れ,北海道における障害児保育の草分け的存在といわれる。漁業中心のしかも閉鎖的ともいえるこの地に,なぜ早い時期から障害児保育が生まれ存続してきたのだろうか。27年間にもおよぶ実践を通し,その成立過程・保育内容の変遷をたどることによってこれから障害児保育を手掛けようとする地域,あるいはその保育に携わっている人達に対して重要な示唆を与え得ると考え,延べ10数回にわたる訪問面接調査および障害児保育実践の参加観察を行った。かもめ幼稚園の障害児受け入れは意図的かつ組織的なものではなく,偶然障害児が入園したことがきっかけであった。当初の保育はオープン方式で,園児40名教師4名と人的条件には恵まれていたが,障害児の指導方法もわからぬままのスタートで,毎日がその子中心の保育のようなものであった。翌年からは増設に伴い横割りのクラス編成となり,障害児は各クラスに在籍,一斉保育に支障があると思われる場合には個別指導を加味した。昭和52年「つくし学級」という特別な学級を設置し,障害児をそこに在籍させ個別指導中心の特殊学級的役割を持たせたが,いくつかの問題点があり1年後には廃止した。経過の反省の中から障害児を再び各クラスに在籍させ,つくしの部屋は個別指導の場として,また自由遊び時は誰もが入って道べる部屋として利用されている。現在,障害児は自由遊び時も一斉保育時も原則として健常児とともに過ごしており,子どものその日の状態によって自由遊び時は集団に参加させても一斉保育時には個別指導をするなど,臨機応変に対応している。障害児の入るクラスは複担制をとっており,教師達は努力と協力を惜しまず,より適した指導方法を求めて日々研さんを積んでいる。この障害児保育を支える地域的な諸条件も数多くあり,それらについても考察をした。
著者
斎藤 繁
出版者
弘前学院大学
雑誌
弘前学院大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:13464655)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-13, 2005-03-01
被引用文献数
1

老年期にある高齢者の重度記憶障害についての若干の検討と考察を試みた。特に認知症(痴呆)による知能障害と記憶障害についての脳病理学的、神経心理学的、認知心理学的解明を試みながら、福祉臨床における介護支援の諸方策について検討した。加齢にともなう高齢者の認知機能の低下は、われわれ人間にとっては避けがたい生物学的、神経心理学的現象と言えるが、長年にわたって培われた知識・技能が容易に失われないこともまた事実である。認知症の中核症状に記憶機能と認知機能障害が考えられている。記憶能力の低下は知覚、学習、思考、コミュニケーション行動に直接的な影響を及ぼすが、そのための介護福祉的支援方策について考察し、若干の提案を試みようとした。急性、亜急性に発症する認知症は医療の対象となるが、一般的な老化による記憶機能と認知過程の障害は、徐々に部分的に出現し次第に憎悪する傾向がみられる。そのあらわれ方には個人差があり、個々人の人生努力と密接である。個人の自助努力は言うに及ばず、また家族、地域による福祉支援課題として、その対応方策が考慮されねばならない。軽度の認知症が疑われるレベルでは、幼少期から十分習慣化した運動や身体作業、ADLに支障があらわれ、日常生活や社会行動面において部分的な不具合や不都合が生じるようになる。さらに、中・重度の認知症になると見当識などの認知機能のみならずADL、APDLにも重い障害があらわれてくるが、著しい言語・記憶障害を示す認知症への対応には、医療、理学療法、作業療法、言語療法のほかにも、福祉的環境調整ときめの細かいケアプランとケアワーク、それに生活療法的、行動療法的、芸術療法的支援、非言語的意思伝達などの諸方策が必要となる。高齢認知症者の抱える個人的問題に関しては、身体的側面のみならず精神的側面と、家庭・社会関係の再体制化への配慮が求められる。なかでも家族福祉支援が重要である。そのための医療・福祉支援は必須のものとなる。問題の解決には高齢認知症者のQOLと高齢者をとりまく社会・文化的環境についての配慮も欠くことはできない。
著者
福本 安甫 田中 睦英 押川 武志
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.433-438, 2009

高齢者139名を対象に,高齢者意識に関する15項目の質問とQOL評価を行い,高齢者の主観的高齢感とQOLの関係を検討した.日常生活が自立した在宅高齢者の場合は,高齢者であるという意識は少ない傾向にある.高齢感は年齢や性別より「感じ方」の影響が大きく,最大の要因は病気にかかる頻度とそれに対する心配にあるといえ,罹患の頻度が多くなるほど,高齢感が増大する可能性を示唆した.高齢者意識が高いほどQOLが低下する傾向にあり,高齢者自身が高齢者という用語に対して「マイナスイメージ」を持っていることが示唆された.また,高齢感は過去の自分や他者との比較の中から感じ取られる可能性が示唆された.高齢者意識とQOLとの関連において,高齢感が弱い場合は「生活のハリ」「心理的安定感」「積極的外出」などが関連し,高齢感が強い場合は「幸福感」「ゆとり感」「趣味などの楽しみ機会」などに関連することがわかった.これらの関係は,自己受容或いは自己効力感の作用と考えられたが,今後の検討課題となった.これらの結果から,高齢感の変化とQOLの視点をもった予防医学の展開が重要と考えられた.
著者
佐々木 尚之
出版者
Japan Society of Family Sociology
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.152-164, 2012
被引用文献数
3

近年の社会経済環境のなか,少子高齢化の主な要因として晩婚化や未婚化の進行が指摘されている.しかしながら,これまでの初婚に関する研究では,一貫した結果が得られていない.その原因の一つとして,初婚の要因となる変数の時間的変化をとらえることができないという,データ上の制約があった.そこで本稿では,「日本版General Social Surveyライフコース調査(JGSS-2009LCS)」の詳細なライフヒストリー・データを用いて,学歴,就業状態,居住形態の結婚に対する影響力が時間とともに変化するのかどうかに焦点をあてたイベントヒストリー分析を行った.その結果,それぞれの要因の結婚に対する効果が加齢とともに増減することが明らかになった.雇用環境の急速な悪化にもかかわらず,結婚における男性の稼得力が重視され続けている一方で,女性の稼得役割も期待され始めている可能性がある.将来の経済的展望が不確実な現状では,家族形成は大きなリスクとみなされている.
著者
井本 英一 Eiichi Imoto
出版者
桃山学院大学総合研究所
雑誌
桃山学院大学キリスト教論集 (ISSN:0286973X)
巻号頁・発行日
no.40, pp.109-137, 2004

On New Year's Day Suwa-taisha Shrine has a ritual to make sacrifice of two frogs. Visitors to the Dual Shrines of Ise, Naiku Shrine and Geku Shrine, offer frogs of pottery on the rocky altar by the sea. Pilgrims to Santiago di Compostella have offered votive picture tablets of frog to the temple. Witches would give a dinner party at the night of Walpurgis on the mount Brocken at the beginning of May day.Frogs were main dish then.Witches were goddesses of pre-Christian period. Suwa-taisha's sacred pole with strips of white papers on top, Ise shrine's center pole with various color strips on top, and May pole with various color strips down from top are totem poles. Frogs were representation of ancestors or gods. Frog-shaped lamps of Roman, Coptic or Ethiopic Church were souls of ancestors or gods. Gods or goddesses ate the offering of frogs at the beginning of the year to make themselves resurrect.
著者
真砂 良則
出版者
北陸学院短期大学
雑誌
北陸学院短期大学紀要 (ISSN:02882795)
巻号頁・発行日
no.39, pp.189-198, 2007

2000年4月に発足した介護保険制度により、介護保険施設において施設サービス計画の作成が義務づけられた。施設利用者の重度化が進むなか、施設サービス計画の適切性や質をめぐる課題が指摘されるようになってきた。そこで、事例を通して、施設サービス計画の現状と課題を整理し、よりよい施設サービス計画のあり方について検討を行った。その結果、よりよい施設サービス計画とするには、(1)意思疎通が困難な利用者に対しては、非言語的なメッセージから想いを汲み取るために、プランニングやモニタリングにより、意識的なアプローチを行う必要性があること、(2)生活全体を視野に入れてニーズ把握をすること、(3)ニーズをポジティブに捉える場合は、本来の趣旨に則って行うこと、(4)プランニングに際しては、社会資源の積極的な活用と連携を行うこと、(5)新たなケアの方法を開発・工夫し個別化を図ることが重要であること、等の示唆を得た。今後は、介護支援専門員の役割やケアマネジメントシステムの面からも検討したい。
著者
吉岡 尚美 植木 順子 佐藤 宏子
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 体育学部 (ISSN:03892026)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.97-103, 2005-03-31

The purpose of this paper is to discuss an efficacy study of recreation activities in a longterm care facility. Having the lack of social understanding of recreation for the elderly with Dementia and other disabilities, this paper first discusses the needs and issues of efficacy studies on recreation activities in long-term care facilities, following by an explanation of two key-words, Tanoshimi and Ikigai. Then the paper will discuss a qualitative way of examining influences of recreation activities on Tanoshini and Ikigai among older people.
著者
二宮 豊志
出版者
東海大学
雑誌
東海大學紀要. 政治経済学部 (ISSN:0389200X)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.215-228, 2004-09-20
著者
津田 理恵子 樋口 美智子 熊谷 智加子
出版者
近畿医療福祉大学
雑誌
近畿福祉大学紀要 (ISSN:13461672)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.49-55, 2006-06-15

社会福祉士及び介護福祉士法が制定されてから19年目を迎える。この法律において介護福祉という語が誕生したと言われている。しかし、介護福祉学は現在においても確立しているとは言い難い状況である。そこで、介護福祉学確立に向けて、介護福祉と関係が深い隣接学問諸領域との関係性を整理した上で、新しい学問領域である介護福祉学確立に向けての方向性として、専門分化を目指し、隣接諸学問を介護福祉の視点で応用して取り込み、整理した上で介護福祉学の体系化を目指すと共に、実践学として、介護実践を通した研究の積み重ねがあると示した。
著者
安達 笙子
出版者
鹿児島国際大学
雑誌
福祉社会学部論集 (ISSN:13466321)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.17-32, 2006-03-30
著者
津守 眞
出版者
日本幼稚園協会
雑誌
幼児の教育
巻号頁・発行日
vol.106, no.1, pp.44-51, 2007-01
著者
大渕 哲也
出版者
法曹会
雑誌
法曹時報 (ISSN:00239453)
巻号頁・発行日
vol.69, no.11, pp.3201-3286, 2017-11