著者
安藤 信廣
出版者
東京女子大学
雑誌
日本文學 (ISSN:03863336)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.82-99, 2001-09-30

本稿は前回にひきつづき、聖武天皇宸翰『雑集』中に収められている北周趙王宇文招の文集「周趙王集」の注解と全訳を試みたものである。前回までに、同集中の「平常貴勝唱礼文」四篇に訳注を付した。今回は「無常臨殯序」「宿集序」「中夜序」「薬師斎序」「児生三日満月序」の五篇に訳注を付す。
著者
橋本 理
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Sociology, Kansai University (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.25-60, 2016-11

This study focuses on the nature of mutual assistance activities conducted by citizen-led welfare organizations and analyzes the revision of the Long-Term Care Insurance (LTCI) Act. First, it clarifies the features of the concept of a community-based integrated care system through an analysis of a discussion on the social security reforms in Japan. It explains the history of LTCI and provides an overview of the 2015 revision of the LTCI Act. Second, this study presents the state of citizen-led welfare organizations under the revised LTCI. Third, through case studies, it presents the meaning of and problems associated with the mutual assistance activities conducted by citizen-led welfare organizations.本稿は、改正介護保険制度の検討を通じて、市民による助け合い活動の意義を再考する。第1に、介護保険制度において重視されている地域包括ケアシステムという概念の特徴について、近年の社会保障制度に関する論議を検討しながら明らかにする。また、介護保険制度の沿革を概観したうえで、2015年の改正介護保険制度の要点を整理する。第2に、揺れ動く介護保険制度のなかで市民福祉団体がどのような状況におかれているかを述べる。第3に、 2つの事例を紹介することにより、市民福祉団体による助け合い活動の意義や課題を提示する。
著者
福井 幸男
出版者
関西学院大学
雑誌
商學論究 (ISSN:02872552)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.31-51, 1994-12
著者
長谷 和久 中谷内 一也
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.88.16064, (Released:2017-11-10)
参考文献数
22
被引用文献数
3

Literature in the field of regulatory focus theory argues that individuals who are promotion-focused in creativity-related tasks are more successful than those who are prevention-focused. However, recent studies have shown that prevention-focused individuals are persistent when solving tasks, potentially leading to improved task performance. This study, which considered two kinds of regulatory focus (chronic/situational), investigated the hypothesis that prevention-focused individuals employ a persistent style when performing creative tasks. A Japanese version of the Remote Associates Test (RAT) was used as a creative task, and subjective depletion after the RAT, as well as the time spent deciding to skip RAT items, were measured as indicators of persistence. The results showed that both chronic and situational prevention focuses made participants more depleted than did the promotion focus. Furthermore, in the situational promotion-focus condition, chronic prevention focus made participants more depleted and lengthened the time taken to skip items. Thus, chronic prevention focus promoted persistence in a regulatory nonfit condition (i.e., situational promotion focus).
著者
岩﨑 涼太 杉山 剛 石井 裕貴 五十嵐 賢 増山 敬祐 杉田 完爾
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.15-20, 2015 (Released:2015-06-20)
参考文献数
17

【背景】年少の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)患者には成長障害の合併が多いが,アデノイド口蓋扁桃摘出術(AT)前後の身体発育に関して 7 歳以下の報告は少ない。【目的】7 歳以下の OSAS 患者に対する AT の身体発育への影響を明らかにする。【方法】対象は19名(男女比13:6)。Type 3 簡易 PSG で無呼吸低呼吸指数(AHI)≧5 でアデノイド増殖・口蓋扁桃肥大を有する小児を OSAS と診断し,AT 後 3,6,12ケ月の身体発育を検討した。【結果】AT 後に AHI は有意に低下した(18.9±15.3 vs 3.4±1.6)。BMI パーセンタイルは AT 後 3 ケ月で有意に増加し(43.9±26.1 vs 55.6±22.5),身長 SD スコアは AT 後12ケ月で有意に増加した(−0.26±0.94 vs 0.006±0.63)。【結論】7 歳以下の OSAS 患者では AT 後,体重増加が先行し,身長は遅れて増加した。

2 0 0 0 OA 愛児と共に

著者
高田義一郎 著
出版者
教育学習社
巻号頁・発行日
1942
著者
高谷 美正 鈴木 修 山内 洋 中里 真久 猪上 華子
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1037-1054, 2011-12-31
被引用文献数
2

2007年4月28日午後,関東地方は雷雨・突風・降雹を伴う大荒れの天気となり,各地で被害が相次いだ.この事例について,ドップラーレーダー,高層気象観測,ウィンドプロファイラー,地上気象観測の各データおよび被害調査等から解析を行った結果以下のことがわかった.(1)被害をもたらした降水システムは,ボウエコー(弓形のエコー)の特徴を備えていた.(2)レーダーのデュアル解析により,このボウエコーの先端部分に鉛直渦度と水平収束の大きい領域が解析された.この領域の形状と振る舞いは先行研究のサイクロニックなメソサイクロンと良く似た特徴を持っていた.この領域は当初中空(地上2〜4km)に浮いていたが,その後その南西端が地上付近に垂れ下がるような形状となった.この時にその足付近で,低層のPPIデータにマイソサイクロンが2つ検出され,これらは鉛直渦度と水平収束の大きい領域とともに東南東に移動した.(3)2つのマイソサイクロンの内,より南側を通過したマイソサイクロンが,東京湾岸地帯の約18kmにわたる直線上の複数の場所に突風被害をもたらした.低層のPPIデータによる見積りでは,被害場所は,渦の風と渦の移動速度が線形の重ね合わせによって強め合う場所で起きており,風速は最大40ms^<-1>ほどに達したと見積もられる.(4)サイクロニックなメソサイクロンの発生機構として,先行研究の数値実験において,「下降域内を下降する空気塊が,ガストフロントをまたぐ傾圧帯において傾圧効果により水平渦を獲得する.その水平渦がガストフロントに沿って存在する上昇流によって上方に傾けられて鉛直渦度を獲得し,更に延伸することにより鉛直渦度が強められる」というものが挙げられている.この発生機構が実際に働いていることを示唆する解析結果が得られた.(5)被害が最初に起きた時刻の約10分前に,仰角の高いドップラーデータで見ると,ボウエコーの先端部分において動径風の収束が強まっていた.これはマイソサイクロンの前兆現象として突風の直前予報に役立つと思われる.
著者
鈴木 親彦 Suzuki Chikahiko
出版者
人文学オープンデータ共同利用センター

国文学研究資料館蔵「羅生門物語」(DOI 10.20730/200003096)の顔貌キュレーション

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1907年07月01日, 1907-07-01

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1915年03月30日, 1915-03-30
著者
宮川 道夫
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.120, no.5, pp.281-284, 2000-05-01 (Released:2008-04-17)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1
著者
児玉 恵美
出版者
九州大学大学院人間環境学研究院
雑誌
九州大学心理学研究 (ISSN:13453904)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.147-155, 2000

本研究では, 多くの夢研究においてこれまで看過されてきた, どのくらい夢に関心を持ち夢から影響を受けるかなど, 主体の「夢に対する態度」を特に取り上げている。夢み, 夢への態度と, 性別, YG性格検査との関連を見ることにより, 夢と覚醒時との連続性を今までとは異なった視点で検討することを試みた。大学生420人を被験者として質問紙調査を行った結果, (1)男女とも同頻度の夢を見るが, 女性の方が夢の記憶が明瞭であること, (2)抑うつ的で回帰性傾向の高い人は, より夢への態度が積極的で夢想起頻度も高く, 夢に巻き込まれやすい人たちであると言えるだろうということなどが推測された。
著者
渡辺 仁治
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.83-88, 1966-06-30 (Released:2009-06-12)
参考文献数
7
被引用文献数
1 3

1.いままで日本では知られていなかつたDaphnia similis CLAUSが,大和郡山市内の溜池で発見された.2.本種は従来D.carinataとして報告されていることが多く,上野益三博士は,アジア大陸に広く分布するD.carinataは,D.similisと改める必要があるといわれる.3.本種は近年中国から,金魚の新しい品種を輸入した際に,魚とともに本邦に入り,それが増殖したものと推定される.
著者
木村 卓二
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.89-96, 2013

オリンピック憲章の「オリンピズムの根本原則」の2に記されるように、「人間の尊厳保持に重きを置く、平和な社会を推進すること」は、オリンピズムの目的の1つである。また、環境問題は、オリンピックにとって重大な議事項目の1つとなっており、2012年ロンドン大会は、「世界初の持続可能な大会」の開催を標榜した。<br> 2010年7月、国際オリンピック委員会(IOC)は、ベトナム戦争の際に使用された枯葉剤「エージェント・オレンジ」の製造、1984年にインドで発生した世界最悪の化学工場事故「ボーパール化学工場事故」の責任など、環境問題と人道的問題の責任を問われる化学製品メーカー、ダウ・ケミカル社と、オリンピックのスポンサー契約を結んだ。これに対し、被害者、政治家、人権団体、選手という多次元のアクターが、IOCとダウ・ケミカルとの提携に反対の意を表し、抗議運動を展開した。2012年オリンピック開催都市ロンドンの市議会は、大会開会直前、ダウ・ケミカルとの契約見直しをIOCに求める動議を可決した。<br> オリンピック憲章には、「環境問題に関心を持ち、啓発・実践を通してその責任を果たす」ことが「IOCの使命と役割」として明記されている(規則2の13)。逆説的だが、IOCは、ダウ・ケミカル社との契約で数多くの抗議運動を巻き起こしたことにより、環境問題の啓発を促進した。<br> 企業には、営利活動を超えた、企業の社会的責任(CSR)が問われている。表層的な環境への配慮を示し、環境領域でのCSRの低評価を覆す、「グリーンウォッシュ」という戦略がある。CSRに照らした企業の倫理的責任の評価をIOCが蔑ろにする限り、オリンピックはグリーンウォッシュの舞台として利用され続ける可能性を有している。ダウ・ケミカルのスポンサーシップに対する世界規模の抗議運動は、IOCに対し、倫理的規範に照らしたスポンサー評価を迫っている。
著者
設樂 馨 平井 尊士
出版者
武庫川女子大学
雑誌
武庫川女子大学紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:09163115)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.1-8, 2013

Reading is said to be important to the development and education of children. Moreover, fact-finding sur veys performed on children are being cited, mainly by various local governments(i.e. boards of education). This study examines students who hope to become librarians, a profession which connects children with reading, and investigates the context for practicing reading in early childhood. What sort of reading experi ences did these students have during early childhood, and what encouraged them to practice reading? This study analyzes the investigation that these students filled out reading experience during early childhoods, from their current perspective as adults, focusing on this context. Specifically, a descriptive survey was performed on students taking the librarian curriculum at Mukogawa Women's University over the two years of FY 2011 and 2012. The librarian curriculum is taken by about 150 to 200 students in the School of Letters Department of Japanese Language and Literature, and Junior College Division Department of Japanese Language. Students enrolled in the curriculum have a generally positive at titude toward reading. How does an appreciation for books, combined with the primary content and aims of the librarian curriculum, affect the disposition of the librarian? Differences became clear, corresponding with the development of the students during preschool, lower ele mentary school, upper elementary school, and onward. For example, a variety of contexts corresponding with development were seen, such as influence from early childhood living situations that conferred on the chil dren a desire to read, contact with family members who encouraged reading, and momentum toward reading imparted by relationships. In summary, the study confirmed that the richness of early childhood experiences with reading among stu dents in the librarian curriculum is important to their appreciation for reading, encouragement of appreciation for reading in others, and application of reading in learning activities. Finally, based on these results, promo tion and enhancements of initiatives aimed at establishing reading during early childhood were proposed.
著者
羽根田 栄四郎
出版者
山形大学
雑誌
山形大學紀要. 農學 (ISSN:05134676)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.117-127, 1950-12-25

【緒言】 筆者は砂丘地の作物栽培に対する農業気象学的研究を進めつつあるが、本研究は砂丘地の作畦法に就いて研究した結果である。砂丘地は日中地表温が著しく高温となり、夜間は亦甚だしく冷却するので極端な気候を呈し、昼夜の温度差は40度にも達すると言はれて居る。原田氏は4月以後の気温の上昇に伴って地面温度は相当高温となり、7月に於て最高温を示し、60度以上に達することを認め、叉高須氏も8月末に56度を観測して居る程で砂丘地表面近くに沿いては作物の致死温度に達することが多い。一方砂丘地に治ける土壌水湿も作物の生存にとって重要な意義を有することは論をまたない所で、一般に砂は他の土壌に比べて吸湿水、毛管水等は共に少なく、かつ砂粒の大小によって、保水力、毛管作用等が異なり、粒径の小さい程大となることがwollnyや原、吉良氏等によって認められて居る。従って砂丘地の畑地管理に当っては充分地温や土壌水分等の物理的条件を究明して栽培が行われねばならないことは当然である。しかるに地温及土壌水分は作畦法によって影響されるととは前調査によって明かであり、古宇田氏は乾燥地の低畦栽培の合理性を指摘し、叉秋田試験場では大根の低畦栽培は深耕することによって高畦栽培に匹敵する収量を得ることを明かにして居るが、乾燥の激しい当地方の砂丘地に沿いては甘藷、大根等の高畦栽培が行はれて居り、之は耕耘に相当の労力をはらいかつ干害に遇うことがしばしばである。此処に於て筆者は砂丘地微細気象調査の一部として、畑地管理上の見地から畦の高低による地温に就いて、播種、甘藷挿苗期に当る6月初めと干害を被り易い夏期8月の二期に調査し、取り纏め得たものを報告し諸賢の御教示を仰ぐ次第である。