著者
宮津 和弘 佐藤 忠彦
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.161-182, 2015
被引用文献数
1

本研究は,心理的財布と関連して,消費者の心的構成を考慮した購買点数の生起メカニズムをモデル化し,その現象を明らかにすることを目的とする.本研究では,①消費者の購買時における心的状況を表す心的負荷,②心的負荷と閾値パラメータの大小関係で心理的財布の切換が生じる構造を表現する階層ベイズ閾値ポアソン回帰モデルによる購買点数生起メカニズムの2つをモデル化する.モデルの推定は,マルコフ連鎖モンテカルロ法で実施する.小売店舗のID付POSデータを用いて実証分析した結果,消費者の購買意思決定には購買時の心的状況が間接的に影響し,心理的財布の違いによって購買点数の生起メカニズムに差があることを示した.また,副次的であるが,提案モデルを用いると消費者ごとの給料日が推定できることも示した.
著者
半田 知也
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.45-52, 2012
被引用文献数
2

アナログ映像からデジタル映像への技術進展、3次元(3D)映画の公開などを背景に、家庭用3Dテレビ、ゲームの発売、複数の放送局が3D番組放送を開始するなど、3D映像は映像文化として定着の兆しを見せ始めている。現在主流である二眼式3D映像は、2台のカメラで簡単に立体空間を再現できる反面、不適切な空間映像を作りやすく、生体安全性について懸念されている。近年の3D映像は、3D映像制作ガイドラインの準拠、映像編集における技術革新、小児に対する視聴制限などにより生体安全性を最大限考慮されて製作されている。しかしながら、3D映像の生体安全性の担保には視聴者の3D映像への理解及び3D映像の適切な視聴法が重要となる。両眼視機能の専門家である視能訓練士は、3D映像を含む映像技術に対する理解を深め、その効果と注意点を客観的に評価し、社会に啓発する必要がある。現在、3D映像は映像メディアとしてだけではなく、教育・医療応用が注目されている。特に3D映像技術そのものを応用できる眼科検査応用への展望が開けてきた。<BR> 本稿では3D映像の現状について概説し、視能訓練士の立場から3D映像の視機能への影響及び、3D映像技術の視機能検査・訓練応用について述べる。
著者
植田 政孝
出版者
大阪産業大学
雑誌
大阪産業大学経済論集 (ISSN:13451448)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.9-26, 2004-06-30
著者
岡部 康平 濱島 京子 佐藤 嘉彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.192, pp.11-14, 2014-08-28

機械類の安全設計に対する予防原則の適用について検討する.現在のリスクアセスメントに基づく機械類の安全設計では,不確かさの概念としてリスクのみが扱われている.環境汚染などで問題にされる不確実性や無知などの概念までは扱われていない.不確かさに対する安全設計手法の拡張として,不確実性や無知などの不確かさへの対応を示した予防原則に従う機械類の安全設計の手法を検討する.
著者
永井 正一 栗本 昌紀 西嶌 美知春 遠藤 俊郎 高久 晃
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル = Japanese journal of neurosurgery (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.6, pp.450-453, 1996-11-20
参考文献数
8
被引用文献数
2

開頭術後の合併症としての遠隔部脳内血腫は報告が少なくまれである.われわれは脳動脈瘤術後にテント上下に多発性の遠隔部脳内血腫が発生した1症例を経験したので報告する.原因として,髄液排除による静脈環流障害および術中術後の血圧変動が考えられた.過度の髄液排除を避けることはもとより,術中術後の血圧管理に最大限の注意を払うことが必要と思われた.
著者
木村 圭佑 篠田 道子 宇佐美 千鶴 櫻井 宏明 金田 嘉清 松本 隆史
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2013, 2014

【目的】医療保健福祉領域において専門職連携(以下IPW)は必要不可欠な技術となっている。しかし,リハビリ専門職の養成課程において専門職連携教育(以下IPE)カリキュラムを導入している養成校は少数である。多くのリハビリ専門職は臨床場面において,他の専門職との連携を通して自ら実践的に学んでいる。今回ケースメソッド教育を用いた研修会後に調査した,カンファレンス自己評価表の分析から,経験年数によるIPWに必要な課題を検討する。【方法】ケースメソッド教育は,日本では1962年から慶応義塾大学ビジネススクールで用いられるようになった教育手法である。現在ではビジネス領域だけではなく教職員養成や医療保健福祉領域にまで用いられている。高木ら(2006)によるとケースメソッドは「参加者個々人が訓練主題の埋め込まれたケース教材を用い,ディスカッションを通して,ディスカッションリーダーが学びのゴールへと誘導し,自分自身と参加者とディスカッションリーダーの協働的行為で到達可能にする授業方法」であると定義している。本研究の対象は平成24年~平成25に実施したIPWを目的とした研修会に参加した,異なる職場で働くリハビリ専門職34名である。内訳は,1~3年目以内(以下新人)19名(理学療法士17名,作業療法士2名),4年目以上(以下経験者)15名(理学療法士3名,作業療法士12名)である。尚,全てケースメソッド教育は未経験であった。研修会では日本福祉大学ケースメソッド研究会に登録されている退院時カンファレンス場面のIPWを題材としたケース教材を用いた。参加者にはケース教材の事前学習を促し,研修会の開始前にケースメソッドに関する講義を行った。そして,グループ討議を行った後,筆者がディスカッションリーダーとなりクラス討議,振り返りを実施し最後に篠田ら(2010)が開発したカンファレンス自己評価表を記入してもらった。カンファレンス自己評価表は主に「参加後の満足感」「カンファレンスの準備」「ディスカッションに関するもの(参加者としての気づき,発言の仕方・場づくりへの貢献等)」の全12項目で構成され,各設問に対し5段階評価(「5そう思う」「4:ややそう思う」「3:ふつう」「2:あまりそう思わない」「1:そう思わない」)で回答してもらった。得られた結果を新人と経験者とに分け,カンファレンス自己評価表の各項目を分析した。統計学的処理は,Mann-WhitneyのU検定を用いた(p<0.05)。【倫理的配慮】本研究は,日本福祉大学「人を対象とする研究」に関する倫理審査委員会が作成したチェックシートに基づき実施した。【結果】カンファレンス自己評価表は全員から回収した。新人と経験者間で有意差が認められた項目は,「積極的な参加」「受容的・許容的な雰囲気づくりへの貢献」「自分の意見・考えを他者へ伝達」「疑問への質問」「参加者の立場から討議の流れをリード(以下討議をリード)」「他者の発言の引用・改良」「多様な対応策の提案」であった。しかし,「討議をリード」に関しては,経験者は2割が「5:そう思う」「4:ややそう思う」と答えるのみに留まった。また,IPWに必要な技術の一つである「主張(結論)+理由(根拠)のパターンでの発言(以下結論根拠の発言)」では両者に有意差は認められず,経験者の中でも実施できている例は少数であった。【考察】新人ではIPWにおいて最も重要である積極的な発言,頷きや受容的な態度といった「人とつながる」技術の未熟さが確認された。新人の課題としては,対立を恐れずに自らの意見を伝える勇気,そしてすべてを受け入れる温かいムード作りに貢献することである。それらが習得でき,初めて専門職同士の力の貸し借りを上手に行い,多様な対応策の検討の実践が可能と考える。一方,経験者では「討議をリード」することも十分に遂行できているとは言い難く,ファシリテーション技術が未熟であることも示唆された。また,「結論根拠の発言」の実践もできていない。そのため他の専門職への情報共有時やカンファレンス時に,専門的評価や分析をもとにして発言の根拠を明確にできていない可能性がある。経験者の課題は自らの専門性から発言の根拠を明確にするだけでなく,反論や対立意見を上手く扱い,他者の意見を重ねて創発的な意見を積極的に発言することである。ケースメソッド教育で養われる能力の中に「人とつながる」「人を束ね,方向づける」が含まれる。今後もケースメソッド教育を通し,リハビリ専門職におけるIPWの課題を解決できるようさらに検討を続けていく。【理学療法学研究としての意義】医療保健福祉領域におけるIPWの重要性は高く,マネジメント教育や患者の健康行動への教育とその目的は拡大しつつある。そのため,リハビリ専門職におけるIPW・IPEに関する取り組みは急務であり,本研究もその一助になりうると考える。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ものづくり (ISSN:13492772)
巻号頁・発行日
no.728, pp.79-83, 2015-05

調査してみると、14番インジェクター以外についてもカップリングナットの締め付けトルクが規定通りでないものが幾つかあった。エンジンの分解整備の際に参照するエンジンマニュアル(EM)では、同ナットの締め付けトルクは135〜150Lb・in(15.3〜17.0N・m)と規定し…
著者
高橋 正弘 村上 賢二 金子 精一
出版者
The Japan Society of Veterinary Epidemiology
雑誌
獣医情報科学雑誌 (ISSN:09128913)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.27, pp.27-33, 1991
被引用文献数
2

神奈川県食品衛生課編「食中毒発生一覧表」に記載されている食中毒事件の発生日, 発生件数および患者数ならびに判別分析で求められた食中毒発生予測式から算出される予測値を供試し, 食中毒発生日の特異性を検討した。検討した期間は1979年から1988年の10年間で, 各年6月から10月の5ケ月間である。<BR>1) 食中毒発生の特異日は, 発生件数の平均値および変動係数によれば9月4日, 9月8日, 9月7日, 9月13日および8月26日であった。<BR>2) また, 患者数では9月4日, 9月13日, 8月5日, 8月25日および7月29日であった。<BR>3) 以上の結果から, 食中毒発生件数・患者数の特異日は9月上旬に集積性が認められた。<BR>4) 発生件数・患者数の曜日別発生頻度は, 統計的検定の結果, 日曜日, 金曜日, 火曜日に高く, 水曜日に有意に低いことがわかった。<BR>5) 予測値においては, 曜日間に有意差は認められなかった。<BR>6) 食中毒発生ありと予測された期間は, 予測値の日別平均値によれば, 7月14日から7月17日, 7月23日から9月17日の期間であって, そのうち, 特に予測値の高い期間は8月20日から23日の4日間であった。<BR>このように, 環境要因に基づく予測と実際の発生頻度にずれが生じているのは, 食習慣等の社会的要因や調理従事者等の人為的影響が食中毒発生に深く関与しているものと考えられる。そこで, 環境要因の他に発生件数・患者数の日別・曜日別平均値さらには日別平均予測値をダミー変数とし採用すれば, 食中毒発生予測式の精度の向上が可能と考えられる。また, 行政施策の用途によっては, 月ごとに食中毒発生予測式を構築する必要性も考えられる。
著者
伴 節
出版者
九州大学
巻号頁・発行日
1982

博士論文
著者
土田 真二 藤原 義弘 藤倉 克則
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF BENTHOLOGY
雑誌
日本ベントス学会誌 = Japanese journal of benthology (ISSN:1345112X)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.84-88, 2003-06-27
被引用文献数
4 15 1

The spatial distribution around hydrothermal vents, population structure, and relative growth parameters of the galatheid crab Shinkaia crosnieri were examined. Surveys were done by the Shinkai 2000 on the Hatoma and Dai-yon Yonaguni Knolls in the southern Okinawa Trough. On the Hatoma Knoll, S. crosnieri inhabited areas (temp. 4.0-6.2°C) about 0.2-2 m away from the active vent (temp. 301°C). In the outer area of the habitat of S. crosnieri (temp. 3.0-3.7°C), dense beds of Bathymodiolus mussels occurred and aggregations of Alvinocaris shrimp were observed. In this survey, 248 specimens of S. crosnieri were collected. Small, probably just post-metamorphic juveniles and large, mature adults co-occurred. Chelipeds of males were proportionally larger than those of females, while abdomens of females were proportionally larger than those of males. Larger chelipeds in males are thought to have evolved through male-male competition for females, and wider abdomens in females are thought to be related to the attachment of fertilized eggs to the abdominal appendages.