著者
今津 浩喜 笠原 正男 城野 健児 竹下 健也 丹羽 基博 村上 正基 南 圭介 見元 裕司 田代 和弘 黒田 誠 溝口 良順 堀部 良宗 新井 一史 菅沼 正司 船曵 孝彦
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化機病學會雜誌. 乙 (ISSN:13497693)
巻号頁・発行日
vol.89, no.8, pp.1499-1505, 1992
被引用文献数
1

手術及び剖検にて得られた十二指腸癌症例中良好なDNA histogram の得られた12症例についてそのDNA ploidy pattern, proliferation index (PI) 及び proliferating cell nuclear antigen (PCNA) との相関を検討した. 12症例中75% (9症例) がDNA aneuploidy を示し, また, (91.6%) 11症例がPCNA染色陽性であつた. 組織型とDNA ploidy pattern, PI, PCNA score 及びPCNA陽性率との間に, また, DNA ploidy pattern とPCNA score 及びPCNA陽性率との間には特に相関がなかつたが, PIとPCNA score との間に相関傾向が, PIとPCNA陽性率との間に有意の相関が (P<0.05) 認められた. PCNAの陽性率の判定には方法論上いくつかの問題点も含まれているが腫瘍細胞の増殖率の判定においては, 少なくとも関連性があるものと考えられた.
著者
伊藤 嘉高 佐藤 慎哉 山下 英俊 嘉山 孝正 村上 正泰
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 医学 : 山形医学 (ISSN:0288030X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.15-25, 2013-08-15

【背景】医療提供に真に必要な医師数を推計することは困難である。厚生労働省「医師の需給に関する検討会」の医師需給推計を背景に医学部入学定員抑制が進められた結果、今日、国民のあいだで広く医師不足の事態が認められている。さらに、これまで、地域ごとの将来医療需要に基づく診療科別の必要医師数の推計が試みられたことはない。そこで、本稿では、現在のフリーアクセス等の医療提供体制を前提として、今後も医学部入学定員増加が続き、勤務医の負担軽減が図られた場合の山形県における診療科別将来必要病院勤務医数を推計した。【方法】患者調査と人口推計に基づく診療科別の将来医療需要を算出するとともに、医師・歯科医師・薬剤師調査のデータに基づく医師就業の卒後1年階級別コホートモデルを作成した。そして、県内病院勤務医の過重労働の是正を加味したうえで、両結果に基づき2030年に必要医師数を充足させるために必要な新卒医師数を推計した。【結果】2030年の県内病院勤務医は全体で3,048名(2008年比122.0%)となる。他方で患者数は減少し、将来医療需要に基づき過重労働状況の解消を図ると、全体で4.0%(73人分)の医師数の余裕が生まれることになる。しかし、全ての診療科で余裕が生まれるわけではない。現在見られる新卒医師の診療科選択の傾向が今後も続いた場合、とりわけ外科は23.7%の更なる新卒医師数の上乗せが必要であり、脳神経外科など他の外科系も10%前後の上乗せが必要になる。他方で、新卒医師の半数以上が余剰になるおそれのある診療科も見られる。【論】本推計は、医療提供体制のみならず、医師の就業動態など多くの仮定に基づいており、推計の精度には改善の余地がある。しかし、それでも、現在の医療提供体制が続く限り、外科系等の診療科は今後も相対的な医師不足が続くことが推測される。医学部教育や医療提供体制の見直し、病院勤務医の勤務環境の改善等について適切な対応が求められる。
著者
笹田 裕子
出版者
清泉女子大学
雑誌
清泉女子大学紀要 (ISSN:05824435)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.1-16, 2006-12-26

きたむら さとし(1956-)は、東京で生まれ育ち、1979年にロンドンに渡り、絵本作家となる。最初の絵本Angry Arthur(1982)で1983年マザーグース賞を受賞して以来、きたむらは、イギリスと日本の両方の国で絵本を出版している。きたむらの絵本は、二つのカテゴリーに分類することが可能である。一つは、ハーウィン・オラムが文を担当する初期の作品、もう一つは、きたむら自身による絵と文からなる作品である。きたむらの作品にはコミックの技術が用いられることが多いが、後者の場合は特に、最近のものになるほど、よりコミックに類似した絵本となってきている。したがって、きたむら作品は、その作風からは三種類に分類することができよう。すなわち、初期のオラムとの合作、最近のコミック的絵本、および両者の狭間の時期の作品である。1989年出版のUFO Diary(日本語版タイトル『あるひうちゅうで』)は、オラムとの合作からコミック的絵本へと移行する過渡期に属する。しかも、文を自分で手がけ始めた頃に描かれたアルファベット本や数かぞえ絵本(counting book)ではなくて、物語絵本であり、この時期を代表する作品の一つであると考えられる。絵本は文字と絵の両方を媒体とするため、文字のみで書かれる物語に比べ、創り手は、はるかに多様な表現方法を駆使することができる。本論は、二つの異なる文化圏にまたがって作品を発表し続ける絵本作家きたむらの、作風の上でも過渡期の作品であるUFO Diaryに焦点を当て、絵本の想定される読み手(通例子ども)に与える効果を含め、きたむら作品の特徴を明らかにしようとする試みである。まず、視点(viewpoint)、手がかりとなるイメージ(trigger image)、線(lines)や色(colour)の使い方といった、芸術作品としての絵本に用いられる技術的な要素を詳細に分析する。さらに、この作品が描き出す「友情」という普遍的な主題、および、主題とも深い関わりをもつ「心の中の別世界」へと考察を進める。心の中の別世界、すなわち「内なる外界(the external in the internal)」は、きたむら絵本の作品世界そのものであるといえよう。
出版者
日経BP社
雑誌
日経情報ストラテジ- (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.126-129, 2009-07

不特定多数のネット利用者に知的労働を委託する取り組みを指す。知的労働力を低コストで調達できる半面、品質チェックの手間がかかる。作業の標準化やチェックを効率化する仕組み作りが鍵を握る。 新商品のアイデアを募集するなど、企業がインターネットを通じて不特定多数のネット利用者に知的労働を委託する動きが盛んになってきた。
著者
稲葉 善太郎
出版者
静岡県農林技術研究所
雑誌
静岡県農林技術研究所研究報告 (ISSN:18828264)
巻号頁・発行日
no.5, pp.23-30, 2012-02

マーガレット育成系統'00-4-1'の自然交雑実生から白花・一重咲きの'ホワイトジュエル'を育成した。'ホワイトジュエル'は2007年3月2日付けで品種登録された(品種登録番号:14873)。マーガレット'ピンクサザンキャンドル'を種子親に育成系統'04-17-1'の花粉を交配して得た実生から桃花・一重咲きの'ピーチサザンキャンドル'を育成した。'ピーチサザンキャンドル'は2011年3月15日付けで品種登録された(品種登録番号:20552)。
著者
稲葉 善太郎
出版者
静岡県農林技術研究所
雑誌
静岡県農林技術研究所研究報告 = Bulletin of the Shizuoka Research Institute of Agriculture and Forestry (ISSN:18828264)
巻号頁・発行日
no.2, pp.9-16, 2009-03

マーガレット'ホワイトジュエル'を種子親に、'アーリーホワイト'の花粉を交配して得た種子を2004年に播種し、実生個体から'サザンエレガンスホワイト'を選抜した。本品種は、2007年3月に品種登録を出願し、2007年8月3日に出願公表、2008年10月16日付けで品種登録された(登録番号:17047、http://www.hinsyu.maff.go.jp/)。'サザンエレガンスホワイト'は、10月から開花する白花で、'在来白'並みの花型で、草姿のバランスが良い特徴がある、生産者には、生育が良い、草丈が高くなる、開花が早い、花型が良いことが評価された。南伊豆地域から出荷している主力市場において、切り花品種としての市場性が認められた。
著者
荏本 孝久 望月 利男 神奈川大学工学部 東京都立大学都市研究所
雑誌
地域安全学会論文報告集 = Papers of the annual conference of the Institute of Social Safety Science
巻号頁・発行日
vol.6, pp.293-298, 1996-11

阪神・淡路大震災から約1年8ケ月が経過し、都市再生・生活再建へ向けて各方面で復旧・復興に掛わる活動が行われている。戦後最大の震災は、地震災害に関するそれまでの常識を根底から覆えした。地震の被害による犠牲者は6千人を超え、全・半壊した家屋も約20万棟にのぼった。建築・土木構造物の膨大な被害は、社会的に大きなインパクトを与えた。震災直後から約1年間程度に亘っては、人的・物的被害,震災対策,防災対策,経済・社会的影響,復旧・復興,市民生活等々、震災に関わるあらゆる側面の情報が新聞・テレピ・ラジオ等を通じて報道された。約2年を経過しようとする現在、これらの情報は極めて限られたものとなり、震災の教訓から取り上げられた多くの課題は、解決に向けてどのように展開しているのかも知ることが困難になりつつある。この震災を記憶に刻み、同じ様な災害を再び繰り返さないために、今回の大震災に関する全容と時間的経過を記録整理し、分析を行うことは大変重要なことであると思われる。本研究では、阪神大震災発生直後からあらゆる分野の被害状況および対応を記録に残すために新聞記事によるデータベースを作り、震災の課題の整理と問題解決の糸口を検討するために、震災の時系列分析を行うことを目的としている。本報告は、震災後1年間の新聞記事のデータ整理と若干の分析について報告する。
著者
今井 正樹 上原 哲太郎 侯 書会 津田 侑 喜多 一
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.4, pp.1-6, 2011-05-05

情報漏洩対策機能としてユーザを特定可能な ID を電子透かしで文書に埋め込む電子文書管理システムがある.情報漏洩発生時に文書の流出元特定を容易にすることで,情報漏洩を心理的に抑止する.しかし,従来の方式で ID を符号化した場合,異なる ID を持つ文書を比較することにより ID の改竄が可能である.そこで本稿では結託耐性符号で符号化したユーザ ID を文書に埋め込む電子文書管理システムを提案する.文書形式として最も広く利用されている OOXML (Office Open XML) 形式の文書を対象として,相当量の情報が埋め込み可能な電子透かし手法を示し,ユーザ ID の消去を困難にした電子文書管理システムを設計する.There is a document management system witch prevent information leakages by embeding user identification in documents with digital watermark. It prevent users from information leakages by facilitating specification of the leakage source. But A comparation of same documents witch embeded different user IDs is enabled to attackeres to falsify the ID. This paper propose the document management system witch embeding user ID encoreded with anticollusion codes in documents. This system targeted OOXML (Office Open XML) documets because it is the most widely used in the world. This paper introduce the new large capacity watermark available in OOXML, and design the document management system enhaced preventation effect on information leakages.
著者
中坊 公平
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.853, pp.68-71, 1996-08-19

7月26日,住専の債権を回収する,住宅金融債権管理機構社長に就任。日弁連会長時代には,司法改革の旗を振り「行動派」との評判が高い。森永ヒ素ミルク事件,豊田商事の破産管財人を手掛けた実績を持つ。旅館経営者としての顔も持ち,弁護士を超えた幅広い力量に期待が集まる。弁護士・中坊公平の名刺にこの夏,もうひとつ肩書が増えた。
著者
大坪 正則 奥寺 憲穂
出版者
日経BP社
雑誌
日経ベンチャ- (ISSN:02896516)
巻号頁・発行日
no.242, pp.100-103, 2004-11

——プロ野球再編騒動も結局は球団経営を疎かにしてきたツケですが、そもそも赤字続きの経営がここまで放置されてきたこと自体、不思議です。大坪 ここまで騒動が大きくなってきたのは、2003年3月期に連結会計が導入されたからなんですね。それまでは、1959年の国税庁の通達で親会社の単体の決算で済んだから、親会社の広告宣伝費として損金計上できた。
著者
河端 俊治 赤築 秀憲
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.241-248, 1972
被引用文献数
1

(1) DEVIKにより MAILLARD反応において N-NAの生成の可能性が指摘されたので,これの追試を行なうとともに,MAILLARD反応条件とN-NAの生成の可能性についても検討し,この反応においては,N-NAの生成されないことを明らかにした。<BR>(2) 今回のN-NAの定性および定量法は,TLCおよびGLCで行なったが,さらに一部の材料につきGLC-MSによる確認も併用した。<BR>(3) N-NAはpyrazine誘導体とGLC, TLCあるいはポーラログラフィーの還元波で似た挙動を示すので,DEVIKがMAILLARD反応でN-NAを検出したというのは(ポーラログラフィーの還元波のみで同定)pyra-zineまたはその誘導体とN-NAを誤認したものと思われる。<BR>(4) 市販のしょう油,みそ,パン,コーヒー,についてN-NAの検査を行なったが全く検出されなかった。
著者
中島 孝明 藤原 暁宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.431, pp.1-6, 2001-11-09
参考文献数
9

本稿では, 並列化困難な問題として知られているP完全問題の一つである, スタックを用いた幅優先探索の並列性について検証する.まず, 入力グラフの最大次数が3であるようなスタックを用いた幅優先探索もP完全となることを示す.次に, スタックを用いた幅優先探索のP完全性を表す尺度として最長経路距離を導入し, この尺度を用いて, 効率の良い並列アルゴリズムの提案を行う.このアルゴリズムの計算量により, l=O(log^n)の場合, スタックを用いた幅優先探索がクラスNCに属することを示す.ここで, n, lはそれぞれ入力サイズおよび最長経路距離であり, kは正の整数とする.また, このアルゴリズムはl=O(n^ε), 0<ε<1の場合にコスト最適な並列アルゴリズムとなる.
著者
小柳 達男 太田 稔 鷹嘴 テル
出版者
JAPAN SOCIETY OF NUTRITION AND FOOD SCIENCE
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.39-41, 1956

1) 小麦パン, それに粉乳, 大豆, そば或はひえを混じたパン及び白米とみそという6種の異つた飼料でラッテを飼育し栄養価を比較した。<BR>2) 粉乳パンと大豆パンはこれで飼育したラッテの発育, 肝中の酵素活力, ビタミンC含量等よりみて優れた値を有している。<BR>3) そばパンはこれに次いですぐれており, ひえパンは不良であつた。<BR>4) 標準パンに比し白米区のラッテの発育はよいが両区のラッテの肝中のC含量が他のいずれの区よりも低い。