著者
竹井 仁 池田 由美 岩崎 健次 柳澤 健
出版者
日本保健科学学会
雑誌
東京保健科学学会誌 (ISSN:13443844)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.97-102, 1998-12-18

目的:活動時心拍指数(以下BABI)から算出される、運動課題の難易度が最も低い歩行速度と、歩行距離1mあたりの酸素摂取量(以下Ed)から算出される最適歩行速度との間に関係があるかを検討した。方法:対象は健常男姓11名。運動課題は200m連続歩行とし、1周30mの8字型歩行路を用いた。運動課題の難易度は、被験者に任意に決定させた5種類の歩行速度とした。結果:BABIと歩行速度(以下V)は、BABI=0.0177V^2-2.5073V+148.188の二次方程式となった。BABIの最小値が55.7[beats]のとき、Vは73.7[m・min^<-1>]であった。一方、1分間あたりの酸素摂取量(以下Et)とVとはEt=6.194+0.001V^2の一次方程式となり、Et式の両辺をVで除すことでEd=6.194/V+0.001Vが得られた。Edの最小値が0.158[mlO_2・m^<-1>・kg^<-1>]のとき、Vは75.0[m・min^<-1>]となった。結論:Edが最小値となるときのVは最適歩行速度を示す。結果から、BABIの最小値から算出したVは、Edから算出した最適歩行速度に相当することが示唆された。
著者
小林 啓子 高橋 美子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.176-179, 1971-09-20

1)一般家庭で調理した食物を凍結貯蔵する際,風味は調理してから凍結貯蔵した方がよいのか,生品を凍結貯蔵した方がよいのか,ブリのゆうあん焼,カレイの煮付け・タラのフライ,サバの立田揚の4種類を試料として嗜好調査と衛生試験を行った。2)ブリのゆうあん焼き:ブリの生肉を冷結貯蔵後解凍した調理した試料と、調理後凍結貯蔵し室温で解凍した試料では,嗜好上の優劣は認められなかった。両試料とも,凍結後の生菌数は1g当り×10^2,PH5.82,NH_3-N量は28〜29mg%であった。3)カレイの煮付け:カレイの生肉を凍結貯蔵後解凍した煮付けた試料Aと煮付け後涼繕貯蔵し室温で解凍した試料Bでは,嗜好上の優劣は認められなかった。凍結貯蔵後の試料Aは生菌数x10^3,PH6.59,NH_3-N22.5mg%。試料Bは生菌数×10^3,PH6.51,NH_3-N24.5mg%であった。4)冷凍タラのフライ:タラをフライして凍結貯蔵後,再び油で揚げた試料Aが最も好まれ,次いで生で凍結後フライした試料B,フライして凍結後解凍した試料は最も好まれなかった。凍結貯蔵後の試料Aは生菌数×10^3, (×10^2), PH6.70, (6.95),NH_3-N23.4,(20.1)mg%。試料Bは生菌数×10^2(×10^2),PH6.70(7.02),NH_3-N22.0(19.1)mg%であった。5)サバの立田揚げ:サバの生肉を凍結貯蔵後,立田揚げとした試料Aが最も好まれ,次いで立田揚げとして凍結貯蔵後,再び油で揚げた試料Bが好まれ,最も好まれなかったのは,立田揚げにして凍結後解凍した試料であった。凍結貯蔵後の試料Aは生菌数×10^2(×10^2),PH6.01(5.86),NH_3-N21.9 (29.1)mg。試料Bは生菌数×10^2(×10^3),PH5.95(5.74),NH_3-N25.9(12.3)mg%であった。6)以上の試料について,測定した生菌数,PH,NH_3-N値によれば,いずれの場合も食品衛生上問題ないものと思われる。
著者
武田 晴登 篠田 浩一 嵯峨山 茂樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.63, pp.23-28, 2002-07-07
被引用文献数
6

本稿では、MIDIキーボードによる人間の演奏から自動採譜を行うシステムについて述べる。鍵盤楽器からMIDI信号を入力するため、ピッチについての情報は正確に得られるのに対し、リズムについては音の長さが得られるだけなので、音の長さを音符に変換する処理が必要である。市販ソフトではメトロノームなどによりテンポを強制された演奏に対する自動採譜が実現されているが、テンポの指定を行わず自由に弾かれた演奏に対するリズム認識についは有効な手法は確立されていない。我々はテンポの指定のない演奏に対するリズム認識を行うために、音楽の時間構造をテンポとリズムパターンに分けて考え、リズムパターンを表す特徴量である「リズムベクトル」に注目する。リズムベクトルとテンポ変動は、隠れマルコフモデルを用いてモデリングを行い、リズム認識の問題の推定のの問題として扱う。本稿では、本稿では、リズムベクトルに基づくリズム認識のための確立モデルを提案する。さらに、提案されるモデルを用いた実験として3人の被験者のMIDIキーボードによる単旋律の曲の演奏について認識実験を行い、有効性を示唆する実験結果として認識率93.2%が得られたことを報告する。This paper proposes a rhythm recognition method for MIDI signal performed by MIDI keyboard. An usual way of automatic transcription from MIDI signals is to play MIDI keyboard with metronome to perform in constant tempo and quantize the note durations in a resolution level which is given by the user. A new method proposed in this paper, however, does not require performer to obey the beats of metronome and can recognize rhythm pattern for automatic transcription. We define ratio of note durations as a new feature "Rhythm vector" .Rhythm Vector and tempo variation are integrated in Hidden Markov Model, which is used in modern speech recognition, and we deal with rhythm recognition as a stochastic estimating problem. Experimental result is also reported.
著者
斎藤 寛子 中村 爽子 宮堂 寛美 高崎 保郎 仲野 達之助
出版者
日本医療薬学会
雑誌
病院薬学 (ISSN:03899098)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.288-292, 1992-06-20

Symmetrel (Amantadine hydrochloride) has pharmacological actions as both anti-Parkinsonism and antiviral drugs, however, it is used only as an anti-Parkinsonism drug in Japan, In this report, we surveyed the frequency of fever caused by influenza for the patients in hospital from November 1989 to March 1990 and assessed the relationship between the reduction in fever and taking Symmetrel. The fever caused by influenza was significantly reduced by taking Symmetrel. In the period from the end of November 1989 to the end of January 1990, in which the influenza A Hong-Kong was raging throughout Aichi Prefecture, the fever was more significantly reduced by taking Symmetrel than that in total period.
著者
天井 治 長岡 栄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.93, no.66, pp.9-15, 1993-05-26

我が国では、平成4年6月から評価用の3本のルートを用いて、広域航法(Area Navigation:RNAV)の運用評価が行われている。本論文では、その各ルートを飛行したRNAV機の航法精度を評価するために行った解析の方法およびその結果について述べる。航空路監視レーダで取得したレーダデータを用いてRNAV機の航跡を抽出した。RNAV機であることを確認するためには飛行計画情報を用い、この航跡データから横方向経路逸脱量を求めた。221日分のデータを用い、各ルートにおける横方向経路逸脱量の特徴を調べた。また、すべてのデータを一纏めにして、その累積度数分布を求めた。その結果、RNAV機の横方向経路逸脱量のデータの少なくとも95%は、±1NM以内にあることが分かった。
著者
久田 末雄 安野 爽子 稲垣 勲
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.91, no.6, pp.687-689, 1971-06-25
被引用文献数
1

Rhizomes of Dryopteris bissetiana C. CHR. (Aspidiaceae) were examined for phloroglucinol derivatives and margaspidin was isolated. This is the first time that margaspidin was isolated from Japanese ferns. Margaspidin was also detected by thin-layer chromatography from the rhizomes of D. pacifica TAGAWA, D. saxifraga H. ITO, and D. sacrosancta KOIDZ.
著者
石上 文正
出版者
人間環境大学
雑誌
こころとことば = Mind and language (ISSN:13472895)
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-24, 2003-03-31

ケヴィン・リンチが『都市のイメージ』で用いた概念、とくにアイデンティティ、ストラクチャー、ミーニングの三つの成分、そしてパス、エッジ、ディストリクト、ノード、ランドマークの五つのエレメントを用いて、愛知県岡崎市の中心市街地の明瞭さや分かりやすさについて記述・分析した。その過程で、ブリッジ(何らかの障害物を渡るためのもの)とマス(丘のような線状でない障害物)という新たなエレメントを抽出した。さらにスキーマという認知心理学的視点からの分析の必要性も説いた。その結果、岡崎は比較的分かりやすい都市であると言える。パスとエッジが岡崎のイメージを構造化するのに大きな役割を果たしている。さらに、特色あるディストリクトも近接して構造化されていて、分かりやすい。ただし、中心市街地の南部と北部が曖昧で、少し分かりにくい。また、南と北ほどではないが、東の構造化も十分ではない。This study investigates the image of Okazaki City, especially its central area, in terms of clarity or legibility. It looks at the image of the city in terms of Kevin Lynch's five elements -paths, edges, districts, nodes and landmarks- and three components of each element: identity, structure, meaning. Bridges and masses are also necessary to describe the image of Okazaki. The former includes ordinary bridges and tunnels crossing edges. Masses refers to hills and lakes that can keep people from passing through. It is also argued that schema, a cognitive psychological concept, plays an important role in constructing the image of cities including Okazaki. This study concludes that Okazaki is legible as a whole because it is well-structured by paths and edges. Paths and edges also mark conspicuous districts such as Kosei (a commercial district), Okazaki-koen (a historical district) and Tatsumigaoka (a religious-educational district). The north and south parts of Okazaki, however, are ambiguous and not legible because no clear paths and edges run north and south.
著者
黒田 公美
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.745-753, 2013

人間を含め,哺乳類の子は幼弱に生まれるため,哺乳をはじめとして身体をきれいに保つ,保温する,外敵から守るといったさまざまな親からの養育(子育て)を受けなければ成長することができない.そのため親の脳には養育行動に必要な神経回路が生得的に備わっている.一方,子の側も受動的に世話をされるだけの存在ではなく,親を覚え,後を追い,声や表情でシグナルを送るなどの愛着行動を積極的に行って親との絆を維持している.親の養育が不適切な場合でも通常子から親を拒否することはなく,親をなだめ,しがみつき,何とか良い関係を取り戻そうと努力する.社会や自然界でごく当たり前に営まれている親子関係は,実はこのように親子双方の日々の活動によって支えられているのである.親子関係はすべての哺乳類の存続に必須であるため,子の愛着・親の養育本能を司る脳内メカニズムも基本的な部分は進化的に保存されていると考えられる.したがってマウスモデルを用いた愛着・養育行動研究が,将来的にヒトの親子関係とその問題の解明に役立つことは十分期待できる.本稿では,マウスを用いた最近の研究を中心に,養育行動の概要とそれを制御する分子神経機構についてご紹介する.
著者
倉内 伸幸
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.264-267, 1997-12-01
被引用文献数
1

チュニジアから収集したオオムギ300系統のうち, 10系統を栽培種と交配した.そのうち2系統は, 雑種第1代の種子稔性が半不稔性であった.同様に, 花粉稔性も半不稔性であり, 花粉母細胞減数分裂第一分裂中期で1つの4価染色体と5つの2価染色体が観察された.雑種第2代では可稔性と半不稔性が1 : lに分離した.この結果は, これら2系統が1個の相互転座をもつことを示している.転座染色体を同定するため, 既知の転座テスター系統と交配を行った.雑種第1代の花粉母細胞減数分裂第一分裂中期の染色体対合を観察した.第5染色体と第7染色体をもつ転座テスター系統とのF_1個体でのみ6価染色体が出現したことから, 転座染色体は第5染色体と第7染色体で起こっていることが明らかとなった.また, これら2系統のF_1個体の染色体対合は7つの2価染色体が観察されたことから, 同じ染色体上で相互転座が起こったと考えられる.
著者
長谷部 言人
出版者
朝日新聞社
雑誌
朝日評論
巻号頁・発行日
vol.5, no.8, pp.70-87, 1950-09