著者
伊藤 優子 三浦 覚 加藤 正樹 吉永 秀一郎
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.275-278, 2004-08-16
被引用文献数
12

関東(一部東北を含む)・中部地方の1都12県において80地域,270地点の森林流域における渓流水のNO_3^-濃度を測定した。これらの調査地点におけるNO_3^-濃度は0.00〜8.45mg L^<-1>の範囲で,中央値は1.06mg L^<-1>であった。渓流水中のNO_3^-濃度は,関東平野周辺部において濃度の高い地点が分布する地理的な偏りが認められた。このような分布傾向は,従来から関東地方のいくつかの小流域でNO_3^-濃度が高いことが指摘されていることと調和的である。また,関東平野周辺部以外の愛知県でも局所的にNO_3^-濃度の高い地点が認められた。これらの地点は幹線道路や都市域周辺近傍に位置する。これらの結果から気候要因,地形的要因などの非人為的要因に加えて,大都市圏から排出される汚染大気の移流による森林流域への窒素の高負荷という人為的要因により,森林からのNO_3^-流出が増大していると考えられる。
著者
三浦岱栄 池見 酉次郎 阿部 正 石川 中
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
精神医 (ISSN:05593182)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.151-163, 1972
被引用文献数
1

精神身体医学会も発足してから, すでに10年を越し, 会員数も1000人を越している。学会発足当時ないし発足前の日本における精神身体医学の実状について熟知していない若い会員も多くなった。このあたりで, 日本における精神身体医学の歴史を小括しておいたらという案が編集委員会で持ち上り, 綜説の形式で, 三浦岱栄先生に御執筆をお願いすることに決まった。しかし先生は現職の杏林大学のお仕事がお忙しいとのことで, その代わりとして, 池見, 阿部両先生を混じえ, 座談会形式ならよいとの御返事があり, このような企画となった次第である。もとより限りある時間内で, 限りあるメンバーで行なった回顧であるから, 足りない点も多いと思うので, 今後, なんらかのかたちで足りなかった部分を補ってゆき, 最終的には日本精神身体医学の小史としてまとめたいと考えている。
著者
海野 裕子 三浦 香苗
出版者
昭和女子大学
雑誌
昭和女子大学生活心理研究所紀要 (ISSN:18800548)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.53-62, 2007-03-31

Feelings of undergraduate students about being alone were clarified by comparing feelings about being alone actively and passively. Undergraduate student participants (N=315) completed a questionnaire consisting of rating scales and free descriptions. The results indicated the following. (1) A Majority of participants indicated that they were "quite often, " "often" or "sometimes, " actively alone. However, most participants also indicated that they were "sometimes," "rarely" or "never" passively alone. (2) Most free descriptions indicated that feelings about being alone passively, were negative, whereas descriptions about being alone actively included a variety of feelings, such as negative feelings, ambivalent feelings, and neutral feelings. (3) Results suggest that feelings about being alone were closely related to instability and difficulties that are peculiar to adolescence.
著者
三浦 麻子 小森 政嗣 松村 真宏 前田 和甫
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.102-111, 2015
被引用文献数
17

In this article, we investigated the expression of emotional responses to the 2011 Great East Japan Earthquake by analyzing the frequency of negative emotional terms in tweets posted on Twitter, one of the most popular social media platforms. We focused on differences in time-series variations and diurnal changes between two kinds of disasters: natural disasters (earthquakes and tsunamis) and nuclear accidents. The number of tweets containing negative emotional responses increased sharply shortly after the first huge earthquake and decreased over time, whereas tweets about nuclear accidents showed no correlation with elapsed time. Expressions of anxiety about natural disasters had a circadian rhythm, with a peak at midnight, whereas expressions of anger about the nuclear accident were highly sensitive to critical events related to the accident. These findings were discussed in terms of similarities and differences compared to earlier studies on emotional responses in social media.
著者
三浦 壮
出版者
社会経済史学会
雑誌
社會經濟史學 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.499-522, 2013-02-25

本稿は,戦間期宇部地域の工業化を検討することで,近代日本における地方工業化の特質を,主に鉱業資本家の投資活動から解明するものである。宇部地域の炭鉱および製造業の出資者はその多くが福原家の家臣団につながる家々であり,地域の共有財産である石炭鉱業で得られた利益金を再投資するよう,婚姻関係や,家同士の結びつきを利用した株式の所有を行っていた。投資動機としては,地域社会による地下資源の共有意識と地縁・血縁関係を基底とした,各鉱業資本家の製造業への投資に対する「連帯的強制」があった。新しい事業の拡大と利潤獲得は宇部社会の発展と同義の概念であり,地域社会への「貢献意欲」も重要な要因であった。鉱業資本家の所得構造を実証した結果,地元株式に集中して投資をしていたこと,地元株が中央株よりも高い利回りを維持し,特に石炭鉱業の利回りと利益総額は高いものであり,地域工業化の原資となっていたことが明確となった。
著者
三浦盛生 鈴木輝彦 太原育夫
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.175-176, 2013-03-06

雑談のような非タスク志向型の対話システムは会話の流れが複雑になるため,対話の表面的な部分にしか触れない人工無脳的なアプローチでは実現が困難である.そこで,本研究では実際の人間同士の対話を参考にして,発言の種類や対話の流れを具体的に定義した対話のモデルを作成し,それを対話システムに利用するアプローチを検討した.この対話モデルにより,限定的ではあるが,人の対話の流れを網羅することができ,これを対話システムに応用することで,非タスク志向型の対話を行う対話システムの知識の利用や会話の流れの制御をより柔軟なものにすることが可能となった.
著者
三浦 宏一 浜田 玲子 井手 一郎 坂井 修一 田中 英彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:18827810)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.21-29, 2003-07-15
被引用文献数
14

近年,マルチメディア情報を有効に活用する重要性が増すにつれ,テレビ映像の自動要約に関する研究がさかんに行われつつある.本論文では,料理映像を対象にした自動要約手法を提案し,検討する.我々は料理映像要約の目的を,調理の全体的な流れを視覚的・直感的に理解するのに十分な映像を作成することとしている.要約映像を作成する際には,映像の重要部分を抽出することが必要となるが,料理映像においては,調理動作および料理や食材の状態を示す部分が特に重要である.これらは画像全体の動きの激しさと関連があることから,オプティカルフローによりこれらの重要部分を検出する手法およびカメラワーク(パン)を除去する手法を提案し,評価実験によりその有効性を示した.さらに,この手法によって抽出された重要部分と,調理動作の中でも特に重要な繰返し動作部分から料理映像要約を生成するアプリケーションを実装した.放送局の異なる複数の料理番組に提案手法を適用し,要約映像を自動生成した結果,要約映像は十分に調理手順の内容を保ちつつ,元の映像の1/8 から1/12 の時間に短縮できた.また,自動要約した映像の一部を,番組制作者によって作成された要約映像と比較することにより,本手法の有効性を確認した.Re flecting the increasing importance of handling multimedia data efficiently, many studies are made on automatic abstraction of television broadcast video. In this paper, we propose a method to abstract cooking videos. We de fine cooking video abstraction as shrinking videos maintaining sufficient understandability of general cooking procedures visually and intuitively. To abstract a video, important sub-shot segments need to be extracted from the original video. Important segments in a cooking video are considered as cooking motions and appearances of foods, since visual information that represents essential cooking operation is exceptionally important. These segments have typical motion-related features. Thus,a method to extract such important segments referring to the intensity of motion in the image is proposed. Effectiveness of the method is shown through evaluation experiments. We also implemented an abstracted cooking video browser that assembles important segments detected by the proposed methods and repetitious motions that is especially important among cooking motions. The resultant abstracted videos were about 1/8 to 1/12 of the original videos in time, maintaining the understandability of cooking procedures. And the validity of the abstraction method was checked by comparing some automatic abstracted videos with abstracted videos provided from the broadcaster.
著者
三浦 真司
雑誌
オイコノミカ (ISSN:03891364)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.143-157, 2007-11-01
著者
三浦 衛 酒井 修二 石井 純平 山尾 創輔 伊藤 康一 青木 孝文
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.J135-J143, 2014 (Released:2014-03-25)
参考文献数
31

A method is presented for measuring accurate and dense 3D shapes of an object from two views captured with a moving consumer digital camera. Since existing 3D measurement systems require special and expensive measurement equipment such as laser scanners or technical knowledge such as camera calibration, it is difficult for ordinary consumers to use existing systems practically in their daily life. An easy-to-use 3D measurement system was achieved by using a Structure from Motion algorithm based on feature matching to estimate camera parameters and area-based matching to determine an accurate and dense correspondence. Experiments demonstrated that the proposed method makes it possible to measure a 3D shape with accuracy comparable to that of a laser scanner.
著者
斉藤 正一 中村 人史 三浦 直美 三河 孝一 小野瀬 浩司
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.58-61, 2001-02-16
被引用文献数
4

山形県内のナラ類の集団枯損被害地で, カシノナガキクイムシの脱出状況と被害木の枯死経過を6年間調査し, カシノナガキクイムシと枯死に関与する特定の菌類(仮称ナラ菌)の動態に関する試験を行って, これらの相互関係を検討した。カシノナガキクイムシは, 6月下旬に短期間かつ大量に羽化脱出し健全木に穿入して, 8月上旬に被害木は枯死することが確認された。また, 羽化脱出初期の時期と枯死に関する時間的経過との間には有意な関係が見出された。ナラ菌伝搬に関する実験と時期別のナラ菌の接種試験の結果から, カシノナガキクイムシは枯死に関与するナラ菌を樹幹内に伝搬し, 羽化脱出初期の時期と同様の接種時期にのみ枯死が発生したことから, ナラ類の枯死経過には, カシノナガキクイムシの穿入と伝搬されたナラ菌の樹幹内での動態が関連することが強く示唆された。
著者
村山 綾 三浦 麻子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.86, no.1, pp.1-9, 2015
被引用文献数
5

This study defined Belief in Just World (BJW) multidimensionally and investigated the effects of Belief in Immanent Justice (BIJ) and Belief in Ultimate Justice (BUJ) on victim derogation and draconian punishment of perpetrators. Study 1 tested the validity of the multidimensional structure of BJW and demonstrated relationships between BJW and other psychological variables. In Study 2, we measured the reactions to the victim and perpetrator in an injury case reported in a news article, and evaluated the relationships of these reactions to BIJ and BUJ. The results revealed that BIJ was associated with a preference in draconian punishment of the perpetrator, while BUJ was associated with dissociation from the victim (a type of victim derogation). In addition, as hypothesized, we found that dehumanization of the perpetrator partially mediated the relationship between BIJ and victim derogation. We discussed relationships between the two types of BJW and just-world maintenance strategies in the situation where a victim and a perpetrator are both recognized.
著者
伊藤 靖 三浦 浩 押谷 美由紀 深瀬 一之 柳瀬 知之
出版者
日本水産工学会
雑誌
水産工学 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.91-100, 2007-11-15
被引用文献数
1

森林は水源涵養や土砂流出防止、CO2固定等の公益的機能を有しており、自然環境保全に果たす役割は大きい。また、これらの機能維持のためには生産林等を中心とした間伐などの適切な森林整備が不可欠である。森林の間伐によって発生する木材を再利用することは、循環型社会の形成を推進する観点からも重要であると考えられる。こうした背景から、魚礁事業においても間伐材を導入する動きがみられている。一般に魚礁における間伐材の利用は魚類の蝟集や、餌料生物の増殖等の効果を期待するものである。その一方で、間伐材の魚礁部材としての特性や利活用に際しての基礎的知見が十分に集約、整理されていないのが現状である。そこで、本研究では、魚礁事業における間伐材の活用方策を策定するための基礎資料を得る目的で、間伐材を用いた魚礁試験を実施するとともに、アンケート調査によって得た全国各地の事例の整理を行った。
著者
三浦 耕吉郎
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.93-95, 2014-02-28 (Released:2015-04-10)
著者
遠藤 章 沖 雄一 三浦 太一 神田 征夫 近藤 健次郎
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.210-218, 1997-03-30 (Released:2009-03-31)
参考文献数
35

現在,各国において種々の大強度高エネルギー加速器施設の建設計画が進められており,加速器を利用して得られる様々な放射線を用いた研究が,今後ますます盛んになることが予想される。大型加速器施設では,加速器の運転に伴い発生する高エネルギー放射線と,それにより生成される放射化物などに対する安全対策が重要になるが,原子炉施設とは異なる加速器施設特有の問題もある。本稿では,その一つである高エネルギー加速器施設における放射化と,それに基づく内部被ばくの問題について,加速器施設の安全管理の経験から得られた知見を中心に紹介する。