著者
本橋 智光 平野 友信 奥村 恒介 樫山 真紀子 市川 太祐 上野 太郎
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.576-587, 2019-07-15

ブロックチェーン技術は非金融領域を含む幅広い分野への応用が期待され,データ駆動型社会を実現するための基盤技術となりうるものである.医療分野においては,社会保障費の急増や超高齢社会といった社会課題とともに,臨床試験データの改ざんや高額医薬品の問題が顕在化している.我々は,これまでにソフトウェア医療機器の承認を目指した不眠症治療用デジタル医療の開発を行い,規制当局の監督の下,臨床試験と治験を進めてきた.その中で,ブロックチェーン技術を活用した治験プラットフォームを開発することで上記課題を解決することに取り組み,実証試験と技術開発を重ねてきた.本稿では,医療分野における課題とブロックチェーン技術の医療応用の現状について概観するとともに,我々の取り組み事例を紹介する.
著者
上野 善久
出版者
The Academic Association for Organizational Science
雑誌
組織学会大会論文集 (ISSN:21868530)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.142-147, 2018 (Released:2018-12-27)
参考文献数
7

This study extracts hypothetical components to build an M&A reference for top managers of small to medium-sized enterprises through case analyses of 43 business units (BUs) acquired by five small to medium-sized headquarters (HQ) in mature industries. Special attention is paid toward the unintended outcomes of the M&A application. This comparative approach explains why the same HQ succeeded in utilizing its competences in a BU, whereas it failed in another. It also explains why for one HQ, the same BU generated bounties, whereas for another HQ, it remained barren. First, in order to determine useful resources in a newly acquired BU that can become future core competences for the HQ, the HQ must be furnished with the capabilities of optimizing its resource allocation across organizational boundaries. Second, in order to apply its competence(s) to a newly acquired BU, the dominant logic of the HQ must suit that specific business.
著者
桶河 華代 田村 恵 上野 範子 オエガワ カヨ タムラ メグミ ウエノ ノリコ Okegawa Kayo Tamura Megumi Ueno Noriko
雑誌
聖泉看護学研究 = Seisen journal of nursing studies
巻号頁・発行日
vol.1, pp.53-61, 2012-04

背景 近年, 看護職において, 長く働き続けられる環境づくりを進めるために, ワーク・ライフ・バランスの実現に向けての取り組みが行なわれている. 目的 A県における訪問看護ステーションのオンコール体制の実態を明らかにし, ワーク・ライフ・バランスを検討するための基礎的資料とすることを目的とした. 方法 A県にある70か所の訪問看護ステーションの管理者宛てに, 無記名自記式質問紙調査を送付し, 39か所 (55.7%) から有効回答を得た. 結果 A県にある39か所のステーションにおける1事業所当たりの平均看護師数は6.0±5.6人であり, 全国平均の4.2人と比べると多く, 規模別においては, 中規模事業所が77%を占めていた. 24時間対応体制加算は, 34か所 (87%) が取られているが, オンコール体制に関する規約や手当がない事業所もあった. また, オンコール体制はほとんどが常勤職員で担っており, 管理者の待機日数は, 大規模事業所に比べて小規模および中規模事業所の方が多かった. 考察 オンコール体制が, 在宅看護の重要な機能として捉えている一方で, 訪問看護師の高い離職率や人材確保の難しさの一因となっていることが考えられた. 今後は, 法的根拠に基づいた規約の整備が望まれる. また, 管理者個人が意識化し, 個々のステーションでワーク・ライフ・バランスの取り組みが必要である. 結論 オンコール体制のあり方や職員への指導等を考える資料を得ることができたので, 待機手当のないステーションに手当を提案し, 継続した調査を行う.
著者
上野 恭裕
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.21-32, 2004-03-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
29

現在の日本企業は事業集中を進めているが,関連型多角化も行われている.組織構造は事業部制組織が一般的だが,職能別組織も依然として重要な地位を占めている.また事業部制組織も欧米のものとは異なり,分権化の程度は低く,日本独特の混合型も多く存在する.組織は戦略に従うという命題は支持されるが,組織構造には多様性も存在する.日本企業は環境の変化に対応して組織改革を行っており,その道筋は多様である.
著者
上野 昌之
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.153-161, 2020-03-31 (Released:2020-05-21)

アイヌ文化振興法のもとで始まった「伝統的生活空間(イオル)の再生」が行われている。イオル再生事業とはアイヌ民族が古来伝統的な生活の場と考えてきた空間を復元し、アイヌ文化を伝承していこうというものである。その中でアイヌ民族の受け継いできた知恵(ウパシクマ)の継承をめざし、伝承者を育成していこうという事業が白老で行われている。アイヌ民族の儀式がアイヌ語ででき、舞踏や工芸、自然に関する知識など様々なアイヌ文化を伝承し、普及していく人材の育成が行われている。アイヌ民族の若者が、3年間の専門教育を受け伝統的なアイヌ文化を学んでいる。すでに第4期目となり、これまでに優秀な人材が輩出され教育や文化伝承などで活躍している。ここではアイヌ文化伝承者育成事業の学習カリキュラムを分析することでアイヌ民族の伝承活動のあり方、事業の趣旨を明らかにし、後継者の育成の観点からこの事業の持つ問題点と課題を考察する。
著者
室崎 生子 小伊藤 亜希子 中島 明子 上野 勝代 吉村 恵 松尾 光洋
出版者
平安女学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

建築・都市計画分野における女性の専門職比率、昇格実態などを把握するために、14年度に都道府県を対象に、15年度には、東京23区を対象に、アンケート調査を実施し、社会進出状況と昇格における男女差の実態を把握した。建築・都市計画分野における女性の専門職の採用は近年、増加の傾向にあることは把握できたが、建築・都市計画分野における女子学生の増加率に比べれば、その増加を反映したものとはなっていないといえる。また、昇格に対しては男女差別が存在しており、等しく昇格試験が受けられる自治体と不明瞭なところとがある。大学における教員比率についても、女子学生の増加に対応したものとなっていないこともわかっており、採用や昇格における改善はエンパワメント政策上の課題であることが確認できた。また、国外比較事例として、1年度は韓国、2年度はイギリス、フィンランドを対象とし、ジェンダーエンパワメントの実態を調査した。いずれの国でも建築・都市計画分野において女性が増加してきており、先進的に活躍する女性たちが存在することが感じられたが、いずれの国においてもジェンダーによる影響が皆無ということはなく、引き続き国際的にも課題であることも確認できた。女性政策や社会の発展からすると後発とも言える韓国は、民主化政策の中で急速に女性政策が進展した国である。韓国調査からは、有効な政策を打つことで、エンパワメントがはかれることが示唆された。ジェンダーエンパワメントが高いフィンランドでは、福祉制度や女性政策が進んでおり、働く環境がととのっていることが、初期から中期のポストでの差がない状態を生んでいることが理解できた。また、養成課程での女性比率が社会進出に反映するなどエンパワメントの実態を目の当たりにすることができた。イギリスにおいては、女子学生の増加に見合った女性建築職の進出の場や活躍の場が少ないなど日本の状況とにており、社会的に活躍できにくい状況の解明調査に取り組んでいるところであった。民間企業に勤める建築専門職の実態調査等が、今後の課題としてのこった。労働政策、福祉政策、女性政策等の連携なしに建築専門職分野のエンパワメントもありえず、総合的視野からの改善ときめ細かなところからの支援改善を連携する提言をしていくことが課題である。
著者
中尾 聡志 上野 将之 野村 卓生 池田 幸雄 末廣 正 公文 義雄 杉浦 哲郎
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.116-117, 2010-04-20 (Released:2018-08-25)

本研究の目的は,有酸素運動が実施困難な糖尿病患者に対し実施可能,かつ糖代謝改善に有効な理学療法(物理療法)を検討することであり,その基礎的研究として,健常成人の安静時・神経筋電気刺激後の血糖値およびインスリン値を比較検討することである。対象は健常成人20名とした。方法は連続した2日間にて安静時・神経筋電気刺激時の2条件において75gのブドウ糖を経口摂取し糖負荷後0分・30分・60分・90分・120分時の血糖値・インスリン値を測定した。結果より神経筋電気刺激群は糖負荷後30分時の血糖値・60分時のインスリン値が安静群と比較し有意に低下しており,神経筋電気刺激による血糖上昇抑制効果が認められた。本研究結果より健常人において神経筋電気刺激により血糖上昇抑制効果が期待できることが示された。今後,糖尿病患者において有効性を検討する必要がある。
著者
吉田 憲司 赤塚 純一 石塚 只夫 伊藤 健 岩堀 豊 上野 篤史 郭 東潤 小島 孝之 進藤 重美 高戸谷 健 田口 秀之 多田 章 徳川 直子 富田 博史 中 右介 仲田 靖 永吉 力 野口 正芳 平野 義鎭 二村 尚夫 堀之内 茂 本田 雅久 牧野 好和 水野 拓哉 水野 洋 村上 哲 村上 義隆 山本 一臣 渡辺 安 大貫 武 鈴木 広一 二宮 哲次郎 静粛超音速研究機開発チーム Yoshida Kenji Akatsuka Junichi Ishizuka Tadao Ito Takeshi Iwahori Yutaka Ueno Atsushi Kwak Dong-Youn Kojima Takayuki Shindo Shigemi Takatoya Takeshi Taguchi Hideyuki Tada Akira Tokugawa Naoko Tomita Hiroshi Naka Yusuke Nakata Yasushi Nagayoshi Tsutomu Noguchi Masayoshi Hirano Yoshiyasu Futamura Hisao Horinouchi Shigeru Honda Masahiro Makino Yoshikazu Mizuno Takuya Mizuno Hiroshi Murakami Akira Murakami Yoshitaka Yamamoto Kazuomi Watanabe Yasushi Onuki Takeshi Suzuki Hirokazu Ninomiya Tetsujiro S3TD Design Team
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発資料 = JAXA Research and Development Memorandum (ISSN:13491121)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-RM-10-007, 2010-07-10

宇宙航空研究開発機構では,将来のブレイクスルーとしての超音速旅客機実現を目指し2005年10月に飛行実験に成功した小型超音速実験機(NEXST-1)に引き続き,新たな飛行実験プロジェクトとして,2006年度より「静粛超音速研究機」(S3TD:Silent SuperSonic Technology Demonstrator)の予備設計に着手し,2008年~2009年度に基本設計を実施した.S3TDは,完全自律離着陸及び超音速飛行可能な無人機で,ソニックブーム低減技術を飛行実証することを目的としたものである.本報告書では,超音速飛行実験計画及び飛行実験システム(研究機システム及び実験場システム)の設計検討について,JAXAが独自に検討した成果及びJAXAとプライムメーカの契約に基づき実施された成果をまとめる.
著者
小林 篤 上野 耕平 藤岡 洋
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.91, no.7, pp.411-415, 2022-07-01 (Released:2022-07-01)
参考文献数
36

窒化ニオブ(NbN)は,単一光子検出器や量子ビットに搭載されている超伝導材料である.興味深いことに,NbNはワイドギャップ半導体AlNと格子整合性が高いため,両材料の持つ機能をエピタキシャル成長によって融合できる可能性がある.しかしながら,AlNをはじめとする窒化物半導体にエピタキシャル成長させたNbN薄膜の基礎的な特性には不明な点が多い.本稿では,スパッタ法でAlN上に成長させたNbN薄膜の構造特性と電気特性について紹介する.さらに,AlNとNbNの結晶構造の相違がNbNの双晶を生み出すメカニズムを示し,NbN双晶の制御技術についても紹介する.
著者
田端 洋貴 藤田 修平 脇野 昌司 辻本 晴俊 中村 雄作 阪本 光 上野 周一
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0842, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】当院では2015年10月よりロボットスーツHAL FL-05(以下HAL)を導入し運用を開始している。近年HALに関する報告は散見するが,神経難病に対する効果についての報告は僅少である。そこで当院における神経難病患者に対するHAL導入効果を検討したので報告する。【方法】HAL導入基準は,歩行補助具の有無や種類に関わらず,見守りまたは自立して10m歩行可能な神経難病疾患とした。対象は11例(男性5名,女性6名),平均年齢54.8±18.3歳で,対象疾患は,脊髄小脳変性症7例,筋ジストロフィー1名,筋萎縮性側索硬化症1名,多発性硬化症2名であった。1患者当りのHAL歩行練習実施時間は,着脱を併せて1回60分,アシスト量は被験者が快適に感じ,且つ理学療法士が歩容を確認しながら適宜調整した。歩行練習には,転倒防止の為にAll in oneを使用し,実施回数は1患者当り平均12.4±3.7回であった。測定項目は,歩行評価として10m最大歩行速度,バランス評価としてTimed Up and Go test(以下TUG)をHAL実施前(HAL前)とリハビリ終了後(HAL後)に測定した。統計学的分析にはWilcoxonの符号付き順位検定にて有意水準は5%未満とした。【結果】10m最大歩行速度は,HAL前0.75±0.31m/s,HAL後0.99±0.38m/s,歩幅は,HAL前0.45±0.11m,HAL後0.51±0.11m,歩行率は,HAL前95.7±28.8 steps/min,HAL後113.2±27.2steps/minであった。TUGはHAL前25.9±24.4s,HAL後17.4±9.7sであった。HALによるリハビリにより歩行速度や歩幅,歩行率などの歩行パフォーマンスと,バランス指標であるTUGにおいて有意な改善を示した。歩行速度の向上には歩幅と歩行率の改善が寄与するとされ,HALは荷重センサーにより重心移動を円滑に行わせ,律動的で一定の正確な歩行リズム形成により歩行率を高め,歩容などが改善した結果歩行速度が向上したと考えられた。また歩行速度の向上に求められるトレーニング要素としてはトレーニング量があり,HALが歩行アシストする事で身体にかかる負担が軽減された事により,歩行速度向上に繋がる十分な練習量の獲得が,過用・誤用症候群の出現なく達成出来たものと考える。【結論】神経難病は多くが進行性で,確立した治療法が無く,早期からのリハビリテーションによる機能維持が重要である。今回の結果から,HALによる歩行練習により歩行能力,バランス能力に改善効果を認めた。この事は,ADLやQOLの維持・向上につながり,神経難病に対する有効なリハビリテーションツールの1つとして非常に意義のあるものと考える。今後は,より効果の高い具体的な介入方法などを検証し,有効的なHALの使用方法の確立を目指していく。
著者
上野辰義著
出版者
和泉書院
巻号頁・発行日
2022