著者
村岡 伸哉 上野 豊 佐藤 哲大 小野 直亮 杉浦 忠男 金谷 重彦
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第37回情報化学討論会 豊橋
巻号頁・発行日
pp.O04, 2014 (Released:2014-11-20)
参考文献数
4

生体内高分子の反応を可視化する分子アニメーション作成には、静的な分子モデルが採用され、分子の動的な特性を考慮しにくいのが現状である。本研究では、高分子の基準振動解析の結果を用い、熱揺らぎを考慮した動的なモデルを構築する手法を考案したので、その結果について議論したい。
著者
楠 健志 上野 健一
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.913-926, 2022 (Released:2022-11-30)
参考文献数
59
被引用文献数
3

夜間の気温逆転(NTI)は山岳域の局地気候を特徴づける重要な因子である。中部日本におけるほとんどの山岳斜面は森林で覆われているが、森林の開葉・落葉が盆地内のNTIに及ぼす影響は解明されていない。長野県菅平高原の標高1320mに位置する混交林で、3年間にわたり葉面積指数(LAI)を観測したところ、盆地内のNTIは開葉に伴い弱化し、落葉に伴い強化する事が明らかとなった。数値標高・土地利用データを用いて、夜間冷気流が生じる流域内の落葉・混交林の分布を特定した。有効積算気温に基づき推定した流域スケールでの開葉・落葉時期は、NTI変化とほぼ一致した。微気象観測によると、林床でのNTIと近隣草原での斜面下降風は放射冷却が卓越した落葉期夜間に強化した。春季落葉期間と夏季開葉期間で夜間静穏晴天日をそれぞれ22日、30日分抽出した。冷気湖の発達に必要となる損失熱量を推定し、森林域での貯熱フラックスに変換した。貯熱フラックスは落葉期に比べて開葉期が3.8W m -2増加し、従来の研究で推定されている森林の貯熱量(数10W m -2)より少量となった。これは、開葉に伴う森林の貯熱量増加が夜間の放射冷却量を相殺し林床での重力流を弱めている事を示唆している。
著者
佐藤 隆広 石上 悦朗 西山 博幸 絵所 秀紀 加藤 篤行 西尾 圭一郎 長田 華子 宇根 義己 鎌田 伊佐生 内川 秀二 安保 哲夫 上野 正樹 上池 あつ子
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

代表のわたしは、日本的生産経営システムの海外移転を評価するハイブリットモデルにもとづく現地調査をインド西部地域で実施することができた。調査を行った8社についての会社記録を作成し、インドにおけるハイブリット調査のデータベースを拡充することができた。また、分担研究者と連携研究者は、バングラデシュ・インドのコルカタの繊維産業調査、インド・アーメダバードとスーラットの繊維産業・共同組合調査、インド・デリー首都圏の繊維産業・自動車産業調査などを行うことができた。研究開始年に相応しいパイロット的な調査を複数実施できたことを特記しておきたい。研究業績としては、代表のわたしは、『商工中金』にインド進出日系中小企業の実態(2013-14年調査)を分析した論文と『経済志林』に経済産業省個票データを利用して1995~2014年度までのインド進出日系企業の動向を分析した論文を公表できた。これら2つの論文によって、インド進出日系企業の歴史的推移とその特徴を明らかにし、本共同研究の土台を構築することができた。また、分担研究者や連携研究者は、国際価値連鎖(GVC)分野においてインドのタイヤ産業や製薬産業に関して複数の論文を執筆し、新新貿易理論に関する理論的・実証的研究も複数本公表している(そのうちの1本はQuarterly Review of Economics and Financeに掲載された)。また、新しい政治経済学(NPE)分野ではインドの地主の政治力に関する実証的な研究が公表された。このほか、経営学分野では『国際ビジネス研究』にインドを事例とした新興国戦略に関する論文が掲載されたこと、地域研究分野ではインドのEconomic and Political Weeklyに縫製産業におけるコミュニティの機能を分析した論文が掲載されたことを特筆したい。
著者
上野 祥史
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.185, pp.349-367, 2014-02-28

中国鏡は,弥生時代中期後半から古墳時代前期前半を通じて,継続して日本列島に流入した舶載文物である。北部九州を中心とした弥生時代の鏡分配システムから,近畿地方を中心とした古墳時代の鏡分配システムへの転換は,汎日本列島規模の政体が出現した古墳時代社会の成立過程を考える上で重要な視点を提供する。日本列島内における中国鏡の分配システムの変革という視点で評価を試みた。北部九州を中心とする分配システムは,集積と形態という二つの指標から検討した。集積副葬は漢鏡3期鏡が流入する段階から漢鏡5期鏡が流入する段階,すなわち弥生時代中期後半から後期後半まで継続しており,配布主体と想定できる集積副葬墓が実在するこの期間を通じて分配システムは機能したと論じた。なお,漢鏡3期鏡の序列の継続性を検討すべく,各段階の鏡の形態を検討した結果,早くも後期初頭の漢鏡4期鏡が流入する段階に,流入鏡に大きな変化が生じたことを指摘した。ここを起点に,弥生時代中期後半から後期後半までの期間に日本列島に流入した鏡を中国世界の視点で評価した。この期間における漢鏡の流入は安定性を以て形容されることが多いが,紀元前1世紀後葉に停滞期が介在するなど,決して一様ではないことを指摘したのである。近畿地方を中心とする分配システムについては,その成立時期をめぐる議論を整理し,各地域社会における漢鏡6・7期鏡の保有状況を比較検討することが一つの視座を提供するがあることを主張し,瀬戸内海沿岸・日本海沿岸・近畿地方・近畿地方以東に分けて各地域社会の様相を整理した。その結果,漢鏡6・7期鏡が流入する段階には,瀬戸内海沿岸地域の優位性を保ちつつ,北部九州から関東地方に至るネットワークが存在していたことを指摘した。そこに,卓越した配布主体は見出しにくく,後に卑弥呼を「共立」させる状況にも通ずる,「分有」された状況を想定したのである。漢鏡6・7期鏡が流入する段階は,北部九州で分配システムが終焉を迎え,瀬戸内海ネットワークを中心に汎日本列島規模の紐帯が形成された。2世紀の庄内式期に生じた分配システムの変革を,列島内交易ルートの変質とも関連した一つの画期であることを改めて指摘した。
著者
宮内 俊策 牧 佑歩 上野 剛 杉本 龍士郎 山下 素弘 高畑 浩之
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.598-603, 2017-07-15 (Released:2017-07-15)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

CT上,肺切除後のステープルラインにconsolidationを認める症例はしばしば経験する.今回,肺癌術後のステープルラインに増大する結節影を認め,切除を行った症例を経験したので報告する.症例1は77歳,男性.66歳時に右中葉,下葉肺癌に対して右中葉切除術,下葉部分切除術施行し,pStage IAの腺癌であった.経過観察中に右下葉S6のステープル近傍に結節影が出現し,経過のCTで増大傾向を認めたため右開胸S6区域切除術施行し,術後病理診断では炎症性変化の診断であった.症例2は66歳,男性.62歳時に左上葉肺癌に対して左上区域切除術施行し,pStage IAの腺癌であった.経過観察中に左肺門部に結節影が出現したため残存舌区域切除術施行し,術後病理診断では非結核性抗酸菌症の診断であった.本症例のような病態はステープル使用に伴う合併症として認識すべきである.
著者
上野 祐樹 今冨 亜樹絵 増田 光敏 松尾 芳樹
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.231-239, 2022 (Released:2022-04-22)
参考文献数
18

A mobile robot used in homes and offices are required to be able to move around without getting stuck in an environment with various obstacles such as people and furniture, in addition, not to hurt or damage them if it strikes against them. A robot with a spherical body is an effective means to fulfill these requirements. In this study, such a spherical mobile robot that drives a spherical shell with an internal drive unit and can move in all directions is considered. The authors' have proposed a spherical mobile robot driven by an internal unit with three omni-wheels in the past studies. First, this paper describes the structure of a newly developed experimental spherical mobile robot of the proposed scheme employing three omni-wheels in a specific layout. Second, a kinematic model is derived so that the internal unit can transmit the driving force without slipping with respect to the spherical shell. Third, in order to realize vibration suppression control and velocity control of the sphere, a dynamic model and its analysis, a vibration suppression control method, and a feedback control method of the moving direction and the velocity of the sphere shell are described. The proposed model and the methods were examined using the newly developed spherical mobile robot, and these usefulness and effectiveness are confirmed from experimental results.
著者
中島 章博 上野 佳奈子 坂本 慎一 橘 秀樹
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.73, no.626, pp.415-422, 2008-04-30 (Released:2008-08-20)
参考文献数
13

In Japan, “open-plan” type classroom is becoming popular in elementary schools. Although this planning has various merits for educational activities, sound propagation between adjacent classrooms tends to be a serious acoustical problem. In this study,therefore, the sound propagation between closely located two classrooms connected by an open-space was investigated by numerical simulation using FDTD method. In the simulation, two classrooms and the open-space connecting them were modeled and the configuration of the rooms and sound absorption treatment on the room boundaries were examined. As a result, it has been found that sound absorption treatment on the ceiling and architectural/acoustic treatment for the wall of the open-space which makes mirror-reflection are effective to mitigate the sound propagation between the classrooms.
著者
名倉 泰三 八村 敏志 上野川 修一
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.7-14, 2004 (Released:2005-03-04)
参考文献数
35

アレルギー発症と腸内細菌叢に関する疫学的調査から, ヒト腸内に生息するBifidobacterium やLactobacillus などの乳酸菌がアレルギーの予防に寄与することが推測される. 乳酸菌はTh1免疫応答を亢進させることで, アレルギー発症に関わるTh2免疫応答を抑制することが報告されている. 難消化性オリゴ糖の摂取は, 腸内に住み着いている乳酸菌, 特にBifidobacterium を増殖させることがよく知られている. 我々は, オリゴ糖の一種であるラフィノースがTh1/Th2応答に与える影響について, 卵白アルブミン特異的T細胞レセプタートランスジェニックマウスを使って調べた. トランスジェニックマウスへの卵白アルブミン経口投与によって誘導された腸管膜リンパ節細胞のIL-4産生や血中IgE上昇は, ラフィノース添加食によって有意に抑制された. ラフィノース食によって培養可能なマウス盲腸内細菌の菌数変化が認められなかったため, この免疫応答の変化に関係する腸内細菌の種類は不明であるが, ラフィノースの摂取は, 経口抗原によって誘導される不利益なTh2応答を抑制することが示唆された.
著者
南 宏典 長嵜 寿矢 福岡 宏倫 秋吉 高志 小西 毅 藤本 佳也 長山 聡 福長 洋介 上野 雅資
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.271-278, 2018-04-01 (Released:2018-04-28)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1

症例は49歳の女性で,子宮頸癌IVB期の診断に対して術前化学療法後,開腹広汎子宮全摘および骨盤内リンパ節郭清を施行された.術後放射線化学療法を施行中に腹痛が出現し,腹部造影CTで右外腸骨動脈による絞扼性イレウスの診断となり緊急開腹手術を施行した.術中所見では骨盤内リンパ節郭清によって露出された右外腸骨動静脈,臍動脈,尿管によって形成される間隙に終末回腸が迷入/嵌頓し,絞扼されていた.嵌頓腸管は不可逆的な血流障害を来していたため,絞扼の原因となった脈管を損傷することなく小腸部分切除術を施行し吻合再建した.骨盤内リンパ節郭清時の露出脈管が原因となった絞扼性イレウスの1例を経験したので報告する.