著者
上野 修
出版者
日本ミシェル・アンリ哲学会
雑誌
ミシェル・アンリ研究 (ISSN:21857873)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-13, 2015 (Released:2019-07-12)
参考文献数
7

Le bonheur de Spinoza, a Masters dissertation of young Michel Henry, is of more than a curiosity. It is of great interest in that it betrays its relation so close and yet so far to Baruch de Spinoza’s ontological ethics. In this paper I will discuss how young Michel Henry felt himself akin to Spinoza in respect of the quest for bliss in union with Nature-God, and how he was disappointed with its outcome. Henry sees in Spinoza a contradiction between desire for beatitude and geometrical demonstrations the Ethics deploys to achieve it. He believes this rationalistic vein would rule out any possibility of a sentiment of union by replacing it simply with its pale intellectual concept. I will show the contrary is true. Spinoza’s bliss is essentially linked with the geometrical manner. The eyes of the mind are demonstrations themselves, he says, which alone can make us “feel and experience” our own eternity by means of an eternal vision that leads us to the truth of being as a body in union with Nature-God. In this respect it is Spinoza that is so close to and yet so far from Henry. Finally I will propose to look at the paradoxical figure of Spinoza in the context of contemporary French thought, i.e., in the tension between phenomenology and anti-phenomenology tenets since the late 1930s, where certain Spinozist ideas seem to be present in both camps, such as the pantheistic immanentism we see in Henry on the one side and Jean Cavaillès’ conviction of Spinozan necessitarianism on the other.
著者
上野 勝美 Tamara I. NEMYROVSKA
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.117, no.5, pp.919-932, 2008-10-25 (Released:2010-04-27)
参考文献数
22
被引用文献数
7 8

To better understand and update knowledge of the stratigraphy and foraminiferal and conodont faunal successions of Bashkirian-Moscovian (Pennsylvanian/Upper Carboniferous) boundary intervals in the Donets Basin of Ukraine, we studied the C21 to C26 suites (Limestones F to L) of the following eight stratigraphic sections located in the eastern part of the basin. These are the Karaguz, Volnukhino, Kriven'ky Yar, Rudnya, Zolotaya, and Malonikolaevka sections in Lugansk county and the Soroch'ya and Kholodnaya sections in Donetsk county. Among them, the Malonikolaevka section, which is located about 35km southwest of Lugansk and is documented for the first time in this study, provides important data on the faunal successions of the Bashkirian-Moscovian boundary interval, ranging from Limestones I2 to K3. Both the conodont and fusuline faunas record the appearances in the basal part of the C25 (K) Suite of several new taxa that are more characteristic of the early Moscovian. These forms include Declinognathodus donetzianus at the top of K1 in conodonts and Eofusulina triangula, E. trianguliformis, and a large Neostaffella species (N. vozhgalica) at K2 in fusulines. Thus, the K1-K2 interval is very promising as the potential position of the formal Bashkirian-Moscovian boundary in the Donets Basin. The data from the Malonikolaevka section, together with those from other sections in the present study, would be significant for future investigations of the Task Group to establish a GSSP close to the existing Bashkirian-Moscovian Boundary organized in IUGS Subcommission on Carboniferous Stratigraphy (SCCS).
著者
上野 徳美
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.195-201, 1994-11-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
15

本研究は, 被影響性の性差, すなわち説得の受容や抵抗を規定する受け手の男女差の問題を説得の圧力 (自由への脅威) の強さとの関連において検証することを目的とした。とりわけ, 説得の圧力の大小によって性差の生じ方に違いが認められるか否か, また, 性差が見られる場合, そこにどのような心理的メカニズムが働くかを中心に検討した。実験は, 2 (説得メッセージの圧力: 大, 小) ×2 (受け手の性別: 男, 女) の要因計画に基づいて実施され, 説得メッセージの提示直後に, メッセージに対する反応が多面的に測定された。実験の結果, 説得に対する認知反応 (好意的思考) に関して受け手の性の主効果が見られ, 女性は説得に肯定的な反応を示したのに対して, 男性は否定的な反応を示した。話題に関する意見においては十分に有意ではなかったが, 性の主効果の傾向が認められた。また, 認知反応 (好意的思考と反論の両者) や送り手の評価に関して, 圧力の大きさと受け手の性との交互作用効果があり, 話題に関する意見についても類似の傾向が見られた。すなわち, 説得の圧力が小さい時には性差が認められないのに対して, 圧力が大きい時には女性被験者では説得を受容する反応が見られ, 男性被験者では説得への抵抗が生じた。これらの結果は, 説得による同意への圧力が大きい場合に被影響性の男女差が明瞭になりやすいことを示したものであり, 受け手の性の効果は説得の圧力の強さと相互作用することを強く示唆している。さらに, メッセージ接触中に生じる受け手の認知反応 (好意的, 非好意的思考) や送り手に対する評価が, 被影響性の性差を生み出す媒介過程として関与していることが示唆された。
著者
福井 一喜 金 延景 上野 李佳子 兼子 純
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.59-70, 2016 (Released:2019-05-31)
参考文献数
14
被引用文献数
3

本研究は,長野県佐久市の岩村田本町商店街を事例として,地方都市における中心商店街の取組みを調査することにより,新規店舗の開設と新規事業の創出による商店街活性化の方策を明らかにした.中山道の宿場町として発展した事例商店街では高速交通網の整備にともなって,隣接する郊外地域に大型店中心の商業集積が形成されたものの,それに先んじて商店街組織の世代交代を進め,空き店舗を活用した新規店舗の開設と新規事業創出を進め,地域住民の生活を支援する商業的・社会的機能を再構築した.こうした取組みを成立させることができた方策として,①地域貢献を使命とするビジョンの確立とそれを具現化するリーダーシップ,②その基盤となる世代を中心とした地域的連帯の活用,③新店舗や新事業の創出に向けた外部人材と小規模店舗の積極利用が挙げられる.
著者
山浦 克典 鈴木 昌彦 並木 隆雄 上野 光一
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.135, no.6, pp.235-239, 2010 (Released:2010-06-11)
参考文献数
59
被引用文献数
1 1

2000年に新規同定されたヒスタミンH4受容体は,主に免疫系細胞に発現し免疫反応への関与が示唆されている.我々は関節リウマチ患者の関節滑膜に着目し,マクロファージ様および線維芽細胞様滑膜細胞いずれにもH4受容体が発現していることを確認した.次に,表皮および真皮のH4受容体発現を検討し,表皮においてはケラチノサイトが分化に伴いH4受容体の発現を増強することを,また真皮においては真皮線維芽細胞にH4受容体が発現することを確認した.さらに,皮膚に発現するH4受容体の役割として掻痒反応への関与が示唆されているため,サブスタンスPによるマウス掻痒反応において,H4受容体遮断薬が抗掻痒作用を示すことを確認した.サブスタンスPにより誘発する掻痒反応では,マスト細胞の関与は小さいこと,ケラチノサイトが反応に重要な役割を果たすとされることから,ケラチノサイトに発現するH4受容体を介する掻痒反応機構の存在が示唆された.
著者
内山 成人 木村 弘之 上野 友美 鈴木 淑水 只野 健太郎 石見 佳子
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.221-225, 2007 (Released:2007-08-17)
参考文献数
13
被引用文献数
1

我々がエクオール産生乳酸菌としてヒト腸内より単離したラクトコッカス20-92株は,Lactococcus garvieae(以下Lc. garvieae)と同定された.ラクトコッカス20-92株の安全性評価のために,Lc. garvieaeの食歴およびヒト腸内常在性について検討した.イタリアの伝統的チーズおよび日本人の健常人女性より採取した糞便からのLc. garvieae検出は,Lc. garvieaeに特異的なPCRプライマーを用いたRT-PCR法あるいはリアルタイムPCR法により行った.イタリアおよび日本で入手したイタリア産の伝統的なチーズ7種類(トーマ・ピエモンテーゼ,ラスケーラ,ブラ・ドゥーロ,ブラ・テネーロ,ムラッツアーノ,カステルマーニョ,ロビオラ・ディ・ロッカヴェラーノ),21検体にLc. garvieaeが検出された.また,ヒト糞便サンプル135検体中,49検体にLc. garvieaeが検出された(検出率36.3%).本研究結果より,Lc. garvieaeが伝統的に食されてきたチーズ中に存在していることが確認できたことから,その食歴を明らかにすることができた.さらに,健常人の腸内に常在していることも明らかとなり,Lc. garvieaeの安全性は高いものと考えられた.したがって,ヒト腸内由来のラクトコッカス20-92株も,同様に安全性の高い菌株であることが示唆され,今後,食品としての利用が可能と考えられた.
著者
藤原 由紀子 町田 治彦 田中 功 福井 利佳 平林 望 白石 くみ子 岸田 弘美 森 恵美子 増川 愛 上野 惠子
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.42, no.9, pp.1166-1172, 2010 (Released:2012-04-21)
参考文献数
10

背景および目的: 64列multidetector-row CT(MDCT) 心臓検査は, 非侵襲的に冠動脈の詳細な形態評価が可能であるが, 放射線被曝による発癌リスクの増加が問題視されている. これに対し, 被曝低減技術の活用と画質劣化の回避のため, しばしば, β遮断薬経口投与による心拍数の低減が図られる. 今回, われわれは, 本検査の安全性の評価と合理的なワークフロー確立のため, β遮断薬投与後の心拍数の経時的変化と検査前後の血圧変動について検討した.方法: 対象は, β遮断薬経口投与下に64列MDCT心臓検査前を施行した連続551例. 投与前, 投与後15~90分, 撮影直前の心拍数と投与前と撮影直後の血圧を測定し, 投与前心拍数に応じた最低心拍数到達時間, 心拍数, および血圧低減率, ならびに心拍数40bpm以下の高度徐脈, 急激な血圧低下に伴うショックなどの重篤合併症の出現頻度を検討した.結果: β遮断薬投与後, 心拍数は経時的に低下し, 最低心拍数到達時間は, 投与前心拍数80bpm未満で60分, 80~89bpmで75分, 90bpm以上で90分であり, 心拍数低減率(最低心拍数)は, 投与前心拍数70bpm未満で16.4%(54.9bpm) , 70~79bpmで20.3%(58.2bpm), 80~89bpmで24.4%(62.9bpm), 90bpm以上で27.7%(69.5bpm)であった. 血圧低減率は, 収縮期血圧において, 80bpm未満で4.3%, 80~89bpmで5.0%, 90bpm以上で4.8%, 拡張期血圧においては70bpm未満で0.7%, 70~79bpmで1.5%, 80~89bpmで1.0%, 90bpm以上で2.8%であった. また, 本剤投与による重篤な合併症はなかった.結論: β遮断薬経口投与下MDCT心臓検査は安全に遂行可能であった. また, 投与前心拍数に応じた心拍数の経時的低減効果が判明し, 検査の流れの予測が可能となった. 今後, これらを踏まえ患者の不安の軽減や待機時間の短縮などに生かしていきたい.
著者
上野 宏
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.106-116, 2019 (Released:2019-08-09)
参考文献数
64

Osteopontin (OPN) is a phosphorylated glycoprotein from the family of small integrin-binding ligand N-linked glycoproteins (SIBLINGs). OPN is ubiquitously distributed in many cells and body fluids, and in particular, it is abundantly present in human milk. The biological functions of OPN are featured by the integrin-binding motifs, such as arginine-glycine-aspartic acid and SVVYGLR/SVAYGLK in the protein sequence. Since OPN binds to integrins and is profoundly involved in integrin signaling, it plays important roles in bone development and remodeling, cell adhesion and chemotaxis, and immunologic interactions. Therefore, it is often investigated in relation to immune-related diseases including cancer. OPN derived from cow's milk is considered as a safe food ingredient and is nutritionally comparable to that found in human milk. Hence, it can be a part of breast milk substitutes. However, from the structural or functional viewpoints, OPN in transformed cells representing a pathological feature of cancer shows distinctive molecular behaviors than OPN in milk derived from healthy individuals. This review summarized the structural features, distribution, and nutritional and physiological functions of milk OPN.
著者
柿本 竜治 上野 靖晃 吉田 護
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.I_57-I_68, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
29
被引用文献数
2

「自然災害に対するリスク認知が高くても,そのリスクへの防護行動を取らない」という自然災害リスク認知のパラドックスの存在が指摘されている.このパラドックスの存在は,自然災害リスクの認知を向上させるだけでは,防護行動を促すことが難しいことを意味する.これまでに,防護意図や防護行動の促進および阻害要因を抽出する研究は数多く行われているが,抽出された要因が防護意図や防護行動に与える影響は結果が異なっている.そこで本研究では,リスク認知のパラドックスの解消に向けて,同じ質問項目内容のアンケート調査を6地区で行い,個人の減災行動の地域性や共通性を検証した.その結果,非常持ち出し品の備えを促す上で,リスク認知改善よりむしろ反応コストに関する対処評価認知の改善が地域に共通して有効であることが示唆された.
著者
柿本 竜治 上野 靖晃 吉田 護
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.I_51-I_63, 2016 (Released:2016-12-23)
参考文献数
70
被引用文献数
2 6

「自然災害に対するリスク認知が高くても,そのリスクへの防護行動を取らない.」といった自然災害リスク認知のパラドックスの存在が指摘されている.自然災害リスク認知のパラドックスの存在は,自然災害リスクの認知を向上させるだけでは,そのリスクへの防護行動を促すことが難しいことを意味する.そこで,本研究では,既往研究の中に見られる自然災害リスク認知や減災意識と防護行動との乖離の要因を抽出し,自然災害リスク認知パラドックスの存在を確認する.そして,防護動機理論の枠組みを援用して,研究の視点や枠組みを整理することを通じて,個人の自発的な減災行動の包括的な理解を促すことを目的とする.また,同時に阿蘇市および南阿蘇村で実施された予防的避難の実行状況と自然災害への意識の分析から意識と行動の乖離の要因を探る.
著者
上野 和男
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.106, pp.137-145, 2003-03

この報告は,儒教思想との関連で日本の家族の特質を明らかにしようとする試論である。考察の中心は,日本の家族の構造と祖先祭祀の特質である。家族との関連においては,儒教思想は親子中心主義,父子主義,血縁主義を原理としているといえるが,この3つの原理が日本の家族や祖先祭祀の原理をなしているかが,本報告の課題である。結論として,つぎの3点を指摘できる。第1は,日本には儒教的な親子中心型の家族とは異質な夫婦中心型家族が伝統的に広く存在してきたことである。この意味で儒教的な親子中心主義イデオロギーのみならず,夫婦中心主義イデオロギーも存在してきたのである。第2は,日本の祖先祭祀においては父方先祖のみを祀る形態もあるが,母方や妻方の先祖をも祀る型が広範に存在することである。このことは日本の祖先祭祀が父子主義のみによって貫徹されてきたわけではなかったことを意味している。第3に,日本の家族においては,財産を相続し祖先祭祀を担うのは必ずしも血縁によって結ばれた子供に限定されないこと,また,子供たちのなかでひとりの相続者がきわめて重要な位置を占めてきたことである。したがって,日本の祖先祭祀と家族は伝統的にも現代的にも儒教的な家族イデオロギーのみによって規定され,存在してきたわけではなかったといえよう。儒教的な家族行動規範は,日本社会の基本的な構造が確立した後に部分的に受容されたのであって,これが全面的に日本の家族や祖先祭祀を規定したことはこれまでにはなかったのである。
著者
谷口 真理 上野 真太郎 三根 佳奈子 亀崎 直樹 角道 弘文
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会論文集 (ISSN:24360775)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.17-28, 2021 (Released:2021-06-25)
参考文献数
35

We developed and executed a management plan for the extermination of the invasive turtle Trachemys scripta elegans in a closed water body as a case study in the moats of Sasayama Castle, Tanbasasayama City, Hyogo Prefecture. We captured turtles using 150 traps baited with fish during 11 trapping intervals between July 2015 and September 2015, for a total of 1650 trap nights. We used the number of individuals caught per trap (Catch per Unit Effort, CPUE) as a measure of removal effectiveness and found that the CPUE of the baited traps decreased from 1.10 to 0.10 by the end of trapping in 2015. Since 2016, we used two types of traps, baited traps and basking traps, the latter designed to take advantage of basking behavior. The median CPUE of basking trapswas 1.15, whereas the median CPUE of baited traps was 0.15, indicating that the basking traps were more effective even when baited traps were present. We captured significantly more females than males with baited traps (Chi-squared test, p<0.05), while basking traps used in conjunction with baited traps captured more juveniles (plastron length less than 50 mm) than the total number of individuals captured by basking traps. These findings suggest that for the effective removal of T. s. elegans, it is important to use a combination of different trapping methods.
著者
上野 綾 小林 国之
雑誌
北海道大学農經論叢 (ISSN:03855961)
巻号頁・発行日
vol.74, pp.87-97, 2020-12-31

In recent years, the labor shortage in agriculture has become more serious, and it has become difficult to secure the temporary labor force that has been procured in the region. On the other hand, young people are becoming more interested in rural areas, and the temporary labor force may be an opportunity for exchange between urban and rural areas. In this article, we analyze the acquisition of agricultural part-time workers not only as a means of securing a labor force but also from the perspective of exchange between urban and rural areas in order to discuss a new solution to the problem of securing a labor force in agriculture. This study (1) considers the possibility for agricultural part-time workers to attract people with diverse interests to the region, (2) analyzes the cooperation implementation system between agriculture and other efforts and the host entity, (3) and clarifies the establishment of relationships with the region by people who visit the region through agricultural part-time jobs. When considering an agricultural part-time job as a form of urban-rural exchange, it is necessary for the area that provides the agricultural part-time job to be aware of the interests of employees and to build a business that makes the best use of the characteristics of the area. In addition to farm work hours, it is also important for the employer side to provide opportunities for exchange, such as exchange time and participation in local events.
著者
上野 由紀
出版者
日本マクロエンジニアリング学会
雑誌
MACRO REVIEW (ISSN:09150560)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.97-104, 1998

一般廃棄物は、減量、減容化を目的として、焼却されてきた。今後も当分の間は、焼却に依存せざるをえないであろう。廃棄物が焼却される際に放出される排熱を回収してこれを利用し、発電を行う「ゴミ発電」や「スーパーゴミ発電」が行われている。また、廃棄物を燃料化してゴミ発電に役立てるRDF(固形燃料化)などもある。このようなゴミ発電の燃料となる廃棄物の組成や現在のゴミ発電のもつ矛盾点を環境経済的視点から考察し、検討してみた。 ゴミ発電は、現状では評価することは困難である。しかし、廃棄物の組成は、炭素サイクルから考えれば、タイムスケールの短い物質であり、化石燃料と比較し、環境影響が少ないと思われる。 一方、廃棄物は、減量しなければならないのに対し、ゴミ発電では、廃棄物を燃料とするので一定量が確保されねばならないという矛盾がある。その上、廃棄物が焼却される際の排出物についても問題が多い。 しかし、これらの諸問題をクリアしていけば、ゴミ発電は、清掃事業の一環としても、エネルギー源としても次世代型エネルギーとして将来性があると考えることができる。