著者
上野 義仁 松田 彰
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.890-899, 2003-09-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
59
被引用文献数
2 4

最後に, 筆者らが合成したアナログを含むオリゴヌクレオチドの性質を図11 (+は二本鎖の熱的安定性あるいはヌクレアーゼ耐性が未修飾のオリゴヌクレオチドと比較して高いことを, 一は低いことを示す) にまとめて示した。糖部4ノα位にアミノエチル側鎖を導入したヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドは, 相補鎖RNAとの二本鎖の熱的安定性を若干低下させるものの, エンドおよびエキソの両ヌクレアーゼに対して高い耐性を示すこと, またRNase H活性を誘導することから現在リン酸ジエステル結合型アンチセンス分子として最も有望であると考えている。
著者
上野 貴史
出版者
広島大学大学院文学研究科
雑誌
広島大学大学院文学研究科論集 (ISSN:13477013)
巻号頁・発行日
vol.76, pp.17-40, 2016-12

The Roman Empire, which had ruled a broad region of Western Europe and part of Africa, divided into East and West in 395 C.E., and was invaded by Germanic races, with the West Roman Empire collapsing in 476 C.E. Linguistically, Vulgar Latin, which was used across various regions of the Empire, differentiated into each Romance language, making contact with Germanic languages such as Gothic, Old Frankish, Lombardic, and Old Norse. Through an analysis of cognate sets, this paper demonstrates how Romance vocabulary originating in pre-10th century Proto-Germanic remains in each of the modern Romance languages. Moreover, a large amount of Romance vocabulary entered into Old English from the Norman Conquest of England onwards, and the Romance vocabulary originating in Proto-Germanic naturally blended in with it. This paper examines to what degree Old English vocabulary that derives from Proto-Germanic replaced Romance vocabulary that originated from Proto-Germanic. It aims to display the diachronic influence on Romance languages that derived from the same ancestor as Germanic languages.本稿は2016年8月7日、神戸市立六甲道勤労市民センターで開催された「欧州学フォーラム2016(創立10周年記念専門研究者会議):ヨーロッパの言語と文化と社会」において、「ロマンス語語彙におけるゲルマン語の通時的影響」と題して口頭発表を行ったものに加筆・修正を施したものである。
著者
辻 喜久 渡邉 翼 塩川 雅広 栗田 亮 澤井 勇悟 上野 憲司 塩 せいじ 宇座 徳光 児玉 裕三 小泉 幸司 磯田 裕義 渡邊 祐司 山本 博 千葉 勉
出版者
日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.59-65, 2011 (Released:2011-03-07)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

[背景と目的]脳虚血性疾患では,虚血領域は2種類に分けられ,壊死に至る不可逆性の領域と,虚血であるものの治療によって壊死することなく治癒する可逆性虚血領域である.今回,重症急性膵炎にPerfusion CTを用いれば,可逆性虚血領域が診断できるか検討した. [方法]発症3日以内に,Perfusion CTを撮像した71人の重症急性膵炎患者を対象とした.全ての膵実質を,頭部,体部,尾部に分け,膵血流速度(FV),膵血流量(VD)をPerfusion CT(Single compartment kinetic model)にて測定した.3週間後に造影CTを行い,頭部,体部,尾部がそれぞれ壊死したか診断した. [結果]発症早期に,FV,VDどちらも低下している場合,高率に壊死した.発症早期に,FV,VD片方だけ低下している場合,壊死する場合もあれば,回復する場合もあった.発症早期に,FV,VDどちらも低下していなければ壊死しなかった. [考察]発症早期にFV,VDどちらも低下した実質は高率に壊死し,このような実質は不可逆性膵虚血/早期壊死であると考えられた.単一のParameterのみ低下した実質は,必ずしも壊死しない場合があり,こうした実質は可逆性膵虚血である場合があると考えられた.以上から,複数のPerfusion Parameterを用いることで,可逆性-非可逆性膵虚血を診断しうる可能性があると考えられたが,こうしたPerfusion CTの所見と病理との比較や,用語の定義など,今後の課題であると考えられた.
著者
神山 努 上野 茜 野呂 文行
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.361-375, 2011 (Released:2013-09-14)
参考文献数
90
被引用文献数
1 1

本研究は、発達障害である自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害、学習障害を対象とした育児方法に対する保護者支援の先行研究において、保護者の負担がどの程度考慮されたかを検討することを目的とした。方法に関しては、2005年から2011年までの保護者支援の実践研究64本について、対象者の生活年齢および障害種別の標的行動、実施されたアセスメント、保護者の負担に関する記述の有無について分析した。その結果、保護者の負担に関する記述はいずれも半数以下にとどまり、保護者に関してや、標的行動・介入手続きの選定に関するアセスメントの実施も少なかった。今後の課題として、保護者の負担を考慮する必要があり、介入手続きの学習や実施維持において保護者にかかる負担を軽減するために、保護者の特性や、標的行動介入手続きの選定に関するアセスメントを検討する必要を指摘した。
著者
上野 義栄 平賀 和三 森 義治 小田 耕平
出版者
日本生物工学会
雑誌
生物工学会誌 : seibutsu-kogaku kaishi (ISSN:09193758)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.109-114, 2007
参考文献数
30
被引用文献数
4

古来の発酵法を用いて製造した京漬物,千枚漬けよりγ-アミノ酪酸(GABA)を高生産する乳酸菌が分離され,Lactobacillus sp. L13と同定,命名した.本菌は,増殖にグルタミン酸を要求し,高濃度のグルタミン酸存在下でGABAを高生産した.培養液のpHを酸性(pH5)に維持すると, 800mMのグルタミン酸ナトリウムより81%の変換率で,最大650mM (6.7%)のGABAを生産した.この乳酸菌をスターター菌として使用し,GABAを0.1%含有した千枚漬けを試作した.官能評価の結果,従来の製品よりも風味のすぐれた千枚漬けの製造が可能であることが示された.
著者
上野 徳美 林 智一
出版者
九州地区国立大学間の連携に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
研究論文集-教育系・文系の九州地区国立大学間連携論文集- (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, 2010-09

全人的医療実現のためには、人間の心理や行動、対人関係などを科学的・実証的 に探求する学問である心理学の知識や素養が医師・医学研究者には求められる。本論文では医学教育における心理学の役割を①教養教育、人間性教育、②専門基礎教育、③卒後教育、生涯学習という 3 つの観点から整理するとともに、一例として特色ある授業など、本医学部の心理学教育の実践を報告した。また、今後チャレンジすべき課題として、医学生のメンタルヘルス支援や教育研究環境整備などについて論じた。
著者
上野 敏昭 渡辺 耕造 石川 元一
出版者
日本作物学会関東支部
雑誌
日本作物学会関東支部会報 1 (ISSN:13416359)
巻号頁・発行日
pp.51-52, 1986-12-01 (Released:2017-08-24)

転換畑における麦-大豆体系の繰り返し作付けは、地力の低下や土壌病害虫等による障害の増加により、安定生産が阻害されている。このため転換畑の経過年数と麦、大豆の生育収量について検討し、適切な転換期間を明らかにしようとした。
著者
田村 淳二 上野 昌裕 米岡 智 上田 善之
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.120, no.12, pp.1636-1645, 2000-12-01 (Released:2008-12-19)
参考文献数
16
被引用文献数
2 5

Recently the wind power generation has attracted special interest and many wind power stations are being in service in world. In the wind power stations, induction machines are mostly used as a generator. Since induction machines also have a stabi problem like the transient stability of synchronous machines, it is important to analyze the transient stability of power system includ wind power stations. This paper presents a model of induction generators, develops methods of power flow calculation and transi stability simulation of power system including induction generators, and presents considerations on the characteristics of transi stability of induction generators on the basis of numerical simulations.
著者
熊谷 美香 北野 尚美 小松 枝里香 道場 浩幸 上野 雅巳
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.116-124, 2018 (Released:2018-04-03)
参考文献数
19

目的 救急搬送所要時間に悪影響を及ぼす要因のうち,介入可能な要因の1つに,搬送先医療機関の選定に要する時間がある。そこで,本研究では,病院選定が困難だった救急搬送症例について,覚知時刻と覚知場所,救急隊判断程度の特徴を明らかとした。方法 研究期間は2014年1月1日から12月31日の1年間で,和歌山県内で救急車搬送された,小児疾患を除く41,574件を研究対象とした。本研究では,照会回数に欠損値があった129件を除いた41,445件を解析した。照会回数4回以上を病院選定困難として,覚知時刻と覚知場所,救急隊判断程度について,調整オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を二項ロジスティック回帰分析によって計算した。全体と主要診断群分類(Major Diagnostic Category,MDC)で層別化して,外傷・熱傷・中毒,神経系疾患,消化器系疾患・肝臓・胆道・膵臓疾患,呼吸器系疾患,循環器系疾患について解析結果を示した。結果 照会回数の分布は1~12回で,全体の79.6%は1回であり,4回以上は3.5%であった。全体の解析では,照会回数4回以上について,覚知時刻は,平日日勤を基準とした場合に,その他いずれの時間帯も有意に照会回数4回以上で,土日祝深夜の調整OR(95%CI)は4.0(3.2-5.0)と最も高かった。また,中等症以下を基準とした場合に,重症以上の調整OR(95%CI)は0.8(0.7-0.9)で,照会回数が有意に3回以下であった。ただし,MDC分類で層別化した解析の結果,外傷・熱傷・中毒の疾患群では,救急隊判断程度が重症以上の調整OR(95%CI)は1.4(1.0-1.8)で照会回数が有意に4回以上であった。結論 和歌山県全域において1年間に救急車搬送された成人全例を対象とした解析で,覚知時刻が土日祝深夜であったことと,救急隊判断程度が中等症以下であったことは,搬送先病院選定の照会回数が4回以上のリスク因子であった。ただし,MDC分類で層別化した解析によって,外傷・熱傷・中毒の疾患群では,救急隊判断程度が重症以上の調整OR(95%CI)が1.4(1.0-1.8)で照会回数が有意に4回以上であった。
著者
高石 静代 朝倉 和子 上野 亮磨 左右内 敏浩 都築 泉 出口 哲也 渡邉 薫
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.180-185, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)

新製品・新事業探索は,企業が持続的な成長をしていく上で必要な取り組みであり,様々な方法が提案・実践されている。本研究では,この新しい手法として「段階的発想法」を考案し,その適用について検討した。段階的発想法とは,共出語を用いてキーワードを段階的につなげて,新製品・新事業につながる発想を広げていく方法である。本研究では,マイクロレンズ製造技術をコア技術として有する実在するK社を題材に,特許,学術文献,新聞,ソーシャルメディア,ウェブ情報から段階的発想法を用いて新製品・新事業の探索を試みた。段階的発想法は,従来法よりも発想を飛躍でき,広い範囲で新製品・新事業を探索できるものと期待される。
著者
酒井 浄 石黒 靖尚 舟越 和久 上野 貢嗣 末宗 洋
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集 26 (ISSN:24331856)
巻号頁・発行日
pp.299-306, 1983-09-15 (Released:2017-08-18)

Variously functionalized cyclopentanones are important as starting materials for the synthesis of natural products. We have succeeded in a simple, highly stereospecific synthesis of five membered ring ketone using Wilkinson complex. Thus, the precursors, 1-al-4-enes(4a-e,11,13) prepared in optically active form from D-limonene, (+)-limonen-10-ol and 1-carvone in three steps were submitted for RhCl(PPh_3)_3-catalyzed cyclization in CH_2Cl_2 to afford the cis-3,4-disubstituted cyclopentanones(14-22) in good yield (Table 2). The following results were obtained in this cyclization. 1) In all cases, the cis-3,4-disubstituted cyclopentanones were stereospecifically obtained as the sole products. 2) The cyclization reaction of the six membered lactols(12,13) was found to proceed very slowly even if at high temperature. 3) The cis-3,4-disubstituted cyclopentanones obtained in this method were also found to be applicable for the synthesis of bicyclic ketone(23). 4) The configurations of 3,4-disubstituents in each compounds were clarified by the way of chemical correlation and spectral analyses. Further application for the synthesis of ent-cis,cis-dihydro-nepetalactone(39) will be discussed.
著者
末宗 洋 上野 貢嗣 川原 哲也 小田 晃造 舟越 和久 酒井 浄
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集 27 (ISSN:24331856)
巻号頁・発行日
pp.108-114, 1985-09-07 (Released:2017-08-18)

In the synthesis of natural products consisting of the basic structure of cyclopentane ring, variously functionalized cyclopentanones are required as starting materials. Previously, we succeeded in a simple, highly stereospecific synthesis of the cis-3,4-disubstituted cyclopentanones by the mild reaction with RhCl(PPh_3)_3. By the application of this newer cyclization reaction, we have succeeded in the synthesis of cis,cis-dihydronepetalactone, prostanoic acid, 8-isoprostanoic acid, (+)-brefeldin A and carbacyclin in the optically active form from limonene or Corey lactone. These compounds were synthesized via the following key steps. 1) 3-(3-Oxobutyl)cyclopentanone was easily converted to the deconjugated bicyclic enone (3→4). 2) The regioselective alkylation of limonene was performed by using s-BuLi-TMEDA (1→8). 3) The cis-3,4-disubstituted cyclopentanone from limonen-10-ol could be converted to the trans-3,4-disubstituted cyclo-pentanone by the epimerization (15→16, 22→23).
著者
上野 善子
出版者
奈良女子大学
雑誌
人間文化研究科年報 (ISSN:09132201)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.89-106, 2013-03-31

Since the child abuse and neglect case judgment in late 1880s, in the United States hasrapidly promoted child protection activity mainly in an urban area. Initially, social recognitionof child abuse and neglect was seen as an often-unwarranted behavior on the intimate sphereof the family. However, after the 1990s, child welfare became the target of social security. In the mid 1990s, visualization technology of the physical abuse became possible dueto the progress of medical science and skills, thus accelerating the movement to prevent childabuse and neglect, which by then had been carefully defined abuse. The issue of child abuseand neglect, in which children are targeted for protection, had been recognized as requiringsimultaneous support for parents and as a family problem.Although the recognition of abuse had been inconsistent among the states, it wasgiven a consistent federal definition by CAPTA in 1974. Along with the federal definition ofabuse, came the improved ability of child protective services to intervene in dysfunctionalfamily as specialists in social welfare with an official position and procedure in the matter.Nevertheless, since the 1990s, when the United States had to deal with financialproblems and the deterioration of security caused by domestic and global poverty following theeconomic crisis, CAPTA was also repeatedly adjusted and modified against the changing social background.
著者
上野 善子
出版者
奈良女子大学
雑誌
奈良女子大学社会学論集 (ISSN:13404032)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.55-72, 2012

In this paper, described in a historical perspective about the medicalization andcriminalization of public awareness of child abuse before medicalization in the U.S.In the early 1960s, pediatrician named H. Kenpe discovered " child abuse " and defined"disease". Then, Child Abuse is increasing concern as a social problem, and it legislation to preventchild abuse proceeds rapidly, the enacted of the Federal Child Abuse Prevention and Treatment Actin 1974. However, before medicalization for the American society, child abuse had been identifiedas delinquent behavior, were subject to corrected.It is usually considered that the child is a menaceof a community, and recognized that a community - juvenile justice system or court of law - has thechildren's rights in this area. The reason in which Mary Ellen's rescue operation succeeded is notthat the public system of right protection of a child was ready. It comes out that this incidentattracts attention in the meaning that it was the transition stage of child protective when privaterescue attempt was performed.This paper describes the historical outline about puritanical United States society(including parents and community) of those days having recognized how about the right of a childand the child itself from ancient times to the 19th century and clarifies the violence probleminvolving the people and the family who were concerned with protection of a child from thehistorical background. A view to the child of those days becomes clear in particular fromconsideration of the Mary Ann Cruise's Judgment and PARENS PATRIAE.This historical analysis is aimed at clarifying the foundation for the newest methodologycoping with a social problem by clarifying the measure and background of the child protection inthe 19th century America which had big influence on child protection activities towards discoveryand prevention of child abuse in the United States of America.