著者
山下 俊一 高村 昇 中島 正洋 サエンコ ウラジミール 光武 範吏
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

チェルノブイリ周辺の海外連携研究拠点を中心に、放射線誘発甲状腺がんの分子疫学調査を継続し、共同シンポやワークショップを開催した。チェルノブイリ甲状腺がん関連の英語単行本を共同出版し、各種招聘事業と被ばく医療研修指導を行なった。放射線誘発甲状腺がんの感受性候補遺伝子群のSNPs解析を中心に、分子疫学調査と分子病理解析を行い新知見を報告した。これらの成果を、福島原発事故後の県民健康調査事業における甲状腺検査の結果解釈に応用し、福島とチェルノブイリの甲状腺癌の違いを臨床像や分子遺伝学的見地から明らかにした。
著者
七條 和子 中島 正洋 高辻 俊宏
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

原爆被爆者について放射性物質が体内に取り込まれたという証拠はない。放射性物質の経口摂取や吸入は発がんリスクの増加に深く関わっている。1945年死亡した長崎原爆被爆者の保存試料に長崎原子爆弾の原料プルトニウムが存在し、70年経った今もなお被爆者の細胞からアルファ放射線を出し続けている画像を撮影した。原爆被爆者の肺、肝臓、骨等のパラフィン標本からは239、240Pu特有のアルファ飛跡パターンが得られ、内部被曝の放射線量は対照群に比べ高く、被爆時の遮蔽と死亡日に関与していた。我々の結果は原子爆弾による内部被曝の科学的証拠を世界に提示し、被爆者の内部被曝の影響を病理学的に研究するひとつの橋頭保となる。
著者
山下 俊一 高村 昇 中島 正洋 光武 範吏 サエンコ ウラジミール 大津留 晶
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

ベラルーシにおける連携研究拠点を基盤としつつ、同時に被ばく集団のコホートをウクライナでも確立、当研究における分子疫学調査は世界でも唯一無二のコホートとなり、その学術的意義は極めて大きい。これにより、散発性甲状腺癌の発症関連遺伝子であるNKX2-1近傍のSNPは、放射線誘発癌との関連は否定的となった。さらに2011年は東日本大震災における福島第一原発事故のため、申請時の計画に加え、震災対応のために、当研究における国際連携ネットワークを活用、チェルノブイリ原発事故で得られたエビデンス、経験を福島での震災対応に活かすことが出来ている。
著者
高村 昇 林田 直美 松田 尚樹 中島 正洋
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

チェルノブイリ事故後、小児甲状腺がんが激増したが、甲状腺がんと甲状腺結節との発生頻度には地域ごとに強い相関があることも示された。そこで我々は、ジトミール州において、事故後のスクリーニングで甲状腺結節を指摘された住民(結節群)と、甲状腺異常を指摘されていない住民を対照群として追跡スクリーニングを行い、甲状腺結節の長期的予後についての臨床疫学研究を行った。その結果結節群では結節数、径ともに有意に増加していたのに対し、対照群では結節の発生は認められなかった。細胞診での悪性は結節群の3例のみであったが、悪性の可能性が否定できない判定困難例を併せるとその割合は対照群より有意に高かった。
著者
山下 俊一 高村 昇 中島 正洋 サエンコ ウラジミール 光武 範吏 鈴木 啓司
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

チェルノブイリ周辺の海外連携研究拠点並びに欧米共同研究機関と共に放射線誘発甲状腺がんの分子疫学調査を以下の項目で推進した。特に、国際社会における専門家交流と学術研究成果の新知見などの意見交換ならびに今後の調査研究推進について国際交流実績を挙げた。① 7月3~5日:ジューネーブにて開催されたThe 15th meeting of WHO REMPANに参加し、チェルノブイリと福島の教訓と今後の研究に向けた協議を行った。8月28~29日:カザフスタンでの第12回国際会議“Ecology, Radiation and Health”、11月22~23日:台湾での第32回中日工程技術検討会、平成30年2月3~4日:長崎での第2回3大学共同利用・共同研究ネットワーク国際シンポジウム、3月2日:ベラルーシにて開催された国際甲状腺がんフォーラム、3月5日:ロシアのメチニコフ国立北西医科大学での世界展開力強化事業に関する調印記念シンポジウム等に参加し、放射線と甲状腺に関する研究成果を発表した。② 共同研究者として平成29年5月~平成29年10月までベラルーシ卒後医学教育アカデミーよりPankratov Oleg先生を客員教授として招聘し、小児甲状腺がん全摘手術後の放射性ヨウ素内用療法の副作用研究を行い、平成29年11月~平成30年3月までロシア・サンクトペテルブルクより北西医科大学のVolkova Elena先生を客員教授として招聘し、内分泌疾患の臨床疫学研究と、日露両国における診断治療法の違いについての比較研究を行なった。チェルノブイリ周辺諸国より6名の研修生を7月13日~8月16日まで受け入れた。サンプリング収集と解析については、チェルノブイリ現地における大規模コホート調査研究を推進し、生体試料収集保存管理のバイオバンク構築維持を引き続き継続している。
著者
中島 正憲
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.75, no.8, pp.941-944, 2009-08-05 (Released:2011-02-07)
参考文献数
6
被引用文献数
1 7
著者
伊東 正博 中島 正洋
出版者
独立行政法人 国立病院機構 長崎医療センター・臨床研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

チェルノブイリ組織バンクに研究期間の3年間に約1,000例の生体試料の登録がなされ、4,288例の組織登録が完了している。被曝甲状腺癌には一つの決まった特徴はなく、被曝形式により形態学的にも分子生物学的にも多様な形態を呈することを報告した。新規に低ヨード環境の影響、成人症例の検討、FOXE1(TTF2)の変異、53BP1核内フォーカスの解析、microRNA解析を継続的に進めている。
著者
山下 俊一 大津留 晶 高村 昇 中島 正洋 光武 範吏 難波 裕幸
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

チェルノブイリ原発事故後激増した小児甲状腺がんの成因と長期健康影響を明らかにする研究目的で、すでに確立した海外拠点との学術交流による分子疫学調査を計画的に推進することができた。特にWHOやNCRP、EUなど欧米の放射線安全防護に係わる国際プログラムに積極的に参画し、低線量被ばくのリスク評価・管理について交流実績を挙げた。旧ソ連3ヶ国(ベラルーシ、ウクライナ、ロシア)における放射能汚染地域の住民データ、生体試料の収集から遺伝子抽出活動を継続し、放射線誘発甲状腺がん疾患関連遺伝子群の探索を行い、候補遺伝子のSNPs多型を解析した。その結果、DNA損傷修復酵素、がん抑制遺伝子群のSNPsの交洛関係を見出した。同時にChernobyl Tissue Bankという国際共同研究体制の運営に継続参画し、放射線誘発甲状腺がんの潜伏期や被ばく時年齢、病理組織像などの違いを詳細に検討し、臨床像の特徴についての解明を試みた。その結果、放射線被ばくによる甲状腺癌は非被ばくの散発性甲状腺がんと比較してもその予後や再発率に大差なく、通常の診断治療指針の遵守による生命予後の良さを明らかにすることができた。網羅的遺伝子解析の途中結果では疾患感受性遺伝子SNPs候補を見出している。上記研究成果は国内外の学会で報告すると同時に、WHOなどの低線量被ばく安全ガイドラインへの取組に保健医療行政上からも貢献している。放射線の外部被ばくによる発がんリスクだけではなく、放射性ヨウ素類の選択的甲状腺内部被ばくにより乳幼児・小児期被ばくのリスクが明らかにされ、今後の原発事故対策や放射線安全防護基準策定の基盤データの整備につながり社会的波及意義が大きいと期待される。
著者
中島 正博
出版者
広島市立大学国際学部
雑誌
広島国際研究 (ISSN:13413546)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.177-192, 2003

This paper considers a man-and-nature relation through a hunter-gatherers lifestyle in the Japanese prehistoric Jomon period. The Jomon people developed their lifestyle by hunting and gathering natural resources in the forests, rivers and seas in the Neolithic Age, when the forest widely regenerated after the glacial period. They utilized natural resources not only by collecting resources but also growing and processing them. Because of these active operations upon the nature, there was strain between man and the nature due to overuses and among peoples for the access to the resources. The Jomon people developed communities where a social order was imbedded to sustain the nature and people's life, i. e. , coexistence of the nature and man. By considering hunter-gatherers lifestyles in the past and present, it is thought that the Jomon people looked upon the nature as cyclic lives repeating life and death and as well as partners whom they had to associate or even negotiate with. Since nature's prosperity was vital for the people's life, they associated with the nature to enhance her prosperity by spiritual attitude of thank, awe and respect with such an expression as offerings. These are Jomon people's views on the nature and life and on their man-and-nature relation.
著者
伊東 正博 サエンコ ウラジミール 中島 正洋 三浦 史郎
出版者
独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

福島第一原発事故後,若年者の甲状腺スクリーニングは世界で初め実施され予想を越える甲状腺癌症例が発見された。その甲状腺癌の増加が放射線の影響かスクリーニング効果か結論は出ていない。チェルノブイリ事故後に多発した小児甲状腺がんでゲノム解析がなされてきたが、放射線特異的な遺伝子異常は未だ見いだされていない。本研究ではチェルノブイリ症例に加えて、福島第一原発事故後に周辺地域の検診で発見され切除された症例を加え、二つの異なる地域と異なる被曝線量を背景とした若年被曝による放射線誘発甲状腺がんの高リスク分子機構を、ゲノムDNA変異解析に加えエピジェネティックな変異解析の両面から解明することを目的としている。
著者
伊東 正博 中島 正洋
出版者
独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究期間中、チェルノブイリ組織バンクに5021例の組織登録が完了した。ヨード環境の異なる本邦とチェルノブイリ周辺地域の被曝歴のない成人の甲状腺乳頭癌症例を用いて病理組織学的検討を行った。チェルノブイリ症例では小児、成人とも充実性成分を有する症例が多くみられ、ヨード環境や遺伝的背景の差が形態形成に差をもたらすこと、放射線感受性を考える上で環境因子が重要であることを報告した。また福島原発事故関連の若年症例では、大部分の症例が古典的乳頭癌形態を呈し、BRAF点突然変異が多く、ret/PTC変異を主とするチェルノブイリ症例とは腫瘍形態、遺伝子変異が大きく異なることを明らかにした。
著者
松山 睦美 蔵重 智美 七條 和子 岡市 協生 平川 宏 三浦 史郎 中島 正洋
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第53回大会
巻号頁・発行日
pp.257, 2010 (Released:2010-12-01)

小児期の甲状腺濾胞上皮は放射線に高感受性で、放射線は甲状腺発がんの危険因子である。一方、被爆者甲状腺癌の大部分は成人期被曝であるが、成人期での放射線外照射の発がんへの影響は一般的に低いとみなされる。ラットでは、成熟甲状腺濾胞上皮に放射線誘発DNA損傷応答とFISH法による転座型遺伝子異常が観察される。本研究では、甲状腺濾胞上皮の放射線感受性に対する年齢の影響を評価するために、放射線外照射後のラット甲状腺の組織変化とp53経路を中心としたDNA損傷応答分子の発現を経時的に解析した。成熟(7~9週齢)雄性Wistarラットに0.1 Gy, 8 GyのX線を外照射後24時間まで、甲状腺を経時的に摘出し解析に供した。対照として放射線高感受性臓器である胸腺を同時に解析した。照射前甲状腺濾胞上皮に増殖マーカーKi-67陽性細胞は2%であり、TUNEL法によって検出される細胞死は照射後甲状腺濾胞上皮細胞に誘導されなかった。一方、未熟(4週齢)ラットでは、照射前甲状腺濾胞上皮のKi-67陽性細胞は10%であり、照射後経時的に減少(3時間5%, 24時間2%)し、8Gy照射後6時間でTUNEL陽性の細胞死が検出された。胸腺では照射後多数のリンパ球にTUNEL陽性細胞死が観察された。Western blot法では、成熟甲状腺で照射後3時間よりp53, Ser15リン酸化p53の発現増加が見られたが、p21, Puma, Cleaved caspase-3発現は有意な変化を認めなかった。DNA二重鎖切断(DSB)後の修復系である非相同末端結合(NHEJ)に機能するKu70は照射後に発現が増加した。成熟甲状腺は、未熟甲状腺や胸腺と異なり、放射線照射後G1期停止や細胞死が誘導されず、DNA DSBはNHEJ により修復されていて、その後の発がん過程に影響している可能性がある。
著者
中島 正淳
出版者
佛教大学
巻号頁・発行日
2023

identifier:HBA12101011607
著者
中島 正夫
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.515-525, 2011 (Released:2014-06-06)
参考文献数
20
被引用文献数
2

目的 既存の資料に記載されている乳幼児体力手帳制度,妊産婦手帳制度,母子手帳制度,母子健康手帳制度の政策意図などを整理し,各手帳制度の公衆衛生行政上の意義について考察することである。方法 厚生省関係通知,関連書籍,および妊産婦手帳制度等の企画立案に従事された瀬木三雄氏の著作物等により,各手帳制度の政策意図などを整理,検討する。結果 (1)乳幼児体力手帳制度:根拠は国民体力法(1942年改正)。1945年度まで実施。乳幼児体力検査受診者に手帳を交付。保健医療従事者が記載した記録を当事者が携帯,その後の保健指導等に役立てた。(2)妊産婦手帳制度:根拠は妊産婦手帳規程(1942年)。妊娠した者が医師または助産婦の証明書を付して地方長官に届出(義務)をすることにより手帳を交付。保健医療従事者が記載した健診等の記録を当事者が携帯,その後の保健指導等に役立てた。一定の妊産保健情報を提供。妊産育児に必要な物資の配給手帳としても利用。(3)母子手帳制度:根拠は児童福祉法(1948年)。(2)を拡充し乳幼児まで対象。手帳交付手続き等は基本的に(2)と同様。乳幼児を対象とした一定の保健情報も追加。配給手帳としての運用は1953年 3 月まで。(4)母子健康手帳制度:根拠は母子保健法(1966年)。妊娠の届出は勧奨(医師等の証明書は不要)とされた。当事者による記録の記載が明確化,また様々な母子保健情報が追加された。結論 各手帳制度の公衆衛生行政上の意義について次のとおり考える。(1)母子保健対象者の把握:乳幼児体力手帳制度以外すべて,(2)妊産婦を早期に義務として医療に結びつけること:妊産婦手帳制度,母子手帳制度,(3)保健医療従事者および当事者が記載した各種記録を当事者が携帯し,その後の的確な支援等に結びつけること:基本的にすべての手帳制度(当事者による記録の記載は母子健康手帳制度で明確化),(4)当事者•家族による妊産婦•乳幼児の健康管理を促すこと:①保健医療従事者が記載した各種記録を当事者が保持;すべての手帳制度,②母子保健情報の提供;乳幼児体力手帳制度以外すべて,③当事者による記録の記載;母子健康手帳制度で明確化,(5)配給手帳として母子栄養を維持すること:妊産婦手帳制度,母子手帳制度。  以上のことから,わが国の手帳制度は,戦時下において主に父権的制度として制定され,その後の社会情勢の変化や保健医療体制の整備などに伴い,当事者の自発的な健康管理を期待する制度へと成熟していったと考えられる。
著者
中島 正夫 内山 哲史 足立 淳 内迫 博幸
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.994-997, 2013 (Released:2013-10-25)
参考文献数
14
被引用文献数
2

症例は49歳,女性.直腸癌,多発肝肺転移に対して原発巣切除D3リンパ節郭清術施行後FOLFOXレジメンによる化学療法を開始した.治療効果としてはRESIST評価上PRであったが,19クール施行後に血小板減少により化学療法が継続不能となった.原因検索として各種検査施行し,オキサリプラチン関連脾腫による血小板減少と診断した.肝転移巣が切除可能となったこと,肺転移巣は制御されていること,以降も継続した化学療法が必要であることを考慮し,肝部分切除術,肝ラジオ波焼灼術,脾臓摘出術を施行した.術後血小板数は速やかに上昇を得て,化学療法を再開・継続することができた.オキサリプラチンは肝の類洞内皮細胞障害・閉塞を引き起こし門脈圧亢進,脾腫をきたす.血小板減少が化学療法継続の律速段階となる場合は,原因として脾腫を鑑別に挙げることが重要である.脾摘によって速やかに血小板数は増加し,化学療法を再開・継続できたことから有用な選択肢の一つとなり得ると考えた.
著者
築山 邦規 田坂 佳千 中島 正光 日野 二郎 中浜 力 沖本 二郎 矢木 晋 副島 林造
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.27, no.12, pp.1556-1561, 1989-12-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
11
被引用文献数
8

小柴胡湯による薬剤誘起性肺炎の1例を報告した. 症例は71歳, 女性で, 肺炎の診断で入院した. 発熱, 咳嗽, 呼吸困難と胸部X線上両肺野にびまん性粒状網状影を認めた. 夏型過敏性肺臓炎を疑い経過観察としたが, さらに増悪傾向を示したため, 薬剤誘起性肺炎を疑い, 全投薬を中止すると共にプレドニンを投与したところ, 臨床症状, 検査所見, 胸部X線は著明に改善した. 経気管支肺生検では間質性肺炎像を呈し, リンパ球刺激試験では小柴胡湯に対し陽性を示した. チャレンジテストで発熱, 低酸素血症, さらに胸部X線上間質性肺炎像の出現を認めたため, 小柴胡湯による薬剤誘起性肺炎と診断した. 当薬剤による薬剤誘起性肺炎の報告は世界で第1例目と思われる.