著者
渡邊 圭祐 宮崎 貴志 片山 哲治 菊田 浩一 中村 夏樹 田中 秀幸 木村 龍範 矢埜 正実
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.375-378, 2012-07-01 (Released:2013-01-16)
参考文献数
15

症例は62歳,男性。下肢静脈瘤に関連した蜂窩織炎にて過去8回の入院歴があり,今回も蜂窩織炎で入院した。入院後まもなく看護師の目の前で突然意識消失するも短時間で意識が回復し,その後1時間あまりの間に6回の心室細動が出現した。ICUに入室し鎮静薬投与および気管挿管後からは心室細動の出現がなく,第2病日に抜管した。ICU入室時の体温は41℃であり,V1,V2誘導で特徴的なcoved型ST上昇を認めた。その後ST上昇は改善するも,Brugada症候群と診断し,埋め込み型除細動器埋め込み術を行った。平常時の心電図はBrugada型の所見は認めず,過去の発熱時の心電図においても軽度ST上昇が認められたが,Brugada症候群と診断するのは不可能であった。発熱を契機に診断されるBrugada症候群の報告は散見され,発熱患者を診る機会の多い集中治療医も銘記しておくべき病態である。
著者
望月 典樹 今永 尚志 中村 壮亮
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.418-420, 2021 (Released:2021-09-23)
参考文献数
10
被引用文献数
2

The authors propose a VR system called “Motion-Less VR”, which does not require motion of the real body. In this paper, we developed a system that enables 2-DoF motion of the shoulder and elbow, and basic experiments were conducted.
著者
三船 毅 中村 隆
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.83-106, 2010 (Released:2017-03-31)
参考文献数
32

衆議院選挙投票率が1996年以降に低水準で推移してきた一因を究明する。戦後日本の衆議院選挙投票率は1993年から急激に低下して1996年に最低投票率を記録した。その後の2000年,2003年の選挙でも投票率は低水準で推移しており,2005年の郵政選挙では有権者の関心も高く投票率は若干上昇したが,この間の投票率は1990年以前の水準とは大きく乖離している。投票率が1996年以降に低水準で推移した一因として,有権者のコウホート効果の存在が考えられ,コウホート効果の析出を行った。分析方法はコウホート分析における識別問題を克服したベイズ型コウホートモデルを用いた。使用したデータは,1969年から2005年までの総務省(自治省)による「衆議院選挙結果調」における年齢別投票率と,明るい選挙推進協会の「衆議院議員総選挙の世論調査」から集計した年齢別投票率である。分析結果から,およそ1961年以降の出生コウホートから投票率を低下させるコウホート効果の存在が確認された。
著者
藤井 博英 山本 春江 角濱 春美 村松 仁 中村 恵子 坂井 郁恵 田崎 博一
出版者
青森県立保健大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

現代医療には、「やまい」を持った時に生じる不安や苦悩への対処ケアが不足していると言われている。青森県地方では、それをシャーマンが補完している実態がある。本研究の目的は、シャーマンのもたらす"癒し"の実態から看護実践に還元できる内容を抽出することである。そこで、いたこのA氏に対して相談内容や、役割についてインタビューを行った。利用者は、病気治療にかぎらず、ふりかかった不幸や災いなど人生の問題場面に幅広く相談していた。それらの相談にイタコは、"口寄せ"により対処し、問題の因果応報を判断して、指示的に関わり行動化させることで"癒し"をもたらしていた。さらに、シャーマンを訪れた経験のある外来患者に対して、シャーマンがもたらす"癒し"について半構成的インタビューを行った。その結果、「対処方法を教えて欲しい」「原因が霊的なたたり、障りでないか判断して欲しい」と望み、「めどが立つ(見通し)」「前向きになれる」「やる気になる」「腹をくくる」などの心情の変化を体験していた。患者の「前向きになれる」「やる気になる」など、力を蓄え、発揮させるというエンパワーメントが行われていた。また、これらに関わる外来看護師に"癒し"について半構成的インタビューを行った。その結果、患者が「癒される」感情を<ホッとする><安らぎ><安心><和む><リラックス>などと捉えており、この対応として<傾聴的な態度><患者に寄せる関心><自己(患者)の存在の承認><その人らしい日常生活が送れるサポート>など行っていた。シャーマンの"癒し"は、ある程度行動を強制することにより「力を与える」方向に、一方ナースは、患者の心情を受け入れ保障する方向に関わっており、患者の必要としている"癒し"は、その両者を含んでいるのではないかと考えられる。
著者
久村 正樹 百瀬 ゆずこ 久野 慎一郎 福島 憲治 有馬 史人 今本 俊郎 大井 秀則 重松 咲智子 中村 元洋 淺野 祥孝 亀田 慎也 橋本 昌幸 安藤 陽児 園田 健一郎 輿水 健治
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.267-270, 2020-03-31 (Released:2020-03-31)
参考文献数
10

症例は44歳男性。救急搬送3カ月前より原因不明の右下腿全体の疼痛を自覚し, 整形外科, 脳神経外科で精査され, 線維筋痛症の診断で整形外科からプレガバリンの投薬治療が開始された。疼痛は改善せず, 程なく睡眠障害を自覚するようになった。救急搬送1週間前からは改善しない疼痛を悲観し, 希死念慮を訴えるようになった。X月Y日, 自宅で頸部と胸部を自ら刺し, 倒れているところを家族に発見され救急搬送された。病着時は心停止であり, 蘇生に反応せず死亡確認した。線維筋痛症は原因が不明の「身体疾患とも精神疾患とも言い切れない」疾患であり心身両面の治療が必要である。本症例は投薬治療のみがされていたが, 救急医療者が線維筋痛症などの慢性疼痛を正しく理解すること, また救急現場から慢性疼痛患者に標準治療を提供することは, 慢性疼痛治療を望ましい方向にするのみならず, 患者の救急医療受診を回避できる可能性があり重要であると考えられた。
著者
中村 知夫
出版者
一般社団法人 日本臓器保存生物医学会
雑誌
Organ Biology (ISSN:13405152)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.21-30, 2019 (Released:2020-03-01)
参考文献数
20

急性期治療の後に, 医療ケアーや, 医療機器を必要とする子どもが増加している. これらの子どもたちは, 初期そして専門医療やその他の保育, 教育, 福祉, 社会サービスを利用することは容易ではない. そのために, これらの子どもたちは今まで病院や施設のみに存在すると考えられていた. しかし, 今まで高齢者が主に利用していた在宅医療を子どもたちが利用できるようになってきている. 近い将来, これらの医療的ケア児も, 地域包括ケアシステムや地域共生社会の恩恵を受けることができることが期待されている.
著者
中村 大輝 松浦 拓也
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.21-24, 2022-03-06 (Released:2022-03-03)
参考文献数
14

多くの先行研究が幼少期の自然体験と将来的な学業変数の関連を指摘しているが,そのほとんどは観察研究のデザインを採用しており,因果効果を検討する上での重要な問題を抱えている.因果効果を検討する上で最も望ましい研究デザインはランダム化比較試験だが,自然体験を行うか否かをランダムに割り付ける研究は実施困難である.このような状況における次善策として,本研究では傾向スコアを用いた因果推論の技法に着目し,観察研究のデータから幼少期の自然体験が持つ因果効果を推定することを目指した.東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が実施している縦断調査である「子どもの生活と学びに関する親子調査」の公開データを用いて,小学校1年生までの自然体験が小学校4年時の理科学習への態度に及ぼす因果効果を検討した.傾向スコアを用いた分析の結果,単発的な幼少期の自然体験の効果は認められない一方で,日常的に習慣化された幼少期の自然体験は,小学校4年時の理科学習への好意的な態度を向上させることが示された.

6 0 0 0 OA 訓蒙図彙 20巻

著者
中村惕斎 編
出版者
山形屋
巻号頁・発行日
vol.[10], 1666
著者
中村 航 古谷 誠章
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.76, no.661, pp.583-591, 2011-03-30 (Released:2011-03-31)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

There is an “Illegality” on people's activity like hawkers on street. It can be considered coexistence of the spontaneous order as “code” and free behavior without restriction from the law. With that background, Hawker's behavior was analyzed through the comparison with the cases of 4 South-East Asian Cities based on following 3 aims.1. To show the effective utilization through a classification of eating activities on the street as an urban public space.2. To discover the “code” developed from hawker's relations between themselves as a making spontaneous order with their unspoken agreement.3. To obvious the relationship between citie's “code“ and people's behavior.
著者
中村 征樹
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2016, no.67, pp.61-79, 2016-04-01 (Released:2017-06-13)
参考文献数
4

After a series of serious misconduct cases uncovered in the previous years, the situation surrounding research misconduct in Japan is changing dramatically. The government stipulated new guidelines for research misconduct in 2014. As such, the research institutions are now required to implement measures to prevent misconduct, including research integrity education. In the face of this rapidly changing situation, it seems imperative to clarify what the research misconduct issues are and to closely examine countermeasures. Research misconduct is principally defined as fabrication, falsification, and plagiarism. But what is wrong with these types of behavior? In the case of plagiarism, it is considered unforgivable not because it poses any real harm or breaches the law, but because it violates the moral norms of the scientific community and damages the ecosystem of scientific research. “Responsible” conduct, which is emphasized in the discourse on research integrity, could be properly understood by considering this intrinsic dimension of research misconduct. Examining the “responsible” authorship issues makes it possible to illuminate another feature of research integrity. While the biomedical community has been elaborating on the criteria for “responsible” authorship, the high energy physics community formulated an alternative model of authorship: collective authorship. This difference stems from a constellation of internal and external factors of a given scientific community. This shows that research integrity is deeply embedded in the economy of scientific research.
著者
望月 響子 新開 真人 中村 香織
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.377-382, 2015-05-31 (Released:2015-09-08)
参考文献数
15

大型高性能リチウム電池の普及に伴い小児のボタン電池誤飲は危険性が増大している。当院におけるボタン電池誤飲例の治療経験をもとに小児のボタン電池誤飲の最近の治療成績と問題点を検討した。対象は1988年1月から2014年10月までに受診した124例とした。3歳以下が92%を占め,診断時の電池滞留部位は食道8%,胃65%,腸27%であった。食道内滞留例は嘔吐・食欲不振・発熱等の症状を有し,2時間以上滞留した例では全身麻酔下内視鏡摘出を要し,食道潰瘍形成を6例で認めた。胃内滞留例ではマグネットチューブによる摘出を原則とし,マグネット非接着例かつ小型電池例は自然排泄させ,大型電池例は内視鏡下に摘出した。小型電池で幽門部損傷により開腹摘出を要した乳児例もあった。小児ボタン電池誤飲では,食道内滞留例は食道壁潰瘍壊死の危険性から緊急摘出を要する。胃内滞留例も乳児や大型電池例では早急な対処が望ましい。