著者
中村 均
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.99-103, 2015 (Released:2020-02-19)
参考文献数
10

シミュレーションの品質保証に関わる技術標準は,シミュレーションモデル構築における予測性能評価を主眼とした「モデルV&V」と解析プロセスの品質保証を目的とした「品質V&V」に分類できる。本報では,両者の根底にあるV&V概念とそれぞれの役割を示すと共に,代表的な技術標準の内容を解説する。さらに日本原子力学会で策定が進んでいるV&Vガイドラインのあらましを紹介する。
著者
中村 好一 松原 優里 笹原 鉄平 古城 隆雄 阿江 竜介 青山 泰子 牧野 伸子 小池 創一 石川 鎮清
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.72-82, 2018 (Released:2018-04-03)
参考文献数
27

目的 地方紙における遺族の自己申告型死亡記事の記載事項を集計し,その地域での死亡やそれに伴う儀式の実態を明らかにするとともに,死亡記事のデータベースとしての利点と問題点を明らかにする。方法 栃木の地方紙である下野新聞の自己申告型死亡記事「おくやみ」欄に掲載された2011~2015年の栃木県内の死亡者全員のデータを集計解析し,一部の結果は人口動態統計と比較した。観察項目は掲載年月日,市町村,住所の表示(市町村名のみ,町名・字まで,番地まで含めた詳細な住所),氏名,性別,死亡年月日,死因,死亡時年齢,通夜・告別式などの名称,通夜などの年月日,告別式などの年月日,喪主と喪主の死亡者との続柄の情報である。結果 観察期間中の掲載死亡者数は69,793人で,同時期の人口動態統計による死亡者数の67.6%であった。人口動態統計と比較した掲載割合は男女で差がなく,小児期には掲載割合が低く,10歳代で高く,20歳台で低下し,以降は年齢とともに上昇していた。市町別の掲載割合は宇都宮市や小山市など都市化が進んだ地域では低く,県東部や北部で高い市町がみられた。最も掲載割合が高かったのは茂木町(88.0%),低かったのは野木町(38.0%)であった。死亡日から通夜や告別式などの日数から,東京などで起こっている火葬場の供給不足に起因する火葬待ち現象は起こっていないことが判明した。六曜の友引の日の告別式はほとんどなく,今後,高齢者の増加に伴う死者の増加によって火葬場の供給不足が起こった場合には,告別式と火葬を切り離して友引に火葬を行うことも解決策の1つと考えられた。死亡者の子供,死亡者の両親,死亡者の子供の配偶者が喪主の場合には,喪主は男の方が多いことが判明した。老衰,自殺,他殺の解析から,掲載された死因の妥当性は低いことが示された。結論 栃木県の地方紙である下野新聞の自己申告型死亡記事「おくやみ」欄の5年分の観察を行い,実態を明らかにした。約3分の2に死亡が掲載されており,データベースとしての使用に一定の価値があると考えられたが,記載された死因の妥当性は低いことが判明した。
著者
中村 禎昭
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.32, no.10, pp.902-904, 1978

近隣諸国間の中波放送の混信を軽減するため, 周波数割当に関する国際協定が締結され, 国内措置としてわが国の中波チャンネルプランが修正された. これにより昭和53年11月23日から, 中波ラジオ放送局の周波数が9kHz間隔に変更されることになり, 準備が進められている.
著者
中村 武夫
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大學大學院紀要 (ISSN:13442422)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.187-216, 1995-03-01
著者
中村 緑佐 本田 亘 宮澤 里紗 中村 文香 深沢 陽平 原田 夏樹 中村 高秋
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.285-289, 2009-04-30 (Released:2010-03-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1

症例は53歳,女性.高校生時に多毛,低身長および生理不順にて先天性副腎過形成(CYP21A2異常症)と診断され以後,ステロイドの内服治療が,また42歳時より2型糖尿病の診断のもとにメトホルミン1,000 mg(朝,夕)の内服治療が開始された.2008年4月下旬より骨粗鬆症による腰痛のためNSAIDs (loxoprofen sodium) 180 mg/日を数週間にわたり内服し,その後より悪心および頻回の嘔吐の症状が出現し,2日後に痙攣発作にて救急搬送となった.入院時JCS; III-200で血糖値23 mg/dl, pH; 6.955, Lac; 106 mg/dl, Cr; 6.97 mg/dl, BUN; 103.7 mg/dl, ACTH; 16.7 pg/ml, コルチゾール24.9 μg/dlで,重症低血糖,乳酸アシドーシスおよび急性腎不全を認めたが副腎不全は認めなかった.入院前より肝機能および腎機能は正常であり,入院時にもalanine aminotransferase (ALT)およびaspartate aminotransferase (AST)値はそれぞれ20, 12 IU/mlと正常で,飲酒の既往歴はなかった.血中乳酸値は輸液管理のみにて改善し第5病日にて正常に回復した.入院時より自然排尿を2,000 ml以上認め,第4病日より血中Cr, BUNは改善傾向を示し,輸液管理のみにて第7病日にCr; 0.64 mg/dl, BUN; 18.2 mg/dlと正常に回復した.本患者は,メトホルミンとloxoprofenの併用により腎機能が悪化し,メトホルミンを排泄できず体内に蓄積した結果,重症低血糖および乳酸アシドーシスを発症したものと考えられた.ステロイド剤を長期にわたり内服している2型糖尿病患者では,ビグアナイド剤使用時の併用薬剤にも注意を喚起する必要があると考えられた.
著者
中村 健正
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.45-52, 2020-01-25 (Released:2020-02-18)
参考文献数
21
被引用文献数
2

目的:回復期リハビリテーション病棟に入棟した高齢脳卒中患者における誤嚥性肺炎の危険因子,誤嚥性肺炎が脳卒中後の摂食状況および日常生活動作の回復に及ぼす影響を明らかにすること.方法:対象は当院回復期リハビリテーション病棟に入棟した脳卒中症例のうち入棟時65歳以上で嚥下障害を有していた463例(80.2±8.1歳).診療録から後方視的に調査項目を抽出し,誤嚥性肺炎の危険因子,誤嚥性肺炎と入院中のfunctional oral intake scale(摂食状況の指標)のレベル上昇および機能的自立度評価法(日常生活動作の指標)の運動項目点数増加(以下,運動FIM利得と略す)の関係について多変量解析を用いて検討した.解析にあたって運動FIM利得は16点以上=1,15点以下=0に変換した.結果:誤嚥性肺炎は52例に発症し,性別(男性のオッズ比(OR)3.07,95%信頼区間(CI)1.59~5.95,P<0.001),入棟時geriatric nutritional risk index(栄養状態の指標,1単位上昇のOR 0.94,95% CI 0.90~0.97,P<0.001),入棟時経管栄養の有無(有りのOR 3.89,95% CI 1.71~8.83,p=0.001)が誤嚥性肺炎の有意な発症予測因子であった.誤嚥性肺炎は入院中のfunctional oral intake scaleレベル上昇の有無を従属変数とした多変量解析で有意な独立変数であり(OR 0.29,95% CI 0.12~0.66,p=0.003),運動FIM利得にも関連していた(OR 0.23,95% CI 0.09~0.55,p=0.001).結論:男性,入棟時低栄養,入棟時経管栄養が誤嚥性肺炎の危険因子であること,誤嚥性肺炎は脳卒中後の摂食状況および日常生活動作の回復に関連することが示唆された.
著者
梶原祥平 中村 滋廷
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.78(2008-MUS-076), pp.15-20, 2008-07-30

筆者が、「誰でも矢沢永吉のライブのステージにおける気分を体験することができる」というコンセプトで制作を行っているインタラクティブ・メディア・アート作品《独りスーパースターマシン》について解説を行う。30 年以上に渡り、ファンを魅了し続けている矢沢の魅力を、詳細に調査・分析し、インタラクティブ・メディア・アート作品として完成させることで、矢沢が持つステージにおける魅力を新たな視点から、さらに深く理解することができると考えた。本研究報告においては、作品の表面的側面だけでなく、音楽情報科学分野にとっても有益と考えられるシステム的・技術的側面にも焦点を当てて論じる。
著者
松宮美奈 向山ゆう子 小林寿絵 中村大輔 髙木寛奈 上杉上 水落和也
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
第49回日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
2014-04-29

【はじめに】線維筋痛症は原因不明の全身疼痛が主症状で,うつ病など精神神経症状・過敏性腸症候群など自律神経症状を随伴する疾患である。2013年の線維筋痛症診療ガイドラインによれば,有病率は人口の1.7%(日本推計200万人)であり,80%が女性で40~50代に多く,10歳前後に多い若年性線維筋痛症(Juvenile Fibromyalgia:JFM)は4.8%のみである。発症要因として外因性と内因性のエピソードがあり,治療はプレガパリンを中心とする疼痛制御分子の標的療法が中心で,運動療法は,成人例に対して長期間に渡り有酸素運動を行い疼痛が軽減した報告がある(エビデンスIIa)が,JFMでは,いまだ確立した治療法がない。JFMでは患児と母親の相互依存性や,まじめ・完璧主義・潔癖主義・柔軟性欠如などコミュニケーション障害を伴う性格特性が特徴であるとも言われており,当院では,小児リウマチセンターにおいてJFMの集学的治療を実践している。その内容は,生活環境からの一時的な隔離を意図した短期入院による母子分離,臨床心理士による心理評価と小児精神科によるカウンセリング,ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(ノイロトロピン®)点滴静注を中心とした薬物療法,そしてリハビリテーション治療である。【目的】本研究の目的は,JFMに対する理学療法(PT)の実施状況と集学的治療による効果を明らかにし,JFMに対するPTの課題を明確にすることにある。【対象と方法】2007年4月から2012年12月までにJFMと診断され当院小児科に入院し,PTを行った症例を対象とし,患者属性,発症要因,入院期間,PT実施期間,PT内容,PT開始時及び退院時の運動機能と移動能力を診療録より抽出し後方視的に調査した。【倫理的配慮,説明と同意】当院では入院時に臨床研究と発表に対する同意を文書で得ている。【結果】調査期間に小児科に入院したJFM症例は33名であった。33名のうち6名は調査期間内に複数回の入院があり,これを別の入院例とみなして,対象を42例としたが,診療記録不十分のため調査項目の確認ができなかった3症例を除外し,39症例(30名)を対象とした。平均年齢は12.2歳(7~16歳),平均発症年齢12.1歳(7~15),性別は男児7例,女児32例であった。入院期間は中央値17日(7~164日),PT期間は中央値12日(1~149)だった。発症の誘因としては,内因性誘因では家族関係のストレス27例,学校関係のストレス22例であり,外因性誘因と内因性誘因の重複が11例にみられた。主症状は筋・関節痛39例,左上肢の慢性疼痛1例であり,ほぼ全例に睡眠障害や冷感,起立性調整障害など自律神経系合併症状を認めた。PT内容は,独歩可能な症例には歩行練習(屋外歩行やトレッドミル,水中歩行),自転車エルゴメーターなどを実施し,歩行困難な症例には下肢自動運動や座位・立位練習,車いす自走や歩行補助具を使用した段階的歩行練習を行っていた。また,キャッチボールやサッカーなどレクリエーショナルアクティビティも随時行われていた。PT中は疼痛が増強しない範囲で負荷を設定し,疼痛を意識させずに運動できるよう配慮し,受け入れのよい課題を選択し,目標を本人と相談しながら実施するなどの配慮がうかがえた。PT実施率は高く,疼痛や体調不良でPTを欠席したものは1症例,1日のみであった。入院中の疼痛の変化は改善28例,変化なし5例,悪化6例であり,移動能力は入院時に歩行(跛行なし)20例,歩行(跛行あり)9例,車いす移動10例が,退院時は歩行(跛行なし)28例,歩行(跛行あり)6例,車いす移動5例であった。【考察】成人の線維筋痛症では手術や感染などの外因が誘因となることがあるが,今回調査した小児では全例が内因性誘因を有していた。PTの介入は母子分離環境による心理社会的効果と薬物療法による疼痛軽減に合わせて,できる範囲の運動を導入することで,気晴らし的効果と身体機能維持改善の効果が期待できると思われた。PTの効果のメカニズムとして,JFMではセロトニン欠乏が睡眠障害や疼痛を引き起こすという知見が最近得られており,歩行などのリズム活動がセロトニン神経を賦活化し疼痛の悪循環を断ち切る可能性もある。疼痛で活動性が低下し,休学を余儀なくされている症例も多く,生活機能障害に対するPTの予防的・回復的・代償的な関わりはJFMの集学的治療に重要な役割を果たすと思われる。【理学療法学研究としての意義】線維筋痛症に対する運動療法の効果は成人では文献が散見されるが,小児では少ない。今回の調査は,JFMに対して症状の改善に運動療法が寄与した可能性を示唆している。
著者
森下 あおい 中村 顕輔
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.3_43-3_48, 2019-01-31 (Released:2019-03-25)
参考文献数
10

服飾デザインの現場やデザイナー教育では,体形を客観的に把握しつつ創造性を高めるため,平均体形にデフォルマシオン(意匠的変形)を施した基準体形像が用いられる.しかし従来の研究は若年層のものに限られ,シニア層については未着手である.本報ではシニア女性の体形の多様性および体形を美しく見せる理想を反映した基準体形像を提案する.このため,3次元計測装置により集団計測したシニア女性53名の体形写真をデザイナーに観察させて体形分類を行い,シニア体形の特徴を顕著に有する3つの体形分類とそれらの代表体形を抽出した.3つの代表体形を別のデザイナーに見せて描かせたデザイン画に対して2次元骨格モデルを適用し,デフォルマシオンを定量的に分析することで基準体形像を抽出した.また基準体形像の妥当性を専門家の評価により確認した.
著者
中村 哲之
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.96-101, 2014-09-30 (Released:2014-11-26)
参考文献数
40

Visual illusions in animals are important to study because they magnify how the perceptual system in each animal works. This paper reviews comparative studies on visual illusions in birds (pigeons and bantam chickens) and humans. Not only similarities but also dissimilarities in the perception of illusory figures between these animals have been shown, suggesting that the same physical environments may induce different visual worlds among the species.
著者
中村 博司
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌
巻号頁・発行日
vol.125, no.11, pp.40-64, 2016

本稿は、内田九州男が1988・89年に相次いで発表した、羽柴(豊臣)秀吉による「大坂遷都構想」をめぐる一連の論考を再検討することを通じて、羽柴政権と当該期朝廷との関係性、ひいては秀吉の政権構想を明らかにしようとするものである。天正11年(1583)4月の賤ヶ岳合戦に勝利して織田信長の後継者たる地位を獲得した秀吉は、間もなく大坂に新たな居城構築を始める(大坂築城工事)が、内田は一連の論文を通じて「秀吉はこれと並行して大坂遷都を断行し、そのうえで自らが将軍となって大坂に幕府を開くという構想を持っていた。しかし、朝廷の招致に失敗したために将軍任官も大坂幕府開設も頓挫し、止む無く秀吉は関白となって同14年に関白公邸としての聚楽第を京都に構築することになる」としたのである。この大坂遷都論は早くから注目され、現在でもなお多くの研究者が支持しているが、そこには自ら検証したうえでのものはない。その一方、羽柴政権と朝廷との関係性を取り扱った論文・著書等において、内田の論文は等閑視されるという状況も存在する。これは「大坂遷都構想」および将軍任官・大坂幕府開設というテーマが、羽柴政権と当該期朝廷との関係性について考察する上での最重要課題の一つであるのみならず、中近世移行期における天皇制の在り方にもかかわる論点であることを考えると誠に奇妙な状況と言わざるを得ない。しかもそれが今日まで四半世紀という長年の間、実証的な検証が行なわれることなく、いわば両論並立のような状況のままで推移してきたことは、長年このテーマに関心を抱いてきた者として誠に残念なことでもあった。そこで、改めて大坂遷都論にかかわる根拠史料の再吟味を通じて検討したところ、大坂遷都、将軍任官、大坂開幕のことごとくがなり立たず、「大坂遷都論」は総体として成立しないことが明らかとなった。その結果を踏まえ、大坂遷都論の評価の上に立って秀吉の関白政権樹立に至る構想を明らかにしてきた横田冬彦の仕事を俎上に乗せて検討したところ、秀吉が大坂遷都を断念した理由が必ずしも明確でないことに加え、断念の最大の理由とする小牧長久手合戦の敗戦についても、そうした評価は早計で、むしろ長引く小牧長久手の講和を探るなかで、秀吉の視野に新たな政権構想として公武の頂点に立つ関白職を獲得するという方針が入ってきたとし、そういう積極的な評価こそ妥当とした。そして、こうした一連の経過のなかに大坂遷都構想とその断念という事象を入れる歴史的必然性は無いものと結論付けた。
著者
木戸 久美子 中村 仁志 藤田 久美 林 隆
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学社会福祉学部紀要 (ISSN:1341044X)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.135-139, 2005-03-20

本研究は発達障害と性非行および性犯罪との関連を文献的に考察することを目的とした。本邦における医学文献の検索には医学中央雑誌を、外国文献の検常には医学文献データベースMEDLINEを用いた。発達障害と性非行および性犯罪との関連の医学論文は国内で3件、国外で6件とともに少なかった。性非行や性犯罪と関連する発達障害としては、本邦では広汎性発達障害、なかでもAsperger症候群があげられていた。外国では注意欠陥/多動性障害(以下AD/HD)との関連も指摘されていた。どのような発達障害特性が性非行や性犯罪に関連するかは、エビデンスが十分ではないために断定的なことは言えない。発達障害と性非行および性犯罪を短絡的に結びつけることは大変危険であるが、文献的研究からは、発達障害児者の持つ発達特性と彼らを取り巻く否定的な環境要因が、結果的に発達障害児者を反社会的行為に追い込んでしまう可能性が示唆された。
著者
長嶋 友美 東海 林徹 中村 郁子 遠藤 泰 米澤 裕司 竹野 敏彦 小松﨑 康文 山﨑 浩 鬼頭 健二 田中 秀弥 山根 理恵子 村井 久美 池田 幸 斎藤 義夫 遠山 邦子 花岡 平司 鵜飼 孝子 外尾 典子 上中 清隆
出版者
日本歯科薬物療法学会
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.16-26, 2016 (Released:2016-05-10)
参考文献数
18

The purpose of the present study was to survey the use of antibacterial agents at 18 private dental college or university hospitals in Japan, as performed approximately every 10 years since 1983, and to identify the diseases treated with these medicines for longer than eight days at these dental hospitals. We first calculated the amount of antibacterial agents prescribed in October 2013. For internal and external preparations, almost all antibiotics comprised cephems (68%, 64%), penicillins (23%, 25%) and macrolides (7%, 8%), with values expressed in terms of percentage for outpatient and inpatient treatments, respectively, and these values were similar to previous surveys. The ratio of internal and external preparations was nearly six-fold higher when compared with injections. About 70% of oral cephems administrated to both outpatients and inpatients was cefcapene pivoxil hydrochloride. In contrast, the antibacterial injection administered to inpatients was primarily cefazolin sodium and that to outpatients was primarily ceftriaxone sodium hydrate. The ratio of carbapenems was less than 1%. Among the antibacterial agents administered for longer than eight days, clarithromycin was mainly used for the treatment of odontogenic chronic sinusitis. Our study suggested that clarithromycin was used appropriately in long-term treatment for chronic diseases. However, we found that a limited variety of oral cephems were heavily used for short-time administration, which might lead to the emergence of resistant bacteria. Pharmacist information and advice may be helpful for dentists to avoid it because proper pharmaceutical management of antibacterial agents is essential for the prevention of resistant bacteria.
著者
高野 裕佑 半谷 眞七子 立松 三千子 中村 千賀子 阿部 恵子 藤崎 和彦 亀井 浩行
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.135, no.12, pp.1387-1395, 2015 (Released:2015-12-01)
参考文献数
32
被引用文献数
4

We performed a survey of cancer patients' needs for drug treatment and support from pharmacists during treatment and evaluated the support that cancer patients can expect from community pharmacists in the future. The patients consisted of 16 members of the Cancer Patient Association in Aichi prefecture who underwent chemotherapy. The results of a semistructured group interview were qualitatively analyzed using the grounded theory method. Patients undergoing chemotherapy had high hopes for its effectiveness but were worried about side effects and medical costs. To overcome these problems, they hoped for a decrease in the economic burden, compassionate-use system, and development of novel drugs. The patients had anxiety because the side effects of chemotherapy often caused physical and psychological damage. Despite patients' confusion, pharmacists sometimes did not give adequate explanations to them. The patients expected more from pharmacists regarding medication support and hoped for a system allowing continuous side effect monitoring and consultation without hesitation. For patients undergoing cancer chemotherapy who are confused regarding side effects, pharmacists should understand the patient explanatory model and become more involved with patients as partners in treatment.
著者
中村 宅雄 村上 弦
出版者
医学書院
雑誌
臨床整形外科 (ISSN:05570433)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.397-401, 2007-05-25

ヒトの僧帽筋は肩甲骨を安定させ,肩関節の運動や肩甲骨の運動に関与する重要な筋である.僧帽筋裏面を走行する静脈は,1)動脈に伴走しない静脈が存在し,2)静脈の合流点の数は動脈の分岐点の数の1.5倍に達し,3)さらに静脈弁が欠落している,という特徴がある.また上大静脈へ流れる経路とは別に側副路として外椎骨静脈叢へ流れる経路が存在することも特徴として挙げられる.下大静脈を通る静脈還流は,腹圧や胸腔内圧の影響を受けやすいため,静脈還流が滞った際には椎骨静脈叢が重要な役割を果たすと考えられる.僧帽筋の静脈の特徴的な形態は,椎骨静脈叢の流出路であると同時に側副路であるという体幹の静脈還流上の特殊な位置付けから説明できるものと考える.また,これらの特徴を踏まえたうえで,理学療法において肩こりに関与する僧帽筋への手技の見直しが必要であり,静脈還流を促す方向へのマッサージを行うことによって,肩こりの改善を図ることができるのではないかと考える.
著者
中村 一明
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山.第2集 (ISSN:24330590)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.255-269, 1980-12-01 (Released:2018-01-15)

Rift zones are characteristic features of Hawaiian volcanoes. They are long narrow zones of flank fissure eruptions but are distinct from ordinary flank eruption sites on stratovolcanoes in that eruptions, and therefore dike intrusions, occur repeatedly at the same general place for a long time and thus cause a considerable amount of lateral spreading. This spreading should somehow be accomodated. Moreover, the stress field should remain the same after accomodation in order for a new dike to intrude in the same orientation. The current spreading episode in Iceland (BJORNSSON et al., 1979) between North American and European plates revealed that the sequence of events in the spreading process is similar to that observed for Hawaiian volcanic activities. This implies that the process of plate separation and accretion is nothing but the activity of rift zones. Constructional plate boundaries may be regarded as composed of a chain of rift zones and associated feeding polygenetic centers. Room necessary for repeated dike intrusion is supplied in the case of spreading centers, by the lateral motion (separation) of lithosphere over asthenosphere. In the case of Hawaii, sliding of the volcanic edifice over a deep sea sediment layer may be the analogous mechanism such as appears to have occurred during the 1975 Kalapana earthquake, as studied by ANDO (1979) and FURUMOTO and KOVACH (1979). Kalapana earthquake had been anticipated by SWANSON et al. (1976) as one of the repeated steps as the east rift zone has continuously dilated. Thus, the primary cause for the long, well developed rift zones of Hawaiian volcanoes may be in the existence of thick enough oceanic sediments serving as a potential sliding plane beneath the volcanic edifices. Lack of rift zones in Galapagos shields which grew over the young ocean floor with rough topography is consistent with this view.