著者
中村 修也
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of the Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.57-78, 2013-12-01

663年の白村江の敗戦以後の日本の社会を、唐の占領政策のもとにいかに展開したかを描いた。従来の説では、唐による占領政策はなかったものとして、両国は戦争をしたにもかかわらず、友好関係を維持し、日本は唐にならって律令制を導入したと論じられてきた。これは戦争という現実から目をそむけた論に過ぎない。本論では、郭務悰という唐からの占領軍事司令官のもとで、いかに占領政策が行なわれたかを『日本書紀』を新たに解釈しなおすことで明らかにした。また、新羅の反唐政策によって、唐は半島・日本から撤退せざるをえなくなり、日本も唐の占領政策から脱することができたことを論じた。
著者
正田 哲雄 畠山 淳司 磯崎 淳 小川 倫史 野間 剛 中村 陽一 川野 豊
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.357-362, 2008-08-01 (Released:2008-11-05)
参考文献数
30

症例は7歳,男児.平成19年6月,マムシに右第3指を咬まれ受傷した.腫脹・疼痛があり近医にて外科処置を受け,受傷約10時間後に当院を紹介受診した.マムシ咬傷の重症度分類はGrade III であった.まむしウマ抗毒素に対する皮内試験は陰性であり,メチルプレドニゾロンを予防投与した後に静脈内投与した.投与直後から,全身に蕁麻疹が出現し,同時に喘鳴・呼吸困難のアナフィラキシー反応を生じた.0.1%アドレナリンを筋肉内投与,ヒドロコルチゾンを静脈内投与し症状は改善した.まむしウマ抗毒素はウマ血清であり,アナフィラキシーを高率に合併するが,小児の使用に関して検討されていない.本邦における小児マムシ咬傷報告例のうち抗毒素血清投与を行った12症例を検討したところ,アナフィラキシーを呈したのは本症例のみであった.海外ではアドレナリン予防投与も行われており,その適用基準の検討を含め,小児例の蓄積が必要である.
著者
馬場 駿吉 高坂 知節 稲村 直樹 佐藤 三吉 鈴木 茂 遠藤 里見 石戸谷 雅子 小野寺 亮 山田 公彦 大久 俊和 荒井 英爾 鈴木 雅明 大山 健二 粟田口 敏一 戸川 清 岡本 美孝 松崎 全成 寺田 修久 喜多村 健 石田 孝 馬場 廣太郎 島田 均 森 朗子 池田 聖 金子 敏郎 今野 昭義 山越 隆行 石井 哲夫 窪田 市世 鍋島 みどり 田口 喜一郎 石山 哲也 中野 雄一 中村 英生 五十嵐 文雄 古川 仭 作本 真 山下 公一 久保田 修 宇佐神 篤 伊藤 博隆 鈴木 元彦 間宮 紳一郎 横田 明 加藤 薫 大屋 靖彦 河合 〓 岩田 重信 横山 尚樹 井畑 克朗 瀧本 勲 稲福 繁 坂倉 康夫 鵜飼 幸太郎 雨皿 亮 山田 弘之 坂倉 健二 平田 圭甫 伊藤 由紀子 村上 泰 竹中 洋 山下 敏夫 久保 伸夫 中井 義明 大橋 淑宏 阪本 浩一 村田 清高 平沢 昌子 原田 康夫 森 直樹 白根 誠 多田 渉 小林 優子 竹林 脩文 河野 嘉彦 夜陣 紘治 平田 思 宮脇 修二 津田 哲也 山下 隆司 二階堂 真史 柿 音高 永澤 容 増田 游 後藤 昭一 西岡 慶子 折田 洋造 東川 康彦 武 浩太郎 進 武幹 前山 忠嗣 百田 統洋 堤 昭一郎 茂木 五郎 川内 秀之 松下 太 吉村 弘之 高田 順子 石川 哮 定永 恭明 大山 勝 松崎 勉 坂本 邦彦 廣田 常治 内薗 明裕 鯵坂 孝二 中島 光好
出版者
The Society of Practical Otolaryngology
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.389-405, 1995-03-01
被引用文献数
13 16

The efficacy and safety of Kampo preparation Sho-seiryu-to were studied in a joint double-blind trial in comparison with a placebo. The study was carried out on 220 patients with perennial nasal allergy at 61 hospitals. Granules in a dose of 3 g were administered 3 times daily for 2 weeks. Moderate to high improvement was recorded in 44.6% of the treated patients and in 18.1% of those receiving placebo. The difference is significant (p <0.001). Side effects were noted in 6.5% of the treated patients and in 6.4% of the controls (not a significant deference). The side effects were mild and had no influence on the daily life of the patients.
著者
井上 卓也 安田 祐真 中村 元気 守田 裕啓 林 浩之 尾崎 将之
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.740-744, 2022-08-31 (Released:2022-08-31)
参考文献数
10

認知症のある86歳男性が,市販のかゆみ止めクリーム100gを誤食して当院を受診した。受診時はとくに症状を訴えず,身体所見,採血,心電図,胸部X 線に異常はなかったが,経過観察入院とした。誤食2時間30分後から血圧が207/144mmHgと上昇し,その15分後に嘔吐し,その後急速に意識レベルがJapan Coma Scale(JCS)200へと悪化した。第2病日には意識レベルの改善がみられ,誤食12時間後にはJCS 3まで改善した。誤嚥性肺炎を合併したため抗菌薬投与を開始した。第3病日には意識レベルは以前の状態に回復した。その後経過良好で第12病日に退院した。かゆみ止めクリームに含まれるジフェンヒドラミン,カンフル,リドカインはそれぞれ致死量または中毒量であり,患者背景から気管挿管をしないなど治療制限があったが,患者は一命を取りとめた。同様の症例では無症状でも入院させて,最低4〜6時間は症状発現を厳重に監視する必要がある。
著者
荒井 弘和 樋口 匡貴 伊藤 拓 中村 菜々子
出版者
Japan Society of Sports Industry
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.3_251-3_255, 2022-07-01 (Released:2022-07-23)
参考文献数
6

This study examined perceptions of the Tokyo 2020 Games among ordinary citizens living in Tokyo, the host city of the Tokyo 2020 Games, in the immediate aftermath of the Tokyo 2020 Games. This study was a cross-sectional survey study conducted via the Internet. Participants were asked to choose from six options that best corresponded to their views on the postponement of the Tokyo 2020 Games. The results were as follows: “It should have been carried out as planned and on the same schedule” (implementation group), “It should have been carried out as planned without spectators or other measures to prevent infection” (no-spectators implementation group), “It should have been carried out as planned and postponed” (postponement group), “It should have been carried out without spectators or other measures to prevent infection and postponed” (no-spectators postponement group), “It should have been canceled” (canceled group), and “Others.” In conclusion, compared to April-June 2020, (1) the percentage of postponement group decreased by approximately one-third; (2) the percentage of no-spectators postponement group increased approximately tenfold. The significance of this study is that the data was collected immediately after the Tokyo 2020 Games, which was an unprecedented event.
著者
山本 文治 中村 一彦 尾久土 正己
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.530, pp.13-18, 2006-01-12
被引用文献数
3

天文に関する様々な現象をネットワークを通じて紹介する団体「ライブ!ユニバース」は, 2005年10月3日にマドリッドで観測された金環日食の模様をインターネットを通じて生中継した. 本稿では中継の全体概要とともに, マドリッドから日本に向けて実施したIPによる高画質映像伝送システムの構成とその運用について報告する.
著者
中村 百合子 山崎 登志子 糠信 憲明 大沼 いづみ
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.4_41-4_48, 2008-09-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
32

本研究の目的は,統合失調症患者のSOCの特徴を理解し,生活環境の違い,年齢,婚姻の有無,生活満足度,喫煙などが,SOCにどのように関連するかを明らかにすることである。対象者は,慢性期にある入院患者90名とデイケア通所中の統合失調症患者72名,合計162名である。調査方法は,基本属性,日本版SOCスケール13項目,健康水準,生活満足度の自記式質問紙調査を使用し分析を行った。その結果,統合失調症患者のSOC総得点は低値で,入院群の方がデイケア群よりSOC総得点は高かったが,有意差は認められかなった。このことから,生活環境の違いはSOCの影響要因ではなかったことが考えられる。重回帰分析の結果,統合失調者症患者のSOCに関連していた要因は,健康水準,生活満足度,年齢であった。以上のことからSOCを高めるには,日常生活動作の自立や拡大,心身面への健康度等の健康水準を高める援助が必要である。
著者
又吉 康綱 中村 聡史
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1_55-1_71, 2022-01-25 (Released:2022-03-25)

大学で開講される初年次必修プログラミング教育では,TAが必要不可欠である.対面講義でもあった積極性を発揮できず質問できない受講生の問題は,COVID-19の影響により大学の講義がオンラインになったことで,より大きな問題となっているといえる.また,それに加え質問の順番待ちや質問対応などの制御や,TAにとって質問に対応できるだろうかという精神的な負荷も大きな問題となりうる.そこで本研究では,受講生の質問へのハードルを下げつつ,TAの精神的負荷も軽減するため,受講生がTAに直接質問をするのではなく,受講生はシステムに対して質問を行い,またTAは質問を事前に確認し,対応可能な場合に呼び出しして入室を促す手法を提案し,実装した.また,実際のオンライン講義で計1600分運用し,受講生およびTAから高い評価を得ることができた.
著者
山岸 宏 中村 譲 和田 芳武 沖野 外輝夫 中本 信忠
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.48-58, 1966-03-31 (Released:2016-09-05)
被引用文献数
3 2

わが国の4つの温泉地(蓮台寺, 浅間, 戸倉・上山田, 内郷)において, 温泉廃水を含む水体中に南米原産の胎生魚, グッピーが野生化し, 自然繁殖を続けていることを確認し, 主に戸倉・上山田および蓮台寺でグッピー個体群とその環境についての調査を行つた.グッピーは冬季には温泉廃水の混入する場所のみに生息する.これらの場所の水温は20℃前後に維持されている.戸倉・上山田温泉のこのような場所の一つで, グッピーは冬の終りには非常な高密度に達していた.しかし夏になるとグッピーは温泉の影響の少い農業用水, 水田, 川の岸辺の浅水部などへ広く分散する.この時期には越冬場所の個体数は著るしく減少した.これらのグッピーは下水の混入する汚濁のかなり強いところにも生息しうる.しかし耐寒性はない.グッピーの生長は非常に早く, 産子間隔も短いので, 急速に個体数が増加する.このような性質と強い雑食性によつて, 水田その他の水たまりの蚊幼虫の駆除にグッピーを利用することができる.調査した2つの温泉地の水田にはシナハマダラカとコガタアカイエカの幼虫が極めて少なかつた.