著者
中村 道子
出版者
一般社団法人 日本微量元素学会
雑誌
Biomedical Research on Trace Elements (ISSN:0916717X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.12-18, 2005 (Released:2006-07-05)
参考文献数
31
被引用文献数
2

The trace elements play important roles in the human brain. The knowledge on the trace elements and neuropsychiatric disorders were comprehensively reviewed. These include iron, zinc, copper, iodine, lithium, aluminum, manganese, lead and mercury. Some metals have toxic actions on nerve cells and neurobehavioral functioning. The toxic actions could be expressed either as developmental effects or as an increased risk of neurodegenerative diseases in old age. Redox metals, which were iron, copper, and zinc in the brain, play many important roles in maintenance of cellular function.
著者
和佐野 喜久生 湯 陵崋 劉 軍 王 象坤 陳 文華 何 介均 蘇 哲 厳 文明 寺沢 薫 菅谷 文則 高倉 洋彰 白木原 和美 樋口 隆康 藤原 宏志 佐藤 洋一郎 森島 啓子 楊 陸建 湯 聖祥 湯 陵華 おろ 江石 中村 郁朗
出版者
佐賀大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1992

本学術調査は農学及び考古学の異なる専門分野から、東アジアの栽培稲の起源に関する遺伝・育種学的研究および中国の古代稲作農耕文化の発祥・変遷・伝播についての中国での現地調査、考古遺物・文献・資料の収集とその研究解析、現地専門家との討論を行うことであった。これまでの3回の海外調査によって、多くの研究成果を得ることができた。研究代表者の和佐野がこれまでに行った古代稲に関する調査は、中国の長江のほぼ全流域、黄河の中下流域、山東半島、遼東半島および海南島の中国全土にわたるものとなった。また、調査・測定した古代稲の実時代は、新石器時代の紀元前5,000年から前漢時代までの約5,000年の長期間に及び、その遺跡数も18カ所になった。稲粒の粒大測定は、大量にあるものからは約100粒を任意抽出し、それ以下のものは全粒を接写写真撮影によって行った。また、中国古代稲の特性を比較・検討するために、韓国の2カ所および日本の14カ所の古代遺跡の炭化米の調査も並行して行った。以上の調査結果に基づいて、次のような結論を得ることができた。(1)紀元前5,000年ころの気温は現在より2度は高かったこと、および北緯30度周辺に位置する城背渓および彭頭山遺跡文化(紀元前6,000-7,000年)の陶器片および焼土中に多くの籾・籾殻・稲わらの混入が発見されたことから、紀元前6,000-7,000年頃には北緯30度付近に稲(野生か栽培されたものかは分からない)が多く生育していたと考えられる。彭頭山遺跡の籾粒は6ミリ前後のやや短粒であった。(2)古代稲粒の大きさ・形の変異の状況および稲作遺跡の時代的新旧の分布状態から、東アジアの稲作は、長江の下流域・杭州湾に面した河姆渡および羅家角両遺跡を中心とした江南地方に、紀元前5,000年以上溯る新石器時代に始まったと考えられる。(3)長江の中流域には、紀元前6,000-7,000年の城背渓および彭頭山遺跡から稲粒が発見されているが、稲作農耕の存在を証拠づけるものがまだ発見されていないこと、河姆渡および羅家角両遺跡と同時代の紀元前5,000年頃の稲作遺跡が存在しないこと、中流域に分布する多くの遺跡が紀元前3,000-4,000年のものであること、などから、稲作は下流域から伝播したものと考えられる。(4)長江の最上流域の雲南省の稲作遺跡は紀元前1,000-2,000年の新しいものであり、稲粒も粒が揃った極端な短円粒であること、さらには、雲南省の最古の稲作遺跡である白羊村遺跡の紀元前2,000年頃には、黄河流域からの民族移動の歴史があること、などから、稲作のアッサム・雲南起源説は考えられない。アッサム・雲南地域は、周辺地域から民族移動に伴って生じた稲品種の吹きだまり(遺伝変異の集積地)の可能性が強いことを提唱した。(5)黄河の中下流域の前漢時代の古代稲は、長大粒で日本の現在の栽培稲とは明らかに異なるものであったが、淮河流域の西周時代の焦荘遺跡の炭化米は、九州の弥生中期の筑後川流域のものによく類似した。(6)山東半島の楊家圏遺跡(紀元前2,300年)の焼土中の籾粒は日本の在来の稲品種によく類似したが、遼東半島の大嘴子遺跡の炭化米は短狭粒で、韓国の松菊里遺跡(紀元前500年)、あるいは日本の北部九州の古代稲粒のいずれとも異なるものであった。このことから、稲作が朝鮮半島の北から内陸を南下したとは考えられない。(7)山東半島の楊家圏遺跡、松菊里遺跡(紀元前500年)、および日本の北部九州最古の稲作遺跡・菜畑遺跡のやや小粒の古代稲粒は、浙江省呉興県の銭山漾遺跡の炭化米粒の中に類似するものがかなり見られた。このことは、日本への最初の稲作渡来が江南地方から中国大陸の黄海沿岸に沿って北上し、山東半島から韓国の西海岸を南下しながら北部九州に上陸した可能性を示すものである。森島、湯および王は、雲南省と海南島の野生稲の現地調査を行い、中国の野生稲の実態を明らかにした。佐藤は河姆渡遺跡の古代稲の電子顕微鏡写真撮影によって、同遺跡の稲が野生稲の特徴である芒の突起を有すること、さらに小穂の小枝梗の離層が発達していることを確認した。藤原と湯は、江蘇省青浦県の草鞋山遺跡(紀元前3,400年)周辺を発掘し、当時の水田遺構の確認および稲のプラントオパール分析を行い、当時の稲作の実態を明らかにした。樋口、白木原、高倉、菅谷および寺沢は、それぞれの専門から研究を行い、現在報告書の成作を完了した。厳、蘇、陳、何および劉は、新石器時代の稲作文化および古代民族移動に関する報告書を作成した。
著者
二村 吉継 文珠 敏郎 東川 雅彦 南部 由加里 平野 彩 中村 一博 片平 信行 駒澤 大吾 渡邊 雄介
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.34-43, 2017 (Released:2017-02-18)
参考文献数
18
被引用文献数
1

Elite Vocal Performers(EVP)は職業歌手や舞台俳優など自身の声を芸術的に用いパフォーマンスを行う職業者である.EVPは声質改善にきわめて繊細な治療も希望する.そこで今回耳鼻咽喉科医,音声専門医に対してどのような意識をもって受診しどのような治療を希望しているのかを明らかにするため,EVPに対してアンケート調査を行った.選択形式の設問28問,自由記載式の設問3問の冊子を作成し,無記名の記入式アンケート調査を実施した.EVP 92名(男性41名,女性51名)から回答を得た.内容は「声の症状」「耳鼻咽喉科診察および歌唱指導について」「沈黙療法について」「ステロイド治療について」「声の悩みの解決方法」「診療に対する希望について」等である.沈黙療法を指示されたことがある者は64%であったが,適切な期間を指示することが重要であると思われた.ステロイド剤による治療を受けたことがある者は68%であり,投薬を緊急時にのみ望む者とできれば望まない者がほぼ半数ずつであった.
著者
今 悠気 中村 拓人 梶本 裕之
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.565-573, 2016 (Released:2017-02-01)
参考文献数
31
被引用文献数
2

Application of the Hanger Reflex to walking navigation was investigated. The Hanger Reflex is a phenomenon that produces an illusory force and involuntary rotation of the body parts by skin deformation. It was first applied at the head by using a wire hanger, but is now known to work on many body parts such as the waist, wrist, and ankle. In the experiment combining Hanger Reflex devices at the head, waist, and ankle, we confirmed that the waist-type Hanger Reflex is the most effective, and that combined Hanger Reflex imparted limited influence on the results.
著者
影山 洋子 山下 毅 本間 優 田中 千裕 中村 綾 冨田 美穂 寺田 奈美 毛利 恭子 小原 啓子 近藤 修二 船津 和夫 中村 治雄 水野 杏一
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.462-467, 2016 (Released:2016-12-26)
参考文献数
10

目的:インスリン抵抗性の診断は糖尿病発症予防のためにも早期発見が重要である.しかし,診断の基本となるインスリンが健診項目に入っている企業は少ない.そこで多くの企業の健診項目にあるTG/HDL-C比を利用して日本人におけるTG/HDL-C比がインスリン抵抗性の指標となり得るか,またその指標が10年間の糖尿病発症に関与しているかretrospectiveに検討した.方法:TG/HDL-C比を四分位し,男女別にhomeostasis model assessment-insulin resistance(HOMA-IR)と比較した.また,10年間における糖尿病の発症率をTG/HDL-C比高値群と非高値群で比較した.結果:男女ともにTG/HDL-C比が高くなるに従いHOMA-IRは増加していた.四分位による75パーセンタイルは男性が2.6,女性が1.4で,それ以上を高値群,未満を非高値群とすると,高値群は非高値群に比べてインスリン抵抗性を有していた割合が高かった.10年間の追跡による糖尿病発症では,男女ともに2001年時にTG/HDL-C比高値群が非高値群より2倍以上糖尿病を発症していた.結論:TG/HDL-C比はインスリン抵抗性を反映しており,鋭敏な糖尿病発症の予測因子となり得る.TG/HDL-C比としてみることで簡便でわかりやすいインスリン抵抗性の指標として使用できる可能性がある.
著者
齋藤 さやか 中村 真也 木村 匠 関谷 直也
出版者
一般社団法人 地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文集 (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.295-304, 2019-11-01 (Released:2020-05-08)
参考文献数
21

This study presents empirical research investigating disaster subculture through mutual comparison of Okinawa, Kagoshima, and Tokyo. Results of resident questionnaire surveys reveal many differences among these three areas. Above all, more than 50% of Okinawan people think about typhoons but can not accept them. Furthermore, they havetheir own knowledge, judgement criteria, and disaster subcultures corresponding to typhoons.
著者
深澤 百合子 細谷 葵 中村 大 クレイグ オリバー
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の成果は、擦文人が擦文土器を使用してサケやヒラメをはじめキュウリウオなどの小型魚類やとオオムギ、キビなどの栽培された雑穀類を主食素材として調理を、調理においては吹きこぼれが多く生じていたことが証明できた。このような雑炊、汁物メニューは食材、調理方法において後続するアイヌ文化に継承されたと言える。このことから物質文化の変化がみられる土器から鍋への調理用具の変化やカマドから炉への調理施設の変化が起因する要因を研究する必要がある。調理実験の有効性が確認できたことも成果と言えるため土器に付着した吹きこぼれ痕は鍋に痕跡が観察されるのか、具材と穀類の調理割合が異なるのかなど今後の研究課題となる。
著者
中村 俊介 三宅 康史 土肥 謙二 福田 賢一郎 田中 幸太郎 森川 健太郎 有賀 徹
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.7, pp.312-318, 2011-07-15 (Released:2011-09-13)
参考文献数
19
被引用文献数
1

背景:熱中症の後遺症として中枢神経障害を生じた症例の報告は散見されるが,発生に関わる要因について検討されたものは少ない。目的:熱中症の臨床所見から中枢神経系後遺症の発生要因を明らかにする。方法:2006年,2008年に日本救急医学会熱中症検討特別委員会が実施した症例調査であるHeatstroke STUDY 2006およびHeatstroke STUDY 2008から中枢神経系後遺症を生じた症例,および対照として後遺症なく生存したIII度熱中症の症例を抽出し,各々の診療情報について分析を行った。結果:全症例数は1,441例であり,中枢神経系後遺症は22例(1.5%)で認めた。重複したものを含め後遺症の内容は,高次脳機能障害15例,嚥下障害6例,小脳失調2例,失語および植物状態が各1例であった。中枢神経系後遺症を生じた群の男女比は13:9,平均年齢は62.6歳であり,一方,後遺症なく生存したIII度熱中症は計286例で男女比213:72(不明1),平均年齢55.4歳であった。来院時の臨床所見については,中枢神経障害を生じた群で90mmHg以下の血圧低下,120/分以上の頻脈を多く認めたが,後遺症なく生存したIII度熱中症群との間に有意差はなかった。一方,Glasgow coma scale(GCS)の合計点,体温,動脈血ガス分析のbase excess(BE)において有意差を認め(各々p=0.001,p=0.004,p=0.006),また来院後の冷却継続時間についても有意差がみられた(p=0.010)。結語:中枢神経系後遺症の発生例では来院時より重症の意識障害,高体温,BE低値を認め,冷却終了まで長時間を要していた。中枢神経系後遺症を予防するためには,重症熱中症に対して積極的な冷却処置および全身管理,中枢神経保護を目的とした治療を早急に行うことが重要である。
著者
中村 泰陽 横井 輝夫 井上 敦史 滝井 里栄 加藤 浩
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0573, 2007 (Released:2007-05-09)

【目的】コップでは飲水することは出来ないが、ストローでは飲水が可能な脳卒中後遺症者や認知症者がいる。しかし、ストローでの飲水の嚥下動態や誤嚥の危険性についての報告はほとんど見られない。そこで健常成人を対象に、表面筋電図、喉頭運動、呼吸軌跡の時系列的解析を用いてストローでの飲水の特徴を検討した。【方法】被験者は研究参加に同意が得られた学生10名。測定手順は鎌倉らの方法を参考にし、ストローの使用の有無の2条件で測定した。嚥下は口唇を閉じ、舌骨上筋群が収縮し、喉頭が前上方に移動することで始まる。そこで、口唇を閉じる口輪筋と舌骨上筋群に表面筋電図を、喉頭運動は喉頭を構成する甲状軟骨に圧電センサーピエゾフィルムを貼付し、呼吸軌跡はairflowセンサーを鼻孔に取り付けて測定した。ストローを使用しない条件では、椅子座位姿勢の被験者に「コップの水10ml全量を口に含み、測定者の“はい”の合図後3回の呼吸周期後に飲み込み、飲み込んだ後3呼吸はそのままの状態を保持するよう」依頼した。ストローでの飲水では、同様の手順で全量を一度にストローで吸い上げ、水分を口腔内で留める事なく嚥下するよう」依頼した。今回測定したパラメータは、嚥下性無呼吸を含む呼吸周期と舌骨上筋群と喉頭運動の活動持続時間、口輪筋の活動開始から舌骨上筋群活動開始までの時間など7項目である。統計処理はストロー使用の有無別にそれぞれのパラメータについてt検定を用いて比較した。有意水準は5%未満とした。【結果】ストローを使用しない条件に比べストローでの飲水では、舌骨上筋群と喉頭運動の活動持続時間が有意に延長していた。またストローを使用しない条件では、舌骨上筋群と喉頭運動の活動は共に一峰性であり、ストローでの飲水では、両パラメータともに二峰性の活動がみられた。そしてストローを使用しない条件での一峰性の喉頭運動持続時間に比べ、ストローでの飲水の二峰目の喉頭運動持続時間は有意に短縮していた。呼吸軌跡は、ストローでの飲水では、吸気‐呼気‐嚥下性無呼吸‐呼気、及び吸気‐嚥下性無呼吸‐呼気の2通りの呼吸型が多く認められた。【考察】ストローを使用しない条件では嚥下相のみであるが、ストローでの飲水では、水分を吸い上げる相と、嚥下相の2相から構成される。その結果、ストローでの飲水では、舌骨上筋群と喉頭運動の活動持続時間が延長したものと考えられる。しかし、嚥下相であると考えられるストローでの飲水の二峰目の喉頭運動持続時間が、ストローを使用しない条件の喉頭運動持続時間に比べて有意に短縮していたことは、ストローを使用した場合、嚥下に要する時間が短縮することを意味していると考えられる。また、ストローでの飲水の呼吸軌跡は嚥下性無呼吸後呼気で再開され、誤嚥を予防する機制が働いていると考えられる。つまりストローでの飲水は、誤嚥への防衛機制が働く方法であると考えられた。
著者
佐原 宏典 小林 悠也 中村 健二郎 尾又 由佳乃 阿部 圭典 染谷 昴 西尾 勘汰 飯塚 俊明
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会論文集 (ISSN:13446460)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.205-210, 2019 (Released:2019-12-05)
参考文献数
20
被引用文献数
2

Microsatellites are now in vogue and a lot of and a variety of missions using them are progressed in the world, some of them require propulsion system to realize a highly precise attitude control or orbit transfer. In order to satisfy the requirements, we are developing Microsatellite-Friendly Multi-Purpose Propulsion System, MFMP-PROP, with capabilities of both mono-propellant and bi-propellant modes to provide both of small impulse bit and large delta-V, under the policies of Safety First, Border Free, Effective COTS, and Easy Scalability, based on the techniques of 60wt% Hydrogen Peroxide. We conducted captive tests of a thruster for mono-propellant mode under bi-propellant mode to confirm its stable ignition and continuous operation, and obtained performances under its pre-heating temperature and mixing ratio of hydrogen peroxide and ethanol, of 160 seconds of specific impulse at the highest.
著者
中村 元 福江 高志 小泉 雄大 石塚 勝
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.76, no.768, pp.1184-1190, 2010-08-25 (Released:2017-06-09)
参考文献数
8
被引用文献数
4 2

A compact air-cooling device often encounters high-density mounting environment, which may reduce a flow-rate of a cooling fan. In this work, the PQ characteristics of a cooling fan was investigated which varied by placing an obstacle in close proximity of a fan. Small axial-flow fans of 30-80mm in side length and small centrifugal fans of 35-52mm in side length were tested here. As a result, it was found that the maximum flow rate for the free air-flow begin to decrease when the opening area of the gap-flow between the fan and the obstacle becomes smaller than twice the fan flow area, and decreases suddenly if it becomes smaller than the fan flow area. This relation was almost independent of type and size of a fan, rotation speed of impeller, and shape and position of an obstacle.
著者
畠山 輝雄 中村 努 宮澤 仁
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.486-510, 2018 (Released:2018-11-28)
参考文献数
19
被引用文献数
5 9

本稿は,ローカル・ガバナンスの視点から,地域包括ケアシステムに空間的・地域的なバリエーションをもたらす要因を考察するとともに,バリエーションごとの特徴と課題を抽出した.地域包括ケアシステムにバリエーションが生じる要因の一つには,自治体の人口規模の差異があり,それは地域包括支援センターの設置ならびに日常生活圏域の画定に関する基準人口によるものであるとわかった.小規模自治体では,単一の日常生活圏域における地域ケア会議を中心に集権型のローカル・ガバナンスとなる一方で,人口規模が大きくなるほど自治体全域と日常生活圏域の重層的なローカル・ガバナンスによる地域包括ケアシステムが構築される傾向にある.後者は,地域包括支援センターが日常生活圏域単位に複数配置される自治体において,各地域の特性を考慮した分権型のローカル・ガバナンスを統括するための自治体全域でのガバナンスが重視された結果である.
著者
中村 直樹 伊藤 一也 蒲田 和芳 秋山 寛治
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.AeOS3001, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】 腰痛の生涯有症率は49-70%,時点有症率は12-30%とされる(van Tulder et al.2002)。その原因は十分解明されておらず、また予防法も未確立である。 Chest grippingは上部腹筋群の過緊張により下位胸郭の展開が制限される状態(下位胸郭横径拡張不全)のことである(Lee)。これは胸椎運動を制限し,腰椎運動への負荷の増大をもたらすことで腰痛の一因となり得ると考えられている。解剖学的にChest grippingに拮抗する作用を持つと考えられる筋として下後鋸筋(SPI)が挙げられる。SPIはT11-L2,3に起始し,下位肋骨に付着する。Vilensky et al.は上後鋸筋(SPS)とSPIに関する文献のレビューにより,SPSとSPIのどちらも呼吸機能がないと示唆すると結論付けた(Vilensky et al. 2001)。しかし,これらは解剖学的な見解であり,生体内で下後鋸筋がどのような役割を有しているのかは不明である。本研究では超音波と表面筋電図(SEMG)を用い,健常者における下後鋸筋の運動学的役割を調査すること,またSEMGとワイヤ電極による筋電図を比較してSEMGの妥当性を検証することを目的とした。【方法】 対象者の包含基準は,18-30歳,男性,健常者であり,除外基準は腰痛,医学的リスク,精神障害者とした。SEMGを用い,右側の下後鋸筋,広背筋,胸部脊柱起立筋,腰部脊柱起立筋,外腹斜筋の最大努力時の筋活動を測定した。検査試技は体幹右回旋,左回旋,伸展,側屈,胸椎伸展,プッシュアップとした。次に,超音波を用いて安静時と収縮時の右側下後鋸筋を撮像した。検査試技は安静,体幹右回旋,胸椎伸展,プッシュアップとした。測定肢位,筋力発揮の指示はSEMGと同様とした。最後にワイヤ電極を用い,一人の対象者において広背筋活動と分離した下後鋸筋の単独活動が可能かどうかを調査した。検査試技は単独収縮が可能と思われる四つ這い位での上肢挙上,側臥位での体幹回旋,ATM2 (Backproject corp.)の骨盤・胸椎ベルトを用いた最大下努力での体幹後屈動作とした。いずれも各試技5回測定し,休憩時間は各試技間30秒とした。統計は統計解析ソフトPASW statistics 18を用いた。各試技における下後鋸筋の作用を評価するために,%MVC,SPI筋厚の記述的統計量として平均値,95%信頼区間を算出した。また,%MVC,SPI筋厚調査の再現性を調べるために級内相関係数ICC(1,3)を算出した。【説明と同意】 ヘルシンキ宣言の精神に基づき作成された同意書に署名した10名を対象とした。【結果】 筋活動,下後鋸筋筋厚のICC(1,3)はそれぞれ0.987(95%CI:0.962-0.996),0.947(95%CI:0.851-0.986)と高い再現性を示した。下後鋸筋は体幹回旋で筋活動の増加,筋厚の増大を示し,広背筋とほぼ同様のパターンであった。下後鋸筋の安静時,同側回旋時の筋厚はそれぞれ3.49mm(3.13-3.84mm),4.98mm(4.15-5.81mm)であった。下後鋸筋の同側回旋時の%MVCは75.1%(58.3-91.9%)であった。ワイヤ電極により,下後鋸筋単独収縮を呈した動作は、側臥位での体幹同側回旋,四つ這い位(脊椎伸展位)での上肢屈曲,ATM2伸展抵抗運動であった。SEMGとワイヤ電極は最初の2動作で一致した活動パターンを示した。【考察】 本研究では四つ這い位で脊柱過伸展位での上肢屈曲および側臥位での体幹回旋において,下後鋸筋の独立した活動が得られた。前者は,上肢屈曲により広背筋の活動を抑制し、脊柱過伸展位を保つことにより腹斜筋の活動を抑制したことから、下位胸郭の回旋の役割を持つ下後鋸筋の独立した活動が誘発されたためと考察される。後者は,上位胸郭に抵抗を加えたことにより、広背筋と腹斜筋の活動が抑制されたと解釈された。以上の結果より、下後鋸筋は同側下位肋骨を後方に引く作用を有し、片側性の活動は下位胸椎の回旋、両側性の活動は下位胸郭の横径拡張および胸椎伸展に貢献すると推測される。本研究では超音波画像の観察下で,ワイヤ電極を筋腹内に埋設した。導出された筋電図は,超音波画像における筋厚増大と一致した。また,その活動はSEMGにおいても検出することが可能であることが示された。一方,本研究の限界として,ワイヤ電極を用いた測定におけるサンプルサイズ不足が挙げられる。以上より,今後下後鋸筋に関する筋電図学的研究において表面電極を用いることが可能であると結論付けられる。また、下後鋸筋の両側性の活動は下位胸郭の横径拡張の主働筋になりうることが示唆され、これが下位胸郭の横径拡張制限であるchest grippingに対する拮抗的な作用を発揮することが期待される。【理学療法学研究としての意義】 下後鋸筋の片側性の活動は下位胸郭を後方に引く作用を有し,両側性の活動は下位胸郭の展開の主働筋となることが示唆された。今後,後屈時に増悪する腰痛への応用が期待される。
著者
小椋 正道 矢野 久子 利根川 賢 中村 敦 伊藤 誠 岡本 典子 高阪 好充 溝上 雅史 新井 亜希子 倉田 浩
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.99-104, 2005-06-15 (Released:2010-07-21)
参考文献数
13

発熱と呼吸困難を繰り返し過敏性肺臓炎が疑われた77歳女性に対し, 原因微生物を検索する目的で患者宅環境調査を行った. 調査方法として (1) 浴室, 超音波式加湿器 (以下加湿器), 患者寝室の滅菌綿棒による拭き取り,(2) 加湿器内の水 (加湿器水) の培養,(3) 患者寝室押入れと加湿器の置いてある居間のエアサンプリングを行った. その結果, アレルゲンと成り得るグラム陰性桿菌と真菌が合計11菌種検出された.これらの菌から作製した抗原液と患者血清による沈降反応 (Ouchterlony 法) を行い, 加湿器の内壁, 加湿器水, 加湿器稼動中の居間の空気の3箇所より検出されたCandida guilliermondiiが陽性であった. 3箇所から検出されたこの菌はPFGE解析により核型が一致しており, 加湿器内で増殖していた本菌が加湿器を稼動させたことで空気中に飛散したことが示唆された. 本事例は加湿器を廃棄したところ症状の再発がみられなくなった. 以上からC. guil-liermondiiを原因微生物とした加湿器肺が強く疑われた.
著者
中村 敏秀
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.113-126, 2003-01-31
被引用文献数
1

本稿では知的障害者の地域移行の前提として、知的障害者更生施設の援助実態と施設援助を規定する要因について検討の必要性を提起した。それは地域移行の先駆けとなったアメリカやスウェーデンに生起した、施設の管理抑圧的な援助が地域生活援助に持ち込まれる危険性を無視しえないからである。このため全国の知的障害者更生施設の援助に関する予備調査をし、施設援助の規定要因として援助環境、利用者の自由裁量度、援助水準、職場満足度の4つの規定要因を抽出しえた。今後、この調査結果に本調査を実施する予定である。
著者
馬場 基 中川 正樹 久留島 典子 高田 智和 耒代 誠仁 山本 和明 山田 太造 笹原 宏之 大山 航 中村 覚 渡辺 晃宏 桑田 訓也 山本 祥隆 高田 祐一 星野 安治 上椙 英之 畑野 吉則
出版者
独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2018-06-11

国際的な歴史的文字の連携検索実現のため、「IIIFに基づく歴史的文字研究資源情報と公開の指針」および「オープンデータに関する仕様」(第一版)を、連携各機関(奈良文化財研究所・東京大学史料編纂所・国文学研究資料館・国立国語研究所・京都大学人文学研究所・台湾中央研究院歴史語言研究所)と共同で策定・公表し、機関間連携体制の中核を形成した。また、上記「指針」「仕様」に基づく、機関連携検索ポータルサイト「史的文字データベース連携システム」の実証試験版(奈文研・編纂所・国文研連携)を令和2年3月に公開。令和2年10月には、台湾中研院・国文研・京大人文研のデータを加えて、多言語(英語・繁体中国語・簡体中国語・韓国語)にて本公開を開始した(https://mojiportal.nabunken.go.jp/)。なお、連携・サイト公開は、国内および台湾メディアで報道された。木簡情報の研究資源化として、既存の木簡文字画像(約10万文字)をIIIF形式に変換した。また、IIIF用の文字画像切出ツールを開発し、新規に約15,000文字(延べ)のデータを作成した。過年度と合わせて合計約115,000文字の研究資源化を実現した。文字に関する知識の集積作業として、木簡文字観察記録シートを約50,000文字(延べ)作成した。なお、同シートによる分析が、中国簡牘・韓国木簡にも有効であることが確認されたことを踏まえ、東アジア各地の簡牘・木簡文字の観察作業も実施した。国際共同研究・学際研究として、令和1年9月に、東アジア木簡に関する国際学会を共催した(北京)。当初、国際学会の開催は、研究計画後半での実施を予定していたが、本研究遂行にあたっての共同研究等の中で、学会共催の呼びかけを受け、予定を繰り上げて国際学会を共催した。また、人文情報学の国内シンポジウム等において、IIIF連携等本研究の成果を報告した。
著者
柴田 昌幸 高森 頼雪 江川 優子 山口 智央 中川 慧人 中村 めぐみ 大江 啓史 成田 圭 田中 由理子 小林 倫子 三科 友二 三科 雅子 明石 雅博 笹本 貴広 土屋 昭彦 西川 稿 横田 亜矢 杉谷 雅彦 滝川 一 山中 正己
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.327-332, 2021-05-01 (Released:2021-05-14)
参考文献数
16

症例は38歳女性.X月1日に友人との食事会でマカダミアナッツを多量に摂取した.翌日から悪心・嘔吐が出現し,徐々に倦怠感,褐色尿,皮膚黄染も伴ってきた.症状改善ないためX月9日に前医受診し,急性肝炎と診断され入院.各種ウイルスマーカーや自己抗体は陰性で,画像検査で器質的異常も認めず入院後も肝機能は増悪した.X月15日に当院転院し,PTが40%未満に低下したためステロイドパルス療法を開始したが,意識障害も出現し状態は悪化した.血漿交換および持続緩徐式血液濾過透析を施行し,計6回の血漿交換後より肝機能は正常化傾向となった.集中治療を脱し,状態が安定してから肝生検を施行したが非特異的な組織像であり,マカダミアナッツのリンパ球刺激試験を実施したところ強陽性で薬物性肝障害と診断した.治療離脱後も問題なく経過し,第46病日に退院となった.食品から劇症肝炎に至り救命された症例は極めてまれであり報告する.