著者
松村 香織 笹栗 正明 光安 岳志 新井 伸作 前野 亜実 中村 誠司
出版者
一般社団法人 日本口蓋裂学会
雑誌
日口蓋誌 (ISSN:03865185)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.212-216, 2016

断端神経腫は,末梢神経切断後に神経の中枢側断端に生ずる腫瘤である。口腔領域における報告はオトガイ孔部や下唇が主で,上唇の報告例は1例のみであった。今回,われわれは口唇形成術後に上唇に発生した断端神経腫の1例を経験したのでその概要を報告する。
著者
中村 秀
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.283-292, 2016-12-01 (Released:2017-01-25)
参考文献数
23

高齢者の中大脳動脈(middle cerebral artery: MCA) 領域脳梗塞では,脳萎縮の存在が生命・機能予後に影響すると報告されている.そこで,我々は計測するに簡便な二次元(梗塞面積)の評価方法を提唱すると同時に,病前の脳萎縮の程度を加味できる新評価法とすることで,それらが生命・機能予後の予見可能性を評価した.2009 年から2011 年までに当院に入院した60 歳以上のMCA 領域梗塞患者86 例を解析した.生命予後の点では脳萎縮を加味した測定法が有用であった.一方,機能転帰予測には脳萎縮を加味する利点はなかった.これは,脳萎縮が高度であれば急性期生命予後を改善する一方で,機能予後を悪化させる逆説的な結果となった.このことから,脳萎縮を同時に考慮し,評価に加えられるこの方法が,高齢者の広範囲MCA 梗塞に対する治療選択の一助になると考えられた.
著者
中村 武司 Nakamura Takeshi
出版者
大阪大学西洋史学会
雑誌
パブリック・ヒストリー (ISSN:1348852X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.57-73, 2004-02

特集:イギリス帝国と戦争の記憶
著者
波多野 義郎 中村 精男
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.177-187, 1981-12-01 (Released:2017-09-27)
被引用文献数
4

In order to investigate the processes of unfavorable attitude formation against physical activities among young people, twenty-four male and female students who, out of a sample of 613 college students, indicated such a negative attitude in a questionnaire survey were interviewed. Each interview, average time length being 50 minutes, constituted a case study. The interview revealed various contributing factors, in terms of cause-result relationship, in forming unfavorable attitude against physical activities. General tendencies among the extracted backgrounds why they had come to form such unfavorable attitude may be summarized as followds: 1. Strong inferiority complex due to uncoordination and the lack of efficient sports skills prevailed. 2. Being afraid of possible failures resulting from quiet and passive personality was often a fertile bed in promoting negative attitude against physical activities. 3. Distrustful experiences in the previously involved school physical education programs, especially complaints against neglection of individual differences by the physical educators, were frequently pointed out. 4. Rigid philosophy of the physical education teachers that only faster, higher and stronger performances deserve for favorable evaluation invited strong criticism. 5. Few among interviewed had ever experienced happiness of own physical movement. Although individual right and freedom should be highly respected, negative environment against the promotion of physical education and sports among young people, such as contributing elements to produce those who unfavor physical activities must be removed from homes and schools.
著者
三田村 宗樹 中川 康一 升本 眞二 塩野 清治 吉川 周作 古山 勝彦 佐野 正人 橋本 定樹 領木 邦浩 北田 奈緒子 井上 直人 内山 高 小西 省吾 宮川 ちひろ 中村 正和 野口 和晃 Shrestha Suresh 谷 保孝 山口 貴行 山本 裕雄
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.179-188, 1996-07-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
19
被引用文献数
1

1995年兵庫県南部地震は,阪神地域に甚大な被害を生じさせた.阪神地域は都市化の進んだ場所で,人工的な地形改変が多くの場所で行われている.しかし,現在の地形図上では,その箇所が不明確であるため,過去の地形図との比較から人工改変地形の抽出を行ったうえで被害分布との関連を西宮・大阪地域について検討した.大阪地域では,基盤断層の落下側に被害が集中する傾向があり,基盤構造との関連性が存在することを指摘した.これについては,既存地下地質資料をもとにした地震波線トレースのシミュレーションの結果から,地震波のフォーカシング現象がかかわっているとみている.結論として,日本の大都市の立地する地盤環境は類似し,地震災害に関して堆積盆地内の厚い第四紀層での地震動増幅,伏在断層付近でのフォーカシング,盆地内の表面波の重複反射よる長時間震動継続,表層の人工地盤や緩い未固結層の液状化など共通した特性を有していることを指摘した.
著者
山根 克 谷江 博昭 中村 仁彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.1938-1947, 2007-08-01
参考文献数
13
被引用文献数
1

本論文では,再帰反射性のテープをメッシュ状に組み合わせたものを複数のカメラから観測した画像を用いて,三次元形状データを再構成する方法を提案する.メッシュの各交点をマーカとみなすと,従来の球状マーカと比べて計測点数を10倍以上に増やすことが可能となる.受動光学式モーションキャプチャではマーカの密度が高くなると三次元再構成が困難になるが,本研究ではマーカ間の結合情報を利用することにより三次元再構城のための計算を高速化し,誤認識を減らす.実験により,メッシュマーカを使うと計測点数が約400個あるときにも15fpsでのリアルタイム計測が可能であることを示す.この技術により,人間の運動中の身体や衣服の形状変化が計測できるようになる.また,マーカが突起物とならないため運動に対する拘束がなく,転倒時における安全性も高い.
著者
山根 克 谷江 博昭 中村 仁彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J90-D, no.8, pp.1938-1947, 2007-08-01

本論文では,再帰反射性のテープをメッシュ状に組み合わせたものを複数のカメラから観測した画像を用いて,三次元形状データを再構成する方法を提案する.メッシュの各交点をマーカとみなすと,従来の球状マーカと比べて計測点数を10倍以上に増やすことが可能となる.受動光学式モーションキャプチャではマーカの密度が高くなると三次元再構成が困難になるが,本研究ではマーカ間の結合情報を利用することにより三次元再構成のための計算を高速化し,誤認識を減らす.実験により,メッシュマーカを使うと計測点数が約400個あるときにも15 fpsでのリアルタイム計測が可能であることを示す.この技術により,人間の運動中の身体や衣服の形状変化が計測できるようになる.また,マーカが突起物とならないため運動に対する拘束がなく,転倒時における安全性も高い.
著者
中村 善行 藏之内 利和 石田 信昭 熊谷 亨 中谷 誠
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.576-585, 2007-10-05
参考文献数
24
被引用文献数
4 4

サツマイモ蒸切干(干しいも)は伝統的なサツマイモ加工品で,茨城県,静岡県など東日本の一部地域では重要な地域特産品の一つとなっている.しかし近年,安価な外国産品の輸入が増加し,国内産地を維持するうえで品質向上が急務となっている.そこで,蒸切干片の中央部が白色不透明化して硬くなり,商品性が失われる重大な品質低下障害である中白の原因を究明するべく,品種や栽培条件の違いに基づく障害の発生機作を検討した.本障害は,蒸切干用主力品種「タマユタカ」,でん粉原料用品種「ハイスターチ」などのでん粉含有率の比較的高い品種で発生しやすく,低でん粉品種「沖縄100号」や低糊化温度品種「クイックスイート」などでは発生が少なかった.また,MRI画像解析などから,供試したいずれの品種でも蒸煮塊根組織の中白部分は正常部分に比べて水分含量が低いことが判明した.一方,「タマユタカ」塊根の正常部分と中白発生予測部分との間にはでん粉含有率,可溶性糖類含量および糖化酵素β-アミラーゼの活性に顕著な差異は認められなかったが,「ハイスターチ」塊根の中白部分ではでん粉蓄積の不足した細胞群が観察された.さらに,「タマユタカ」では,塊根肥大期の土壌乾燥によって収穫した塊根の含水率が低下すると中白の発生が顕著になった.以上の結果から,中白障害の発生には塊根におけるでん粉の糊化不良や蓄積不足が関与しており,「タマユタカ」においては,土壌乾燥に伴う塊根の水分低下が蒸煮時のでん粉糊化不良を招き,障害の発生が助長されると考えられる.
著者
中村 洋一
出版者
環太平洋産業連関分析学会
雑誌
産業連関 (ISSN:13419803)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.16-29, 2009-10-31 (Released:2015-03-28)
参考文献数
7

最近の日本においては,国民経済計算や産業連関表を中心とする包括的な経済統計の信頼性の向上のため,それらの推計方法や相互の関連について改革を 進めることの必要性が認識されている.とくに経済センサスの活動調査が 2011年を対象に初めて実施されることを受け,国民経済計算,産業連関表ともに推計の枠組みから見直すことが必要となっている.このため本稿では,国際 標準であ る国連の基準と日本の現行体系を比較し,主要国の経験を参考にしつつ,日本における改革の方向を探ることを目的とする.第1節で は国連の産業連関表の枠組みを概観する.第2節では日本の国民経済計算における産業連関表の取り扱いについて述べる.第3節では日本の産業連関表基本表と 国民経済計算および国際基準との関係について述べ,第4節では主要国の産業連関表について,国民経済計算との関連を中心に概観する.最後に結論を簡単に述べる.
著者
岩柳 智之 中村 文彦 田中 伸治 三浦 詩乃 有吉 亮
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.A_223-A_229, 2017

<p>2011 年 3 月11 日に発生した東北地方太平洋沖地震により、千葉県浦安市では液状化現象が発生し、交通障害や断水の被害が生じ、応急給水活動が行われた。本研究では浦安市での応急給水活動に着目し、最短経路探索を用いて水の運搬による身体的負担について評価し、また給水支援が不足した場合の備えを給水の待ち行列計算から推定した。その結果、前者について現況では全体として運搬時間 6 分以上の無理な負担が存在し、対策として耐震化した受水槽等の整備により運搬時間 10 分以上の過大な負担が大きく減少することが明らかになった。後者について 8000 人程度の断水人口を受け持つ応急給水拠点では給水車が不在となる時間や給水所開設時間内に水を受け取れない人が発生し、これを避けるには 1L/人・日の備蓄が必要であることが明らかになった。</p>