著者
南 雅代 鈴木 和博 中村 俊夫 池田 晃子
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.61, 2014

キツネは50年ほど前まで里山の至る所に生息していた最もポピュラーな野生動物であり、愛知県豊田市の市街地から北東に約17 km離れた山間集落である小手沢にも、1960年代初めまでは多くのキツネが生息していた。しかし、キツネは1960年代後半から次第にいなくなり、現在では全く目撃されなくなっている。そこで、本研究では、小手沢集落の旧地蔵堂の解体(2010年1月17日)中に床下から見つかったキツネ遺骸の歯および骨の14C濃度から、それぞれ誕生および死亡年代を求め、キツネが里山から消えた時期を明らかにすることを目的とした。このキツネの遺骸の脇には1971-1983年版のチキンラーメンの袋が見つかっていることから、キツネが消えた時期を解明する鍵になると推察された。本発表においては、14C年代測定の他、C・N・Srの安定同位体比の測定も行ない、キツネの食性を推定することにより、キツネが里山から消えた原因も考察する。
著者
安川 宏紀 中村 暢昭
出版者
公益社団法人 日本船舶海洋工学会
雑誌
日本船舶海洋工学会論文集 = Journal of the Japan Society of Naval Architects and Ocean Engineers (ISSN:18803717)
巻号頁・発行日
no.6, pp.313-321, 2007-12-01
参考文献数
14
被引用文献数
3 1

An analysis method is presented to know whether a towed ship is stable or not in the course stability in wind. The method is based on the linearized motion equations newly derived in this paper for the towed ship. The special feature is to take the effect of hull steady condition of the towed ship in wind into account. By means of the analysis method, the wind effects on the course stability of a towed barge were investigated. The course stability recovers in the range from beam to quartering wind even if the towed barge is unstable in no wind case. Namely, the barge is stably towed with keeping the certain heading/drift angle in the beam/quartering wind. On the contrary, the course stability reduces in head and following winds with higher speed even if the towed barge is stable. We found that the course stability of the towed ship is much affected by the hull steady condition in wind. The analysis results agreed well with the simulation results by a nonlinear time domain method. The present analysis method is useful for better understanding of the course stability of the towed ship in wind.
著者
小林 茂雄 海野 宏樹 中村 芳樹
出版者
人間・環境学会
雑誌
MERA Journal=人間・環境学会誌 (ISSN:1341500X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1-8, 2000-05-01

夜間商店街の視環境は、街路灯や看板灯、ウィンドゥディスプレイの光など多様な照明要素で構成されているが、これらの光環境は一般的に20時前後を境にして急激に変容する。これは店舗が閉店すると同時に付随する看板灯や内部照明を全て消灯してしまうからである。看板灯や店舗からの漏れ光は、屋内の人間活動と結びついていることから、こうした光は外部に対して単に視覚的な明るさを与えるだけでなく、人の気配を感じさせる働きがあるのではないかと考えられる。本研究は、店舗に付随する照明要素の心理的な働きを理解することによって、閉店後における街路の環境を改善する手がかりを得ようとしている。はじめに、開店時から閉店時にかけて商店街光環境の移り変わりを体験させ、その印象を把握する実験を行った。その結果、閉店後の光環境は全般的に不安で監視性が低く、監視性の低さは店舗から漏れ出す光が強く関与していることがわかった。そこで次に、店舗から漏れ出す光量やファサードの透視性を変数とした評価実験を行ったところ、路上で感じられる人の気配や安心感は、漏れ光の強さだけでなく、店舗ファサードの形態と関わりがあることがわかった。
著者
中村 早希 辻合 秀一
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告
巻号頁・発行日
vol.38, pp.177-178, 2014

「色、感情、自然」をテーマとした世界を描いたiPad向けアプリケーションを制作しました。黄色は喜びや楽しみを表現した世界、青色は哀しみや寂しさを表現した世界など、色と感情を結び付け、その世界を自然物で表現しています。少年を操作し画像を横スクロールさせることで場面を変化させ、目的の場所まで進んで行きます。その世界の中を少年が動くことにより、鑑賞者のペースで自由に見ていただけます。
著者
岩月 宏泰 由留木 裕子 文野 住文 中村 あゆみ
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2013, 2014

【はじめに】近年,本邦では医療や福祉の領域でも雇用就業形態や若者を中心とした職業観の変化が急速に進み,理学療法士を確保したい施設や企業のニーズとの間に解離が生じている。このため,理学療法士養成校では各方面との連携を深め,企業などの最新の情報や人材についてのニーズを把握する必要がある。また,在学中の学生に,将来従事する仕事や職場の状況を理解させ,自己の職業適性,職業生活設計について考える機会を与えることが不可欠である。例えば,理学療法士養成校や地域の実情に応じて,就業やボランティアの体験,卒業生との対話など多様な機会を与えることも前述の目的を達成する上で有用と考えられる。これまで理学療法学生が入学時から卒業までにどのような過程を経て就業意識を培うか,入職後の職業生活に対する適応力を高める教育方法に言及した報告は少ない。今回,理学療法学生の職業生活に対する意識について,質問紙調査の結果から学年別特徴を明らかにし,卒業後に社会的・職業的自立が可能となるような教育的方策について検討した。【説明と同意】本研究の対象者には,青森県立保健大学研究倫理委員会の指針に従って,予め調査の趣旨を説明し了承した上で実施した。また,調査票表紙には「調査票は無記名であり,統計的に処理されるため,皆様の回答が明らかにされることはありません」と明記され,集められた調査票は研究者が入力し,入力後はシュレッダーで裁断した。【方法】対象は青森県,北海道及び高知県に所在する理学療法学専攻の大学及び4年制専修学校に在籍する学生のうち,回答した569名(1年生146名,2年生143名,3年生143名及び4年生137名)であった。調査(留め置き法)時期は2011年6~9月と2013年6月の2回であり,調査票は基本属性,職業志向尺度(若林1983,12項目),成人キャリア成熟尺度(坂柳1999,9項目),職業決定尺度(研究者が作成,4項目)ほかで構成されていた。統計学検討はSPSS VER.16.0Jを使用し,各測定尺度の下位尺度別に集計を行い,学年別比較には多重比較検定(Tukey法)を実施した。なお,各々の下位尺度間でPearson相関係数を算出した。【結果と考察】職業志向尺度の下位尺度のうち,「労働条件」と「人間関係」では学年差を認めなかった。しかし,「職務挑戦」については1~3年生が12.5点台であったが,4年生で11.7±2.8点と下位3学年より有意な低値を示した。また,成人キャリア成熟尺度の「関心性」には学年差を認めなかったが,「自律性」と「計画性」で4年生が下位3学年より有意な低値を示した。なお,職業決定尺度では学年差を認めなかったが,4年生における成人キャリア成熟尺度の下位尺度との相関係数は「関心性」0.27,「自律性」0.22及び「計画性」0.45(p<0.05)であった。1~3年生では学年進行に伴い,自己のキャリアに対して積極的な関心を持ち,それに対する取り組み姿勢も自律的と考えられるので,職業観や職業意識を高める啓発活動の継続性が重要と考えられた。一方,成人キャリア成熟尺度の学年別比較では「自律性」と「計画性」について,4年生では下位学年より有意な低値を示し,職業志向尺度の「職務挑戦」でも同様の結果を認めたことから,彼らには職業生活設計に対する積極的な関心が見出されず,社会的・職業的自立するためのレディネスの確立が遅れていることが推察された。【理学療法学研究としての意義】本研究の結果,4年生が下位学年より「職務挑戦」やキャリア形成で重要な位置を占める「自律性」と「計画性」で消極的な態度を示した事から,長期休暇や入職前に理学療法職場でインターンシップを体験させるなどの機会を与えることで,主体的に選択する職業観や就業意識を育成する必要性が示唆された。
著者
中村 修二
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.676-686, 1996-07-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
78
被引用文献数
2

発光ダイオード (LED) の高光度フルカラー,あるいはディジタルビデオディスク (DVD) などの光ディスクの高密度記録のため短波長青色発光素子の実現はワイドバンドギャップ半導体材料を研究している研究者にとっては長年の夢であった.最近 GaN 系半導体材料を使用して従来の LED より約100倍明るい高光度青,緑色 InGaN 単一量子井戸構造 LED が相継いで開発製品化された.また半導体レーザーの中では最短波長である390~430nmの青紫色半導体レーザーも InGaN 多重量子井戸構造を発光層とすることにより 1995 年末に世界で初めて開発された.ここではこれらGaN系発光素子の現状と将来の展望について述べる.
著者
椿本 貴昭 岩崎 正一郎 瑞森 崇弘 中村 隆志 高島 史男
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.494-503, 2001-08-10
参考文献数
34
被引用文献数
1 2

目的: 咀嚼の側性を客観的かつ定量的に評価する方法として, 左右側を指定しない自由咀嚼運動の左右側ストローク数より非対称性指数 (Asymmetry Index, 以下AI) を算出する方法を用い, 方法の妥当性, さらには食品による変化, 日間変動について検討することである.<BR>方法: 被験者として健常有歯顎者10名を選択し, チューイング・ガム, カマボコ, グミ・ゼリー, タクアン, スルメ, ピーナッツ, ジャイアント・コーンの計7種類を被験食品に用いた. 被験者に左右側を指定しない20秒間の自由咀嚼運動を行わせ, 左右側のストローク数を視覚的に数え, AIを算出した. 記録は各種食品1日1回, 1週間ごとに計3回行った.<BR>結果:(1) 左右側ストローク数からAIを算出することにより, 咀嚼の側性を定量的に表現できた.(2) 咀嚼の側性を捉える目安として, 3日間のAIの中央値, 範囲から, 各被験者を片側咀嚼型 (U型), 両側咀嚼型 (0型), 不定側咀嚼型 (V型) の3型に分類できた.(3) 軟性食品では0型が, 硬性食品ではU型が多い傾向があったが, 軟性食品内あるいは硬性食品内での性状による差は認められなかった.<BR>結論: 本実験で用いた咀嚼の側性の評価方法は客観的かつ定量的方法であり, 咀嚼の側性は各被験者において特徴的で, 食品の硬性により影響を受ける可能性が示唆された.
著者
中村 恭子 吉谷 明敏 清水 伸二 坂本 治久
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集C編 (ISSN:18848354)
巻号頁・発行日
vol.79, no.807, pp.4389-4399, 2013 (Released:2013-11-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1 3

The contact stiffness of joints has been evaluated experimentally and the method quantifying them has been proposed by authors. However it was found out that the range of application for this method was limited, since the method was based on the assumption that the relationship between force and real contact area of the joint is linear. Therefore, in this paper, we consider a widely applicable and more general identification method of the contact stiffness which can be applied to the joints in which the relationship between the force and the real contact area shows non-linear characteristics. As a consequence, following results are obtained. (1) The model of the joint interface with surface roughness can be made as a surface covered by springs with same length and spring constant along the profile of surface roughness. (2)The identification method of the contact stiffness of the joint based on the model can be applied to the joints, even if the relationship between the force and the real contact area of the joints is non-linear. (3) The contact stiffness per real contact area k shows constant regardless of the applied force in the joint where the relationship between the force and the real contact area is non-linear.
著者
中村 成芳 城所 俊一
出版者
日本熱測定学会
雑誌
熱測定
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.113-119, 2007

天然(N)状態,変性(D)状態と構造的に区別される状態であるモルテングロビュール(MG)状態はいくつかの蛋白質の変性の平衡論的な中間状態として発見された。MG状態は,N状態と同程度の2次構造を持ったコンパクトな球状であるが3次構造は大きく揺らいでいる。最近,我々は等温滴定熱量計を用いて,蛋白質のpH転移に伴うエンタルピー変化を評価する手法として等温酸滴定熱量測定法(IATC)を開発した。本法を用いて,シトクロム<i>c</i>のN状態からMG状態へのpH転移を直接熱量計で観測し,N状態からMG状態への転移は小さいエンタルピー変化を伴う2状態転移であることを確認した。またシトクロム<i>c</i>のN状態からD状態への熱転移を高精度DSCで解析することで,転移の際にMG状態が観測されることを示した。
著者
中道 久美子 中村 文彦
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.867-872, 2014

南米コロンビアの中規模都市であるメデジン市では、所得格差とスラム街形成、自家用車やオートバイの増加といった都市交通問題を抱えていたが、約20年間で都市再生と都市交通システムの戦略的整備に取り組み、革新的な成長を遂げた。本論文では、メデジン市の現代都市交通システムの動向について、現地ヒアリング調査に基づいてとりまとめ、今後の都市交通戦略のあり方について示唆を得ることを目的とする。具体的には、高架鉄道、ロープウェイ、BRT、LRT、自転車シェアリング、エスカレータ等の現代的な都市交通システムに関して、現地自治体へのヒアリングや利用者へのインタビューを通して、動向をまとめるとともに、南米のその他の都市との体系的比較も行った。それらの結果から、機動力のある実働的な自治体組織、低費用かつ論理的に矛盾のない導入順序、市民が誇りを持つよう重視していることなどの特徴が見られ、途上国の交通戦略やわが国の地方都市の交通問題解決に際しての知見を得た。
著者
中村 光浩
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.136, no.4, pp.549-556, 2016 (Released:2016-04-01)
参考文献数
25
被引用文献数
5 9

Observational study is necessary for the evaluation of drug effectiveness in clinical practice. In recent years, the use of spontaneous reporting systems (SRS) for adverse drug reactions has increased and they have become an important resource for regulatory science. SRS, being the largest and most well-known databases worldwide, are one of the primary tools used for postmarketing surveillance and pharmacovigilance. To analyze SRS, the US Food and Drug Administration Adverse Event Reporting System (FAERS) and the Japanese Adverse Drug Event Report Database (JADER) are reviewed. Authorized pharmacovigilance algorithms were used for signal detection, including the reporting odds ratio. An SRS is a passive reporting database and is therefore subject to numerous sources of selection bias, including overreporting, underreporting, and a lack of a denominator. Despite the inherent limitations of spontaneous reporting, SRS databases are a rich resource and data mining index that provide powerful means of identifying potential associations between drugs and their adverse effects. Our results, which are based on the evaluation of SRS databases, provide essential knowledge that could improve our understanding of clinical issues.
著者
中村 俊一郎 寺西 武夫 青木 美珠代
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.461-467, 1982 (Released:2007-07-05)
参考文献数
21
被引用文献数
3 8

セルリー種子の発芽促進に対するベンジルアデニン(BA), ジベレリン(GA3又はGA4)及びポリエチレングリコール(PEG)6000溶液処理の効果を調査した. またホウレンソウ種子ではPEG処理の発芽促進効果とともに, 処理後の乾燥貯蔵の可能性を調査した.1. セルリー種子は20°Cを越えると発芽率が低下した. 発芽促進剤としてはBAが有効で, GA4も効果があるが, GA3は無効であった.BAとGA4とを併用すると最も有効であった.2. セルリー種子はPEG処理によって発芽速度が早まり, 又25及び30°Cでの発芽率が上昇した.3. 処理期間は7日間でも大きな効果が見られたが, 14日間処理すれば効果は更に増大した.4. 処理温度は, 種子ロットによって, 15°Cが好適な場合と, 20°Cが好適な場合とがあった.5. PEG処理中に光線を与えることによって, 処理効果が増大した.6. PEG溶液中にBAを加えることによって処理効果が増大した. しかしGA4を加えても効果の増大は見られなかった.7. ホウレンソウ種子もPEG処理によって発芽速度が早まり, 30°Cでは発芽率も増大した.8. ホウレンソウ種子をPEG処理後, 7日ないし14日間貯蔵した時, 発芽率の低下は見られず, 発芽速度の減少も僅少にとどまった.
著者
中村 英子
出版者
中国地区英語教育学会
雑誌
中国地区英語教育学会研究紀要
巻号頁・発行日
vol.38, pp.1-10, 2008

This paper tries to see the process of oral language learning by exploring how the nature and the use of unfilled/filled pauses and other time-creating devices change over time, and by comparing the patterns used by learners of different proficiencies. First, learners' pauses are quantitatively examined by pause/time ratio, and then qualitatively studied to see individual differences. Unfilled pauses seem to have been gradually replaced with other time-creating devices, and the locations of pauses were seen to be different among different proficiency learners. Pauses and other time-creating devices are also used in effective ways other than as problem-solving devices. The author proposes that the use of those devices for language retrieval difficulties could be useful for language learning, not just as markers of language disfluency or deficiency.