著者
孫 仁俊 中野 博昭 大上 悟 小林 繁夫 福島 久哲 堀田 善治
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.892-898, 2005 (Released:2005-10-20)
参考文献数
13
被引用文献数
12 13

The effect of equal-channel angular pressing (ECAP) on the pitting corrosion resistance of Al and Al-Mg alloy was investigated by means of polarization curves in solutions containing 300 ppm of Cl- and by surface analysis. The potentials for pitting corrosion of Al and Al-Mg alloy were evidently shifted to the noble direction by ECAP process, indicating that this process improves resistance to pitting corrosion. SEM observation revealed that the pitting corrosion occurred near the impurity precipitates and the size of impurity precipitated decreased with ECAP process. The time-dependence of corrosion potential and the polarization resistance determined by AC impedance technique suggested that the formation rate of Al oxide films was increased with ECAP process. The improvement in pitting corrosion resistance of Al and Al-Mg by ECAP seems to be attributable to the decrease in the size of impurity precipitates and the increase in the formation rate of Al oxide films.
著者
古川 智一 中野 博 平山 健司 棚橋 徳成 吉原 一文 須藤 信行 久保 千春
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.790-798, 2011
参考文献数
51
被引用文献数
1

閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)は,のちに患者であることが判明した新幹線運転士の居眠り運転にみられるように,その社会的インパクトから最近注目されるようになった.また,OSAと合併症である高血圧,心血管障害,脳卒中との関連についても,多くの研究結果から明らかにされてきている.OSAの主症状であり日常的によくみられるいびきは,いびき症者のみならずベッドパートナーの睡眠も妨げるため重要な問題である.質問紙を用いた主観的ないびきと心血管障害との関連が過去の疫学研究によって報告されているが,そのいびきはOSAの代理指標とされ,OSAのないいびき症の臨床的意義についてはあまり注目されていなかった.しかし,最近の研究でいびきがOSAとは独立して眠気や血圧上昇に関与することが示唆されており,今後その臨床的意義について明らかにされることが望まれる.
著者
中野 博詞
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.1-14, 1978-09-30 (Released:2017-05-22)

Die Versuchungen der Periodisierung von J. Haydns Sinfonien haben sich nach der Entwicklung der Datierungsforschungen verandert. Im ersten Teil meiner vorliegenden Arbeit werden die neunerlei bisherige Datierungen, die die Forscher von E. Mandyczewski (1908) bis G. Feder (in Vorbereitung) untersucht und beigebracht haben, kritisiert. Im zweiten Teil werden die funferlei Periodisierungen von B. Rywosch (1934) bis H. Nakano (1971) auf Grund von den Erfolgen der neuesten Studien nachgepruft. Hier ist die folgende Schaffensperiodisierung vorgeschlagen : Die erste Periode (um 1757-um 61) : die der verschiedenen Versuchungen der sinfonischen Stile. Die zweite Periode (um 1761-um 65) : die der Bemuhung um den eigenen Stil der Sinfonie. Die dritte Periode (um 1766-um 73) : die der Verflechtung des Barockstils in den fruhklassischen Stil (bezuglich der Kirchenmusik). Die vierte Periode (1774-84) : die der realen Fursorge und des Experimentes (bezuglich der Oper). Die funfte Periode (1785-89) : die der Ausarbeitung des klassischen Stils (die Sehnsucht nach der internationalen Musikstadt). Die sechste Periode (1791-95) : die der Ausreifung (die Gegenwirkung offentlicher Konzerte). Es ist beachtenswert, dass die Verwandlung des Haydns Sinfoniestils von der Wechslung seines musikalischen Milieus abhangig sei.
著者
山本 寛人 田中 健一 山下 俊介 浮田 昌一 中野 博史 白沢 楽 冨谷 茂隆 小寺 正明 船津 公人
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第42回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.1P19, 2019 (Released:2019-10-22)
参考文献数
4

電子エネルギー損失分光法(EELS)から得られたスペクトルデータの解析手法について報告する。EELSは電子線を試料に照射し、透過した電子線に磁場をかけて分光し、エネルギー損失から試料の状態を推定する分析手法である。提案手法では、EELSスペクトルデータに2種類の前処理を適用し、主成分分析による解析を行った。ドライエッチング時のダメージの状態把握および、GaInN量子井戸におけるインジウム含有量の推定結果について報告する。
著者
足立 仁志 井形 勉 西村 敏弘 山本 祐紀恵 瀬津田 愛 中野 博
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.95, 2006

【始めに】<BR> 重症心身障害児者(以下重症児者)においては、咳嗽反射の低下による喀痰困難や脊椎側彎症の増悪などによる換気能力低下から慢性気管支炎等の呼吸器疾患へと移行し、ひいては外出日数の減少や在宅における健康管理上の問題となる.これらの問題に対し、体位ドレナージや呼気胸郭圧迫法(いわゆるSqueezing)等を用いての排痰援助が用いられるが、手技の習熟度、実施頻度、手技自体の限界などから十分な排痰を行うことが困難な症例がある.近年このような重心児・者に対して、肺内パーカッションベンチレーター (Intrapulmonary Percussive Ventilator: 以下IPV)やCough Machine (以下CM) 等の機器を用いての気道クリアランスの有効性が報告されており、当院においても使用する機会を得た.今回は、気管切開を行っていない2症例に対し呼吸音解析による検討とともに、その受け入れ状態の変化の観察を行い、その有用性及び課題について若干の考察を行った.<BR>【実施方法】<BR>排痰は一日一回実施した.呼吸音の記録には、コンデンサーマイクロホン及びパソコンを用いて記録し、その後時間軸波形及びサウンドスペクトログラムでの解析を行った.<BR>【結果】<BR>〔症例1〕23歳、男性 レノックス・ガストー症候群 気管支喘息 慢性気管支炎<BR>脊椎の高度な右凸側彎変形が認められ、呼吸音は、左肺呼吸音は弱く時折crackleが聴取された.排痰援助として開始当初CMの使用を試みたが、不快感が強いためIPV後に吸引を行う方法をとった.この症例においては従来の方法との排痰効果の比較を行う目的で、Squeezing時 とIPV( Percussionaire社製 IPV-1 使用しフェイスマスクにて実施)実施時各4回づつ前後での呼吸音の記録・解析を行った. その結果、IPV後は、4回全てにおいてcoarse crackleが著明となったがSqueezingでは、2回で同様の変化が認められたが、その程度はIPVより小さいものであった.<BR>〔症例2〕3歳、男性 滑脳症 水頭症 食道逆流現象症 慢性気管支炎<BR>常時crackle聴取されるとともに喉頭部での痰貯留音も認められ、1,2時間ごとの吸引処置が必要であった.主治医よりCMによる排痰が有効かとの依頼があり検討を行った.CMはレスピロニクス社製 Cough assist CA-3000 使用し、フェイスマスクを用いて実施した.CM前後での呼吸音の比較を4回行った結果、CM後でのcrackle及び喉頭部の痰貯留音の減少が全ての回において認められた.<BR>〔受け入れの状況〕症例1においては、当初CMを数回試みたが、不快感のため全身の筋緊張の亢進や息こらえ等のため実施困難と判断し、IPVに変更したところ、その状況に改善が見られ継続実施可能となった.この点についてはIPVの場合、自発呼吸をあまり妨げられないことなどが関係していると考えられた.症例2では、CM実施当初は不快な様子で開口し、頚部を反らせる等の行動が見られ、呼吸パターンも不規則になるため、手動にて呼吸に合わせ実施したが、4回目以降にはその様子も落ち着き、オートモードでの使用が可能となった.<BR>【考察】<BR>重症児者では、側彎変形や四肢の関節拘縮により、体位ドレナージやSqueezing等の効果が得られにくく、また最終的な喀出段階で難渋する場合が多いが、今回経験した二例も同様の症例であった.今回の結果からこのような排痰困難例に対し、これらの機器は有用であると考えられた.その一方、今回のようなマスクを使用する場合、顔面・口腔周囲の過敏性をいかにクリアーするかといった点や自発呼吸とのマッチングをうまく図ることなどが、スムーズな導入への重要な課題と考えられた.
著者
菅原 悠樹 小寺 正明 田中 健一 中野 博史 浮田 昌一 白沢 楽 冨谷 茂隆 船津 公人
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第41回ケモインフォマティクス討論会 熊本
巻号頁・発行日
pp.2C08, 2018 (Released:2018-10-26)
参考文献数
8

蛍光物質は液晶ディスプレイや照明、創薬の動物実験などの広い用途で用いられており、重要性が高まってきている。蛍光を示す化合物のなかでもBODIPYと呼ばれる二置換ホウ素原子とジピロメテンの複合体を分子骨格に有する化合物は、シャープなスペクトルを持ち、溶媒環境による波長変化の影響が小さく、量子収率が安定して高いので実用性が期待される。本研究では望ましい物理的性質を持つ新しい候補BODIPY化合物を迅速かつ正確に予測するモデルを提案する。提案モデル(MAE = 17.34、R2 = 0.90)は、量子計算モデル(MAE = 24.71、R2 = 0.84)と比較して、非常に正確な性能を示した。提案モデルが、吸収波長の予測に重要と判断した記述子には化学の知見と一致するものもあり、提案モデルの信頼性を示している。しかし提案されたモデルは溶媒情報を適切に活用できておらず、今後のさらなる改良が期待される。
著者
佐方 冬彩子 小寺 正明 田中 健一 中野 博史 浮田 昌一 白沢 楽 冨谷 茂隆 船津 公人
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
Journal of Computer Aided Chemistry (ISSN:13458647)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.7-18, 2018 (Released:2018-09-27)
参考文献数
23
被引用文献数
5

材料開発において未知の材料を効率的に探索するには、組成の情報のみから物性を予測する手法の開発が必要である。本研究では、無機材料の組成式を記述子に変換して説明変数とし、物性との関係を表す回帰モデルを構築した。さまざまな物性の予測に対応できるよう情報を損失なく変換するために、組成式中の各元素の個数や割合を表す記述子、原子量、原子半径、電気陰性度といった元素の物理学的パラメータを使用した記述子など、合計387個の記述子を提案した。ケーススタディとして、これらの記述子を用いてRandom Forestによるモデルを構築し、結晶の生成エネルギー、密度、屈折率という3種類の物性の予測を行って R2 値がそれぞれ 0.970、0.977、0.766という結果を得た。また、統計的に選択されそれぞれの物性予測モデルの構築に寄与した記述子が、化学的知見から考えても妥当なものであったことからこの手法の有用性を確認した。
著者
入江 正洋 山下 高範 久保 千春 木原 廣美 中野 博 川村 治子 十川 博 手嶋 秀毅 中川 哲也
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.930-934, 1992-05-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
21
被引用文献数
1

症例は19歳の女性. 気管支喘息として約1年10ヵ月, ステロイド剤を含む治療を受けたが, 改善しないため当科に入院した. 患者はアレルギー疾患の家族歴を有し, アストグラフでも気道過敏性があるように思われたものの, 喘鳴出現時に1秒量やPaO2の低下はなく, 気管支拡張剤の吸入でも呼吸機能に変化はみられず, 喘息は否定的であった. また, 患者の喘鳴は喉頭部で最も著明に聴取され, 多くは吸気性の呼吸困難を伴い, フローボリューム曲線は, 吸気時の流速が低下していた. さらに, Laryngos-copy では, 声帯の内転位固定と後方の僅かな間隙が認められ, 以上の所見より Vocal cord dysfunction と診断された. 本症例の喘鳴は, 不幸な生育歴を背景とする転換反応に起因するものと考えられ, 心身相関の理解やセルフコントロールの習得を中心とする心身医学的治療によって, 薬剤不要な状態にまで改善した.
著者
足利 えりか 谷口 義明 長谷川 剛 中野 博隆
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿 (ISSN:02853957)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.129-136, 2010

近年,道路の通行量や建物,催し物会場等の入退場者数を把握するための人流計測の自動化に対する需要が高まっている.我々の研究グループでは,カメラで取得した動画像を用いて,人物が重なり合うような状況でも,人流を実時間,高精度に計測できる人流計測手法を提案している.提案手法では,まず,カメラを用いて斜め上空から対象領域を撮影し,取得した動画像中の所望の位置に直線状の仮想ゲートを設置する.次に,仮想ゲート上の各画素における背景差分をフレーム毎に計算し,差分が大きな画素を始点とするオプティカルフローを抽出する.抽出したオプティカルフローを始点が隣接する同じ向き,大きさのフロー群に分離し,事前学習により得た統計情報を用いて,分離したフロー群の大きさから,通過人数を推定する.本稿では,提案手法の諸要素のうち,仮想ゲートにおけるオプティカルフローをブロックマッチング法を用いて抽出する手法を提案する.提案手法では,探索範囲を仮想ゲート周辺に限定することにより,計算量を抑え,マッチング判定処理を従来より詳細に行うことができるため,高精度なオプティカルフローの抽出が可能となる.実動画像を用いた評価の結果,提案手法を用いることにより,実時間,89%の精度でオプティカルフローの抽出が出来ることを示す.
著者
木原 博 岡本 郁男 大森 明 中野 博文
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1973, no.4, pp.713-718, 1973-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
4

はんだ付けにおける金属ステアレートなどの金属塩のフラックス作用を,金属の種類を変えて,金属塩とSn-Pb共晶はんだ間の反応がはんだの銅板上におけるぬれに対していかに作用しているかを研究した。その結果,金属塩のフラック作用機構はつぎのとおりであることが明らかにされた。まず,金属塩はSn-Pb溶融共晶はんだ中のスズと反応し,金属およびスズ塩を与える。その生成した金属ははんだ中へ溶解し,その結果はんだが母板上をぬれていくものと思われる。そして金属塩と溶融Sn-Pb共晶はんだとの反応は,金属の酸化還元電位および金属ステアレートの生成標準自由エネルギーに支配されるのではないかと思われる。
著者
秋山 豊和 寺西 裕一 岡村 真吾 坂根 栄作 長谷川 剛 馬場 健一 中野 博隆 下條 真司 長岡 亨
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.1249-1264, 2008-03-15

大阪大学では,高いセキュリティレベルと標準的なインタフェースを兼ね備えた認証技術として注目されている公開鍵基盤(PKI: Public Key Infrastructure)に基づく全学IT 認証基盤を導入した.本学で導入した全学IT 認証基盤システムでは,署名・暗号化,学内認証,グリッドシステム認証,という異なるポリシに対応する複数のCA を導入・共存させている.これら複数のCA 向けの証明書発行を自動化することにより,安全性と利便性を両立した証明書発行サービスを実現している.また,PKI に対応したシングルサインオン(SSO)機能を導入し,学内ユーザが各システム間で統一的なインタフェースにより認証を行えるようにした.アプリケーションWeb サーバに認証機能を組み込むエージェント型のSSO 機能の導入により,1 度アプリケーションをSSO 対応させてしまえば,アプリケーションを変更することなくシームレスにパスワード認証からPKI 認証へ移行・共存することが可能となった.さらに,ユーザID 体系として,公開用に変更を許容するユーザID と,システム間連携用に1 人に1 つ決まる不変のユーザID とを設け,それらの対応付けを内部的に行うことにより,安全性・柔軟性ある運用を可能とした.本稿では,本認証基盤の設計と実装について述べるとともに,システムの導入により得られた技術的ノウハウや今後の展開についても述べる.
著者
渡 健太 金子 祐輔 大上 悟 大原 秀樹 竹田 賢二 中野 博昭
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
Journal of MMIJ (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.133, no.10, pp.250-255, 2017-10-01 (Released:2017-10-31)
参考文献数
17
被引用文献数
1

To elucidate the effect of solution composition on the passivation of anode in Cu electrorefining, the potentiodynamic polarization curves were measured by polarizing from -0.2 V versus NHE to 1.0 V using the potential sweep method at 1.0 mV·s−1. The diffusion coefficient was measured by rotating disc electrode method under the conditions of 50, 100, 150, 200, 250 and 300 revolutions per minute of disc electrode and polarizing from 0.34 V to -0.40 V at 10.0 mV·s−1. The critical current density for passivation and the passive current density decreased linearly with total concentration of SO4 in solution regardless of solution composition and the presence of impurities such as As3+,Sb3+ and Bi3+, showing the good correlation between the current density for passivation and the total concentration of SO4. The diffusion coefficient of Cu2+ ions decreased with total concentration of SO4 in solution. The increase in passivation with the total concentration of SO4 is attributed to both decreases in solubility of CuSO4 in electrolyte and the diffusion coefficient of Cu2+ ions. On the other hand, focusing on the effect of kinds of cation on the passivation, the harmful effect on the passivation was largest with Cu2+ ions, and was larger in the order with Li+,Ni2+ and Na+ ions, and was smallest with H+ ions. The diffusion coefficient of Cu2+ ions decreased most with Ni2+ ions, and decreased secondly with Li+ and Na+, and decreased least with H+ ions. The diffusion coefficient of Cu2+ ions decreased with increasing the viscosity of solution.
著者
徳重 晃大 森 康平 大上 悟 松島 寛 鈴木 一成 中野 博昭
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
Journal of MMIJ (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.133, no.7, pp.165-172, 2017-07-01 (Released:2017-07-21)
参考文献数
15
被引用文献数
5

Cu electrolysis was performed using low-grade copper anode with purity 78.7 mass% at a anode current density of 200 A・m-2 in an unagitated sulfate solution containing 0.596 mol・dm-3 of Ni2+ ions as impurity at 60 ℃, and the structure of anode slime before and after passivation was analyzed. The highly-concentrated Sb, Pb and Ag were dispersed in copper anode before electrolysis. The passivation occurred at short time of 17.7 hours in the case of low-grade copper anode, and it occurred at shorter time of 11.4 hours in the solution containing Ni2+ ions as impurity. At normal dissolution of copper anode, copper parent phase dissolved in the form of dendrite and the framework of anode slime was composed of remained Cu-Ni-Sb-Sn-As compound. Cu2S and single phase of Ag and Pb were observed around this framework. At passivation, Cu, Ni and Sn dissolved from the slime framework composed of Cu-Ni-Sb-Sn-As compound, resulting in formation of Sb condensed phase. These Cu-Ni-Sb-Sn-As compound, Sb condensed phase, Cu2S compound around the slime framework, Ag and needle-shaped PbO dotted in the whole slime suppressed the diffusion of Cu2+ ions, as a result, CuSO4 was formed at interface between the slime and copper substrate. The passivation occurred at slime thickness of approximately 500μm in Ni2+-free solution, while it occurred at slime thickness of approximately 300μm in solution containing Ni2+ ions. This indicates that the passivation do not depend on only the thickness of slime. The thickness of CuSO4 formed at passivation in Ni2+-free solution was almost identical with that from the solution containing Ni2+ ions. In solution containing Ni2+ ions, the passivation occurred at less thickness of slime, showing that CuSO4 is easy to be formed in the vicinity of copper substrate due to decrease in solubility of CuSO4 and diffusion coefficient of Cu2+ ions.
著者
杉山 知行 中野 博 井村 裕夫 伊藤 憲一
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化機病學會雜誌. 乙 (ISSN:13497693)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.46-55, 1984

線維増生を促進するリンホカイン, fibrogenic factor の慢性肝炎における肝線維化への関与を検討すべく, その活性 (fibrogenic activity, FA) を既報の標準法 (2-step 法) に代つて, 末梢血リンパ球と肝細胞膜特異抗原を同時に線維芽細胞培養系へ加える新たに工夫した簡易法 (1-step 法) で測定した.<br>慢性活動性肝炎 (CAH) 9例, 慢性非活動性肝炎 (CIH) 7例, 正常人8例では両法で測定を行い, 24例中22例 (92%) と高率にFAの成績は一致した. また 1-step 法によるFAは正常人8例中には陽性例なく, CAH 12例中8例 (67%), CIH 16例中4例 (25%) で陽性で, CAHのFA陽性率は正常人に比し有意に高く, 2-step 法による成績とほぼ同様であつた.<br>以上よりCHAの肝線維化機序の一因に fibrogenic factor が関与している可能性が示唆され, 又 1-step 法は簡便な為臨床上有用で 2-step 法に代りうるとの成績を得た.
著者
江本 宏史 金廣 裕道 中島 祥介 堀川 雅人 中野 博重 堤 雅弘 小西 陽一
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.820-824, 1997-10-25 (Released:2009-08-13)
参考文献数
11

症例は42歳, 女性で右季肋部痛を主訴に受診した。超音波検査にて肝腫瘍と診断, 諸検査の結果, 肝血管肉腫と診断され平成3年5月に肝右葉切除術を施行。病理学検査にて肝血管肉腫と確診された1症例を報告する。本症例は, 肝血管肉腫の原因としてあげられている, トロトラスト, 塩化ビニール等とは因果関係は認められなかった。肝血管肉腫は, 原発性肝腫瘍のなかでは比較的稀であるが, その予後は一般に不良とされている。本例も外科的切除し得たにもかかわらず, 術後20カ月目にして, 再発による腫瘍死を遂げた。本症例の経験からも, 肝血管肉腫は早期診断と広汎囲な外科的切除が, 予後の向上につながると考えられた。
著者
足立 仁志 井形 勉 西村 敏弘 山本 祐紀恵 瀬津田 愛 中野 博
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 第28回九州理学療法士・作業療法士合同学会 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
pp.95, 2006 (Released:2007-05-01)

【始めに】 重症心身障害児者(以下重症児者)においては、咳嗽反射の低下による喀痰困難や脊椎側彎症の増悪などによる換気能力低下から慢性気管支炎等の呼吸器疾患へと移行し、ひいては外出日数の減少や在宅における健康管理上の問題となる.これらの問題に対し、体位ドレナージや呼気胸郭圧迫法(いわゆるSqueezing)等を用いての排痰援助が用いられるが、手技の習熟度、実施頻度、手技自体の限界などから十分な排痰を行うことが困難な症例がある.近年このような重心児・者に対して、肺内パーカッションベンチレーター (Intrapulmonary Percussive Ventilator: 以下IPV)やCough Machine (以下CM) 等の機器を用いての気道クリアランスの有効性が報告されており、当院においても使用する機会を得た.今回は、気管切開を行っていない2症例に対し呼吸音解析による検討とともに、その受け入れ状態の変化の観察を行い、その有用性及び課題について若干の考察を行った.【実施方法】排痰は一日一回実施した.呼吸音の記録には、コンデンサーマイクロホン及びパソコンを用いて記録し、その後時間軸波形及びサウンドスペクトログラムでの解析を行った.【結果】〔症例1〕23歳、男性 レノックス・ガストー症候群 気管支喘息 慢性気管支炎脊椎の高度な右凸側彎変形が認められ、呼吸音は、左肺呼吸音は弱く時折crackleが聴取された.排痰援助として開始当初CMの使用を試みたが、不快感が強いためIPV後に吸引を行う方法をとった.この症例においては従来の方法との排痰効果の比較を行う目的で、Squeezing時 とIPV( Percussionaire社製 IPV-1 使用しフェイスマスクにて実施)実施時各4回づつ前後での呼吸音の記録・解析を行った. その結果、IPV後は、4回全てにおいてcoarse crackleが著明となったがSqueezingでは、2回で同様の変化が認められたが、その程度はIPVより小さいものであった. 〔症例2〕3歳、男性 滑脳症 水頭症 食道逆流現象症 慢性気管支炎 常時crackle聴取されるとともに喉頭部での痰貯留音も認められ、1,2時間ごとの吸引処置が必要であった.主治医よりCMによる排痰が有効かとの依頼があり検討を行った.CMはレスピロニクス社製 Cough assist CA-3000 使用し、フェイスマスクを用いて実施した.CM前後での呼吸音の比較を4回行った結果、CM後でのcrackle及び喉頭部の痰貯留音の減少が全ての回において認められた.〔受け入れの状況〕症例1においては、当初CMを数回試みたが、不快感のため全身の筋緊張の亢進や息こらえ等のため実施困難と判断し、IPVに変更したところ、その状況に改善が見られ継続実施可能となった.この点についてはIPVの場合、自発呼吸をあまり妨げられないことなどが関係していると考えられた.症例2では、CM実施当初は不快な様子で開口し、頚部を反らせる等の行動が見られ、呼吸パターンも不規則になるため、手動にて呼吸に合わせ実施したが、4回目以降にはその様子も落ち着き、オートモードでの使用が可能となった. 【考察】重症児者では、側彎変形や四肢の関節拘縮により、体位ドレナージやSqueezing等の効果が得られにくく、また最終的な喀出段階で難渋する場合が多いが、今回経験した二例も同様の症例であった.今回の結果からこのような排痰困難例に対し、これらの機器は有用であると考えられた.その一方、今回のようなマスクを使用する場合、顔面・口腔周囲の過敏性をいかにクリアーするかといった点や自発呼吸とのマッチングをうまく図ることなどが、スムーズな導入への重要な課題と考えられた.
著者
高山 範理 筒井 末春 中野 博子
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.2_42-2_51, 2010-09-10 (Released:2010-12-10)
参考文献数
20
被引用文献数
1

本研究では,近年,新たなストレス解消方法として期待されている森林浴に着目し,利用者の個人特性が,オンサイトにおける森林浴から享受される心理的な癒し効果(森林浴効果)に,どのように反映されているのかについて明らかにすることを研究の目的とした.まず,二十代の男子学生を調査対象者とし,4種類の調査票を用いて個人特性(17指標)の調査をおこなった.次に,POMS(6尺度)を用いたオンサイトの森林浴実験をおこない,森林浴効果を調査した.その後,個人特性の17指標とPOMSの6尺度の間で,相関分析および2群(個人特性の各指標の得点によって「高群」あるいは「低群」に分類)による対照分析をおこなった.その結果,森林浴の前後で「活気」および「疲労」尺度などに気分の改善効果がみられた.また,相関分析および対照分析の結果から,“神経症傾向”および“失敗に対する不安”と「怒り─敵意」との間に,“外向性”および“行動の積極性”と「活気」との間に,それぞれ有意な負の相関が確認された.さらに,歩行活動によって個人特性の各指標と「怒り─敵意」尺度との間に,座観活動によって各指標と「活気」および「疲労」尺度との間に,相対的に高い相関関係があることが確認された.本研究の結論として,(1):調査地の森林には森林浴効果があった(2):森林浴は,特に神経症傾向や失敗に対する不安感が高い人,あるいは外向性や行動の積極性の低い人により効果的であった(3):(2)のような人々は,森林内をゆったりと散策することで,通常の人よりも,より「怒り─敵意」の感情が沈静化し,よりリラックスした心理状態になることなどが示唆された.