著者
伊藤 和之 加藤 麦 中村 仁洋 池田 和久 幕内 充 水落 智美 岩渕 俊樹
出版者
国立障害者リハビリテーションセンター(研究所)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

重度の中途視覚障害者の手書き行動が学習に影響を与えるかを検証するため,新規外国語単語学習課題を手書き有り無しの2条件で行う行動実験及びMRI撮像を行った.その結果,聴くだけの学習は短期記憶で,手書きとの併用は長期記憶で有効との示唆を得た.また,視覚障害者群で,両側の運動野を含む前頭頭頂葉から後頭葉に亘る広い領域で,晴眼者に比して強い神経活動が見られた.特に,左前楔状回を中心とする視覚領域では,手書き条件で,非手書き条件より強い神経活動が観察された.重度の中途視覚障害者の手書き行動は,長期記憶に有効であり,視覚心像に関わる視覚連合野を中心とする神経活動を介して学習促進が起こることが示された.
著者
前田 久明 増田 光 林 昌奎 居駒 知樹 伊藤 和彰 加納 裕三
出版者
公益社団法人日本船舶海洋工学会
雑誌
Techno marine : bulletin of the Society of Naval Architects of Japan : 日本造船学会誌 (ISSN:09168699)
巻号頁・発行日
no.866, 2002-03-10

本論文の目的は,幾何学相似モデルを用いた実験を行い,VIVによるライザーの挙動を把握することである。海象条件を模擬した一様流中,あるいは波浪中,強制動揺下においてライザーの挙動計測実験を行い,結果として,VIVがライザーの高次モードの変形に寄与していることを把握した。また,ライザーのトップテンション,表面粗度がライザーの挙動に大きく影響することを確認した。[graph]
著者
ササキ ドリス ペレス カリン 樋元 淳一 伊藤 和彦
出版者
日本食品保蔵科学会
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 = Food preservation science (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.129-135, 2004-05-31
被引用文献数
1

3カ月間2℃および6℃で貯蔵を行い, その後20℃でリコンディショニングを行った4種類の加工原料ジャガイモ (トヨシロ, ホッカイコガネ, ノースチップス, P982) の成分値と物性値を測定した。加工原料ジャガイモの品質および原料から調製したポテトチップスの外観を貯蔵期間中5日ごとに測定した。リコンディショニングを行うことによって, すべての試料の還元糖含量が減少した。6℃で貯蔵した試料から調製したポテトチップスの明度は2℃で貯蔵し, その後リコンディショニングを行った試料から調製したポテトチップスの明度より高い値を示した。20℃で30日間リコンディショニングを行った試料から調製したポテトチップスは商品価値を保持していることが明らかになった。
著者
ササキ ドリズ 樋元 淳一 伊藤 和彦
出版者
日本食品保蔵科学会
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 = Food preservation science (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.275-280, 2003-09-30

北海道で栽培中開発中の油加工用ジャガイモのうち、代表的な(トヨシロ、ホッカイコウガネ、ノースチップス、P982)を用い、2℃および6℃の条件で6ヵ月貯蔵実験を行った。測定は成分および各種物性値について行った。その結果、還元糖含量、ポテトチップスの外観および萌芽率は品種と貯蔵温度に影響を受けることが明らかになり、2℃で貯蔵した試料の萌芽は6ヵ月間にわたって完全に抑制できたが、還元糖含量は6℃で貯蔵した場合に比較してすべての品種とも大きく増加した。還元糖、ポテトチップスカラーおよび萌芽率は品種間および貯蔵温度によって有意な差を認めることができた。ノースチップスおよびP982の両品種は6ヵ月間の貯蔵を行った後でも還元糖含量が他の品種に比較して低い値を示し、これらを原料に加工したポテトチップスの外観は10℃で貯蔵した場合とほぼ同程度を示し、消費者を満足させるのに十分な状態を示した。
著者
小関 成樹 伊藤 和彦
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.907-913, 2000-12-15 (Released:2009-02-19)
参考文献数
9
被引用文献数
3 9

強酸性電解水によるカット野菜(キャベツ,レタスおよびキュウリ)の殺菌において,強アルカリ性電解水を前洗浄に用いた場合の影響について検討した結果,以下の知見が得られた.(1) キャベツおよびレタスを対象にした場合,強酸性電解水による殺菌が1分間のときには,強アルカリ性電解水で前洗浄することによって強酸性電解水による単独5分間の殺菌効果と同等以上の効果が示された.このことから強アルカリ性電解水の利用により処理時間の短縮が可能であることが示唆された.(2) カットキャベッおよびカットキュウリを対象にした場合,強酸性電解水による殺菌において,強アルカリ性電解水などで前洗浄をすることにより,殺菌時の強酸性電解水の性能低下(ORP,ACCの低下)を抑制することが示された.
著者
伊藤 和行
出版者
京都大学
雑誌
京都大學文學部研究紀要 (ISSN:04529774)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.132_a-109_a, 1996-03-31

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
伊藤 和男 高階 和郎 杉山 輝芳
出版者
The Society of Resource Geology
雑誌
鉱山地質 (ISSN:00265209)
巻号頁・発行日
vol.35, no.190, pp.119-132, 1985-04-30 (Released:2009-06-12)
参考文献数
17

Recent exploration efforts in the Akenobe Mine has lead the discovery of Chiemon Vein Swarm in the South-western deeper levels of the mine. This vein swarm, consisting of more than forty blind veins, develops mainly below -10 level except No. 5 vein and is formed in the tension fractures of basic lava, basic tuff and slate of the upper Permian Maizuru Group.No. 4 vein, the champion of the swarm, trends NW-SE and dips steeply to the north having strike and dip extension of over 470 m and 200 m, respectively. Most of the other veins, with lesser extension, follow almost similar NW-SE direction, and distribute around this champion vein as branch or parallel veins. Vein fractures are much more developed in basic lava of brittle nature, whereas they are less developed in basic tuff or slate of relatively ductile nature.The occurrences of principal veins show multiple mineralization which are summarized into Cu-Zn, Sn-W and barren quartz from early to later stages.Among these three stages, the distribution of Sn-W stage is limited in No. 4 Vein and Veins of its closest proximity.Current ore reserve calculation from this vein swarm totalled about 1.6 million tons of minable ore, averaging 1.42% of copper, 5.75% of zinc and 0.34% of tin, and still this figure has a very good possibility of remarkable increase as the exploration goes on.In addition, the discovery of this vein swarm proposed us a several new concepts on our exploraiton philosophy which would be extensively applied in the other area of the mine to disclose another blind vein swarms.
著者
岡山 高秀 源 伸介 伊藤 和彦 近藤 健次郎
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.397-400, 1983-01-30

小売精肉用豚肉の肉色を良好に維持し, かつ脂質の酸敗を抑制するガス組成を見いだす目的で, 豚肉を80%CO_2+20%O_2,50%CO_2+50%O_2,20%CO_2+80%O_2及び100%CO_2に4℃で10日間貯蔵を行った。その結果, 80%CO_2+20%O_2及び50%CO_2+50%O_2に貯蔵した豚肉はMetMb生成量が低く, 貯蔵10日後においても好ましい肉色を保持できた。さらに80%CO_2+20%O_2貯蔵は50%CO_2+50%O_2試料に比べTBA numberの上昇を著しく抑制することが認められた。以上の結果から, 小売精肉用豚肉の肉色を良好に保ちしかも酸敗を抑制するガス組成として80%CO_2+20%O_2は大変有効であることが示唆された。
著者
渡辺 賢悟 伊藤 和弥 近藤 邦雄 宮岡 伸一郎
出版者
The Society for Art and Science
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.58-65, 2010

キャラクタデザインは,ゲームやアニメといったコンテンツ制作において重要な作業である.デザイン作業は複数人のアイデアを,コミュニケーションを介してまとめながら進められるが,絵が描けるデザイナと描けない者の間でアイデアの視覚化の能力に差があるため,アイデアを交換・共有するのが難しい現状がある.本研究では,絵が描けない者のアイデアの視覚化を支援するため,絵画手法の1つであるコラージュに着目する.複数の既存画像から一部分を切り出し,組み合わせるだけの作業で視覚化を行えるシステムを提案する.画像合成処理にPoisson Image Editingを用いることで,高品質なコラージュ結果を実現する.また,合成部品の切り取りを簡単にするため,部品領域の最適化処理を実装する.作成したシステムと,従来のソフトウェアを使用して視覚化した結果を比較し,システムの実用性を検証する.
著者
玉手 聡 堀 智仁 三國 智温 伊藤 和也 吉川 直孝 末政 直晃
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集C(地圏工学) (ISSN:21856516)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.326-336, 2013
被引用文献数
4

斜面工事では崩壊防止が原則として推奨される措置であるが,労働者の安全をより確実なものとするためには,崩壊の発生を仮定した対策の検討も必要と考えられる.本研究では人的被災を防止する観点からモニタリングによる崩壊予兆の把握と避難への適用について検討した.特に,工事中の仮設的なモニタリングを考慮して,浅い斜面部分のせん断ひずみ増加を簡易計測することに着目し,その有効性を確認するための大型模型実験を行った.その結果,せん断ひずみには崩壊の約7分前から定常的増加が見られ,約2分前には加速的増加に推移するクリープ的モードが崩壊プロセスに観察された.本研究では危険を2段階で指標化し,その判定のための設定値を実験から逆解析して例示するとともに,小型警報器を試作して工事現場における補助的利用の概念を提案した.
著者
杉浦 藤虎 伊藤 和晃
出版者
豊田工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ロボカップへの参加は問題解決能力の育成や,高度な技術力の習得に効果が高いことが知られている。一方,世界大会はコミュニケーション力やプレゼンテーション力を高められる貴重な機会でもある。ロボカップで好成績を残すようになると,出前授業としてロボットのデモンストレーション依頼が増えてきた。しかし,ロボカップに参加する学生は社交的で派手な学生は少ない。そこで,校外において学生自ら開発したロボットを積極的にアピールする機会を提供し,リーダーシップの取れる人材育成の試みを行った。アンケート調査の結果,ロボカップ世界大会出場および出前授業の経験が学生自身の積極性に関する意識改革に大きく寄与したことが示された。
著者
伊藤 和弘 島田 順一 加藤 大志朗 西村 元宏
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

一般に普及してきた高速ネットワーク回線を医療画像読影に応用した。デスクトップ画面共有技術としてvirtual network computingを使用して複数のコンピュータを接続した。接続したコンピュータの画面が同期されるため、遠隔地にいても同じ画面を見ることができる。静止画面だけにとどまらず、CT画像を自由にスクロールして望みの画像を出したり、数スライスの上下スクロールを繰り返して検討するなどの動きの早い画面でも応用できた。このシステムで、若手呼吸器外科医や医学部学生に対して、遠隔地から画像読影の指導を行った。移動や待ち時間を減らし、対面教育と同じ品質である点で有用であった。
著者
栗野 俊一 伊藤 和美 池田 由季 吉開 範章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.363, pp.29-34, 2011-12-17
被引用文献数
2

DDoS攻撃に対する新しい情報セキュリティ対策を具体化するために,コンピュータウィルス感染時のヒトの意識に関する研究を行っている.ウイルス感染時における心理状況は,一種のパニック状態と見なせるが,現在までに報告された例はない.今回,その対策を検討するための基礎データを収集する目的で,ウィルスに擬似感染させる実験を行い,ヒトの心理と行動の特徴を分析したので報告する.
著者
島田 順一 加藤 大志朗 寺内 邦彦 伊藤 和弘
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

タッチスクリーン画面を直感的に指でなぞるだけで、ロボットがその軌跡を追随するように手術器具を誘導するタッチスクリーン・コントロールシステムを開発した。安定して動作可能なシステム設計を行い、対象から5mmの距離を保って制御可能となった。実際の手術を想定した焼灼実験で操作精度を解析した。初学者と専門医の操作精度に差は認めなかった。専有回線で繋がった遠隔地からも操作可能なことを実証した。
著者
伊藤 和彦 後藤 真 水沢 彰郎 宮尾 浩美 張 高明 荒川 正昭
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.81-87, 1992-02-20

症例は54才の女性.胸痛・対麻痺のため,1989年7月14日,当科入院.左S6原発肺腺癌,T4N2M1,stageIV,PS4と診断し,CDDP+VDS+IFXによる全身化学療法を行った.悪化の判定で,胸水由来の腫瘍細胞とリンパ球を用いたin vitro sensitized(IVS)細胞による養子免疫療法を行った.その後,化学療法の直後に養子免疫療法を併用し,約半年間quality of life(QOL)を保ちつつ,病態の安定が続いた.養子免疫療法の併用は,重篤な副作用もなく,肺癌の集学的治療の一手法としての発展が期待される.
著者
山下 弘二 盛田 寛明 伊藤 和夫
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.549-553, 2009 (Released:2009-09-24)
参考文献数
19
被引用文献数
2 1

〔目的〕本研究の目的は,咳嗽力の指標としてPEFを測定し,非脳卒中者や嚥下障害の有無で比較するとともに,脳卒中患者のPEFに関連する因子を明らかにすることである。〔対象〕対象は,発症後6ヶ月以内の脳卒中患者46名(嚥下障害群22名,非嚥下障害群24名)と対照群として非脳卒中者24名であった。〔方法〕PEFの測定は電子ピークフローメータを用いた。本研究では脳卒中患者の咳嗽力に関連すると考えられる因子として年齢,身長,体重,BMI,Brunnstrom recovery stage,Barthel Index,血清アルブミン値,摂食・嚥下能力グレードを取り上げた。〔結果〕PEFは, 対照群,非嚥下障害群, 嚥下障害群の順に低値を認めた。体重,BMI,PEF値,血清アルブミン値,Barthel Indexは非嚥下障害群より嚥下障害群の方が有意に低い値を示した。全脳卒中患者のPEF値を目的変数にしたステップワイズ重回帰式に取り込まれた因子は,血清アルブミン値,身長,摂食・嚥下能力グレードであった。〔結語〕脳卒中患者の咳嗽力は非脳卒中者より低下しており,その原因には嚥下障害による低栄養状態が関連していることが示唆された。
著者
松平 浩 井上 基浩 粕谷 大智 伊藤 和憲 三浦 洋
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.2-16, 2013 (Released:2013-06-17)
参考文献数
47

腰痛症に対する鍼灸の効果と現状を総合テーマとして、 当該領域のレビューを行った。 はじめに西洋医学的な立場から特異的腰痛や非特異的腰痛の鑑別や治療効果を中心に紹介した。 次に、 鍼灸治療の治効機序に関して、 基礎研究の成果を文献に基づき紹介した。 最後に、 腰痛に対する鍼灸治療の臨床効果を文献に基づき解説し、 様々な腰痛に効果が示されていることを紹介した。 以上の結果から、 鍼灸治療は様々な腰痛に対して臨床効果が報告されているが、 特に非特異的な腰痛に対して有効である可能性が示唆された。
著者
吉田 道弘 奥村 文浩 板野 哲 物江 孝司 松波 加代子 稲垣 佑祐 藤田 恭明 望月 寿人 小川 観人 高田 博樹 祖父江 聡 妹尾 恭司 伊藤 和幸
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.512-519, 2008-11-25
参考文献数
17

症例は71歳,C型肝硬変の男性.近医にて肝腫瘍を指摘され,平成17年4月当院紹介受診し,肝細胞癌治療目的で入院となった.肝機能は,Liver damage B, Child-Pugh Grade B(7点).肝両葉に多発する肝細胞癌で,進行度はStage III,転位右肝動脈を有する症例であった.4月,7月に計2回chemolipiodolizationを行なったが,肝癌はさらに増大した.そこで,10月17日に大動脈留置型特殊リザーバーシステム(System-I)を留置し,左右肝動脈に1週間毎交互にlow dose FP療法(LFP)を計4クール施行した.退院後は外来でLFPを4クール施行した.その結果,腫瘍マーカーは,AFPは2,479.9 ng/m<i>l</i>から5.6 ng/m<i>l</i>, PIVKA IIは7,979 MAU/m<i>l</i>から25 MAU/m<i>l</i>と著明な改善を認め,画像上多発肝癌は消失し,CRが得られた.<br> 転位肝動脈を有する症例に対する肝動注化学療法を行う際には,血流改変による一本化が必要となる.しかしながら肝細胞癌の場合,血流改変を行うと,肝動注化学療法で治療効果が得られない癌病変に対し,肝動脈化学塞栓術(TACE)が困難となってしまうことも少なくない.System-Iは,血流改変を行わず,既存の血管を温存して肝動注化学療法を行うことができる有用なシステムであると考えられた.<br>