著者
渡辺 貞夫 渡辺 重信 伊藤 和敏
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.47-53, 1983-02-20
被引用文献数
1

国内で広範囲に多用されている水田除草剤(CNP, クロメトキシニル, ベンチオカーブ, モリネート)の汚染実態調査を, 相模川(神奈川県)で採取した淡水魚について実施した.これら除草剤の水田への使用は, 田植時期に限定されるため, 調査を7月に行ない, 他の時期の汚染レベルと比較した.昭和55年7月に採取した4魚種(オイカワ, カマツカ, コイ, フナ)すべてからCNPが, また2魚種からベンチオカープが検出された.CNPの残留レベルは0.055ppmから0.61ppmの範囲で, ベンチオカーブは0.02ppmおよび0.10ppmであった.昭和56年7月採取した4魚種(オイカワ, アユ, フナ, ブラックバス)に, CNPが0.046ppmから0.88ppm, ベンチオカーブは0.04ppmから0.11ppmの範囲で検出され, 昭和56年の調査結果とほぼ同程度であった.しかし, 昭和56年9月採取した魚には, これら除草剤はいずれも不検出あるいは微量しか検出されなかった.今回の調査結果から, CNPの生物濃縮係数は420∿8, 000, ベンチオカーブは20∿100と想定された.しかし, これら除草剤の淡水魚への蓄積残留は比較的短期間であると考えられた.クロメトキシニルおよびモリネートは, いずれの検体からも検出されなかった.
著者
西脇 巨記 本多 弓[ジ] 岸川 博隆 田中 宏紀 谷脇 聡 成瀬 博昭 伊藤 和子 梶 政洋
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.789-793, 1997-03-01
被引用文献数
19 29

症例1は75歳の男性で, 粘血下痢便を主訴として他院に入院, 潰瘍性大腸炎の診断にて諸検査施行し, 大腸に穿孔を認め緊急手術を施行した. 摘出標本よりアメーバ虫体を認め当院転院となった. 症例2は28歳の男性で, 粘血下痢便を主訴とし他院通院し潰瘍性大腸炎の診断にて投薬を受けていたが改善しなかったため, 当院を紹介され便培養にてアメーバを認め入院となった. 入院後2日目に腹痛増強し, 腹部単純写真にてfree-airを認め緊急手術を施行した. アメーバ赤痢は男性間の同性愛行為により伝播し近年増加傾向にある疾患である. いったん穿孔すると非常に予後の悪い疾患となるため粘血下痢便を主訴として来院する患者に対しては本疾患を念頭にいれる必要があると考え報告した.
著者
伊藤 和幸 伊福部 達
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.527-535, 2005-02-01
被引用文献数
18

本研究では, 重度肢体不自由者向けに視線を利用した意思伝達システム(視線入力式文字入力装置・環境制御装置)を安価に提供できるようなシステムを開発する.視線の検出には, 画像処理ボードを利用した高精度・高機能なものが市販されているが, それらを使用するとコストダウンが困難であり実用に結び付かないという欠点があるため, 本研究ではビデオキャプチャした画像をソフトウェア的に処理することで視線検出を行い, システムにかかるコストの削減を図った.近年のパソコン性能の向上により, ノートパソコンの使用も可能でありシステムのコンパクト化も実現できた.
著者
中須賀 常雄 馬場 繁幸 伊藤 和昌
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.231-239, 1982-12-01

1.本論は八重山群島西表島船浦湾の海岸林における植生の配列について, 1978年10月および1980年8月に調査・研究したものである。2.本地の海岸林は海浜林, マングローブ林および縁取林の3林型に区分され, これらは地形と対応して更に小区分された。小区分された林型は地形と対応して複雑に配列しているが, 海岸から内陸への基本的な配列パターンは次のとおりである。海浜林(海浜草本帯⇾前浜堤低木林⇾浜堤低木林⇾後浜堤低木林⇾堤州低木林)⇒マングローブ林(ヒルギモドキ林⇾オヒルギ林⇾ヤエヤマヒルギ林⇾オヒルギ林)⇒海浜林(浜堤低木林⇾浜堤高木林)⇒マングローブ林(オヒルギ林⇾ヤエヤマヒルギ林⇾ヤエヤマヒルギ・オヒルギ林⇾オヒルギ林)⇒縁取林(アダン林)3.各林型の上層構成樹種は海浜林ではテリハクサトベラ, アオガンピ, イソフジ, ハテルマギリ, トベラ, クロヨナ, オオハマボウ, タイワンウオクサギ, ミズガンピ, シマシラキ, テリハボク, ヒメユズリハ, オキナワシャリンバイ, ヤエヤマコクタン, マングローブ林ではヒルギダマシ, ヒルギモドキ, ヤエヤマヒルギ, オヒルギ, 縁取林ではアダン, アコウ, ハマイヌビワ, アカギ, ハスノハギリ, オキナワキョウチクトウ, オオバギ, クロヨナ, サガリバナであった。
著者
杉浦 藤虎 伊藤 和晃
出版者
豊田工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

ロボコン経験者向けに特化した,自律移動型サッカーロボットの設計と研究開発を基本とした低価格な創造性開発実験セットを構築した.その上で,ロボットおよびシステムの性能評価と実験に参加した学生の創造力の向上の度合いを定量的に評価した.システムの性能は,ロボカップジャパンオープン2006年3位,2007年準優勝,ロボカップ世界大会2006年決勝トーナメント進出ベスト12,同2007年ベスト8の成績から判断して十分に高いと考えられる.創造性開発実験の4つのテーマとして行った内容を以下に示す.1.画像・通信に関して,2台のカメラによるグローバルビジョンシステムとした.画像処理の認識・検索処理の際,全画面でなく,マシンやボール周辺のみの部分解析を行うとともに,高性能無線機の導入により処理の高速化を図った.2.電子回路に関して,処理能力向上のため,ロボットに搭載したCPUを16ビットマイコンに変更した.ホイールの空転を防ぐための加速度センサを追加し,さらにキック力を容易に制御するためトリガーデバイスをリレーからFETに変更した.受信回路における誤り訂正回路,電磁ソレノイド用充電回路などを設計,作製した.3.戦略プログラムの作成に関しては,観測ノイズを低減するためのカルマンフィルタや動力学ソフトを導入した.またパスプレーに対応する協調動作,シミュレーションなどのプログラムを開発した.4.ロボット製作に関しては,メカナムホイールを使用したキーパー専用ロボット,全方向移動ホイール,ドリブル機構,キック機構,およびボール速度測定装置などを作製,改良した.以上の作製を通して実験に参加した学生の創造力や技術能力を定量的に評価した.その結果,サッカーロボットを用いた実験に参加する前と比較して,参加者の創造力,思考方法や問題解決能力は,顕著に向上することなどが示された.
著者
成瀬 治興 内田 季延 松本 泰尚 深田 宰史 塩田 正純 北村 泰壽 国松 直 伊藤 和也
出版者
愛知工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、平坦道路を対象とするエネルギーベースに準拠した道路交通振動予測式(INCE/J RTV-MODEL2003)の適用道路構造種別の拡大を目的として、3mプロフィル計に代わる路面平坦性の計測方法として、車載型IRI評価システムの適用を検証し、利用可能であることを確認した。次いで、試験車輛を用いた盛土・切土道路での実測調査により、平坦道路予測式を他の道路構造に適用するための基礎データを蓄積した。
著者
杉浦 藤虎 伊藤 和晃
出版者
豊田工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

ロボカップサッカー競技ロボットの作製と開発を段階的かつ継続的な負荷と捉え,より高い課題を学生に課すことで創造性育成教育を行い,その効果をアンケート調査により検証した。その結果,ロボカップ参加学生の問題解決能力や思考方法などの顕著な向上を確認した。一方,世界大会に参加する上で必要な英語運用能力は学生自身が十分でないことを認識した結果となった。今後も学生の興味を引きつける教材・課題を通して,創造性や英語コミュニケーション能力の向上が期待される継続的な機会と環境を学生に提示することが有効であることが示された。
著者
水谷 雅彦 伊藤 和行 出口 康雄 杉村 靖彦 神崎 宣次
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、曖昧なままにとどまっており、それゆえ様々な混乱の原因ともなっている「健康」概念を、哲学的、倫理学的な観点から再考したものであり、「障害」問題や「エンハンスメント」などの問題のみならず、「健康食品」に関する問題に関しても重要な提言をするに至った。
著者
石川 玲 香川 幸次郎 伊藤 和夫 小野 洋一 伊藤 日出男 対馬 均 進藤 伸一 菅原 正信 三浦 孝雄
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.433-438, 1988-09-10

寒冷や積雪が在宅脳卒中後遺症者の生活に及ぼす影響について検討するために, 青森県内2ヶ町村の在宅脳卒中後遺症者115名を対象に実態調査を行った。更に3年後39名について追跡調査を実施し, 以下の結果を得た。(1)非積雪期の生活で何等かの訴えを有する者は18%であったが, 積雪期では60%以上の者が訴えを有していた。(2)非積雪期の訴えは夏ばてや付添い者の多忙により通院できない等訴えの内容が多岐にわたっていたが, 積雪期では外出の制限や身体症状の増悪に関することに集中していた。(3)非積雪期での主な外出先は医療機関, 福祉・保健センター, 友人宅, 散歩であり, 積雪期では友人宅や散歩に出かける者が減少する反面, 医療機関や福祉・保健センターに出かける者の数は減少していなかった。寒冷や積雪は対象者の生活に多大な影響を及ぼしているが, 冬の外出は自己の行為に対する意味づけの軽重に規定されると考えられた。
著者
安藤 秀俊 伊藤 和貴 伊藤 和貴
出版者
福岡教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

植物のバイオマス生産に関する教材開発とその指導プログラムの検討を目的として, (1)教員養成課程の大学生における植物栽培とその生産に関する意識調査, (2)小学校教科書に掲載されている種子発芽の実験の検討, (3)全国第2位の生産量を誇る福岡県におけるイグサの教材化, (4)植物の遺伝教材としてのファストプランツの有効性の検証, (5)バイオマス教材としてサトウキビの利用方法の開発と指導プログラム, の5点について調査, 実験などを行い, 更に授業実践を行ったところ, いくつかの新たな知見と指導プログラムの有効性が確認できた。
著者
伊藤 和貴
出版者
愛媛大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

天然からスクリーニングした3種(563,V1,V2)の木材腐朽菌による2,4,8-トリクロロジベンゾフラン(2,4,8-TCDF)の微生物分解を行った結果,0.25mMの2,4,8-TCDFを添加した場合に30日間の培養で11.9%〜72.8%分解することができた。また,2,4,8-TCDFは培養中,菌体中に取り込まれていたので分解率と菌体への取り込み率を併せて除去率とした。3種の菌によって27〜76%が培養液中から除去された。分解能の最も高かったV2菌からの菌体外粗酵素について部分精製を行った結果,2,4,8-TCDFの分解初期(培養15日以前)にリグニンペルオキシダーゼが関与し,培養後期(培養15日以降)にジオキシゲナーゼが関与していることが示唆された。また,天然からスクリーニングした4種(267,65,E,V2)の木材腐朽菌とPhanerochaete chrysosporium(p.c.)を細胞融合した。0.25mMの2,7-ジクロロジベンゾ-p-ダイオキシン(2,7-DCDD)を添加した場合,得られた6種の融合菌による30日間の培養で45%〜96%培養液中から除去することができた。得られた6種の中で3種(p.c.×267-1,p.c.×65-1,p.c.×65-2)の融合菌は両親株よりも高い除去率を示した。さらに,汚染土壌中のダイオキシン類の解毒化(バイオレメディエーション)を実施するための基礎的知見を得るために267菌および融合菌(p.c.×267-1)による土壌中の2,7-DCDDの分解についても検討した。1ppmの2,7-DCDDを添加して30日間培養した結果,59〜63%が分解された。これらの結果から,天然からスクリーニングした菌(木材腐朽菌)によってダイオキシン類を分解できることが示唆された。ダイオキシン分解能を有する菌を土壌中に繁殖させてダイオキシン類を分解(バイオレメディエーション)できることも示唆された。今回の2年間の研究によって,天然からスクリーニングした菌によるバイオレメディエーションについて,その有効性,および実現性が示唆された。
著者
千木良 尚志 真鍋 厚史 伊藤 和雄 和久本 貞雄 早川 徹
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
Dental Materials Journal (ISSN:02874547)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.194-199, 286, 1989-12-25
被引用文献数
34 33

Glyceryl methacrylate水溶液の,dentin primerとしての効果を象牙質円柱窩洞内での,可視光線重合型コンポジットレジンのコントラクションギャップの計測と象牙質平面に対する引っ張り接着強さの計測によって評価した。被着象牙質面は,pH7.4に調整された0.5M濃度のEDTAによって歯面清掃を行った後,5%から45%までのGlyceryl methacrylate水溶液を塗布し,その後市販のリン酸エステル系ボンディング材を併用して市販の光重合型コンポジットレジンを填塞または接着させた。また,コントロールとして35%HEMA水溶液と5%glutaraldehydeを含む35%HEMA水溶液をprimerとして用い,同様の計測を行った。 その結果,25%と35%の濃度のGlyceryl methacrylate水溶液をdentin primerとして用いた場合に,全試片でギャップが全く認められず,完全な窩洞適合性が得られた。また,24時間後には,25%および35%水溶液で,それぞれ平均19.6および18.7MPaの平均接着力が得られた。