著者
伊藤 しげ子 井後 一夫 水野 章 諦乗 正 河内 嘉文 伊藤 恭子 伊藤 雅彦 川瀬 朋子 小寺 久子 三和 静代
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.27, 2007

_I_、はじめにいなべ総合病院は三重県最北に位置する220床の病院です。診療圏人口は約71,000人で地域の中核病院としての役割をもっている。当院は平成14年9月、新築移転をした。しかし、移転当初最新の医療設備、優秀なスタッフが揃っているのにも関わらず、地域の中では病院機能の理解はなかなかなされず、病院の活性化はならなかった。そこで、以前より活躍していた院内ボランティアの方にまず病院の機能を理解してもらうために「ボランティア委員会」を立ち上げ、年間2回の研修会と3回の委員会の開催をした。また、病院祭の際には、餅つきやアンケートの手伝いをしてもらい、職員と一体となって地域の人へのアピールを行ってきた。地域の人で作るボランティアの方の地域への宣伝効果は大きなものがあり、現在外来患者数880人(移転当初750人)、入院稼働率92%(移転当初88%)と活気ある病院になってきた。その経過を報告したいと思う。_II_方法1、ボランティアグループ1)ほほえみの会 100名登録 (玄関患者介助)2)ほほえみの会ひまわりグループ8名 (小児科外来絵本読み聞かせ)3)敷地内草取りボランティア130名 (シルバー)4)敷地内草取りボランティア5)小児科病棟絵本読み聞かせ 1名2、活動内容1)毎日2~3名が玄関で患者介助2)第1月曜日に2名が実施3)毎月1日と10日に敷地内の草取り実施4)年1回敷地内の草取り実施5)毎月第_I_土曜日に実施3、病院祭毎年開催する病院祭に、餅つき、アンケート聴取の手伝いやイベントコーナーへの参加など病院行事への自発的な参加を行っている。4、研修会年2回実施_III_、結論最初は20名ほどから始まったボランティア活動は、現在230名を超える大きな輪になった。ボランティアの人が「自分たちが支えている病院」という気持ちを持ってもらうことこそが病院活性化につながると考え、研修会、委員会、病院祭の参加とまずは病院へ足を運んでもらうこと。もう1つはボランティアの方が地域住民の代表者となり、病院への要望・意見を言ってもらい病院改善を行ってきた。年2回開催する研修会には、院長、事務部長、看護部長、外来師長が必ず出席して、常に病院の方針を話し理解していただき、考えを共有するようにした。また、ボランティアからの要望は最大限取り入れた。そうしたことで徐々に「自分たちの病院」という思いが広がっていき、その思いは地域の人にも広がっていった。移転後5年目を迎えた現在、救急車搬送率、外来患者数、入院患者数、健康診断受診者数等全てにおいて右肩上がりの成績を収めており、まさしく地域とあゆむ中で病院の活性化はなされてきたと感じている。
著者
林 卓未 西野 勝敏 アディティア プラムディタ ジョナス 伊藤 雅人 山本 智章 田邊 裕治
出版者
日本転倒予防学会
雑誌
日本転倒予防学会誌 (ISSN:21885702)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.37-45, 2021

<p><b>【目的】</b>転倒の床面衝突によって引き起こされる骨折は,高齢者にとって生活の質を左右する重大な障害である。この骨折機序を解明するために三次元人体モデルを用いて転倒の床面衝突時における関節の力学的負荷が検討されてきているが,転倒動作の個体差にも影響される可能性がある。そこで,本研究は後方転倒における股関節に焦点を当て,後方転倒動作の個体差が三次元モデルを用いて推定した股関節の力学的負荷に及ぼす影響を分析した。</p><p><b>【方法】</b>三次元人体モデルを作成し,その股関節には弾性要素1 個を備えた。床面の材料特性はコンクリートに設定した。転倒動作のシミュレーションにおいて弾性要素にかかる力を股関節の力学的負荷として評価した。参加者は健常成人男性10名(22.1 ± 1.0 歳)とした。参加者を体操用安全マットに後方転倒させ,その時の動作をモーション・キャプチャー・システムで撮影した。その後方転倒動作を三次元人体モデルにシミュレーションさせ,床面衝突時における股関節の力学的負荷を推定した。</p><p><b>【結果】</b>股関節の力学的負荷の前方成分のピークは1.05 ± 0.48 kN,後方成分のピークは0.88 ± 0.41 kN であった。近位成分のピークは1.49 ± 0.87kN,遠位成分のピークは2.15 ± 1.23 kN であった。最も大きい近位成分のピークは大腿骨頚部の破壊荷重に達しており,その値を有していた参加者は他の参加者とは異なる部位を床面に最初に衝突させていた。力学的負荷が最も小さかった参加者は,床面衝突後に身体が跳ね返っていなかった。</p><p><b>【結論】</b>後方転倒時における股関節の力学的負荷は,床面に最初に衝突する部位と衝突後における臀部と大腿部の動作の違いに影響した。</p>
著者
川合 亮佑 藤野 雅彦 宮田 完志 湯浅 典博 竹内 英司 後藤 康友 三宅 秀夫 永井 英雅 小林 陽一郎 伊藤 雅文
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.549-555, 2011

症例は73歳の男性で,66歳時に十二指腸乳頭部腺腫に対して内視鏡的乳頭切除術が施行されている.68歳時に悪性リンパ腫に対して化学療法を施行され完全寛解を得ている.平成20年9月,心窩部痛を主訴に当院を受診した.内視鏡的逆行性胆管膵管造影で総胆管結石と中部胆管の狭窄を認め,切石と狭窄部の生検,内視鏡的経鼻胆管ドレナージを行った.生検で腺癌と診断されたため,肝外胆管癌と診断し膵頭十二指腸切除術を施行した.胆管癌は肉眼的に乳頭浸潤型で表層拡大進展を呈した.病理組織学的に浸潤部はほとんど扁平上皮癌であったが,表層拡大進展部の粘膜内および線維筋層浸潤部に腺癌・扁平上皮癌の二方向性分化を認めた.また,固有筋層に浸潤する胆嚢癌も伴っていた.肝外胆管原発腺扁平上皮癌の本邦報告43例の中で,粘膜内で腺癌・扁平上皮癌の二方向性分化を認めた症例はなく,自験例は腺扁平上皮癌の組織発生を考察するうえで貴重な症例である.
著者
小川 秀興 植木 理恵 西山 茂夫 伊藤 雅章 西岡 清
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.1206-1211, 1995
被引用文献数
3

円形脱毛症に対する抗アレルギー剤(アゼラスチン:アゼプチン<SUP>&reg;</SUP>)の臨床症状におよぼす影響と有用性について広く円形脱毛症の治療薬として用いられているセファランチンと比較検討した。総症例数は53例であった。円形脱毛症患者のアトピー素因の有無に関係なくアゼラスチン投与群ではセファランチン投与群に比較し脱毛巣およびその周辺の病的毛や抜け毛の程度は速やかに改善された。再生毛の推移は両試験群とも同様の改善経過であった。抗アレルギー作用を有するアゼラスチンが円形脱毛症の臨床像改善に効果をおよぼしたことは円形脱毛症の治療上にも, その病態形成を考える上でも興味深い知見であると考えられた。
著者
金子 信博 榎木 勉 大久保 慎二 伊藤 雅道
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第52回日本生態学会大会 大阪大会
巻号頁・発行日
pp.359, 2005 (Released:2005-03-17)

ヤンバルオオフトミミズによって作り出された地表面の微小生息場所に生息する小型節足動物群集,特にササラダニの群集構造を比較した.ヤンバルオオフトミミズは沖縄本島北部にのみ生息し,日本で初めて見つかった土壌穿孔表層採餌種(anecic)である.本種は地下約20cmに横走する坑道に住み,落葉を土壌表面の入口に集めた上で摂食し,土壌と混じった糞を出口に排泄する.糞塊は20cmほどの塔状になる.集められた落葉はmiddenと呼ばれている.照葉樹林は秋に一度に落葉が集中するのではなく,春と秋を中心に長い時間にわたって落葉が供給される.沖縄では気温が高いため,落葉の分解速度は高い.ミミズにとっては落葉を他の分解者に利用されないように自分の生息場所であるmiddenに集めていると考えられる.坑道やmiddenではミミズから供給される可溶性炭素や窒素が栄養源となって微生物の活性が高く,微生物バイオマスも多いと考えた. リターの堆積量は糞塊の周囲で最も多く,middenとミミズの影響のない土壌では差がなかった.ササラダニの個体数密度はリター層ではミミズの影響のない土壌できわめて少なく,middenと糞塊でほぼ同じ程度であった.一方,土壌層ではミミズの影響のない土壌で最も少なく,糞塊よりもmiddenでの密度が高かった.ササラダニの種数はミミズの影響のない土壌と糞塊で差がなかったが,middenではこれらの倍近い値を示した.これらのことからヤンバルオオフトミミズは落葉資源を移動させ,土壌と混合することによって地表面の微小生息場所の多様性を高め,ササラダニの密度と多様性を大きく高めており,生態系改変者として土壌生物群集に大きな影響を与えていた.
著者
山田 隼也 伊藤 雅流 福山 陽子 米田 實
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.48-54, 2021 (Released:2021-04-03)
参考文献数
8

超初期・初期の発育期腰椎分離症患者20例に対して,短期間の運動休止と段階的にスポーツの一部を行なわせるリハビリテーション・競技復帰プロトコールを前向き研究として施行した.結果,全20例のうち17例(85%)は約1.5ヵ月時点にてCT所見で分離部の亀裂進行は認められず,18例(90%)は約3ヵ月(2例:約4ヵ月)時点にて骨癒合傾向を認めた.全対象のうち12例(60%)が初診後約3ヵ月にて運動復帰も可能であった.特に超初期・初期例においては,約1.5ヵ月の時点で癒合傾向であれば短期間の運動休止のみで,早期の競技復帰と骨癒合を目指すことができる可能性がある.
著者
石島 芳郎 伊藤 雅夫 田 暢淇
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.109-111, 1969
被引用文献数
2

PMSによる家兎の過排卵誘起にestrogen注射を併用することが有効かどうか再検討すると共に,estrogenを併用した場合としない場合の卵巣所見の比較から併用効果の機序について考察を試みた。<BR>40IUのPMSを5日間,計200IU皮下注射し,24時間または48時間経過して交配した過排卵対照区の平均排卵数は21.3~24.1コ,過排卵陽性率50~63.6%に対し,PMS注射最終日に0.1mgのestradiol注射を併用した区の平均排卵数は32.5~37.8コ,過排卵陽性率87.5~100%で,estrogenを併用することにより排卵数が高められる傾向にあった。未破裂卵胞数は,排卵数の多いestrogen併用区は少なく,対照区は多くなっていた。<BR>また,過排卵対照区と併用区について,卵胞を1~1.4mm,1.5~2.4mm,2.5mm以上の3種に分類して経時的に発育程度を比較したが,3種の卵胞数の推移は両区ともまちまちで,わずかに総卵胞数においてestrogen併用区が優っていたにすぎない。<BR>これらの結果から,estrogen併用注射は,外面的には卵胞発育に対し直接影響を与えていないにもかかわらず,未破裂卵胞を減じ排卵数を増加させる効果がみうけられた。
著者
岡田 基 松井 明男 米沢 千佳子 伊藤 雅文 柴田 偉雄
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.479-484, 1994 (Released:2011-11-08)
参考文献数
12

婦人科標本中に認められたいわゆるヘマトイジン結晶様物質 (以下ヘマトイジン様結晶と略す) について, 4年6ヵ月の問に当院を受診した41,274人, 標本件数116,360件を対象に検討した.35人 (45件) にヘマトイジン様結晶を認めた.35例の年齢分布は24歳から52歳 (平均38.7歳) であった.疾患内訳は, 腟部ビラン17名, 妊娠7名, 切迫流産4名, 異形成2名, 上皮内癌1名であった.ヘマトイジン様結晶の出現頻度は, 子宮腟部擦過で0.05%, 子宮頸管擦過で0.04%であった.結晶の出現様相は, パパニコロー染色で黄金色ないし黄褐色調に染色され, ロゼット状配列, 樹枝状配列を呈する集塊が主体で, 一部は散在性に楕円形結晶として出現した.大きさは1~341.5μ であった.大多数の結晶は, 組織球や好中球からなる炎症細胞集塊中に認められた.特殊染色ではPAS染色が陽性を呈したが, ほかの粘液染色, 鉄染色, ビリルビン染色は陰性であり, 免疫染色ではフェリチン, S-100蛋白, EMA陰性であった.以上の所見から婦人科標本中に認められたヘマトイジン様結晶は, ヘマトイジンとは異なる物質で, ヘモグロビン系の色素ではないと考えられた.
著者
伊藤 雅隆 武藤 崇 Masataka Ito Takashi Muto イトウ マサタカ ムトウ タカシ
出版者
心理臨床科学編集委員会
雑誌
心理臨床科学 = Doshisha Clinical Psychology : therapy and research (ISSN:21864934)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.83-94, 2015-12-15

本稿の目的は,過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)に対しての認知・行動療法(CBT:Cognitive Behavior Therapy)について展望を行うことであった。有病率が約11%とされるIBSは機能性の消化器障害で,患者の多くがうつ病や不安症などを併発している。薬物療法で軽快しない事例などに,心理療法が適用され,その中でもCBTがその有効性を示している。IBSに対するCBTプログラムについて4種類に分類した。(a)認知療法を用いたもの,(b)ストレスマネジメントを中心にしたもの,(c)腸症状への不安を中心にしたもの,(d)マインドフルネスを用いたものに分類され,それぞれの特徴が示された。今後の課題として,併発症状やQOL改善を見据えた治療プログラムが必要であること,IBS の心理面の基礎的な研究が少ないこと,本邦での治療研究が必要であることが指摘された。研究動向
著者
大野原 良昌 佐藤 慎也 伊藤 雅之 皆川 幸久
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.235-238, 2005-02-10

はじめに 処女膜閉鎖症は比較的稀な疾患で,その発生頻度は0.03~0.1%とされている1).本症には完全に処女膜が閉鎖したいわゆる処女膜閉鎖(imperforate hymen)と処女膜に小孔を伴った小孔処女膜(microperforate hymen)2~7)が存在する.今回われわれは,小孔処女膜であったために初経から4年間周期的な月経が発来し,急性腹症発症を契機に診断された処女膜閉鎖症の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
著者
伊藤 雅一
出版者
地域社会学会
雑誌
地域社会学会年報 (ISSN:21893918)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.89-102, 2017 (Released:2018-05-14)
参考文献数
18

This study explains the process of community formation through a shopping street union. I conducted a case study of the activities of a shopping street union. The data for the study were obtained through fieldwork and interviews conducted at the Sengen shopping street in the Inage Ward, Chiba City. In particular, my research focused on the Inage Akari Festival, Yotoboshi. I analyzed perspectives at three levels: (1) actions of shopkeepers who are the main members of the Yotoboshi executiv (actor level), (2) the relationship between various community groups and the shopping street union through the Yotoboshi management (group level), and (3) changing evaluations from outside the community through social policy and media (structure level). The following factors can be drawn with respect to the three points of view: (1) actor level: the time of the changing generation of shopkeepers in Inage shopping street promoting union, two inspection tours inspiring the union to know the role of the community actors, and understanding the Inage Akari Festival, Yotoboshi through collaboration between the university student group and the shopping street union, (2) group level: collaboration between several community groups and the shopping street union for the management of the festival and the achievement of the meaning of the festival as a community through collaboration and formation of multiple layers of members in the festival executive committee (residents in Inage area, groups of activity based in Inage area, and voluntary participation from outside the Inage area); (3) structure level: positive evaluations for community formed by various media and social policies, and reflexive internalization of the evaluation by core members of the festival’s executive committee (in particular, shopkeepers in the union). These factors contribute to regional and community studies by clarifying the process of community formation function through a shopping street union. Furthermore, these conclusions are key in studying the local commercial function that depends on the shopping street unions in Japan.
著者
奥村 拓朗 伊藤 雅広 岡出 美則
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.262_3, 2018

<p> 国立教育政策研究による平成25年度学習指導要領実施状況調査では、小学校高学年の6年生を対象としたボール運動領域ゴール型における、攻撃に関する達成規準を通過した児童の割合はいずれも90%を超えていた。しかし、この調査は中学年段階については検討していない。そこで、本研究では2017年に小学校4年生2学級65名を対象としたフラッグフットボールの授業(8時間単元)のメインゲームにおいて発揮されたゲームパフォーマンスの達成度を学習指導要領に示された指導内容の例示に即して評価することで、学習指導要領に示された指導内容の例示の妥当性について検討した。分析対象は、8時間目のメインゲーム中のゲームパフォーマンスとした。2名の分析者間の分析結果の一致率は93.8%であった。その結果、中学年の内容として例示されている「ボール保持者と自分の間に守備者がいないように移動すること」を通過した児童の割合は84.6%で、学習指導要領実施調査で設定されている評価の基準と対応させると相当数の児童が通過しており、示されている内容が妥当であることが確認できた。</p>