著者
伊藤 福美 浅井 史敏 木村 努 深見 征治 小林 晋作
出版者
The Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis
雑誌
血液と脈管 (ISSN:03869717)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.175-178, 1985-04-01 (Released:2010-08-05)
参考文献数
8

CS-570, a chemically stable prostacyclin derivative, inhibited decrease of platelet counts and fibrinogen level, increase of FDP, prolongation of prothrombin time and activated partial thromboplastin time and deposition of fibrin in the renal glomeruli dose-dependently in the endotoxin-induced DIC model of rats. Ticlopidine, dazoxiben (thromboxane synthetase inhibitor) and BM 13177 (thromboxane antagonist) also showed inhibition of changes in these parameters. CS-570, a potent platelet stabilizer and vasodilator, would probably have inhibited thrombocytopenia and coagulation disorders by physiological antagonism against TxA2 produced by endotoxin. This would suggest beneficial effects of CS-570 in endotoxin-induced DIC in humans.
著者
小林 晋作 森 昌弘 森田 明 浅井 史敏 伊藤 福美 三宅 茂樹 長谷川 主計 熊倉 清次
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.1231-1234, 1984-06-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
7
被引用文献数
2

体外循環時には血小板が活性化され, 微小血栓の形成による血栓症の惹起や, 血小板が消費されることによる止血機構の不全による出血などの危険がある。そのため体外循環時には血小板の機能を保護することは極めて重要なことである。PG I2は血小板凝集抑制作用が強く, 臨床上極めて有用な血小板保護剤である。しかしながらPG I2は化学的に不安定である欠点を有する。CS-570は化学的に極めて安定なカルバサイクリンの誘導体であり, in vitro, ex vivo共に強力な血小板凝集抑制効果を示す。本化合物は経口投与によっても有効性を示すことより, 体外循環時の抗凝血および血小板保護作用をはじめとして, 各種の血栓症や末梢動脈閉塞症などにも, 有用性が期待される。
著者
酒井 秀夫 大橋 文人 佐々木 重人 伊藤 福美 森田 明 小林 晋作 高井 信治 佐々木 伸雄 竹内 啓
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.1239-1242, 1984-06-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
9

活性炭などの吸着剤による直接血液灌流(DHP)は肝不全・腎不全などに対する治療として有効である。本治療法実施に際しての抗凝固剤としては主にヘパリンが使用されているが, 血球の減少・DHP後の出血傾向などの問題がある。我々はこれらの問題点を考慮し, ヘパリンにかわる抗凝固剤としてカルバサイクリン誘導体CS-570を使用して実験的尿毒症犬の活性炭によるDHPを行ない, 血球成分・血液凝固能・血圧・回路内圧などを指標としてCS-570のDHPにおける抗凝固剤としての有用性を検討した。その結果, DHP実施中の赤血球数・血小板数は変動せず, 血液回路内での血小板凝集は強く抑制されており回路内凝血の徴候は認められなかった。一方, 生体内での凝集抑制率は低くDHP終了後の凝集能回復も速やかであった。また, 血圧の低下はわずかであった。以上のことからCS-570はDHPにおける抗凝固剤として非常に有用であると考えられた。
著者
伊藤 浩志
出版者
みすず書房
雑誌
みすず
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.60-74, 2016-08
著者
岡田 光弘 佐藤 拓杜 稲田 圭介 谷田部 祐介 伊藤 浩朗 小味 弘典
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.1425-1434, 2018-07-15

人間の視野における解像度は視野中心で最も高く,周辺部ほど低下する.この視覚特性に基づき,視野周辺の映像の解像度を削減するFoveated Imaging処理(FI処理)と呼ばれる画像処理技術がある.本論文では,フルHD映像を対象に主観的な解像感を維持したまま伝送ビットレートを削減するために,エンコード前の映像にFI処理を適用した映像圧縮伝送システムを構築する.さらに,このシステムの有効性を評価するために,Degradation Category Rating(DCR)法と呼ばれる主観画質の評価手法を用いて,基準映像に対するFI処理を適用した映像の画質劣化を5段階で評価した.その結果,Degradation Mean Opinion Score(DMOS)の平均値が4.25と画質劣化が気にならないレベルの画質を維持しつつ,9.2~44.7%の伝送ビットレートの削減効果を確認できた.
著者
藤沢 有 佐藤 俊夫 伊藤 敏幸
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.519-531, 1986-06-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
83
被引用文献数
27 29

The baker's yeast mediated reduction of ketones with various kinds of functional groups provides a useful method for the synthesis of optically active secondary alcohols. Compared with the usual chemical methods using chiral metal hydride reagents, the advantages of the present method are the easier availability of the yeast, milder reaction conditions, i. e. at room temperature in water under air atmosphere, higher optical yield and chemoselectivity especially in the reduction of saturated ketones. Asymmetric reduction of carbon-carbon double bond and the carbon-carbon bond forming reaction of α, β-unsaturated carbonyl compounds are also accomplished by baker' s yeast. The products thus obtained are applied as chiral building blocks to the synthesis of various natural products.
著者
伊藤 朋子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.251-263, 2009-09-10 (Released:2017-07-27)
被引用文献数
2

本研究では,中学生32名と大学生54名を対象に,サイコロふりに関する基礎的な確率課題を出題し,伊藤(2008)の確率量化操作の4水準の発達段階を理論的に発展させた3段階2水準の発達段階の妥当性を検証する調査を行った。その結果,確率量化以前の段階0,基本的な1次的量化が可能な段階IA,加法的合成を伴う1次的量化が可能な段階IB,基本的な2次的量化が可能な段階IIA,加法的合成を伴う2次的量化が可能な段階IIB,基本的な条件付確率の量化が可能な段階IIIA,ベイズ型条件付確率の量化が可能な段階IIIB,という確率量化操作の発達段階が見出された。中学生の多くは段階IAにとどまること,大学生の多くは段階II以上にあるが,段階IIBで必要とされる場合分けという第1の障壁のために段階IIAにとどまる場合があること,段階IIBに到達した大学生でも,思考の可逆性という第2の障壁のために段階IIIの到達には困難を要することが明らかになった。
著者
伊藤 一也 増田 圭太 蒲田 和芳
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.829-832, 2013 (Released:2014-01-21)
参考文献数
9
被引用文献数
2 1

〔目的〕ストレッチポールを用いたベーシックセブンの効果を明らかにすることを目的とした.〔対象〕若年健常男性20名を対象とし,介入群とコントロール群に無作為に割りつけた.〔方法〕介入群はストレッチポールを用いたベーシックセブンを実施し,コントロール群はストレッチポールを使用せず,同様の運動を床上にて実施した.介入前後で体幹後屈可動域,体幹背面の床接地面圧分布を測定し,各群で変化量を比較した.〔結果〕介入前後での体幹後屈可動域および上部体幹床接地面圧はともに,介入群で有意に増大した.〔結語〕ベーシックセブンは,体幹後屈可動域および上部体幹床接地面圧の増加に効果的である.
著者
伊藤 光雅
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集
巻号頁・発行日
vol.33, pp.475-476, 2009

マレーシア政府の東方政策の一環として誕生した、マレーシア人学生に対しての日本の高専留学プログラムは、1983年に1期生の入学から、1999年にはアジア通貨危機のため1年間の学習募集停止をしたが、2009年3月には第25期の修了生を日本へ送り出し、これまでに25年に渡る伝統を持つに至った.現在までに教務運営や教員採用形態も数度の変遷を経て、2009年4月からは、マラ工科大学(UiTM)国際教育センター高専予備教育コース(INTEC, DPT KTJ)へ機関移転した.本機関での理数教科教育は、マレーシア人学生に対してマレーシア予備教育課程の理数教科教育を1年次にマレーシア人教員、日本の高等学校指導範囲を2年次に日本人教員により教育する.日本への留学のための日本語教育と同時に日本語で理数教科教育をも行っている.この特徴の故に生じる課題も多く、その課題への対策授業、さらに日本の高専編入学後を見据えた先取り授業の取組みと、これまで25年間にて数回実施した高専編入学後の追跡調査結果について報告する.
著者
藤井 澄三 小川 和男 斎藤 徹 板谷 泰助 伊藤 忠正 岡村 公生
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.321-324, 1995-02-15 (Released:2008-03-31)
参考文献数
26

Oxidation of 1-benzyladenine (12) with m-chloroperoxybenzoic acid in MeOH or in MeOH-0.5 M phosphate buffer (pH 6.6) has been found to afford 1-benzyladenine 7-oxide (13) as the main product. Nonreductive debenzylation of 13 gave adenine 7-oxide (14) in 63% yield. The structure of 13 was unequivocally established by an X-ray crystallographic analysis.
著者
平岡 直樹 佐々木 邦博 伊藤 精晤
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.455-458, 1998-03-30
参考文献数
22

本研究の目的は, ベルギーの首都ブリュッセルにおいて, 近代都市計画の始点とされるイギリスの田園都市論の影響のもと, 20世紀初頭, 田園地域に数多く建設された住宅地の特徴を明らかにすることである。そのためにそれらの分布や規模, 計画技法, 住民共同組織の形態, 共有施設等を整理分析した。その結果, ハワードにより提案されたような真の自立した都市像ではなく, 既存市街地に部分的に依存し, 低層低密な2連戸住棟, テラスハウスによる中世風不規則配置構成を持った比較的小規模な田園郊外としての特徴を有していることが明らかになった。
著者
柳井 清治 河内 香織 伊藤 絹子
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.167-178, 2006-12-20 (Released:2008-07-18)
参考文献数
44
被引用文献数
5 3

サケの死骸が河畔林生態系・および渓流生態系に及ぼす影響を明らかにするため, 豊富にシロザケの遡上回帰が観察される, 北海道東部網走管内のモコト川上流域において, サケの分解移動過程, および窒素安定同位体比を用いサケが河畔植生と水生動物へ及ぼす影響を推定した. この河川と同規模, 同土地利用の支流域でサケが遡上しない河川を対照河川とし, 比較を行った.この結果, サケの遡上は11月をピークとし, 死骸は河川内と陸域で観察され, その比率は3対1程度であった. 河川内に滞留しているものはほとんど水生菌が繁茂し水中で分解されるのに対し, 陸上に持ち上げられた死骸の多くは大型動物類に被食を受けたものが多かった. 河岸の死骸の5体に電波発信機を装着し移動距離を調べたところ, 3体は10m以内, 1体が500m程度移動したことが判明し, 少数であるが遠方まで運ばれている可能性が示された.次に河畔植生のハルニレ, アキタブキおよびヤナギ属葉の窒素同位体比を測定したところ, ハルニレ, アキタブキは対照河川に比べて高かったが有意な差とはならなかった. 逆にヤナギ属では対照河川と比べて低い傾向があった. 一方, 水生動物類 (ガガンボ科, コカゲロウ属, トウヨウマダラカゲロウ属, アミメカワゲラ科およびサクラマス) の窒素同位体比は対照河川に比べていずれも高く, 有意な差が見られた. 遡上前と遡上後の同位体比値を比較したところ, ガガンボ科を除き増加する傾向があった.以上の結果から, サケの影響は本調査河川においては河畔植物に関しては有意には現れず, 逆に水生動物群には明瞭に現れた. しかし陸上に持ち上げられた死骸の多くは大型哺乳類や鳥類の摂食を受けており, 一部は遠くまで運ばれている可能性があった. 今後はサケの死骸が陸上生態系の中でどのように利用されているかを明らかにすることが重要となる.
著者
笠井 章次 唐崎 秀則 前本 篤男 古川 滋 伊藤 貴博 河野 透
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.91-96, 2018 (Released:2018-01-29)
参考文献数
15
被引用文献数
1

急性感染性電撃性紫斑病(acute infectious purpura fulminans:AIPF)は感染に惹起され急速に進行拡大する末梢の紫斑,皮膚壊死を特徴とする疾患である.死亡率は30%以上と高率で,救命し得た例でも最終的に四肢切断を要することが多い重篤な病態である.われわれはクローン病腸管切除手術後の重篤な麻痺性イレウス治療中にCitrobacter freundii菌血症からAIPFを発症したが,複数科の協力による集中治療で救命し得た40歳代女性の1例を経験したので報告する.クローン病患者は易感染状態であり,また血栓性イベントの高リスク状態でもあることから,AIPFを発症しやすい条件下にあるといえる.現時点で自験例以外にAIPFを合併した症例の報告はないが,クローン病の管理において知悉すべき病態であり,その治療においては複数科との協力の下,集学的に行うことが重要であると考えられた.

1 0 0 0 OA 植物図説雑纂

著者
伊藤圭介 [編著]
巻号頁・発行日
vol.[130], 1800
著者
伊藤 晶文 Ito Akifumi
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要 自然科学篇 (ISSN:03896692)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.1-8, 2007

鹿児島県志布志砂丘では,台風0416号,0418号,0514号接近時に後浜上限を超えて砂丘まで達した波(越波)による堆積物と地形変化が観察された。本研究では,地形測量,堆積物の観察および粒度分析を行い,2004年および2005年の越波堆積物の分布,粒度組成,単位面積当たりの体積を明らかにし,越波イベント発生時における砂丘の地形変化と各イベントの差異を考察した。さらに言皮浪および気象資料からイベント発生条件を検討した。イベントが発生すると言毎岸林の立地する区域において,越波堆積物の定着により砂丘表面の起伏が埋められて平滑化が進む。調査地(100㎡)におけるイベント当たりの越波堆積物の体積は約7-8㎥であった。台風接近時の最大有義波高が6m以上,かつ台風の経路が調査地の西側であることがイベント発生条件と考えられた。この条件を満たす台風は1980年以降8個あり,1993年から2005年までに7個の台風が来襲している。