著者
北野 信彦 佐々木 良子 山田 卓司 本多 貴之 吉田 直人
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

現在、文化財建造物の漆塗装修理は極力日本産漆を使用が求められるとともに、漆塗料以外の塗装彩色修理には合成樹脂より伝統的な膠材料の使用が求められている。ところが日本産漆や膠材料の調達や使用量の算定、伝統的な金具の漆箔施工の仕様、さらには過去多用されたことが明らかとなってきた柿渋や固化不良が生じやすい乾性油系(油彩系)塗料の伝統的な仕様には不明な点が多い。本研究では文化財建造物における伝統的な塗装彩色材料・技術の系譜の解明と再評価をまず行う。そのうえでこれらの材料・技術を修理に応用した際の施工や保守管理方法の策定、3D技術を応用した復元彩色欄間の作成を資料活用として提示することなどを目的とする。
著者
打田 裕明 小西 隼人 本橋 宜和 垣田 真里 禹 英喜 佐々木 智康 三重野 繁敏 大門 雅広 小澤 英樹 勝間田 敬弘
出版者
The Japanese Society for Cardiovascular Surgery
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.120-123, 2013

薬物使用歴のある成人に発症した,三尖弁位感染性心内膜炎に対して,弁形成術を施行した1例を報告する.症例は20歳男性.発熱を主訴に受診し,肺膿瘍を合併した三尖弁位感染性心内膜炎と診断され,抗生剤による加療が行われたが,炎症所見の遷延を認めた.血液培養から,黄色ブドウ球菌を検出,心臓超音波検査では三尖弁に疣贅と三尖弁閉鎖不全を認めた.肘部に多数の注射痕を認め,詳細な問診を行ったところ,覚醒剤の自己注射歴が判明した.抗生剤治療に抵抗性の感染性心内膜炎に対して,三尖弁形成術を行った.経過は良好で,術後2週間で独歩退院したが,予定された外来の受診はなく,術後も覚醒剤所持で逮捕されている.覚醒剤の再使用,術後の投薬管理の点から術式に一考を要した.
著者
野中 洋一 角 真佐武 佐々木 裕亮 田中 将大 大橋 元一郎
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル
巻号頁・発行日
vol.26, no.8, pp.597-609, 2017

<p> 囊胞性聴神経鞘腫 (cystic vestibular schwannoma) は, 充実性聴神経鞘腫と比較して臨床像や腫瘍特性が異なり, そのため手術においては特有の難しさが存在するといわれている. それゆえ最大径が40mmを超えるような巨大囊胞性腫瘍の手術においては, 標準的なアプローチのみで切除することが困難な場合もある. Transmastoid approachは側頭骨錐体部を立体的に切削することで, 小脳の圧排なしに小脳橋角部へアクセスすることができる確立されたアプローチではあるものの, 解剖学的な制限のため術野としては決して広くはない. しかし側頭開頭や外側後頭下開頭などと組み合わせることで, 広範囲かつ多方向的な術野展開 (multidirectional approach) が可能となるため, 視認性や操作性の向上につながる. 本稿では巨大囊胞性聴神経鞘腫に対して用いたcombined transmastoid approachの有用性, 手術成績, 合併症などについて概説する.</p>
著者
近藤 久雄 勝部 亜矢 黒澤 英樹 佐々木 亮道 阿部 恒平 三輪 敦志
出版者
一般社団法人 日本活断層学会
雑誌
活断層研究 (ISSN:09181024)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.43, pp.i-ii, 2015-09-30 (Released:2016-09-09)
被引用文献数
1

(口絵1) トレンチ調査地および周辺の地形写真.2014年長野県北部の地震(Mj6.7)では,糸魚川-静岡構造線活断層系・神城断層の一部が活動し,約9kmの区間で地表地震断層が出現した.神城断層は糸魚川-静岡構造線の最北端を構成する断層で,いわゆる北部フォッサマグナの西端に位置する.写真は,糸静線の西側に分布する主として花崗岩類からなる北アルプス側から東へ向かって撮影したものである.写真中央の丘陵は,神城断層の東側に分布する鮮新-更新統の大峰帯からなり,さらに背後(東側)にみられる定高性を持つ山地は,フォッサマグナを充填する鮮新統・中新統からなる.丘陵の西縁と沖積低地の境界付近を神城断層が延びており,大局的には山地と盆地の境界付近を姫川が北流し,地表地震断層は姫川左岸側の沖積低地や河床に出現した.トレンチ用地は,堆積物の年代や層相を考慮し,写真中央付近の沖積低地面上で実施した.(口絵2) 地震直後のトレンチ掘削用地の写真.白馬村飯森地区に位置するトレンチ調査用地の水田では,地震に伴い0.5mの上下変位を伴う撓曲崖が出現した.写真は,地震から2日後の2014年11月24日に撮影したものである.周辺では約600mの区間にわたり地表地震断層が連続して出現したが,断層上盤側のトレンチ長さを十分に確保できること,米軍撮影の空中写真でみられる姫川の旧河道をできるだけ避けることを考慮して,掘削用地を選定した.(口絵3) トレンチ掘削後の全景写真.西へ向かって撮影.トレンチは,飯森地区の水田の災害復旧工事計画等を考慮して2015年3月に実施した.トレンチ掘削は,除雪後に地表地震断層の痕跡を消失しないよう慎重におこない,調査期間中の降雪に備えて屋根を設置するよう準備した.(口絵4) トレンチ掘削後の南壁面の写真.トレンチ壁面には,地表地震断層に連続する明瞭な断層が露出した.調査期間中はトレンチを覆い尽くす屋根を設置して,トレンチ内の作業や安全が確保できるように努めた.詳細は表紙説明を参照.
著者
佐々木 直文 佐藤 直樹
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.279, 2010

特定の種における複数の環境型を同時に解析することにより、これらのゲノムで共通な仮想的なゲノムの構造を知ることができる。これらのゲノムは、「ゲノムコア」と呼ばれるゲノム間で共通に保存されているシンテニー・ブロックと、HGTによる遺伝子の出入りが確認される、「ゲノムアイランド」領域のモザイク構造になっていることが知られているが、従来の遺伝子の隣接関係に基づく組み合わせ探索の方法では、非常に近縁であるこれらのゲノム間において、ゲノムアイランド領域とゲノムコアのゲノム上での再構成単位を同時に可視化することは難しかった。我々はこれらを可視化することが可能な「位置プロファイル法」を開発した。前回の報告では我々の開発した位置プロファイル法による、シアノバクテリア16種間の解析結果を報告した。本発表では、本手法の近縁ゲノム間の解析への活用事例として、拡張したデータセットによる手法の評価と既存法との比較、およびシアノバクテリア36種での解析と根粒形成菌の近縁種間の解析によって明らかになった、近縁ゲノム間のゲノムの構造的進化とその働きについて報告する。
著者
佐藤 力郎 佐々木 正剛 阿部 喜充 岡部 陽子
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.46, pp.175-177, 1995

リンゴクビレアブラムシの越冬卵の密度はリンゴの品種間で異なり, ふじで高く, さんさやレッドキングで低かった。調査枝の方位では東側が西側よりも高く, また, 調査枝の高さでは地上1.5~3.0mの位置で高かった。福島県の県北地方の8ほ場から得られた卵の平均密度と平均こみあい度の関係から, 本種の卵が集中分布をすることを明らかにし, その関係を利用した二段抽出法 (第一次抽出単位は樹, 第二次抽出単位は果台) による密度調査法について検討した。
著者
佐々木 章晴
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.34(2020年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.204-209, 2020 (Released:2020-12-07)
参考文献数
26

野付湾は,アマモ(Zostera marina)が生育しており,ホッカイエビ(Pandalus latirostris)の漁場になっている。野付湾および湾外南側のアマモ場の流入河川の流域土地利用が河川水質に与える影響と,河川水質がアマモに与える影響について検討した。河川の流域森林率が低下し,流域窒素投入量が増加すると,河川水中のNO3-N,K,Caが増大した。そして,河川水中のNO3-N,K,Caが増大すると,アマモの生育質量が低下した。アマモ生育質量の低下は,NO3-Nの増加に伴って増大する未知の生育抑制物質が増加していることが原因ではないかと考えられた。
著者
小菅 李音 高木 正則 佐々木 淳 山田 敬三
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.613-614, 2018-03-13

近年,MOOCの出現により,講義映像を利用した反転授業の実践も行われている.著者らが所属する大学においても教科書や演習問題を含むeラーニング教材に加え,重要部分の補足説明のために独自に制作した講義映像を公開して反転授業を行っている.この映像は前年度までの授業評価アンケートに基づいて制作しているが,これだけでは詳細なニーズを十分に把握しきれていない問題がある.そこで,本研究では,新規映像の制作や既存映像の改善に対する詳細なニーズを抽出するために,チャットボットを利用したニーズ抽出支援システムを提案する.具体的には,学習ログ,映像視聴ログ,チャットログを分析することで,詳細なニーズの抽出を試みる.
著者
佐々木 逸士 佐々木 健
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2015年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.973-974, 2015-03-01 (Released:2015-09-01)

非音声の環境音の認識はセキュリティや製品検査のみならず,近年では画像情報を補完する有力な情報源として有望視されている.非音声は母音ベースの音声と異なるので既存の音声認識技術をそのまま適応できない.本報告では人間の身の回りの環境音の中で,定常的な音として聞こえる音,例えば水流音,のスペクトルの揺らぎに着目して認識する手法について述べる.
著者
古森 元章 佐々木 邦雄 芝 啓一郎 山野 耕一郎 植田 尊善 浅川 耕司 森永 政博 吉浦 光三 Nobuaki Tsunoda
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.284-288, 1985-07-25 (Released:2010-03-16)
参考文献数
4

It is important to grasp sufficiently general and neurological findings in acute cervical cord injuries. In rare cases, It is difficult to grasp exact neurological findings due to disorder of serum electrolyte concentrations. To take an accurate neurological findings, it is necessary to improve serum electrolyte disorder. We examined serum sodium concentration in 85 patients of acute cervical spinal cord injuries. In one case, we could not take accurate neurological findings at the emergency room, probably because of serum electrolyte disorder.
著者
佐々木 寧 田中 規夫 湯谷 賢太郎 ホモチュエン サマン
出版者
埼玉大学工学部
雑誌
埼玉大学紀要. 工学部 第1編 第1部 論文集 = The Science and Engineering Reports of Saitama University (ISSN:18804446)
巻号頁・発行日
no.38, pp.49-57, 2005

This study reports the damage at the coastal area in south Thailand by Indian Ocean Tsunami occurred at Dec.26.2004. The investigated area covered about 250 km at Andaman seaside from Phuket to Ranong. For elucidating the effect of vegetation on tsunami protection, the representative vegetation was classified according to the stand structure of the tree. The representative trees were classified into five and their stem diameter (d), tree height, branch structure, density of the trees and the forest-width to the Tsunami-direction were investigated. From the survey, mangrove, especially Rhizophora apiculata forest, was effective to protect Tsunami damage with its complex root structure. Anacardium occidentale was also effective with its large diameter branches at low height from the ground level. On contrary, Casuarina equisetifolia has assumed little effect to reduce the velocity when their diameter grow large (d>0.5m) with large stem-spacing (7-30m).
著者
佐々木 寧 ホモチュエン サマン
出版者
埼玉大学工学部
雑誌
埼玉大学工学部紀要 第一部 論文集
巻号頁・発行日
no.40, pp.51-58, 2006

From 22 th to 23th May 2006, a landslide occurred the mountain area of Uttaradit in northern Thailand, where is popular fruit growing and slight rain commonly. In that time, the rainfall in 48 hours was over 400 mm, many landslide occurred, especially with a lot of drift wood and left more than 100 persons dead or missing. It was observed many case of surface landslide, large trees and secondary forest of bamboo collapsed easily.
著者
高橋 広夫 佐々木 博己
出版者
金沢大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

本研究では、国立がん研究センター独自の細胞バンクから、生体内分子の網羅情報であるオミクスと抗がん剤感受性情報を得て、その関係を機械学習でモデル化し、難治胃がんの精密医療(Precision Medicine)を目指す。そのために、web上で公開されている各がん細胞株のオミクス情報と薬剤感受性情報の関係を機械学習し、転移学習による再最適化に基づき、胃がんの薬剤感受性予測モデルの構築を行う。
著者
本間 秀彰 橋本 義人 宮崎 信義 松本 隆亜 佐々木 希吉
出版者
日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.457-462, 2007-05-10
参考文献数
24
被引用文献数
3 5

To ascertain the use of health foods by patients and the associated problems, we asked 364 patients who brought prescriptions to our pharmacy to fill out a questionnaire. The questions asked aimed to determine the percentage of patients using health foods, the purpose of using them and the kinds of health foods used as well as the period, the frequency, amounts, and the effects of using them. Other questions concerned the person advising them on the use of health foods, the side effects of health foods, and the awareness of patients regarding the interactions between drugs and health foods. The knowledge obtained from the responses received should enable us to provide better pharmaceutical care to patients.
著者
石屋 博樹 千田 浩一 斎 政博 佐藤 弘之 有馬 宏寧 佐々木 正寿
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, 1993

透視条件下において、X線アナライザの管電圧測定値と実測値はほぼ一致した。また、線量率測定に於いて、X線アナライザ2機種共に低い管電圧側で基準線量計の値より低い値を示し、管電圧が高くなる程、基準線量計の値に近づいた。今回の測定では、低い管電圧の時、線量率及び管電圧の測定が不能になったり、線量率の測定値が低くなったりするものもあったが、この原因としてはX線アナライザの測定レンジの下限を越えたためか、又は、検出限界ぎりぎりのところで測定したために起こったものと考えられる。以上より、X線アナライザは、透視条件という低いX線出力下においても、測定レンジの範囲内では充分QCに使用可能であると思われた。
著者
熊谷 誠治 佐々木 恵司 清水 良枝 武田 紘一
出版者
日本素材物性学会
雑誌
素材物性学雑誌 (ISSN:09199853)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.34-38, 2007-12-28 (Released:2010-10-28)
参考文献数
18
被引用文献数
4 4

Japanese rice husk was converted into an adsorbent for the removal of two types of aldehyde vapors. The rice husks carbonized at 250-800°C in N2 for 1h were exposed to vapors containing 1.0 vol. ppm formaldehyde or 100 vol. ppm acetaldehyde (both N2 carrier) in 5 L-gas sampling bags. Maximum adsorption rates of formaldehyde and acetaldehyde were observed for rice husks carbonized at 800 and 600°C, respectively. The adsorption rates of the aldehydes on the carbonized rice husks were higher than or comparable to those of the commercial granular coconut-shell activated carbon (GCSAC), whereas the specific surface area and the total pore volume of the carbonized rice husks were much lower than that of the GCSAC. The surface basic property of the rice husks carbonized at high temperatures was attributed to the intrinsic inorganic matters of K and Ca, which enhanced an uptake of the aldehydes on their surfaces.