著者
星野 傑 中川 照彦 佐藤 哲也 八百 陽介 土屋 正光
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.577-579, 2015

上腕骨骨頭骨折に対し骨釘移植による再接合術が有用であった1例を経験した.オートバイのロードレーサーである20歳男性がレース中に転倒し左肩を受傷,左上腕骨骨頭骨折に対し受傷後8週で肘頭から採取した骨釘および吸収性スクリューを準用し骨接合術施行.術後3年経過し,MRI像にて一部限局した壊死部分を認めるものの骨頭壊死なく骨癒合得られ,痛みなく良好な結果が得られた.
著者
大原 一興 佐藤 哲 安藤 孝敏 藤岡 泰寛
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究論文集 (ISSN:18802702)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.247-258, 2010

社会福祉施設とくに入所施設において,その集団管理的な環境の見直しが進んでいるが,それぞれの施設において「施設らしくない」「ふつうの暮らし」を求めている。しかしその実態は,それぞれの施設によってまちまちである。同様の言葉に「家庭的な環境」「その人らしく」など環境とケアの概念が定着している。職員がこれらの言葉に対してどのようにイメージを持っているのか,職員自ら言葉に対しての写真を撮影し,その写真を分析することで,概念の共通化をはかることを試みた。とくに高齢者施設においては,食事や家事作業などを居住者がおこなっている光景が取り上げられ,職種別にもそのとらえ方に特徴が見られた。
著者
林 梅 佐藤 哲彦 村島 健司 西村 正男 荻野 昌弘
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、中国辺境地域が、市場経済や国家による開発に組み込まれる過程で、均一的な文化の受容を通して地域社会を変容させながらも、少数民族独自の伝統や文化を継承していく様態を明らかにすることに努めてきた。それは、グローバリゼーション時代において直面せざる得なくなった多文化社会のあるべき方向性を模索する作業で、そこには多重の人為的な「境界」による他者性を生きながらも、そうした「境界」を使い分けている構造があったといえる。
著者
佐藤 哲男 細川 正清 渥美 亮 鈴木 亘 伯水 英夫 永井 栄一
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Biological and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:09186158)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.662-664, 1994-05-15 (Released:2008-04-10)
参考文献数
18
被引用文献数
79 135

We measured the plasma concentrations of 7-ethyl-10-[4-(1-piperidino)-1-piperidine] carbonyloxycamptothecin (CPT-11) and the active metabolite 7-ethyl-10-hydroxycamptothecin (SN-38), after treatment with CPT-11 to rats pretreated with bis-p-nitrophenylphosphate (BNPP) which is a specific inhibitor of carboxylesterase, and non-pretreated rats. The plasma level of SN-38 was decreased in the BNPP-pretreated group compared with these of non-pretreated group, indicating that the esterase involved in CPT-11 metabolism is a carboxylesterase. We also characterized the molecular species of carboxylesterase involved in CPT-11 metabolism using enzyme preparations purified from liver microsomes. Thirteen carboxylesterase isozyme activities towards CPT-11 were compared and guinea pig GLP1 was found to have the highest activity, while human HU1 isozyme had relatively lower activity than those of animal species. In studies on the kinetic parameters of the hydrolysis of CPT-11 by the purified carboxylesterase isozymes the highest Vmax value of the isozymes was found in human HU1 and the smallest was seen in rat RL1. The Vmax/Km for RL1 showed the largest value of 21.7 nmol/mg protein/mM.
著者
佐藤 哲彦
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.124-137, 2013-10-15 (Released:2017-03-31)

本稿は,欧州連合(EU)において薬物問題対策として採用され,こんにち広く影響を及ぼしている「欧州アプローチ(European Approach)」について,その来歴と概要および実践をアムステルダム市のケースを題材として検討し,その施策の含意について論じている.まずEUにおける薬物政策の成立過程について,EU自体の成立過程やその過程における諸機関との関係を含めて論じたのちに,それらを現行の形として成立させ維持する制度と仕組みについて論じた.そこではとくに補完性の原則が重要な役割を果たしていること,さらに欧州委員会の管轄領域との関係が重要であることなどが指摘されている.次に欧州アプローチの一事例としてアムステルダム市におけるハーム・リダクション施策を具体的に論じ,その施策が現在の福祉政策に影響を受けていること,とくに勤労福祉政策がコミュニティという視点の強調によりハーム・リダクションに組み込まれている最近の傾向を指摘している.最後に,脱犯罪化統制であると同時に社会政策として広がりつつあるハーム・リダクションが「逸脱の経済化」の一つの現れであることを示唆している.
著者
芦田 和重 佐藤 哲大 中村 建介 湊 小太郎
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.1-8, 2013-03-14

DNA の塩基配列中の変異が原因とされるガンなどの疾病について,変異箇所を特定することで診断や治療が行える可能性が期待されている.解析対象の塩基配列中のどの位置にどのような変異が発生しているかを特定する技術は変異コールと呼ばれており,ゲノム解析の中心となる技術の一つである.正確な変異箇所の特定のため高精度の変異コールが必要とされているが,現在の変異コールは精度が低く,アライメントの手法次第では INDEL が検出できない場合や,INDEL 検出の精度を上げることにより SNP 検出の精度が下がるなどの問題がある.そのため,解析の手法を変えた複数回の解析が推奨されており,解析に必要な時間やコストが増大する原因となっている.この問題を解決するため,より精度の高い変異コールツールを開発する必要がある.本研究では,真正細菌の塩基配列中から SNP と INDEL を高精度に同時検出できる変異コールの実現を目的とし,既存のツールによる変異コールの問題点の指摘と,独自のアルゴリズムによる変異コールツールの作成を行った.また,複数の真正細菌を対象とし,作成したツールの精度検証を行った.その結果,SNP 検出の精度を下げない INDEL 検出の実現と,既存のツールによる変異コールでは検出できなかった INDEL の検出に成功した.Identifying mutations in genome DNA sequences is one of most fundamental methods to diagnose or predict hereditary disease or cancer. The technology of specifying mutation is called "mutation calling", and is one of the most important technologies in genomics. Although the highly precise mutation calling is needed for pinpointing mutation, the present mutation calling process has low accuracy and there are some problems. In a certain alignment algorithm, INDEL is undetectable; and the precision of SNP calling falls by raising accuracy of INDEL calling. Therefore, two or more analyses with different tools are recommended, but it causes increasing time and cost. To solve these problems, it is necessary to develop a mutation calling tool with higher-precision. The purpose of this research is to build the mutation calling tool which can detect SNP and INDEL simultaneously with high precision. We investigated some problems of the mutation calling by the known procedure and created a new tool with original algorithm. Moreover, accuracy verification of our tool was performed by analysing two eubacteria. As a result, it enabled the INDEL calling which does not lower the accuracy of SNP calling, and identifying of INDEL which was not detectable in the mutation call by the known procedure.
著者
藤本 知之 杉浦 忠男 長屋 岳志 佐藤哲大 湊 小太郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告バイオ情報学(BIO) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.99, pp.63-70, 2006-09-15
参考文献数
6

これまでに我々はガラス基板上にDNAを伸張固定してGC特異的に蛍光染色し,エバネッセント顕微鏡を用いてDNAを一分子イメージングすることでDNAのGCコンテントの一次元分布を計測できた.しかしガラス基板上に固定されたDNAの単位長さ当たりの塩基数が異なるため,データベースの予測と必ずしも一致しない.そこで,塩基数の違いを較正する新たな解析モデルとその適用結果について報告する.We have analyzed single molecular DNA with single molecular imaging by evanescent field microscope and identified the DNA by comparing measured results of one dimensional distribution of local GC content to estimation from genome database. The number of base pair within the unit length of the DNA fixed on the glass substrates are different from estimation, however, measured results have not matched with genome database well. We report on the new analytic-model and the new application result considering calibration of the difference of the base pair number.
著者
杉浦 忠男 長屋 岳志 佐藤哲大 湊 小太郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告バイオ情報学(BIO) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.13, pp.25-32, 2006-02-09
参考文献数
4
被引用文献数
1

ゲノムDNA上ではGCコンテントの分布は一様ではない。このことを利用すれば一分子イメージングしたDNAを識別できると考えられる。そこで我々はガラス基板上にDNAを伸張固定してGC特異的に蛍光染色し、エバネッセント顕微鏡を用いてDNAを一分子イメージングすることでDNAのGCコンテントの一次元分布を計測でき、その結果がゲノムデータベースからの予測とよく一致することを確認した。GC content on genome DNA is not uniform. By use of this feature we can analyze and identify single molecular DNA with one-dimensional distribution of local GC content. We propose a method to analyze single molecular DNA with single molecular imaging by evanescent field microscope and to identify the DNA by comparing measured results of one dimensional distribution of local GC content to estimation from genome database. We have performed the method and have confirmed good correspondence with each other.
著者
東梅 貞義 佐藤 哲 前川 聡 花輪 伸一
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.102-105, 2002-11-15

渡り鳥とその生息地の保全は、比較的長い国際的な歴史を持つ。本報告では渡り鳥の中でもっとも長距離の渡りを行う鳥類グループのひとつであるシギ・チドリ類の保全をケーススタディとして取り上げ、地球規模の環境問題解決の視点と地域レベルで取り組む視点の現状と保全を推進するために必要な条件の検証を行う。1995年にアジア太平洋地域渡り性水鳥保全戦略が提唱され、96年に東アジアオーストラリア地域シギ・チドリ類重要生息地ネットワークが新たな国際的渡り鳥保全の枠組みとして発足した。日豪政府とNGOである国際湿地保全連合(WI)が中心となり、発足当時から日本国内の研究者、政府機関、環境NGOの幅広い参加と支持を得てこれまで実施されてきた。シギ・チドリ類は、多国間にわたる広大な範囲の生息地を必要とし、特定の時期に特定の地域の生息地を利用する必要がある。例えばホウロクシギ(全長63cm)は3月中旬にオーストラリアを出発し、3、4月に中継地の日本などの干潟に渡来し休息と採食を行い、5月には繁殖地のロシア極東部に到達する。繁殖終了後の秋期になると、非繁殖期(越冬期)を過ごすため日本などを経由しながら南半球へと渡り、年間往復2万5千キロを超す長距離を移動する。
著者
佐藤 哲彦
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.38-48, 2003-08-25 (Released:2016-11-16)

本稿は、医療的相互作用過程の質的分析に関する論争において示唆されたものの、具体的には展開されなかった分析方法を新たな観点から提案し、当の論争において公表された慢性病診察過程のデータを再分析することで、その有効性を検証することを目的としている。特に本稿は、ディスコース分析を用ることで、社会的相互作用論による相互作用過程の分析では明らかにされなかった、医師・患者による個々の発話の意味と文脈の協働的構築過程を明らかにするとともに、ローカルな診察の場で、どのようにして「病の軌跡」がコントロールされるのかを詳細に明らかにした。この作業を通して本稿は、具体的な分析方法を新たに提示するとともに、それが特定の医療的相互作用の特殊性を記述することができることを示した。
著者
上垣 良信 佐藤 哲也
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.463-468, 2015-05-20 (Released:2017-11-28)
参考文献数
6

植物染料を用いて繊維を緑色に染色する技術は,従来は鉄を発色補助剤として用いているが,色合いの濃さと耐光性の観点から改善すべき余地がある.我々は鉄と同じ遷移金属元素であるバナジウムを発色補助剤(媒染剤)として用いた新しい染色法の開発に取り組んでいる.濃度5×10-3 mol/Lで処理したバナジウム先媒染ウールを濃度50%owfの植物染料ヤシャブシで染色すると,耐光堅ろう度の高い濃緑色に染色できた.バナジウム先媒染ウールをESR分析したところ,オキソバナジウム錯体として繊維表面に付着していることがわかった.バナジウム先媒染ウールは皮膚への刺激性が低く,環境負荷を軽減可能な新しい媒染剤として有効であることが示された.
著者
田岡 三希 佐藤 哲 鎌田 勉 奥村 浩
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.82-90, 1988-09-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
14
被引用文献数
8 11

1 北海道の大黒島でコシジロウミツバメOceanodroma leucorhoaの鳴声がどのような状況で発せられるかを調べた。2 鳴声のレパートリーは主にChatter-call,Purr-call,Screech-callの三種で各々雌雄共に鳴く。このうちPurr-callとScrreech-callは特定の状況下でのみ鳴かれ,状況特異性が見られた。3 Purr-callが鳴かれる巣穴には必ず雄,雌の二羽がおり,また卵や雛はいない。従って,この鳴声は求愛行動や番形成に関係していると思われる。4 Screech-callは同性の二羽の間で鳴かれ,おそらく闘争に伴って鳴かれる鳴声と思われる。5 Chatter-callは様々な状況下でまた他の鳴声と共に鳴かれるが,飛翔個体はほとんどこの鳴声しか鳴かない。しかしながら,Chatter-callの鳴かれる状況をそれに伴って鳴かれる鳴声に従って分類すると状況特異性が見られた。このことはこの鳴声が状況の違いにより複数の機能を持ちうることを示唆する。事実,この鳴声の再生実験を巣穴中の個体に対して行ったところ,様々な反応を誘起した。
著者
上神 貴佳 佐藤 哲也
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.61-73, 2009

本研究の目的は,政党や政治家の政策的な立場を推定するために考案されてきた様々な方法論を概観し,その現状と発展の可能性について考察することである。政党や政治家の政策的な立場を推定する方法を大別すると,公約の内容分析とアンケー ト調査の二種類に分けることができる。アンケート調査とは異なり,内容分析には,政党や政治家の立場を明らかにすべき争点の選択が客観的であるという長所がある。しかし,この方法には分析コストの高さや結果の信頼性について改善の余地がある。そのための手段として,本研究はコンピュータによるコーディングの自動化を提案する。具体的には,政策の内容分析に必要であるコーディング作業について,「教師付き学習に基づく分類の自動化」を行う。実際に,2005年総選挙と2007年参院選における各党のマニフェストにこの方法を適用し,その有用性と可能性を示す。