著者
大田 貢成 宗倉 啓
出版者
福井大学教育地域科学部附属教育実践総合センター
雑誌
福井大学教育実践研究 (ISSN:13427261)
巻号頁・発行日
no.39, pp.71-75, 2015-02-13

本稿の目的は、リレーの実践を行うための予備的考察として、「スポーツの競争のもつ進歩性と差別性」 という矛盾に焦点を当て、先行教材に学びながら、スポーツを素材から教材へと改変するための視点に ついて検討することであった。その結果、教材づくりでは、勝敗の結果の偶然性だけを手がかりにして 考案しないこと、個々とチームが競争への意欲をかきたてられるような進歩性をいかに保障するかとい う目標を原則にすることなど、12の事項が導き出された。
著者
深井 喜代子 新見 明子 大倉 美穂
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.285-291, 2000

患者側から看護者を評価する心理社会的尺度, 対象一看護者関係評価尺度(Client-NurseRelationshipScale, CNRS)を新たに開発した.まず, 既成の文献と観察法から138の項目を抽出し, 表面妥当性と重複の有無を検討して52項目の初版CNRSを作成した.初版CNRSでは某有名タレントを288名の学生に評価させた.初版の再テスト法による信頼性係数は0.93(p<0.01), Cronbachα係数は0.89であった.ついで初版から因子負荷量の低い項目を除外して31項目の改訂版CNRSを作成し, 看護学生に理想の看護者を評価させた.因子分析の結果, 初版, 改訂版ともに「人間的信頼感」「専門性」「威圧感」の3因子が抽出された.改訂版による調査結果の因子分析から項目をさらに厳選し, 最終的に24項目からなる完成版を作った.完成版CNRSは患者一看護者関係だけでなく友人関係や学生一教師関係なども評価できる信頼性と妥当性の高い対人関係評価尺度であることが示された.
著者
神田 聖子 今井 亜湖 藤倉 純子 尾崎 友美 Choi Jiyu 吉本 優子 Chung Sang-Jin 中山 洋 武藤 志真子
出版者
一般社団法人 日本食育学会
雑誌
日本食育学会誌 (ISSN:18824773)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.81-91, 2015

We implemented a <i>Shokuiku</i> (Eating education) program in "foreign language activities" classes that incorporate international exchange, for the purpose of studying the learning effects on Japanese elementary school students. We conducted three surveys : a baseline survey, a post-survey, and a follow-up survey. We compared changes in responses to questionnaires from the three surveys about intercultural acceptance in terms of dietary culture and foreign language. Thirty-five students in the exchange group and 64 students in the non-exchange group were analyzed. Both groups received <i>Shokuiku</i> three times between the baseline survey and post-survey, using sushi rolls (Norimaki), snacks, and school lunches as teaching material.<BR>The results were as follows in the follow-up survey:<BR>1)The exchange group increased in their desire to eat the foods and maintained interest in foreign language.<BR>2)The desire to eat the sampled Korean snacks was significantly established in both the exchange and non-exchange groups. Also, <i>Shokuiku</i> including sample tastings led to greater confidence in using taste and textural vocabulary in English.<BR>3)Both groups accepted Korean dietary culture.<BR>These results indicate that the <i>Shokuiku</i> program in "foreign language activities" classes promote intercultural acceptance even without international exchange by using foreign food as teaching material. International exchange promoted a maintained interest in not only foreign language but foreign dietary culture.
著者
奥倉辰行 編
出版者
水生堂
巻号頁・発行日
vol.[3], 1855
著者
石倉 篤 清澤 亜希子 田中 雄大 原田 祐奈 堀川 優依 中田 行重
出版者
関西大学大学院心理学研究科心理臨床学専攻
雑誌
Psychologist : 関西大学臨床心理専門職大学院紀要
巻号頁・発行日
vol.9, pp.13-22, 2019-03

若手心理臨床家には専門的職業人としての発達の段階があるが(金沢・岩壁,2006)、彼らの変化・成長過程を明らかにすることで、彼らと指導する者にとって、変化・成長を促進することにつながる。変化・成長を促すものとして、スーパーヴィジョンやケースカンファレンス以外に、相互扶助的なものが求められる。そこで若手心理臨床家同士のグループを形成し、彼らの大学院修了後の変化についてPCAGIP 法を用いて検討した。筆者らが調査対象者となりPCAGIP法を実施して、事例提供者の発言をKJ法によって検討した。その結果から、以下の5点が示唆された。第一に、職業観を形成する過程で、就職するまでは全般的な臨床場面に適応する準備をする一方で、就職した後は職場の特異性に適応していった。第二に、クライエントとの関わりを通して、一人の人間として自己開示していくことが増え、その意味を理解し、自己開示のタイミングや内容がより適切になっていった。第三に、自分の内面やクライエントとの関係性を理解するだけでなく、職場という組織・環境の中の自分とクライエントの位置を、多様な視点から理解するようになっていった。第四に、臨床家自身やクライエント自身の気持ちや考え、そして臨床家とクライエントとの関係性を、適度な距離をとりながら検討できるようになった。第五に、若手同士の関わりによって、相互扶助的な変化・成長が促された。
著者
安倉 良二
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

1990年代から2000年代半ばに至る大型店の出店規制緩和は,売場面積の大型化と複合化を伴いながら大型店の出店をめぐる都市間競争を加速させた。他方,都市内部の小売活動をみると大型店の隆盛とは対照的に,中心商店街の衰退が不可逆的に進んでいる。こうした中,全国の中心商店街では,観光やイベントの開催ならびにコミュニティ活動の拠点づくりなどを通じて,多くの人々に商店街の存在をアピールする試みが行われている。しかし,その効果が十分であるとは言い難い。<BR> 大型店の立地変化が都市の小売活動に与えた影響に関する研究の多くはモータリゼーションが進み,公共交通機関が未整備な地方都市を対象に,郊外地域の成長と中心市街地の衰退を結びつける形で進められた。しかし,大型店の隆盛と中心商店街の衰退は公共交通機関の便が良い大都市圏近郊都市においても確認できる。とりわけ,中心商店街に近い工場跡地における大型店の立地は,中心市街地の内部というミクロなスケールで大型店の隆盛と中心商店街の衰退という小売活動の二極化を促していると思われる。その実態を明らかにしながら,小売活動の衰退が進む中心商店街におけるまちづくりの動向を論じることは,商業からみた都市空間のあり方を考える上でも見逃せない。<BR> そこで,本報告では,大都市圏近郊都市の中心市街地における小売活動の変化について,大阪市の東隣に位置する八尾市を事例に選び,大型店の立地動向と衰退する中心商店街におけるまちづくりの取り組みの2点から検討することを目的とする。<BR> 八尾市の中心市街地は,江戸時代に建立された大信寺(八尾御坊)の寺内町として形成された。1924年の大阪電気軌道(現在の近鉄大阪線)開通後,八尾市は大阪市の近郊都市としての性格を強めた。中心商店街は1960年代前半まで周辺市町から多くの買い物客を集めていた。<BR> 中心市街地の小売活動が大きく変化する契機となったのは,1960年代後半以降の大型店の相次ぐ立地である。それは以下の2つの時期に分かれる。ひとつは,1960年代後半~1970年代であり,当時の近鉄八尾駅北側にある住宅地に総合スーパーによる単独店舗が相次いで出店した。もうひとつは,1980年代以降である。1981年西武百貨店(現在はそごう・西武)が,「八尾西武」の名称で区画整理事業の完成(1978年)に伴って移転した近鉄八尾新駅前に出店した。区画整理事業区域には,2006年コクヨ八尾工場の跡地を利用して,イトーヨーカ堂の大型ショッピングセンター「Ario」の関西第1号店も開業した。八尾新駅における一大商業集積の形成は,中心商店街における空き店舗の発生ならびに旧駅北側にあった既存大型店の閉店を導いた。<BR> 中心商店街におけるまちづくりの取り組みとして,商業振興面では,毎月11日と27日に大信寺前で開催される露店市「お逮夜市」にちなんだ販促活動が継続的に行われている。また,商業振興以外では2000年代以降,近隣住民に対するファミリーコンサートや歴史散策のイベント開催ならびに空き店舗における子育て支援活動が行われた。しかし,これらの取り組みは市役所からの補助金に依存しており,単発的なものになっている。<BR> 小売活動において大型店との格差が極めて明瞭な八尾市の中心商店街がまちづくりを進めるに際しては,商店街関係者以外の人的資源を活用しながら,寺内町という歴史資源を活用した観光面でのPRに力を入れるなど,いかにして大型店との差別化を図ることができるのかが大きく問われるであろう。<BR>
著者
宮谷 友香 別宮 史朗 谷 杏奈 松井 寿美佳 岩佐 武 猪野 博保 小倉 理代 日浅 芳一
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.38-42, 2009-03-25

深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)は肺血栓塞栓症の原因の1つとして重要であり,近年急速に増加している.特に,妊娠中は凝固能亢進や増大子宮による静脈圧排のためにDVT が生じやすくなっている.今回,妊娠後期にDVT を発症し,治療に苦慮した症例を経験したので報告する.症例は22歳の初産婦.妊娠37週に左大腿腫脹と疼痛を認め,左外腸骨静脈のDVT と診断し入院.ヘパリンの持続点滴を行ったが血栓の増大を認め,肺血栓塞栓症予防目的で下大静脈一時フィルターを留置した.フィルター留置後1日目に陣痛発来し,2日目に分娩となった.フィルター留置後もさらに血栓は増大し,ウロキナーゼも効果がみられず下大静脈にも血栓が及んできたため,一時フィルターを抜去し恒久的下大静脈フィルターを留置した.分娩後はワーファリン内服を開始し,産褥13日目に退院となった.
著者
松尾 浩一郎 根本 雅也 小倉 康嗣 清水 もも子 後藤 一樹 土屋 大輔 福山 啓子 岩舘 豊 加藤 旭人 鈴木 雅人 長峯 ゆりか
出版者
帝京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、原爆投下日である8月6日の広島平和記念公園という象徴的な時間と空間に着目し、ビジュアル・エスノグラフィの手法を用いてその包括的な記録と分析を行った。本研究から明らかになったことは、8月6日の平和記念公園では、広島における原爆被災とその後の復興の過程が、きわめて多様なやり方で受け止められているということである。原爆という一つの出来事を受け止めるにも、お互いに鋭く対立しあうような複数の立場性がある。それらが一つの時空間のなかで「共存」しているありさまを、映像データを駆使して明らかにした。
著者
小倉 一朗 芦田 極 明渡 純
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.111-112, 2013

大規模配線基板やマイクロ部品を対象にした多品種変量生産技術を実現するため,オンデマンドリペア技術が望まれている.本研究では製造欠陥を迅速に検出する,レーザスキャンによる欠陥検出システムの開発を目指している.本システムでは製品表面を4秒以内で検査し,欠陥があった場合は別途リペア加工することで生産の歩留まり向上を実現する.本報では高速欠陥検出システムの試作と評価基礎実験を行った結果について述べる.
著者
小倉 芳彦
出版者
東洋史研究會
雑誌
東洋史研究 (ISSN:03869059)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.p483-508, 1979-03

This papar is a preliminary attempt to examine the use of proverbs in literature as a part of the investigation into the process whereby orally transmitted words came to be written down. Proverbs reflect the social condition and the ethical concept of the people of where they are born. The skillful use of them in literature, therefore, can enhance its persuasive power by arousing the audiences' sympathy. Proverbs are called yen 諺in Chinese classics. Although there must have been a great number of them, only few have come to be written down, and they are limited to those selected due to the authors' particular needs and preferences. Yens are used effectively to carry euphemistic admonitions advices in Tso-chuan. They are found alongside with quotations from Shih-ching 詩経 and Shu-ching 書経 and sayings of ancient sages, often to show the wisdom from everyday life lacked in them. It is evident, thus, that the author of Tso-chuan did not regard the yen as something vulgar. The yens quoted in Shih-chi, on the other hand, are chiefly those concerned with the fate of men. This is perhaps due to the Ssu-ma Ch'ien's 司馬遷 own interest. There are also yens quoted in memorials presented by the bureaucrats of the time ; they, however, lack the fine quality such as in those found in Tso-chuan, and are nothing but vulgar. In addition, the book Ku-yao-yen 古謡諺 contains many proverbs and folk songs used in the literature of later times. In the present study, however, I limited my examination only to those used in Tso-chuan and Shih-chi.
著者
市川 竜太郎 小林 秀 小倉 あい
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

<b>目的<br></b><b></b>消費者が行う野菜の冷蔵保存の方法として、購入した状態のまま保存するか、食料保存袋に野菜を入れ替えて保存する方法が一般的に行われている。一方、野菜類は保存中に傷ませた経験のある食材であり、鮮度を保持する方法を知りたい食材として挙げられている。そこで、野菜としてホウレンソウを用い、保存方法の違いが保存後の鮮度に及ぼす影響について検討した。&nbsp;<br><b><br>方法<br></b>ホウレンソウは東京都内にて購入した市販品をそのまま供試試料とした。重さ約100gのホウレンソウをそのまま保存した場合、食料保存袋に入れて保存した場合、および含水不織布でホウレンソウを包み食料保存袋に入れたものを2週間家庭用冷蔵庫にて保存し試験に供した。保存後のホウレンソウの鮮度は、重量、ガス(O<sub>2</sub>,CO<sub>2</sub>)濃度、色差計による色調変化、官能評価(指標として、総合的な新鮮さ・しおれ・傷み・黄変・可食の可否)を行った。&nbsp;<br><b><br>結果<br></b>各々の条件で保存したホウレンソウの重量を測定した結果、含水不織布で包み食料保存袋で保存したものは、保存前と比較し重量が約10%増加していた。一方、ホウレンソウをそのまま保存した条件では保存前と比較し約17%の重量減少が認められた。食料保存袋にて保存した条件では顕著な重量変化は認められなかった。また、ガス濃度を測定した結果、保存条件の違いによる差は認められなかった。しかしホウレンソウの色調変化では、含水不織布で包み食料保存袋にて保存したものが最も緑色を維持しており、次いで食料保存袋による保存、そのままの状態での保存の順で葉の黄変が認められた。また、各保存条件で保存したホウレンソウの官能評価では総合的な鮮度で相違が認められ、含水不織布で包み食料用保存袋で保存したものが最も鮮度が良いと評価された。含水不織布を利用した保存条件では、葉からの蒸散作用が抑制されるとともに、ホウレンソウが水分を吸収し、鮮度を保持していたと推察された。
著者
杜多 哲 杉山 元彦 本城 凡夫 大和田 紘一 浅川 明彦 田中 信彦 佐古 浩 北村 章二 淡路 雅彦 飯倉 敏弘 熊田 弘 山本 茂也
出版者
水産庁養殖研究所
雑誌
養殖研究所研究報告 (ISSN:03895858)
巻号頁・発行日
no.18, pp.p13-29, 1990
被引用文献数
2

五ケ所湾において1984年から1989年の塩分の測定結果を用いて,ボックスモデルを用いた解析を行い次のことを明らかにした。(1)五ケ所湾内を1ボックスとした場合,滞留時間は多くの場合2~7日であり,平均は1984年から1985年で4.7日,1986年から1989年で3.3日であった。輸送係数は2月から4月にかけて最大値を,11月から1月にかけて最小値をとる傾向がみられた。(2)五ケ所湾に適用したボックスモデルで得られる輸送係数の精度は,5割の誤差範囲におさまるが湾口部(ボックス1)と中間部(ボックス2)の塩分差が0.05‰より小さくなると,誤差が大きくなる。従って海水交換が良く,塩分差の小さい時期にはより適切な観測点配置と,より精度の良い観測を行う必要がある。(3)五ケ所湾の支湾の1つである迫間浦は,他の支湾に比べ海水交換が著しく悪い。その原因の1つとしては,流域面積が小さいため流入する河川水が少なく密度流が他の支湾に比べ生じにくいこと,冬季の季節風によって生じる吹送流が,地形的な原因で海水交換に結びつかないことが考えられる。
著者
鳥山 朋二 小倉 武
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.35-36, 1992-09-28

ユーザーから設計者に要求を伝えるために設計仕様(設計要項)が作成される。設計仕様を受けとった設計者は内容を理解し、要求された条件を満たすシステムを作成しようとする。ユーザから受けとった設計仕様の内容を理解する段階で、設計者は何らかの形でユーザが要求しているシステムのモデル化を行う。このモデル化によりユーザ要求に内在する矛盾点やあいまいな点、不完全な点の指摘や、構成方法に関する提案等を行なうことが可能となり、これらをユーザに問い合わせ、その内容を設計仕様に反映することを繰り返して設計仕様は改版され、最終仕様へと完成度を高めてゆく。しかし、ここで作成するモデルはユーザの要求を設計者の立場から理解したものとなるため、ユーザーの要求がすべて反映されているという保証はない。従って、このモデルがユーザの要求する機能を満たしているか否かは、ユーザと設計が何らかの方法で確認する必要がある。この確認を十分に行なわないままシステムを作成し、作成後にユーザ要求との不一致が検出されたのでは手戻りが非常に大きくなるため、これらの問題はできるだけ設計の初期段階で解決するべきである。本稿では上記問題を解決するための手段として静的な検証を重視したユーザ要求のモデル化手法について検討し、既設計のLSIに適用した結果について述べる。