著者
通 和夫 十倉 一也 岡部 啓 江幡 光雄 大塚 英夫 松下 和弘 Lukacs G.
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.20, pp.24-31, 1976

Sulfur-containing peptide antibiotics, siomycins (SIM) A, B, and C isolated from Streptomyces sioyaensis are known to have structures quite similar to that of thiostrepton (TST) isolated from S. azureus. The 25-MHz ^<13>C FT NMR and 220-MHz ^1H NMR spectra of TST and SIM's were determined in CDCl_3-CD_3OD (8: 2) at various temperatures to obtain structural relationships between these antibiotics. ^<13>C signals were tentatively assigned by ^1H noise decoupling, single-frequency and noise off-resonance decouplings, and partially-relaxed FT techniques and using known chemical-shift rules, the chemical shifts of amino acids reported, and those observed for thiostreptine and a quinaldic acid derivative. Their ^<13>C spectra quite similar to each other revealed the numbers of carbon atoms and dehydroalanine (Deala) residues. It was found that (1) the signals of the Val-Deala residues in SIM's are changed to those of the Ile-Ala residue in TST, that (2) SIM-B lacks of the terminal Deala-Deala residue in the long side-chain, and that (3) SIM-C has an unknown amino-acid residue instead of the terminal Deala. On the basis of the above spectral and other chemical studies, and a tentative structure (Ia) proposed for TST by an X-ray crystallographic analysis, the structures Ib, II, and III were concluded to be assigned to TST, and SIM-A and -B, respectively.
著者
木村 昭夫 留目 優子 大国 寿士 桜田 紳策 渡辺 ユキノ 倉田 潔 木村 壮介
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.8, pp.332-335, 1998-08-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
11

近年,重症脳傷害に対する中等度低体温(32℃~34℃)の脳保護効果が注目されているが,この療法の際に,しばしば細菌感染症が惹起される。本論文では,この低体温下における単球の機能についてin vitroにて検討した。健常成人より得た末梢血から単核白血球を分離し,そのなかの単球の遊走能,貪食能および殺菌能を33℃並びに37℃で比較検討した。単球の遊走距離は,3時間において37℃では平均1.1mmであったのに対し,33℃では平均0.1mmであった。37℃では単球1個当たり貪食した酵母(Saccharomyces cerevisiae)数が2.3±2.1個であるのに対し,33℃では1.9±1.8個であった(p=0.017)。また貪食された後,発育してきたコロニー数は,37℃で(1.8±0.11)×106個,33℃では(2.4±0.17)×106個であった(p<0.0001)。遊走能,貪食能,殺菌能ともに33℃で低下しており,これらが低体温療法の際の易感染性に関与していることが示唆された。
著者
藤枝 幹也 脇口 宏 川久保 敬一 渡辺 誠司 倉繁 隆信 弘井 誠 原 弘
出版者
特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液学会雑誌 (ISSN:09138706)
巻号頁・発行日
vol.6, no.5, pp.499-503, 1992

症例は7歳女児.3歳7ヵ月頃から出血傾向, 血小板減少, 巨核球減少, 赤芽球形態異常とHbF高値などが持続し, 6歳2ヵ月に骨髄芽球の増加がみられ, 骨髄異形成症候群 (MDS, RAEB) と診断された.少量cytosine-arabinoside (Arac-C) 療法で, 貧血と出血傾向の改善, 芽球の減少がみられたが, 約1年後にovert leukemla (FAB分類M2) に急性転化した.多剤耐性で寛解がえられず, 入院9ヵ月目から咳嗽出現し, 胸部レ線像でび慢性の浸潤像と心陰影の拡大が認められた.抗生剤, 抗真菌剤, 強心剤に反応せず死亡した.剖検では, 左肺上葉に空洞形成がみられ, 組織学的にアスペルギローシスの像を呈していた.全肺胞はPAS染色で顆粒状に染まる物質でみたされ, 一部oil redに染まっていた.電顕像でmultilamellated structureが認められアスペルギルス感染に伴う肺胞蛋白症と診断された.
著者
大橋 匠 佐久間 大 鍋倉 翔陽 西田 あかね
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.395-396, 2016

<p>本研究の目的は,児童生徒の主体的な学習活動を支援することである.上記の目的を達成するため,学習者のファシリテーターとしての大学生を複数配置した学習環境をデザインし,それを実践した.分析の結果,ピタゴラスイッチワークショップ,およびロボットワークショップに対する教員の評価は高いことが明らかになった.</p>
著者
加倉井 敏夫 帰山 享二 野口 達弥
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.23, no.254, pp.426-432, 1966
被引用文献数
2

約100メッシュのポリプロピレン粉末に水素ふんい気中でテスラ・コイルを用いて放電し, 生成したラジカルを空気と接触させてパーオキサイドにした後, メタクリル酸メチルと加熱してグラフト共重合体を得た。重合条件70℃, 3時間の場合, 放電時間60秒以上ではグラフト率は増加しなかった。放電の際の水素圧とともにグラフト率は変化し, 7.5mmHg付近に最適水素圧が存在する。空気との接触時間とともにグラフト率は減少する。放電管中の放電による温度の上昇, ならびに放電径路の限定を防ぐために冷却, ならびに振りまぜることによりさらに良い結果を得た。低重合率ではグラフト率は重合温度によらないで重合時間とともに上昇する。一方, グラフト効率は重合時間によってあまり変化せず, 重合温度の低い方が大きい。高重合率まで重合するとポプコーン状の生成物ができ, 見かけ上のグラフト率は急激に増大する。
著者
鶴田倉造著
出版者
創流出版(発売)
巻号頁・発行日
2008
著者
前山 恵里 加藤 宏 長谷川 大悟 柴野 正康 大野 啓介 藥師寺 孝 片倉 朗 柴原 孝彦 髙野 正行
出版者
日本口腔診断学会
雑誌
日本口腔診断学会雑誌 (ISSN:09149694)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.111-116, 2021 (Released:2021-08-06)
参考文献数
34

Schwannoma is a benign tumor originating from Schwann cells, occurring rarely in the masseter muscle. In this report, we describe a case of schwannoma in the masseter muscle. A 35-year-old man was referred to our hospital because of swelling of the left cheek. A painless elastic hard mass was palpable in the left cheek. No abnormalities were found in the skin, oral mucosa, or cervical lymph nodes. MRI T2-weighted images showed a high signal area with 43×37mm internal nonuniformity and clear boundaries. Although malignant atypical cells were not detected by fine-needle aspiration and incisional biopsy, no definitive diagnosis was obtained. The lesion was diagnosed as a benign tumor of the masseter muscle and resection was performed under general anesthesia. It was located in the masseter muscle without any adhesion to surrounding tissues. No nerves were continuous with the tumor. The tumor was 45×40×30mm in size and was covered with a capsule. Histopathological diagnosis was schwannoma. After the operation, left facial nerve palsy was recognized, but it was completely cured 3 months after the operation. In addition, neither masseter atrophy nor masticatory function was observed. Two years have passed since the operation without recurrence of the tumor.
著者
吉田 辰哉 倉本 圭
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.52-63, 2021-06-25 (Released:2021-07-16)

近年の宇宙化学的研究により,地球マントル物質の同位体組成は始原的隕⽯の中で最も還元的なエンスタタイトコンドライトに酷似していることが⽰されている.このことは形成期の地球に,⾦属鉄の還元作⽤によってH2やCH4に富む還元型原始大気が形成されたことを強く⽰唆する.これまで富⽔素原始大気は流体力学的散逸によって速やかに失われたとみられてきたが,これは放射活性分子種による放射冷却過程やXUV吸収に付随する光化学過程を著しく簡略化したモデル計算に基づいており,⽔素残留期間については不確定性が大きい.そこで本研究では,これらの過程を陽に組み込んだ流体力学的散逸モデルを原始地球大気に適⽤することで,大気組成に依存した大気散逸率を求め,その結果を適⽤して,現表層揮発性元素の貯蔵量や同位体組成と整合的な原始大気の進化経路を推定した.CH4や⾚外活性光化学生成物(H3+,CH,CH3等)の混合⽐が⼩さい場合でもそれらの放射冷却の影響は著しく,CH4/H2>0.01の場合,CH4はほとんど散逸せずH2のみが散逸する.散逸が抑制された結果,集積期に獲得したH2の残留期間は>4億年にも達しうる.これは,地球上に生命が誕生したと推定される時期に重なり,初期地球において還元的大気種の温室効果によって温暖環境が保たれ,当時の大気が生命につながる有機物の生成場として重要な役割を果たした可能性があることを⽰唆する.
著者
古谷 誠治 水田 良三 大段 宗久 長倉 純幸 細辻 豊二
出版者
日本芝草学会
雑誌
芝草研究 (ISSN:02858800)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.49-60, 1979

関東地方の4住宅団地の芝生地における雑草を調査した結果, 夏季は35科122種, 秋季は34科99種, 総計38科143種が認められた。このうち優占種としては, 団地, 季節により異なるが, アキメヒシバ, オヒシバ, カゼクサ, メヒシバ, ヒメムカシヨモギ, カタバミ, ヒメジヨオン, タンポポ, シロツメクサ, ツユクサ, スズメノカタビラ, ハルジヨオン, オオバコ, ハコベ, ノゲシなであった。中でもアキメヒシバ, スズメノカタビラ, ヒメムカシヨモギ, ハルジヨオン, カタバミは全団地に共通かつ優占的に出現した。<BR>これらの芝生雑草種は, 樹園地・水田裏作・畑地の雑草種の半数以上と共通であり, 牧草地の雑草種より共通種の比率は高く, 住宅団地の芝生地は牧草地よりはむしろこれら樹園地等に近い。しかし出現雑草種の半数以上を示める優占科については, 牧草地・畑地・芝生地とも極めて共通的である。なお, 水田雑草とは種・科とも大いに異なる。
著者
栗谷 将晴 佐藤 真吾 小倉 薫 向山 雅史
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学研究発表会 発表講演集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1893-1894, 2004
被引用文献数
1

1978年宮城県沖地震以降、丘陵地を造成した住宅地において、地震時に切土盛土の境界付近や盛土内で、住宅が被災する可能性が高いことが知られている。そこで、造成宅地の切盛分布を広範に調査することを目的として、国土地理院発行の2万5千分の1地形図と同旧版地形図の等高線を用いて10mメッシュのデジタル標高データを作成し、両者の差を計算することで、造成宅地の切土盛土分布を示す造成宅地地盤図を作成した。また誤差に対する検討を行った。本図は、地震防災計画の立案や住民への防災意識の高揚、住宅の耐震化等に活用することができる。
著者
小倉 有子 庄林 愛 Ogura Yuko Shobayashi Megumi
出版者
安田女子大学
雑誌
安田女子大学紀要 = Journal of Yasuda Women's University (ISSN:02896494)
巻号頁・発行日
no.49, pp.297-304, 2021-02-28

グルテンは、小麦などの麦類に含まれる蛋白質の一種であり、米国ではグルテンを含まない食品を「グルテンフリー(以下、GF)」と表示している。GFと表示された食品(以下、GF食品)を用いた食生活は(以下GF食)、セリアック病などの治療に用いられている。近年、欧米においてGF食は健康に有用である、さらには痩身にも有用であるとの情報が拡散し、グルテンを避ける必要がない者がGF食を取り入れる傾向がある。これをうけて日本でも同様の情報が拡散しGF食品が増加してきた。本研究では、グルテンを避ける必要がない者がGFを選択した場合、非GFと比較して、摂取する栄養量にどのような差異が生じるかを明らかにすることを目的とした。本研究では、GF食/非GF食として最もポピュラーだと思われるパンを試料とした。 結果、グルテンを避ける必要がない者がGFパンを長期的かつ日常的に選択した場合、非GFパンを選択した場合と比較して、食物繊維や鉄の不足および脂質の過剰といった悪影響が出る可能性があることがわかった。
著者
倉橋 俊至
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.157-162, 2013-04

災害時(特に放射線災害)においては,保健所はその専門性を活かして積極的に役割を果たすべきである.健康危機の原因には様々なものがあり,原因別に健康危機に対する対応が定められている.しかし,原因不明の健康危機にも最悪の場合を想定して適切に対処すべきである.保健所の役割には,健康危機発生時の適時適切な対策の実施の他,健康危機の未然防止,事前準備,被害回復などがあり,平常時活動も重要である.保健所の具体的活動では,優先して実施すべき対策の判断が重要であり,リスクコミュニケーションの考え方に基づいて適切に情報収集,連絡調整,広報発信することが求められている.
著者
安倉 良二
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.173-197, 2007
被引用文献数
1

本研究は,地方中小都市における中心商店街の再生について,愛媛県今治市の仲間型組織である「今治商店街おかみさん会」(以下,今治おかみさん会)を事例に選び,その設立背景となる商業環境の変化と活動実態の分析から考察を進めた.高度経済成長期に工業の好況を背景に隆盛を極めた今治市の中心商店街は,1990年代後半以降,大店法の運用緩和に伴う郊外地域での大規模な商業集積の形成としまなみ海道開通の影響を受け,その衰退が決定的となった.今治商工会議所,今治市役所,今治商店街協同組合は大規模な再開発構想や空店舗対策など,様々な再生策を打ち立てたが,その多くは不調に終わり,中心商店街の再生は行き詰まりをみせていた.このような状況からの打開策として,松山市で女性による商店街のまちづくりに関する実践を知った今治市役所商工労政課の提案を受けて2000年11月に設立されたのが今治おかみさん会である.今治おかみさん会は,既存の商店街組織である今治商店街協同組合とは独立しており,話題性の高い共同事業を独自で継続的に展開することで中心商店街の再生に寄与する組織のひとつとなっている.しかし,行政からの補助金削減と会員店舗の減少により,今治おかみさん会の運営は厳しい状況にある.今治市の事例からは,商業活動の衰退が進む地方中小都市の中心商店街では,規模の縮小を前提に,既存の枠にとらわれない仲間型組織が再生の一翼を担う可能性をもつことが明らかになった.
著者
倉持 和雄
出版者
東京女子大学
雑誌
東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.85-119, 2019-03

This article aims to figure out the involvement of South Korean Christians in the democratizing movement in the Chun Doo Hwan regime, and to evaluate this involvement from the viewpoints of both the democratizing movement and that of Christianity.After Park Chung Hee's death, Chun Doo Hwan held political power by suppressing the Kwangju Uprising. His regime was more oppressive than that of Park Chung Hee's. Some Christians continued the democratizing movement during Chun Doo Hwan's regime. Non-Christian democratizing movements (which were influenced by Marxism) became more active than that of the Chirstians. Their movement aimed at social revolution because the activists recognized the limitations of a movement in the 1970's that aimed for Liberal Democracy after the failure of the Kwangju Uprising. After that, their movement became radical and developed an anti-American sentiment because the U.S. had agreed with the suppression of the Kwangju Uprising. These changes impacted upon the Christian democratizing movement. While some Christians maintained their Christian identity, others accepted their radical ideology. However, during the June Struggle for Democracy in 1987 every social movement group and ordinary civilians got together to achieve a system of direct vote for the President, which was the point of success of realizing democracy in Korea. In the June Struggle for Democracy, Christians took on important roles as major members of the National Movement Headquarters for Democratic Constitution which led the June Struggle. Some conservative Christians joined the June Struggle, but other conservative Christians who supported Chun Doo Hwan had been against the democratizing movement.本稿は、全斗煥政権の時期におけるキリスト教の民主化運動への関わりの実態と、これについての民主化運動の視点からの評価、キリスト教の視点からの評価について明らかにしようとしている。朴正煕死後、光州事件を経て政権を掌握した全斗煥は、朴正煕政権にすぐるとも劣らない強権的性格の政権であった。この時期もキリスト教会とキリスト者は民主化運動を継続したが、1980年代の民主化運動においてはキリスト者の民主化運動以上にマルクス主義の影響を受けた非キリスト者の変革的運動が台頭した。それは光州事件の敗北を経ることで1970年代の自由民主主義的な民主化運動の限界を認識したためであった。このため1980年代の民主化運動は急進的となり、また光州事件に米国が加担したことが原因となって反米的となった。このことはキリスト者の民主化運動にも影響を与えた。これまでの進歩的キリスト者はキリスト者のアイデンティティの堅持を主張する者と急進的な非キリスト者の運動を受容していく者とに分かれていくことになった。しかし、1987年6月民主抗争では大統領直接選挙制実現を求める運動にあらゆる多様な社会運動団体や多数の一般市民が結集して民主化を成就させることができた。そのときにキリスト者が中核となった民主憲法争取国民会議がこの運動の主導的役割を果たした。6月民主抗争には保守的であったキリスト教会の一部も合流したが、全斗煥時代にも親政権的で民主化運動に敵対する保守的キリスト教会が存続し続けた。
著者
倉持 和雄
出版者
東京女子大学
雑誌
東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.85-119, 2019-03-30

This article aims to figure out the involvement of South Korean Christians in the democratizing movement in the Chun Doo Hwan regime, and to evaluate this involvement from the viewpoints of both the democratizing movement and that of Christianity.After Park Chung Hee’s death, Chun Doo Hwan held political power by suppressing the Kwangju Uprising. His regime was more oppressive than that of Park Chung Hee’s. Some Christians continued the democratizing movement during Chun Doo Hwan’s regime. Non-Christian democratizing movements (which were influenced by Marxism) became more active than that of the Chirstians. Their movement aimed at social revolution because the activists recognized the limitations of a movement in the 1970’s that aimed for Liberal Democracy after the failure of the Kwangju Uprising. After that, their movement became radical and developed an anti-American sentiment because the U.S. had agreed with the suppression of the Kwangju Uprising. These changes impacted upon the Christian democratizing movement. While some Christians maintained their Christian identity, others accepted their radical ideology. However, during the June Struggle for Democracy in 1987 every social movement group and ordinary civilians got together to achieve a system of direct vote for the President, which was the point of success of realizing democracy in Korea. In the June Struggle for Democracy, Christians took on important roles as major members of the National Movement Headquarters for Democratic Constitution which led the June Struggle. Some conservative Christians joined the June Struggle, but other conservative Christians who supported Chun Doo Hwan had been against the democratizing movement.本稿は、全斗煥政権の時期におけるキリスト教の民主化運動への関わりの実態と、これについての民主化運動の視点からの評価、キリスト教の視点からの評価について明らかにしようとしている。朴正煕死後、光州事件を経て政権を掌握した全斗煥は、朴正煕政権にすぐるとも劣らない強権的性格の政権であった。この時期もキリスト教会とキリスト者は民主化運動を継続したが、1980年代の民主化運動においてはキリスト者の民主化運動以上にマルクス主義の影響を受けた非キリスト者の変革的運動が台頭した。それは光州事件の敗北を経ることで1970年代の自由民主主義的な民主化運動の限界を認識したためであった。このため1980年代の民主化運動は急進的となり、また光州事件に米国が加担したことが原因となって反米的となった。このことはキリスト者の民主化運動にも影響を与えた。これまでの進歩的キリスト者はキリスト者のアイデンティティの堅持を主張する者と急進的な非キリスト者の運動を受容していく者とに分かれていくことになった。しかし、1987年6月民主抗争では大統領直接選挙制実現を求める運動にあらゆる多様な社会運動団体や多数の一般市民が結集して民主化を成就させることができた。そのときにキリスト者が中核となった民主憲法争取国民会議がこの運動の主導的役割を果たした。6月民主抗争には保守的であったキリスト教会の一部も合流したが、全斗煥時代にも親政権的で民主化運動に敵対する保守的キリスト教会が存続し続けた。