著者
萩原 政夫 林 泰儀 中島 詩織 今井 唯 中野 裕史 内田 智之 井上 盛浩 宮脇 正芳 池田 啓浩 小沼 亮介 熱田 雄也 田中 勝 今村 顕史
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.3-8, 2023 (Released:2023-02-11)
参考文献数
19

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロン株流行期において,当院血液内科外来通院中に感染し,発症した11症例について報告する。化学療法が施行中の5例中4例が中等症-II以上となり,内2例はその後重症化し死亡に至った。一方で未施行の6例では1例のみが中等症-IIに進行するも重症化は免れ,残り5例は軽症から中等症-Iに留まった。モノクローナル抗体治療薬が発症から8日以内に投与された4例は全て生存し,投与がされなかった1例と投与が遅れた1例はSARS-CoV2 IgG抗体価が低値のまま死亡に至った。変異株の中では比較的重症化率の低いとされるオミクロン株の感染においても血液悪性疾患,特に化学療法によって免疫不全状態にある場合の重症化リスクは依然として高く,特異抗体の獲得が不十分あるいは大幅に遅延することがあり得るため,抗ウイルス薬に加えて積極的な抗体療法が予後を改善する可能性がある。
著者
Cabral Horacio 垣見 和宏 内田 智士
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

We will first develop a series of T-cell targeted mRNA-loaded nanocarriers. These nanocarriers will be optimized for stability, targeting and protein production in vitro.Promising formulations will then be tested in vivo. to determine the targeting efficacy to the CD8 T cells, the production of CAR T cell in situ and the antitumor activity against models of leukemia and solid tumors. Finally, we will check the toxicity of the treatments.
著者
内田 智大
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
関西外国語大学研究論集 (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
no.85, pp.99-116, 2007-03

日本経済は1992年後半のバブル経済の崩壊に伴う長期のデフレ期を脱し、ようやく2002年から経済成長の軌道に乗り出した。景気の長さで見れば、今回の景気拡大は4年5ヶ月を過ぎ、1965年11月から4年9ヶ月続いた「いざなぎ景気」に迫る勢いである。この景気拡大の影響により、大学新卒を対象とする労働市場も、この2-3年は完全な売り手市場になっている。本稿の研究目的は、2007年度入社予定の本学国際言語学部の4回生を対象に質問票調査を行い、彼らの就職活動の実態や就業意識を明らかにすると共に、就職活動のやり方や学業成績や語学力を含めた彼らの属性が、就職予定の企業に対する満足度や企業規模の大きさとどのような関係にあるかを考察することである。
著者
内田 智之 井上 盛浩 華 見 田島 将吾 大田 泰徳 萩原 政夫
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.624-629, 2017

<p>5年前から関節リウマチ(RA)の加療中で,2年前に悪性リンパ腫の発症が疑われたが確定診断には至らず,抗リウマチ薬(メソトレキセート(MTX),アバタセプトとプレドニゾロン)の休薬で自然寛解していた。今回発熱と脾腫で再燃し,脾生検による病理組織学的検査でEpstein-Barr virus encorded RNA(EBER)が陰性で,CD3−,CD56+,細胞障害性顆粒(TIA-1)が陽性でありchronic natural killer lyphoproliferative disorderの診断を得た。繰り返し共通の染色体複雑核型異常を認めたため,リンパ系悪性腫瘍と判断し,化学療法を開始するも反応不良で早期に死亡した。RAに合併するMTX関連リンパ増殖性疾患(LPD)はB細胞性が主であり,NK細胞性はまれである。さらにNK細胞性LPDの全てでEBV陽性であり,EBV陰性例は調べた限りで報告はない。</p>
著者
井手 史朗 大原 慎 内田 智之 井上 盛浩 華 見 萩原 政夫
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.326-330, 2019 (Released:2019-05-08)
参考文献数
11

65歳,男性。膀胱直腸障害と両下肢の感覚障害を自覚し入院となった。入院時,画像検査で胸部すりガラス影を認め,さらに抗サイトメロウイルス(CMV)-IgM陽性を有意と捉え,一連の症状をCMV感染によるものと考え,ステロイドパルス療法および抗ウイルス療法を開始するも,改善を認めなかった。その後,肺野病変が悪化したため気管支鏡検査を行い,生検も追加し,血管内大細胞型B細胞性リンパ腫(IVLBCL)の診断を得た。R-CHOP療法が施行され,自覚症状,採血データは速やかに改善傾向を認め,完全寛解に到った。MTXによる髄注療法を追加し,2年間の寛解を維持している。IVLBCLは9.5%に末梢神経障害を合併することが報告されているが,馬尾神経障害を呈する例は末梢神経障害のうちの14.5%とさらに稀であるとされ,ここに報告する。
著者
内田 智也 大久保 吏司 古川 裕之 松本 晋太朗 小松 稔 野田 優希 石田 美弥 佃 美智留 土定 寛幸 藤田 健司
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.75-81, 2018 (Released:2018-04-20)
参考文献数
22
被引用文献数
2

【目的】投球中の肩関節ストレスの軽減には,良好な下肢関節動作が重要となる。そこで,本研究はFoot Contact(以下,FC)以降のステップ脚膝・股関節の力学的仕事量と肩関節トルクの関係について検討した。【方法】中学生の投手31 名の投球動作解析で求められた肩関節内旋トルクについて,その平均から1/2SD を超えて低い群(以下,LG)10 名と1/2 を超えて高い群(HG)10 名の2 群に分け,ステップ脚膝・股関節の力学的仕事量(正・負仕事)を群間比較した。【結果】FC から肩関節最大外旋位(MER)におけるLG の膝関節屈曲-伸展の負仕事量が有意に低値を示した。【結論】ステップ脚膝関節伸展筋力は良好な投球動作獲得に寄与し,FC 以降の膝関節の固定および下肢関節からの力学的エネルギーを向上させることは肩関節ストレスを軽減させると考えられた。
著者
片岡 一則 横田 隆徳 位髙 啓史 津本 浩平 長田 健介 石井 武彦 西山 伸宏 宮田 完二郎 安楽 泰孝 松本 有 内田 智士
出版者
公益財団法人川崎市産業振興財団(ナノ医療イノベーションセンター)
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2013

脳は高度に発達した生体バリアに守られているため薬剤の送達が極めて困難な部位である。本研究では、この生体バリアを克服して核酸医薬を脳内に送達して機能させるウイルス・サイズの薬剤送達システムを、高分子材料の自己組織化(高分子ミセル化)に基づいて構築した。すなわち、(1)血管内腔側内皮に局在するグルコース輸送タンパク質を標的とするグルコース結合型高分子ミセルを創製し、血管内腔からの脳内薬物移行を制限する内皮細胞バリア(血液脳関門)を突破して核酸医薬を脳内送達する事によって、アルツハイマー病(AD)の発症に関わる酵素の産生を抑制する事に成功した。(2)生体内で速やかに酵素分解を受けるmRNAのミセル内包安定化を達成し、脳室内局所投与による単鎖抗体のその場産生を実現する事によって、AD発症に関わるタンパク質であるアミロイドβ量を有意に低下出来る事を実証した。
著者
谷合 大 奥野 祥二 内田 智史
出版者
一般社団法人 情報システム学会
雑誌
情報システム学会 全国大会論文集 第13回全国大会・研究発表大会論文集 (ISSN:24339318)
巻号頁・発行日
pp.a12, 2017 (Released:2019-07-17)

一人の読者の理解力には波があり、一冊の書籍の内容に対しても、その読者が理解し易い部分や理解し難い部分がある事が考えられる。そこで、読者が必要性に合わせ文章の難易度を各節毎に選択し変更できる、新たな形態の電子書籍を我々は提案している。これは、書籍を小分けにし、難易度分けする事で、少しでも書籍の難易度の波を、読者の理解度の波に対して近付けようという試みである。 しかし、この書籍の執筆には、難易度選択のユーザインタフェース設計や小分けした文章の管理等、通常の書籍の執筆よりも大きな負担が、執筆者に生じると予想される。そこで、我々はこの難易度が変化する電子書籍の執筆補助の為の専用エディタの開発を行っており、そのエディタに必要な機能について検証している。
著者
萩原 政夫 大原 慎 井手 史朗 内田 智之 井上 盛浩 三田村 敬子
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.1459-1463, 2020

<p>当院血液内科における新型コロナウイルス院内感染症の発生に際して,無症状ないし極軽症(発熱のみなど)で軽快した10症例について,イムノクロマト法による抗COVID-19 IgG抗体を測定した。6名において感染証明後11~39日(平均26日目)時点において抗体陰性の結果が得られ,内2名においてPCR検査陰性確認後のそれぞれ約2,4週後に再度のPCR陽性を伴って肺炎を発症した。2回目の陽性または肺炎発症後においては抗体陽性に転じていた。血液疾患など免疫低下状態においては,COVID-19感染後の免疫応答が低いこともある可能性が示唆され,抗体検査を踏まえた慎重な経過観察が重要であると考えられる。</p>
著者
川本 佳代 新井 紀子 内田 智之
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.73-78, 2005-11-05 (Released:2017-11-17)
参考文献数
10

オンライン上でカリキュラムを越えた学びを実現してきた「e-教室」をSSH指定校に導入することにより、高度な学びを目的とするオンラインと対面式の授業とのブレンディッドラーニングを実践した。本稿はその方法と効果を明らかにしている。投稿内容、レポート、アンケートを分析した結果、主な効果として、(1)クラス全体及び個人の解答に至る過程を中心とする記述力が向上したことから高度な学びが実現し、(2)相当数の生徒の数学に対する興味が深まり、数学に対する考えがより肯定的になり、(3)通常の授業よりも「深く考えられる」「面白い」と感じたという点があげられ、「e-教室」導入の意義があったといえよう。