著者
片岡 祐子 菅谷 明子 中川 敦子 田中 里実 問田 直美 福島 邦博 前田 幸英 假谷 伸
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.87-95, 2021-02-28 (Released:2021-03-20)
参考文献数
24

要旨: 先天性難聴の早期発見,早期療育, 人工内耳手術の低年齢化などに伴い, 難聴児の聴取能, 言語発達は向上し, 近年地域の学校でインクルーシブ教育を受ける者が増加しているが, それに伴う問題も挙げられている。我々は, 小学校5年生以上25歳未満のインクルーシブ教育を受けた経験のある両側難聴者89名に, 学校生活で抱える問題に関して質問紙での実態把握調査を実施した。 対象者の多くは, 授業中の支障に加え, グループ学習や雑音下, 距離が離れた場所からの聞き取りの支障を抱えており, また英語, 音楽, 体育をはじめとする教科学習での課題や, 友人関係での問題も挙げていた。難聴の程度が重いほど頻度が高い傾向がみられた。 個々の学校生活における状況と問題を正確に把握した上で, 視覚情報を用いたコミュニケーション, 支援員の配属, 学習面でのサポート, 専門家による心理的負担へのアプローチといった個々に対応した介入の必要性が示唆される。
著者
生友 尚志 永井 宏達 西本 智一 田篭 慶一 大畑 光司 山本 昌樹 中川 法一 前田 香 綾田 裕子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.A0851, 2006

【目的】広背筋は上半身の中で最も大きい筋であり、その働きは多岐にわたる。この広背筋の筋電図学的研究は多くなされているが、その中でもPatonらは広背筋を6つに分けて筋活動の測定を行い、機能的な分化があることを報告している。また、前田らも同様の方法により行っているが、両者とも肩関節運動時の筋活動を測定しており体幹運動時の筋活動は測定していない。さらに広背筋の体幹伸展、回旋動作の研究は多く行われているが、体幹側屈動作時の筋活動の研究は少ない。本研究の目的は、体幹側屈動作を先行研究に加えて測定し、広背筋の体幹側屈時の筋活動とその機能的分化について筋電図学的特徴を明らかにすることである。<BR>【対象と方法】対象は上下肢及び体幹に整形外科的疾患のない健常成人男性10名(平均年齢24.9±3.0歳)とした。なお、被験者には本研究の趣旨を説明し同意を得た上で測定を行った。筋電図の測定にはNORAXON社製MyoSystem 1400を使用し、表面電極による双極誘導法にて行った。測定筋は右広背筋とし、Patonらの方法をもとに広背筋をC7棘突起と上前腸骨棘を結んだ線上で等間隔に4つ(広背筋上部、中上部、中下部、下外側部)に分け、筋線維に平行に表面電極を貼付した。また、体側のTh9の高さの筋腹(広背筋上外側部)にも貼付した。測定動作は腹臥位での右肩関節伸展・内転・水平伸展・内旋・下方突き押し、端座位での体幹右側屈・プッシュアップ、側臥位での体幹右側屈・右股関節外転・左股関節内転、背臥位での右骨盤引き上げ運動の計11項目とした。プッシュアップは端座位で臀部を床から持ち上げた状態で3秒間保持した時の積分筋電図値(以下IEMG)を、それ以外は3秒間最大等尺性収縮した時のIEMGを求め、それらを徒手筋力検査に準じた肢位にて測定した肩関節伸展最大等尺性収縮時のIEMGを100%として正規化し、各部位ごとに%IEMGを求めた。統計処理は反復測定分散分析を行った。<BR>【結果と考察】各動作において部位ごとの%IEMGを比較すると、全ての動作において有意な差がみられた。肩関節水平伸展、内旋においては広背筋上部が他の部位に比べて高値を示し、肩関節内転やプッシュアップは広背筋下外側部が高値を示した。肩関節下方突き押しについては広背筋上外側部、下外側部が高値となった。これに対して、体幹側屈動作では側臥位体幹右側屈において広背筋上外側部、中下部、下外側部が高値を示し、座位体幹右側屈、側臥位右股関節外転・左股関節内転、背臥位右骨盤引き上げ運動においては広背筋下外側部が高値となった。本研究の結果より、広背筋は筋線維により機能的に分化していることが確認できた。また、広背筋の上部線維は肩関節運動時に大きく働き、外側線維については体幹の側屈を伴うような運動時に大きく働くということが示唆された。<BR>
著者
前田 直俊 大山 聡
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.73-78, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)

過去20年にわたって世界各国でウェブアーカイブが行われ,法制度の整備,技術開発,人材育成など様々な分野で発展を遂げてきた。とりわけ技術開発においては,IIPCを中心とした国際的な取組の成果が顕著で,その成果は今日におけるウェブアーカイブ技術の基盤を形成している。本稿では,それらウェブアーカイブ技術の中核であるクローラHeritrix,保存ファイルフォーマットWARC,閲覧ソフトWaybackを取り上げ,各国機関における導入状況,開発経緯や仕組みを紹介する。また,NutchWAXやSolrなどの全文検索エンジン,メタデータによる組織化,アーカイブ間の連携を目指すMementoプロジェクトについても概要を紹介する。
著者
前田 裕子
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.23-49_1, 1998-09-25 (Released:2009-11-06)

During the decade finishing in 1944, a drastic change of production method occurred in aircraft industry in Japan, as in the U. S.Japan had joined late in the field of modern high-technological industry, then paid a great energy in catching up to develop world-level aircraft engines. Mitsubishi Heavy Industries played a big role for this. After developing some kind of excellent engines, Mitsubishi met a more difficult issue. It was the so-called mass production method (if not used in an accurate terminology), which they had not experienced in the field of such products that consist of so many parts, need long and precise mechanical operation processes.Under a strong leadership of J. Fukao, who was the key man of the engine department of the company, Mitsubishi strove for building a new method. First, they tried to imitate the system of the U.S. aircraft engine factories, and succeeded only a part. The industrial circumstances of Japan were not matured for a company to realize the same system. Mitsubishi ought to seek another way and their method might show the limits of the industrial abilities of a late-coming country. The most outstanding feature of the method could be expressed as the simultaneous capacity building in the total area of the production processes, including those of casting, forging, making special parts or machine tools as well as mechanical operation and assembly.The result was awful. However, this cumulative and self-generating experience formed the basis of production engineering of the next generation.
著者
大類 真嗣 田中 英三郎 前田 正治 八木 淳子 近藤 克則 野村 恭子 伊藤 弘人 大平 哲也 井上 彰臣 堤 明純
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.101-110, 2020-02-15 (Released:2020-02-22)
参考文献数
27

大震災の支援に当たった専門家による研究成果と経験に基づき,災害時のメンタルヘルスと自殺予防に資する留意点についてまとめた。支援の対象と支援方法の重点は,被災からの時期・段階によって変化する。とくに被災による避難時と避難指示解除時はともに留意が必要である。対象のセグメンテーションを行い,必要な支援を必要なタイミングで届ける必要がある。真に支援が必要な対象やテーマは表出されない場合があることに留意する。震災後に生まれた子どもや母親の被害,高齢者の認知症リスクも増えることが観察されている。被災者だけではなく,その支援を行う自治体職員や保健医療福祉職員のメンタルヘルスにも配慮する必要がある。避難地区だけでなく避難指示解除地区においても自殺率が高いという知見も得られている。教育や就労支援,社会的役割やサポートまで,総合的・長期的な支援が必要で,保健医療関係者だけではない分野横断的なネットワークの構築が平時から必要である。危機的な状況であるほど,なじんだ手段しか使えない。平時からの教育・訓練・ネットワーク化で被害の緩和を図っていく必要がある。
著者
岸岡 史郎 前田 武彦 木口 倫一
出版者
和歌山県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究ではニコチン、アルコールの身体的および精神的依存における内因性オピオイドシステムの役割について検討した。マウスにニコチンを1日2回5-9日間反復皮下投与し、その後オピオイド受容体拮抗薬であるナロキソンを投与すると退薬症状が発現した。ニコチンによる身体的依存形成はオピオイド受容体拮抗薬であるナルトレキソンの併用により抑制された。一方で、1%エタノールを含む飲料水をマウスに与え、ナロキソンを投与すると退薬症状が認められた。上記の結果より、ニコチンおよびアルコールにより形成される身体的依存には、内因性オピオイドシステムが重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
著者
李 康穎 Biligsaikhan Batjargal 前田 亮 赤間 亮
雑誌
じんもんこん2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.261-266, 2019-12-07

落款印は書や絵画の真贋を鑑定する上で重要な要素であるだけではなく,書画との調和美が意識され,芸術的な価値もある.落款印を対象にした自動認識システムの構築により,専門家や愛好家に対してこれらのコレクションが持つ背景情報の理解を支援するための効率的なツールを提供できる.本研究では,落款印画像を用いた検索システムの構築に注目し,複数のオープンデータの活用を考慮した浮世絵関連情報の抽出を試み,浮世絵コレクションの検索に新たな視点を提案する.
著者
古野 真菜実 前田 香奈 今泉 修 神藤 真優 日比野 治雄 小山 慎一
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.63, 2016

人間の肌に蓮の花托(花弁・おしべ・めしべを取り去った部分) をコラージュした画像は「蓮コラ」と俗称されており,肌から多数の蓮の実が覗いている様は体験的に不快を喚起することが知られている。また蓮コラと似た斑点模様を持つ広告やプロダクトに対しても不快感を訴える者がいる。蓮コラや斑点模様が不快を喚起する要因として,嫌悪を感じやすい傾向である「嫌悪感受性」との関連が挙げられている。蓮コラと嫌悪が密接に関わっているならば,蓮コラージュ対象が人間にとって身近であればあるほど不快感が増す可能性がある。また嫌悪的な蓮をある対象にコラージュすると,嫌悪が増幅する現象が蓮コラであると考えられる。よって本研究では蓮コラによる不快現象を確認し,更にその不快感が蓮コラージュ対象の違いによるものだと推察し検討を行なった。人間と動物の蓮コラに対する不快感評定の結果, 蓮コラは蓮単体よりも不快感が強かった。しかし人間と動物の間に不快感の差は見られなかった。この結果は蓮コラージュ対象への心理的距離の近さによって部分的に説明されることが示唆された。本研究は蓮コラや斑点模様による不快の予防と軽減に繋がると考えられる。
著者
吉村 英哉 望月 智之 宗田 大 菅谷 啓之 前田 和彦 秋田 恵一 松木 圭介 中川 照彦
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.217-219, 2007 (Released:2008-01-30)
参考文献数
10

Previous studies reported a presumably unusual bony attachment of the pectoralis minor muscle. However, less attention has been given to the insertion of the continuation to the glenohumeral joint. The purpose of this study was to evaluate the frequency of this abnormal insertion of the pectoralis minor muscle, and also to investigate the relation between this continuation and the capsule. 81 anatomic specimen shoulders from 41 cadavers were dissected. The insertion of the pectoralis minor tendon to the glenohumeral joint was carefully investigated. The pectoralis minor tendon ran beyond the coracoid process and extended to the superior portion of the glenohumeral joint in 28 out of 81 specimens (34.6%). The continuing insertion divided the coracoacrominal ligaments into two limbs. The continuation was more variable, and consisted of the whole tendon in 6, the middle part in 5, the lateral part in 15, and the medial part in 2 specimens. Furthermore, the pectoralis minor tendon inserted to the posterosuperior border of the glenoid in 6, to the greater tuberosity in 7, and both to the glenoid and the greater tuberosity in 15 specimens. The prevalence of the anomalous insertion of the pectoralis minor tendon revealed to be as high as 34.6% in the present study. This may suggest that the pectoralis minor tendon plays an important role in the stability of the glenohumeral joint.
著者
前田 聡
出版者
流通経済大学
雑誌
流経法學 (ISSN:1347281X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.A19-A65, 2014-03
著者
桶田 真理子 加藤 志保 金谷 重朗 桐山 毅 齊藤 和彦 齊藤 幸世 櫻井 綾 中川 千恵子 長谷川 仁美 平田 雅 宮崎 あかり 前田 富士男
出版者
慶應義塾大学アート・センター
雑誌
Booklet (ISSN:13420607)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.108-117, 2007

I. 公共性に関する哲学および芸術学II. 文化政策・文化行政と芸術振興1) 文化政策・文化行政2) 芸術支援III. 指定管理者制度IV. 日英の行政改革と文化施設1) 英国等の行政改革─CCT、PFI、PPP など2) 日本の行政改革と文化施設
著者
大田 美香 小田 剛 喜多 伸一 前田 英一 菅野 亜紀 高岡 裕
出版者
神戸常盤大学
雑誌
神戸常盤大学紀要 (ISSN:18845487)
巻号頁・発行日
no.9, pp.23-34, 2016-03-31

我が国では、緑内障や糖尿病性網膜色素変性症の罹病率の増大に伴い、弱視者の数が増加している。これらの中途視覚障害者の多くは中高年で残存視覚への依存が大きく、点字の習得が困難である。加えて、点字教育を担当する教師も減っており、これら中途視覚障害者の点字学習をより困難にしている。そこで我々は、残存視覚 (RV)のみを使用する画面によるプログラム、画面と点字ディスプレイ(BD)が協働するプログラム、画面と音声アシスト(BDV) が点字ディスプレイと協働するプログラム、の3種類のWebベースのe-ラーニングプログラムと基本API (Application Programming Interface) を研究開発した。