著者
安東 悟央 松居 喜郎 橘 剛 加藤 伸康 有村 聡士 浅井 英嗣 新宮 康栄 若狭 哲 加藤 裕貴 大岡 智学
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.13-17, 2018

<p>非常に稀で,手術施行例の耐術例はほとんど報告がない,先天性心疾患姑息術後の肺動脈瘤の合併症例を経験した.症例は40代男性.肺動脈閉鎖症兼心室中隔欠損症に対して一歳時にWaterston手術を施行されたが,その後当時としては根治手術が困難と判断され,NYHA class I度のため数十年間近医で経過観察されていた.労作時の呼吸苦増悪を認め他院を受診,肺炎と心不全の疑いで入院加療されたが,胸部CT検査で95 mmの右肺動脈瘤を認め,切迫破裂も疑われたため外科的加療目的に当科紹介となった.入院時,右胸水と右肺の広範な無気肺を認めた.胸水ドレナージを施行(800 ml)した.胸水は漿液性で胸背部痛など認めず血行動態は安定していた.切迫破裂は否定的であったものの95 mmと巨大な瘤径であり,利尿薬および抗生剤治療を数日間先行し,準緊急的に右肺動脈瘤に対して瘤切除および人工血管置換を施行した.術前NYHA I度であったことから,もともとの吻合部径や末梢の肺動脈径にならい24×12 mm Y-graft人工血管を用いてcentral shuntとして肺動脈を再建した.PCPS装着のままICU入室,翌日離脱した.術後4日目に人工呼吸器離脱,術後38日目に退院となった.現在術後一年になるが,NYHA class I度で経過している.Waterston術後約40年後に発症した巨大肺動脈瘤に対し手術を施行し良好な結果を得たので報告する.</p>
著者
土屋 周平 黒田 健介 加藤 伸一郎 本田 雅規 渋谷 恭之
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

インプラント治療においてオッセオインテグレーションは必須の現象であるにもかかわらず、その分子メカニズムは明らかにされていない。一方、オッセオインテグレーションを獲得したチタンと骨の界面にある糖鎖はチタン上の石灰化や生体適合性などに影響を与え、オッセオインテグレーション獲得に重要な役割を果たしていると考えられる。本研究の目的は、チタンと骨のPGs層に含まれる糖鎖がオッセオインテグレーションにおける機能を分子生物学的手法で明らかにすることである。その結果、糖鎖を利用した分子マーカーを同定することにより、チタン製インプラント治療の検査項目の開発や成功率の高いインプラント製品の開発を最終目的とする。
著者
大河内 治 丹羽 由紀子 小林 大介 坪井 賢治 加藤 伸幸 本田 一郎
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.687-691, 2007-03-25 (Released:2008-08-08)
参考文献数
20

症例は24歳, 女性. 17歳時に両側卵巣成熟奇形腫にて腫瘍摘出術を施行された. 手術時に腫瘍に被膜破綻を認めた. 今回, 右背部痛を認め腹部CT検査で肝腫瘍を指摘され入院となった. 施行された腫瘍マーカーは全て正常値であった. 腹部造影CTおよび腹部MR画像上, 右横隔膜下および肝下面に脂肪成分および石灰化を伴う嚢胞状腫瘍を認めた. 血管造影検査では圧排所見のみであった. 卵巣奇形腫の腹膜播種性転移を疑い開腹術を施行した. 手術所見では腫瘍は肝に付着して圧排性に発育しており腫瘍摘出術を施行した. 病理組織学的に成熟奇形腫と診断された. 成熟奇形腫の播種巣が三胚葉成分全てから構成されることは稀であるうえ, その組織型が成熟型を呈するという極めて興味ある症例を経験した.
著者
塩野目 剛亮 加藤 伸子 若月 大輔 河野 純大 西岡 知之 村上 裕史 皆川 洋喜 内藤 一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.164, pp.69-72, 2010-07

近年,エリア限定ワンセグ放送(エリアワンセグ)という特定の範囲に存在するユーザに対する新しい情報提供の手段が試行され始めており,複数の情報を組み合わせた情報保障への適用が期待できる.本稿では,ワンセグ放送の簡便で柔軟な情報提示の手段としての可能性を検討している.聴覚に障害がある大学生を対象としたアンケート調査の結果から,ワンセグ放送を用いた情報保障提供の有効性が明らかとなった.また,実際のシステム構築や運用上の課題を示している.Area One segment-Broadcasting(Area One-Seg) has been used for information service for the users who exist particular area. In this report, we constructed the remote sign language interpret / real-time caption providing system via Area One-Seg, and conducted hearing impaired students survey at actual lecture scene. The results show that about 80% of students presented positive response, and effectiveness of captioning history. Moreover, expected feature of One-Seg receiver to provide information assurance, and acquiring a broadcasting license are also discussed.
著者
安東 悟央 橘 剛 加藤 伸康 有村 聡士 浅井 英嗣 新宮 康栄 若狭 哲 加藤 裕貴 大岡 智学 松居 喜郎
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.13-17, 2018-01-15 (Released:2018-02-16)
参考文献数
8

非常に稀で,手術施行例の耐術例はほとんど報告がない,先天性心疾患姑息術後の肺動脈瘤の合併症例を経験した.症例は40代男性.肺動脈閉鎖症兼心室中隔欠損症に対して一歳時にWaterston手術を施行されたが,その後当時としては根治手術が困難と判断され,NYHA class I度のため数十年間近医で経過観察されていた.労作時の呼吸苦増悪を認め他院を受診,肺炎と心不全の疑いで入院加療されたが,胸部CT検査で95 mmの右肺動脈瘤を認め,切迫破裂も疑われたため外科的加療目的に当科紹介となった.入院時,右胸水と右肺の広範な無気肺を認めた.胸水ドレナージを施行(800 ml)した.胸水は漿液性で胸背部痛など認めず血行動態は安定していた.切迫破裂は否定的であったものの95 mmと巨大な瘤径であり,利尿薬および抗生剤治療を数日間先行し,準緊急的に右肺動脈瘤に対して瘤切除および人工血管置換を施行した.術前NYHA I度であったことから,もともとの吻合部径や末梢の肺動脈径にならい24×12 mm Y-graft人工血管を用いてcentral shuntとして肺動脈を再建した.PCPS装着のままICU入室,翌日離脱した.術後4日目に人工呼吸器離脱,術後38日目に退院となった.現在術後一年になるが,NYHA class I度で経過している.Waterston術後約40年後に発症した巨大肺動脈瘤に対し手術を施行し良好な結果を得たので報告する.
著者
竹内 孝治 加藤 伸一 芝田 信人 高田 寛治 田中 晶子 吉川 由佳子
出版者
京都薬科大学
雑誌
地域連携推進研究費
巻号頁・発行日
1999

ポリフェノールの一つとして、ウイスキー中に多量に含有されているエラグ酸(EA)が前年度までの検討により胃粘膜保護作用および抗酸化作用を有することが示してきたが、さらに今年度は、新たに開発された大腸デリバリー化のための圧感応性カプセルに封入したEAを用い、デキストラン硫酸(DSS)によって誘発される潰瘍性大腸炎の発症に対するEAの効果を検討した。1.圧感応性大腸デリバリーカプセルPressure-controlled colon delivery capsule(PCDC)の使用により、投与されたEAは盲腸部に到達した後に徐々にカプセルから遊離溶出することが判明した。2.ラットにDSSを7日間連続投与することにより、体重減少、大腸の短縮化ならびに下血および下痢を伴う重篤な大腸炎が発生した。DSSによる大腸炎の発生は、PCDCに封入したEA(mcEA : 1-10mg/kg)を1日2回、7日間連続経口投与することによって、用量依存的かつ有意に(>3mg/kg)抑制された。また、mcEAの投与はDSS処置下に認められる大腸の短縮化、脂質過酸化を正常レベルにまで低下させると共に、好中球の浸潤に対しても抑制傾向を示した。なお、DSS誘起大腸炎に対するmcEA(3mg/kg)の保護作用はスーパーオキサイドジスムターゼ(SOD : 30000units/kg×2)の直腸内投与で得られた効果と同程度であり、また同用量のEA原末と比べて有意に強いものであった。3.これらの結果は、EAがポリフェノールとして抗酸化作用により、臨床における潰瘍性大腸炎の治療に有効性を発揮する可能性が示唆された。
著者
竹内 孝治 加藤 伸一 香川 茂
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.120, no.1, pp.21-28, 2002 (Released:2003-01-28)
参考文献数
40

胃粘膜に軽微な傷害が発生した場合,酸分泌は著しく減少し,胃内アルカリ化が生じる.このような酸分泌変化は非ステロイド系抗炎症薬ばかりでなく,一酸化窒素(NO)合成酵素阻害薬の前処置によっても抑制される.特にNO合成酵素阻害薬の存在下に胃粘膜傷害を発生させた場合,胃酸分泌は“減少反応”から“促進反応”に転じ,この変化はヒスタミンH2拮抗薬,肥満細胞安定化薬,および知覚神経麻痺によって抑制される.すなわち傷害胃粘膜では,プロスタグランジン(PG)およびNOを介する酸分泌の抑制系に加えて,粘膜肥満細胞,ヒスタミンおよび知覚神経を介する酸分泌の促進系も活性化されており,両者のバランスによって傷害胃での酸分泌反応が決定されている.通常は抑制系が促進系を凌駕しているために“酸分泌減少”として出現するが,NO合成阻害薬では抑制系が抑制される結果,促進系が顕在化し,“酸分泌促進”を呈する.傷害発生に伴い管腔内に遊離されてくるCa2+はNO合成酵素の活性化において必要であり,管腔内Ca2+の除去も胃内アルカリ化を抑制する.興味あることに,PGは傷害胃の酸分泌変化において両面作用を有しており,“抑制系”の仲介役に加えて,“促進系”の促通因子としての作用も推察されている.また,傷害胃で認められる酸分泌変化に関与するPGやNOはそれぞれCOX-1およびcNOS由来のものであり,傷害後に認められる胃内アルカリ化は選択的COX-2阻害薬やiNOS阻害薬によっては影響されない.このように,傷害胃粘膜の酸分泌反応は正常胃粘膜とは明らかに異なり,内因性PGに加えて,NO,ヒスタミン,知覚神経を含めた複雑かつ巧妙な調節系の存在が推察される.このような酸分泌変化は障害発生に対する適応性反応の一つであり,傷害部への酸の攻撃を和らげることにより,傷害の進展を防ぎ,損傷部の速やかな修復を促す上で極めて重要である.
著者
古株 靖久 加藤 伸彦 佐藤 文彦
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.443, 2006 (Released:2006-12-27)

オウレン(Coptis japonica)が生合成するベルベリンは抗菌活性等をもつ有用イソキノリンアルカロイドである。当研究室で確立されたオウレン培養細胞はベルベリン生合成活性が高く、かつその生合成酵素遺伝子のほとんどが単離されていることからアルカロイド生合成系のよい研究モデルである。本研究では同細胞を用いてベルベリン生合成系の転写制御因子の単離と機能解析を試みたので報告する。まず同生合成系に関与する転写因子の単離を目的に高生産選抜株のEST約5000クローンを配列決定し、これらの配列からBLASTx検索により約50の転写因子相同配列を見出した。相同性等をもとに27クローンを選抜し、その転写調節活性を一過的RNAi法(BBB 69:63,2005)により解析した。候補遺伝子配列特異的に作製した二本鎖RNAをオウレンプロトプラストへ導入し、3日間培養後に生合成酵素6OMTの転写産物量を定量することにより解析した。その結果、clone#48の発現抑制に伴って6OMTのmRNAが劇的に低下するという結果を得た。他の生合成遺伝子の発現量を測定した結果、測定した8の遺伝子全てで低下を認めた。一方actinや一次代謝系GAPDH、Chorismate mutaseへの影響は認められなかった。clone#48にはbHLHの保存配列が存在し、CjbHLH1と名付けた。CjbHLH1によりベルベリン生合成系が特異的かつ包括的に制御されていることが示唆されたことより、現在、安定形質転換体を作成し、その機能の解析を進めている。
著者
多田 篤志 加藤 伸子
雑誌
筑波技術大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.70-75, 2013-12

本研究では,就職活動中の聴覚障害学生にとって大きな課題の一つである面接対策として,面接練習システムの検討を行った。就職担当者との面接練習の前に用いるシステムとして,個人での繰り返し練習を可能することを目的としている。試作した面接練習システムでは,学生の回答に応じた面接官の質問文提示,時間計測,フィードバッグの3つの機能を実装した。本稿では面接練習システムの概要と試作システムを用いて実験を行った結果について述べる。
著者
加藤 伸悟 増田 貴則
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.70, no.7, pp.III_389-III_401, 2014 (Released:2015-03-05)
参考文献数
69

水界の食物網モデルには,栄養塩濃度の違い(栄養塩段階)によって異なる食物網動態の変化を表現しうることが求められる.また主要な分解者・基礎生産者である細菌は,食物網全体に影響をおよぼすものと考えられる.本研究では,観測事象による検証を踏まえた食物網モデル構築と,それを用いて細菌が食物網動態におよぼす影響を示すことを目的とした.本モデルは,栄養塩段階ごとの食物網動態を表現しうるものであることが示された.細菌はリン再生を変化させ,水界バイオマスに影響をおよぼした.また,細菌を出発点とする微生物食物連鎖は,下位生産者への捕食圧,上位捕食者へのエネルギー伝達の面で重要な役割を果たし,食物網動態の適切なモデル化に寄与している.細菌を出発点とするインパクトは食物網全体に影響を与えるものであることを示した.
著者
加藤 伸一 戸崎 敏 広田 一男
出版者
Japan Society for Adhesive Dentistry
雑誌
接着歯学 (ISSN:09131655)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.148-156, 1997

新開発のグラスアイオノマー系レジンセメント「フジリュート」を中心に、セメントと象牙質との接着界面のSEM観察を行った。その結果、フジリュートはフジリュート歯面処理材 (組成: 10%クエン酸+2%塩化第二鉄) で象牙質を歯面処理した場合のみに、厚さ3~5μmの耐酸性を持つ含浸層と思われるハイブリッド層が形成されることが判明した。無処理の場合、および10%クエン酸処理の場合はハイブリッド層は形成されなかった。またビトレマールーティングセメントではハイブリット層は形成されなかった。
著者
加藤 伸行
出版者
社会経済史学会
雑誌
社会経済史学 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.85-99, 2013-05-25 (Released:2017-05-17)

関西蚕糸業が優等糸生産によって1900年代以降に発展することは,石井寛治の指摘によって広く認識されてきた。石井はその発展を自主的な努力によると評価したが,本稿では発展の契機として蚕糸業規制の導入に注目した。まず,明治中期の蚕糸業規制をめぐっては,従来指摘されてきた生糸直輸出奨励とは別に,関西地方を中心とした後進地域の蚕糸業者が,蚕種検査や組合組織の強化など蚕糸業改良に関する規制を求める運動を展開し,結果的に前田正名の全国実業団体運動と合流してその導入を達成したことを示した。なお,関西地方の蚕糸業者は,従来指摘されていた生糸直輸出よりも神戸からの生糸輸出体制確立への指向をもっていた。また,運動の結果導入された蚕糸業規制を契機にして,関西地方で優等糸生産を可能とする質的な発展が達成されたことを明らかにした。具体的には,関西地方での蚕種の質的向上や蚕種統一が進んだこと,組合規制により繭取引が合理化され,製糸家が地元の優良繭を安定的に確保することが可能になったことなどを示した。
著者
佐野 晴洋 山下 節義 川西 正祐 井口 弘 吉永 侃夫 小城 勝相 塚本 幾代 藤田 博美 岡本 浩子 加藤 伸勝 宮本 宣博 浮田 義一郎 山根 秀夫 森 律 池田 栄三 乾 修然 藤岡 惇 阿部 醇吉
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.566-579, 1982-06-30 (Released:2009-02-17)
参考文献数
32
被引用文献数
1 3

An epidemiological survey and clinical investigations were carried out on 162 retired workers from manganese mines and ore grinders, who were the residents of the Tamba district of Kyoto Prefecture. Most of the workers had been employed in small industrial factories with less than five employees under very poor working conditions. Fifty-five percent of them had worked in the mines and factories for longer than 11 years. Forty-six percent had been retired for 11-20 years, whereas 27% for longer than 21 years. A group of 124 people living in the same region but who had not been exposed to manganese served as the control group.The incidence of subjective symptoms associated with chronic manganese poisoning such as emotional instability, psychomotor irritability and neurologic abnormalities was apparently high in the experimental group and it increased with the period of exposure to manganese dust. Twenty-eight percent of the workers reported the subjective symptoms while they were employed, but 45% of them reported as late as six years after they retired.Of the retired workers, five (3.1%) had parkinsonism, three (1.9%) showed symptoms of hemiparkinsonism, and fifteen (9.3%) showed neurological symptoms including maskedlike, gait unbalance, slurred speech and imparied fine movements. Forty-five percent of these patients recognized these abnormalities for more than five years after they had left the contaminated workings. It is noteworthy that 39% of the retired workers were diagnosed as having pneumoconiosis.Some of the problems encountered in diagnosing manganese poisoning after exposure has been terminated is also discussed here.
著者
長尾 清香 佐藤 拓也 加藤 伸一 チェン リ 宮本 有正
出版者
Japanese Society of Oral Medicine
雑誌
日本口腔粘膜学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Oral Mucous Membrane (ISSN:13417983)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.29-36, 2009-06-30
参考文献数
16
被引用文献数
1

近年,活性酸素は様々な炎症性疾患との関連性が示唆されており,様々な機構によって組織に損傷を与えることが知られている。活性酸素への防御については,生体内に備えられている内因性抗酸化システムに加えて,近年では抗酸化物質に注目が集まっている。白金ナノコロイドは,平均粒径約2nmの白金粒子が分散したコロイド状溶液であり,過酸化水素等の活性酸素を触媒的に消去する新規抗酸化物質である。そこで,われわれは活性酸素由来の炎症を白金ナノコロイドが抑制するのではないかと考え,基礎研究の第一歩としてヒト口腔上皮細胞を用いた<i>in vitro</i>実験を実施した。その結果,過酸化水素の添加による細胞活性の低下及び細胞からのIL-8産生量増加を,白金ナノコロイドが抑制することが明らかとなった。本研究より,白金ナノコロイドによる,活性酸素由来の炎症に対する抑制効果が期待される。
著者
皆川 洋喜 内藤 一郎 加藤 伸子 村上 裕史 石原 保志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.267, pp.25-30, 2001-08-20
被引用文献数
11 2

遠隔地における手話通訳者への情報提示方法についての我々の一連の研究の中で, 特に遠隔操作カメラによる手話通訳者の能動的情報取得方法の可能性について, 事例に基づいて考察する.いくつかの試行的な評価実験を行なったところ, 「通訳者または通訳補助者による遠隔カメラ操作での能動的情報取得は困難である」, 「通訳者以外の機器操作補助者によるカメラ操作(情報選択)であっても, 通訳者は与えられた環境で対応できるようにする」, また, 「通常の通訳と較べて遠隔地の方が手話通訳者に与えられる情報が増える」, 「遠隔地手話通訳により講師・通訳者・学生間の対話が減少する」などの興味深い結果を得た.
著者
加藤 伸彦 佐藤 直樹 和田 龍彦 黒田 聡 米岡 宗臣 佐々木 努
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, 2003-04-01

医療者の職業感染の防御に重要な役割を担っている手術用手袋の術中破損について検討を行い,その主要結果について本学会誌等をとおして報告してきた.とくに,演者らの研究グループで開発された三端子法を用いた高精度電気インピーダンス測定法の実用性の確立化,またこれを用いた手術用手袋の経時的変化,すなわちピンホール開穴の有無とその程度などの検討結果から、手術時間が2時間を超えると手袋にピンホールが発生しはじめ,6時間を超えると30%以上の手袋がバリア性に破綻をきたすことを証明した.感染防止を考えるとき,手術使用による手袋の材質変化,とくに手袋の化学的かつ経時的変化に関する検討は,無視することのできない重要課題である.本報告では,残された問題の一つである手術用手袋の経時的な厚みの変化,すなわち手術中の血液,脂肪成分等を含む体液の浸食により,手袋の厚みがどのように変化するかを検討した.その結果,いくつかの新知見を得たので報告する.なお,測定対象の手袋は,当院手術部にて手術に使用した使用済み手袋で,手術時間別の数十検体について,マイクロメータを使用してその厚さを測定した.比較対象の未使用手袋については,厚さ測定の結果から,無負荷時(テンションを加えていない状態)で220〜270μ(使用上を考慮して指部・手掌部・裾部では異なる),使用時の最も伸展した状態を想定(約5kg負荷)した場合では120〜170μであった.厚みの経時的変化に関するデータ蓄積は,手術時の手袋のピンホール開穴時期を考慮するときの主要情報の1つであることが明確となった.