著者
尾崎 哲 掛布 智久 加藤 太一
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
アイソトープ・放射線研究発表会 第58回アイソトープ・放射線研究発表会 (ISSN:24364487)
巻号頁・発行日
pp.81, 2021 (Released:2021-09-06)

これまで、「大気圧GM管」をベースに、中学・高校における放射線教育に利用する目的で計数機能を付加したタイプなどを開発し、活用してきた。計数データのさらなる活用にはICT教育の観点が必要なことから、検出器からの音響信号をPythonで処理することにより、放射線の検出から波形のグラフ化、データファイルへの書き出しなどの基礎的な展開を試みた。
著者
加藤 太喜子
出版者
日本医学哲学・倫理学会
雑誌
医学哲学 医学倫理 (ISSN:02896427)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.33-41, 2013 (Released:2018-02-01)

Regulation for use of tissue of aborted human fetuses for research is enforced in countries and international organizations such as World Medical Association and the Council of Europe. For these parties, the use of fetal tissue is permissible when conditions prescribed by the guidelines are met. Common requirements for permissible use are ① approval by the Ethics Committee; ② determination of provision of fetal tissue after the decision of abortion; and ③ consent of the provider. Some guidelines require that the man is not rejecting, but there is also one guideline that accepts only the consent of the woman. In any guidance, the consent by woman is essential. From the perspective of systems of providing information, this paper presents a literature survey of the use of fetal tissue. It was found that ① daily, open exchange of views about provision of fetal tissue is not possible for women; ② women hope and want to know the intended use of the fetal tissue and the overall description of the research; ③ although information needed to grasp the overall idea of the research is sorely lacking, women may make decisions under pressure. On the basis of the results, people who are requested to provide information later are required to provide information that is satisfactory for decision making, instead of unsatisfactory information such as those labeled as“ being offered to know/not being offered to know”. For this reason, the current“ sufficient” explanation should be re-examined as to whether it is truly a satisfactory explanation.
著者
本間 希樹 加藤 太一 植村 誠 野上 大作 秦 和弘 大島 誠人 笹田 真人 田崎 文得 秋山 和徳
出版者
国立天文台
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

巨大ブラックホールの直接撮像のため、スパースモデリングを用いた電波干渉計の超解像技法を開発した。それを既存の実データに応用して超解像が可能なことを実証し、M87の巨大ブラックホールの最も近いところでジェットの根本を分解することに成功した。また、巨大ブラックホールの直接撮像を目指す国際ミリ波VLBI網の観測を2017年4月に初めて実現した。そして、開発した手法によりブラックホール撮像可能な分解能が得られ、巨大ブラックホールの直接撮像が実現できるレベルに到達していることを示した。さらに、スパースモデリングの手法を天文学の様々なデータ解析にも応用し、この手法の有効性を幅広く示した。
著者
加藤 太郎 福井 勉
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48100042, 2013 (Released:2013-06-20)

【目的】我々は前回大会にて呼吸運動時の体幹皮膚の変位量について報告した。呼吸運動時に体幹皮膚は上腹部皮膚の前面が最も大きく動き、続いて下胸部皮膚の前面、上胸部皮膚の前面の順となり、また体幹側面皮膚は体幹前面皮膚と比べて動きは少ないが、その順序性は前面と同様に上腹部皮膚の側面が最も大きく動き、続いて下胸部皮膚の側面、上胸部皮膚の側面の順となったことを報告した。このような皮膚の運動特性から、皮膚誘導による呼吸介助手技に応用するためには、さらに各部位皮膚の変位方向を明らかにする必要がある。本研究は呼吸運動時の体幹皮膚の変位方向を明らかにすることを目的とし皮膚上マーカーを体幹に貼付した状態での呼吸運動を分析検討した。【方法】対象は健常成人男性10 名(年齢29.4 ± 4.3 歳、身長170.2 ± 5.5cm、体重67.7 ± 8.5kg)であった。測定機器は3 次元動作解析装置VICON MX(VICON社製)を用いた(カメラ8 台、計測周波数100Hz)。マーカー貼付位置は正中列と側方列(左右)と正中・側方中間列(左右)(以下、中間列とする)とし縦5 列に分け、各列に8 個のマーカーを貼付し合計40 個のマーカー(直径16mm)を格子状にした。正中列は胸骨柄上部、剣状突起、および両上前腸骨棘間の中点を基準とし、胸骨柄上部と剣状突起の間を1/3、2/3 に内分する点および剣状突起と両上前腸骨棘間中点の間を1/4、2/4、3/4 に内分する点とした。側方列は後腋窩と、上前腸骨棘と上後腸骨棘間の中点を基準とし、この間を1/7、2/7、3/7、4/7、5/7、6/7 に内分する点とし左右に貼付した。中間列は胸骨柄上部と後腋窩の中点と、上前腸骨棘を基準とし、この間を1/7、2/7、3/7、4/7、5/7、6/7 に内分する点とし左右に貼付した。各列ともに頭側から尾側に向かって順に1 〜8 マーカーとし、1、2 マーカーは上胸部、3、4 マーカーは下胸部、5、6 マーカーは上腹部、7、8 マーカーは下腹部の皮膚の動きを表すものとした。マーカーと肋骨との位置関係は上胸部マーカーは第1 〜3 肋骨の上位肋骨、下胸部マーカーは第4 〜6 肋骨の中位肋骨、上腹部マーカーは第7 肋骨以下の下位肋骨の位置に相当している。測定肢位は床上での背臥位とし両上肢の位置を90°外転させ両手掌を頭部後面に位置させたハンモック肢位とした。測定は5 回の深呼吸を1 試行とし5 試行実施した。呼気と吸気の相分けは身体の水平面において剣状突起マーカーが頭側方向へ最も動いた時を最大吸気位とし、最も尾側方向へ動いた時を最大呼気位とした。各呼吸の最大呼気と最大吸気間の各マーカーの変位量を算出した。上胸部、下胸部、上腹部、下腹部の各部位のX 軸(左右)、Y軸(上下)、Z軸(前後)方向への変位量について一元配置分散分析および多重比較法(Bonferroni検定)を用い解析、検討した。統計処理はSPSS ver.18.0Jを使用し危険率1%未満を有意水準とした。【倫理的配慮】本研究はヘルシンキ宣言に沿って実施した。全対象者に事前に本研究内容を書面および口頭で十分な説明を行い署名にて同意を得た。尚、本研究は文京学院大学大学院保健医療科学研究科倫理委員会の承認の下で実施した。【結果】各部位の方向別変位量に有意差を認めた。上胸部はY方向の動きが最も大きかった。またX方向の動きがYとZ方向と比べ有意に小さかった。下胸部はYとZ方向の動きが大きかった。またX方向の動きがYとZ方向と比べ有意に小さかった。上腹部は他部位と比べ全方向へ動きが大きく、変位量の大きさはZ、Y、X方向の順であった。下腹部は全方向へ動きが小さく、Z方向の動きがX、Y方向と比べ有意に大きかった。【考察】呼吸運動時の各部位皮膚の変位方向は、上胸部は上下方向、下胸部は上下、前後方向、上腹部は全方向への動きが大きく、上位肋骨から下位肋骨に向かうほど左右方向への動きが大きくなった。この上位肋骨相当の上胸部皮膚が上下方向への動きが大きく、中位肋骨相当の下胸部皮膚、下位肋骨相当の上腹部皮膚へと下位に移るほど左右方向への動きが大きくなった結果は、肋骨頭関節と肋横突関節を結ぶ軸方向により決まるpump handle motionとbucket handle motion の胸郭の生理的運動方向が反映されたと考えられる。本研究結果から皮膚誘導による吸気時呼吸介助手技を行う場合に、上胸部皮膚は上方向へ、下胸部皮膚は上・前方向へ、上腹部皮膚では上・前方向に左右方向への動きを加えることが有効であると考えられる。以上より、各部位の皮膚運動特性を明らかにすることは、理学療法における皮膚誘導を用いた手技に応用できると考えられる。本研究結果は皮膚運動特性を考慮した皮膚誘導による呼吸介助手技が行える可能性とその方法を示唆していると考えられ、臨床応用の基礎となり得る。【理学療法学研究としての意義】本研究により皮膚誘導を用いた呼吸介助手技が行える可能性を示唆でき、その誘導する量と方向に応用できると考える。
著者
大畑 充 庄司 博人 清水 万真 谷川 博康 加藤 太一朗 野澤 貴史
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.89, no.926, pp.23-00168, 2023 (Released:2023-10-25)
参考文献数
18

This study aims to develop a numerical simulation-based method for predicting ductile crack growth resistance curve (R-curve) for pre-strained components for rational assessment of ductile crack growth controlling fracture for pre-strained structural component with any plastic constraint. Experiments on R-curve of 3-point bend specimen with a shallow crack for steel pre-strained by 6% over uniform elongation provides that the pre-strain does not significantly reduce ductile crack initiation and growth resistance, even though the pre-strain induces disappearance of uniform elongation and work hardening together with drastic reduction in elongation. Observations of damage evolution in terms of micro-void formation indicate that ductile crack growth behaviors in both virgin and pre-strained steels are based on a micro-void nucleation-controlled ductile fracture mechanism. These experimental results demonstrate that the ductile damage model that we have already proposed for predicting R-curve for virgin steel that exhibits micro-void nucleation-controlled ductile fracture behaviors can be applicable for these virgin and pre-strained steels used. Thus, based on the previously proposed ductile damage model, a simulation-based method to predict the R-curve of pre-strained specimens only from the properties of virgin steel is proposed taking material degradation (change in strength and damage properties) due to pre-strain into account. The applicability of the proposed method is verified by showing the predicted R-curve for pre-strained steel are in good agreement with experimental results.
著者
加藤 太郎 板東 杏太 有明 陽佑 勝田 若奈 近藤 夕騎 小笠原 悠 西田 大輔 髙橋 祐二 水野 勝広
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.326-332, 2021-03-18 (Released:2021-07-03)
参考文献数
18

目的:脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration:SCD)に対する短期集中リハビリテーション治療(SCD短期集中リハビリテーション)の効果が,先行研究により示されている.しかし,SCD短期集中リハビリテーションの効果検証は,Scale for the Assessment and Rating of Ataxia(SARA)の総得点により報告されており,SARAの下位項目による詳細な検証はなされていない.本研究は,歩行可能なSCD患者の運動失調に対するSCD短期集中リハビリテーションの効果を,SARAの総得点と下位項目得点から検証することを目的とした.方法:対象は,SARAの歩行項目3点以下に該当し,4週間のSCD集中リハビリテーション治療プログラム(SCD集中リハビリテーション)に参加したSCD患者23名(男15名,女8名)とした.評価項目はSARAとし,SCD集中リハビリテーション実施前後に評価を実施した.対象者のSCD集中リハビリテーション実施前後のSARAの総得点および各下位項目得点を,後方視的に解析した.統計はWilcoxonの符号付き順位検定を用いて分析検討し,有意水準は5%とした.結果:SCD集中リハビリテーション実施前後において,総得点および下位項目得点のうち,歩行,立位,踵-すね試験に有意な点数の改善を認めた(p<0.05).一方,下位項目得点で座位,言語障害,指追い試験,鼻-指試験,手の回内・回外運動は有意な点数の改善を認めなかった.結論:本研究の結果は,SCD集中リハビリテーションはSCD患者のSARAにおける総得点と,特に体幹と下肢の運動失調を有意に改善させることを示した.
著者
近藤 夕騎 望月 久 加藤 太郎 鈴木 一平 板東 杏太 滝澤 玲花 吉田 純一朗 西田 大輔 水野 勝広
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
pp.20012, (Released:2020-10-30)
参考文献数
8

目的:Ehgoetz Martensらが開発したすくみ足の詳細を把握できる質問紙Characterizing Freezing of Gait questionnaire(C-FOGQ)の日本語版を作成し,患者による回答時間などの予備調査を行うこと.方法:日本語版C-FOGQは,原著者から許可を得た後,異文化適応に関する国際的ガイドラインに準じて,①順翻訳,②逆翻訳,③予備調査のプロセスを経て作成した.予備調査では,すくみ足を訴えるパーキンソン病関連疾患患者39名から日本語版C-FOGQによる回答を得て,回答時間,誤回答・無回答率を調査した.結果:英語原版から日本語への順翻訳ならびに英語への逆翻訳過程において,重大な言語的問題は生じなかった.予備調査の結果,平均回答時間は526.8秒であり,誤回答・無回答率は1%未満であった.SectionⅡにおける総合得点の平均は20.0点であった.結論:作成した日本語版C-FOGQは言語的妥当性を有し,10分程度で回答でき,誤回答や無回答率も少ないため,本邦でもすくみ足の評価として使用可能と思われる.
著者
寺嶋 正治 加藤 太二 小林 仁和 宮国 泰明 田中 弘之
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.805-817, 1989-06-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
22

Otteosynthesis using Champy's miniplates was performed in 8 patients with mid-face injuries. Since no patients complained of discomfort, we did not remove the miniplates which are thin and light. Miniplate osteosynthesis may be very useful in case of complicated fracture or old fracture of mid-face.
著者
根来 誠司 武尾 正弘 加藤 太一郎 竹原 一起 藤井 翼
出版者
兵庫県立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

国内外でポリマーの再資源化やモノマーのバイオ生産が重要視されている。Arthrobacter sp. KI72株はナイロンオリゴマー分解酵素NylA/NylB/NylCにより、6-アミノヘキサン酸(Ahx)オリゴマーをAhxまで分解する。Ahxはアミノトランスフェラーゼ(NylD)によりアジピン酸セミアルデヒドに変換され、その後、デヒドロゲナーゼ(NylE)によりアジピン酸へと代謝されること、ⅱ)NylDについては2種、NylEについては20種の類似遺伝子が認められること、ⅲ)NylD1,NylE1を共役させた反応系により、Ahxは約90%の変換率でアジピン酸へ変換されることを明らかにした。
著者
中村 浩明 岡本 高志 山本 友紀 加藤 太郎 五十嵐 進 伊藤 大起 古野 薫 横井 秋夫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C0998, 2007 (Released:2007-05-09)

【はじめに】顎関節症患者の顎関節だけを一時的にアプローチしても、また症状が元に戻ってしまうことを多く経験する。今回、顎関節に疼痛、違和感を訴えている患者を、疼痛増強主訴である歩行から関連を捉え、足部からのアプローチを行い、良い結果が得られたので報告する。【症例紹介】26歳、男性。理学療法士。診断名:左顎関節症、変形性頚椎症。18歳頃より左顎関節に違和感出現。25歳に総合格闘技で、右足部にアンクルホールドを極められ左顎関節症状が悪化。その後、全身体調不良となった。主訴は、口を開けるとクリック音がして痛い。左顎が常に重だるく違和感がある。よく顎を鳴らしたくなる。両足首に不安定感があり歩行中、歩行後に全身に違和感、疲れやすさがあるとの事であった。【理学療法評価および治療】Passenger Unitへアプローチを座位から行い、顎関節へのメカニカルストレス軽減を狙ったが、歩行するとLocomotor Unitの不安定性から身体が崩れてしまう傾向があり、良い治療結果が残せなかった。特に本症例の場合、疼痛、違和感が増強するという訴えは、歩行時のLoading Response~Mid Stance、Mid Stance~Terminal Stanceにかけて著名であった。Loading Response~Mid Stanceでは距骨下関節が過回内し、Ankle Rocker機構機能不全、また、Mid Stance~Terminal Stanceでは横足根関節が過外反しForefoot Rocker機構機能不全の状態がみられた。その機能不全状態を、足部からのテーピングにより各Rocker機構が機能的に作用する環境に整えた。【結果】テーピング後は、下顎が真っ直ぐ下制するようになり、顎関節の疼痛、違和感の消失。開閉の最終時の左顎関節のクリック音が消失した。歩行時も前方への推進力が発揮できるようになり、全身状態も楽であるとのことであった。【考察】歩行時に違和感を訴えたLoading Response~Mid Stance、Mid Stance~Terminal Stanceは、荷重期の特に下肢の支持性、推進力の維持、下肢と体幹の支持性が必要な相である。これらの相に必要な骨での支持は、足部ではRocker機構の事を指し、身体のアライメント、軸の形成には不可欠であると考えられた。各相でLocomotor Unit、または、Locomotor UnitとPassenger Unitのアライメント、軸形成を足部から同時に図ったことにより、顎関節へのメカニカルストレスは開放され疼痛、違和感が消失したと考えられた。【まとめ】顎関節症患者を足部からコントロールし、姿勢アプローチをした。特に主訴であった歩行時の足部Rocker機構に注目してアプローチを行なった。軸の形成は、各々の組織が、分化的に働けるような環境を作る意味で重要であると考えられた。
著者
村上 善彦 中野 康弘 加藤 太司 中川 恭子 南 毅生
出版者
一般社団法人 日本獣医麻酔外科学会
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3+4, pp.36-40, 2020 (Released:2021-02-16)
参考文献数
9
被引用文献数
1

前縦隔に異所性甲状腺癌が発生した犬に外科手術を行った3例を経験した。3症例はCT検査を行い、他臓器への浸潤、転移、胸水を認めなかったため、細胞診、病理組織検査後、外科手術を行った。術後、症例1、3はそれぞれ1,050、1,420日経過しているが、再発転移なく良好に経過している。また、症例2は術後2,925日に腫瘍とは関連なく死亡した。症例の集積による検討が必要ではあるが、前縦隔に発生した異所性甲状腺癌は、他臓器に浸潤や転移がない場合、外科手術を行うことで良好な予後が得られる可能性が考えられた。
著者
加藤 太郎 板東 杏太 有明 陽佑 勝田 若奈 近藤 夕騎 小笠原 悠 西田 大輔 髙橋 祐二 水野 勝広
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
pp.20022, (Released:2020-11-30)
参考文献数
18

目的:脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration:SCD)に対する短期集中リハビリテーション治療(SCD短期集中リハビリテーション)の効果が,先行研究により示されている.しかし,SCD短期集中リハビリテーションの効果検証は,Scale for the Assessment and Rating of Ataxia(SARA)の総得点により報告されており,SARAの下位項目による詳細な検証はなされていない.本研究は,歩行可能なSCD患者の運動失調に対するSCD短期集中リハビリテーションの効果を,SARAの総得点と下位項目得点から検証することを目的とした.方法:対象は,SARAの歩行項目3点以下に該当し,4週間のSCD集中リハビリテーション治療プログラム(SCD集中リハビリテーション)に参加したSCD患者23名(男15名,女8名)とした.評価項目はSARAとし,SCD集中リハビリテーション実施前後に評価を実施した.対象者のSCD集中リハビリテーション実施前後のSARAの総得点および各下位項目得点を,後方視的に解析した.統計はWilcoxonの符号付き順位検定を用いて分析検討し,有意水準は5%とした.結果:SCD集中リハビリテーション実施前後において,総得点および下位項目得点のうち,歩行,立位,踵-すね試験に有意な点数の改善を認めた(p<0.05).一方,下位項目得点で座位,言語障害,指追い試験,鼻-指試験,手の回内・回外運動は有意な点数の改善を認めなかった.結論:本研究の結果は,SCD集中リハビリテーションはSCD患者のSARAにおける総得点と,特に体幹と下肢の運動失調を有意に改善させることを示した.
著者
永野 新太 加藤 太一 井部 賢吾 川越 潤一 安井 清彦 矢野 幸彦
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Bb1409-Bb1409, 2012

【はじめに、目的】 自己身体部位失認についてFrederiks(1985)は「身体図式」の異常に起因すると報告した.しかし,身体部位失認という多義的で曖昧な概念に対しては,呼称の障害であるのか,空間定位の障害であるのか,あるいは他者身体各部位の呼称・空間定位障害も含めた障害であるのかについて依然多くの論議がなされている.鶴谷・大東(2007)は,失語症を伴わない自己身体失認症例に対し詳細な評価を行った結果,自己中心座標系を利用してターゲットとなる部位の位置をオンラインで処理する過程の問題として理解可能であるとした.今回,失語症を伴った左頭頂葉・側頭葉出血の症例に対し,身体部位失認様の症状を認めたため評価を行った.その方法と結果を報告する.【方法】 50歳代左利き.画像所見ではCT上で左頭頂葉・側頭葉に出血を認めた.JCS1-1,Brunnstrom Stage右上肢2・手指2・下肢3レベルで座位保持可能,立位保持は非麻痺側優位であり,麻痺側踵部は床面から浮いた状態であった.触覚については「触っているのは何となくわかる」とのことであったが,その他の感覚については右上下肢とも重度鈍麻,感覚全般において中枢部より遠位部に強く障害されていた.高次脳機能障害としては,流暢性失語を認め,聴理解は良好だがジャルゴン様の発話を認めた.自画像描写課題では身体像の欠落を認め,保続や失算,失書,左右失認,手指失認症状を呈した.トイレ動作では非麻痺側上肢にて手すりを把持し立位保持できるものの,麻痺側足底の接地位置不良,下衣の上げ下げに介助を要した.評価として,身体部位14か所(頭・首・胸・腹・左右の肩・左右の肘・左右の腰・左右の膝・左右の手)を刺激としたPointing課題(鶴谷・大東、2007)を行った.Pointingについては1)言語提示,開眼・自己身体条件2)言語提示,閉眼・自己身体条件3)言語提示,開眼・他者身体条件4)視覚提示,自己身体条件5)視覚提示,他者身体条件6)触覚提示,閉眼条件を設定条件とし,正答率と誤反応(近接エラー,概念エラー)について検討した.【倫理的配慮、説明と同意】 ヘルシンキ宣言に基づき患者,家族に症例報告より評価の妥当性について第47回全国理学療法学術大会にて報告することを説明し,同意を得た.【結果】 部位別では,頭・首・左肩・胸・左膝で正答率100%,右肩・腹・右腰・右膝で正答率83%,左腰で正答率66%,右手で正答率50%,右肘・左肘・左手で正答率33%であった.設定別では,1)正答率64%,誤反応概念エラー2)正答率57%,誤反応近接エラー3)正答率87%,その他エラー4)正答率79%,誤反応近接エラー5)正答率71%,誤反応近接エラー6)正答率93%,誤反応近接エラーであった.また,左右の身体部位における正答率は両側共に66.4%であり左右差を認めなかった.モダリティー別の正答率は,言語69%視覚75%触覚93%であった.【考察】 両側性の身体失認について大東(1983)は,身体中央部よりも外側部においてより強いと報告している.臨床所見に加え,左右の身体部位における正答率に差を認めなかったこと,部位別の正答率が身体遠位で優位に低下していたことから本症例は両側性の身体失認を呈していると判断した.部位の位置・範囲等・身体一般の構造的知識である視空間性表象(視覚提示条件),部位名・機能的定義等の命題的知識である意味性表象(言語提示条件)が低下していたのに対し,現在の姿勢・外空間と身体の位置関係のオンライン処理である動的身体表象(閉眼での触覚提示条件)は比較的良好であった.失語症の影響のみで意味性表象が低下していると考えるならば,部位別の正答率は一様に低下するはずである.同様に,誤反応は概念エラーではなく近接エラーが多く観察されたことから,本症例においては失語症の影響のみによる身体部位失認の可能性は低いことが示唆されたが,鶴谷・大東(2007)が報告した自己身体に限定された空間定位の病態とは一致しなかった.したがって,自己身体部位失認の病態については,自己身体における空間定位の障害に加えて,視空間性表象・意味性表象での処理過程と動的身体表象での処理過程の双方をつなぐシステムに何らかの障害が発生していることが示唆された.【理学療法学研究としての意義】 自己身体部位失認については症候論的理解にとどまることが多く,その病態についての定義は依然確立されていない.今回の評価結果を踏まえ,今後は,簡素な評価法の確立・アプローチ方法の検討を行っていきたい.
著者
加藤 太郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0899, 2014 (Released:2014-05-09)

【目的】安定した姿勢保持や円滑な動作遂行のためには各関節の安定が必要であり,この安定には単関節筋が寄与している。姿勢保持や動作遂行時の問題点に,体幹安定性の低下が着目されることが多い。体幹・骨盤帯の安定化に重要な体幹深層筋は,骨盤底筋群,腹横筋,多裂筋,横隔膜で構成される。臨床において体幹深層筋の機能に左右差があると,姿勢評価において骨盤水平面アライメントの左右差を認めることが多いとされる。骨盤水平面アライメントは内方腸骨(以下,インフレア),外方腸骨(以下,アウトフレア)で表現されることがある。超音波画像診断装置を用いた腹横筋厚測定によるインフレアとアウトフレアの比較では,インフレア側の腹横筋厚は厚く,アウトフレア側の腹横筋厚は薄いと報告されている。そして,体幹の安定性に左右差を認める症例に対して,アウトフレア側腹横筋の収縮を促通する目的で,腹式呼吸やストレッチポール等を用いる報告がされている。姿勢評価で,骨盤のインフレア,アウトフレアを確認することは体幹深層筋の機能評価として臨床的意義がある。骨盤水平面アライメントは臼蓋の位置を変位させるため,股関節回旋角度に影響を与えると考えられる。しかし,骨盤水平面アライメントと股関節回旋角度の関係についての報告は少ない。そこで,本研究は骨盤水平面アライメントと股関節回旋角度の関係を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は,健常成人男性11名(年齢22.1±0.3歳,身長172.0±5.8cm,体重65.3±6.3kg)であった。インフレアとアウトフレアの測定肢位は静止立位とし,先行研究に基づき上前腸骨棘(以下,ASIS)が他方と比べて前内下方位をインフレア,後外上方位をアウトフレアとし触診を用い測定した。股関節回旋角度は東大式角度計を用い,日本整形外科学会,日本リハビリテーション医学会の「関節可動域表示ならびに測定法」に従い,座位で股関節と膝関節を90°屈曲位とし,内旋可動域(以下,内旋角度)と外旋可動域(以下,外旋角度)を測定した。測定者は,正確性を期すために熟練者とし,他動的股関節回旋運動実施者と角度測定者の2名とした。インフレア側とアウトフレア側における内旋角度,外旋角度に対し,Wilcoxonの符号付き順位検定を用いて分析検討した。統計処理はSPSS ver.21.0J for Windowsを使用し,有意水準は危険率5%とした。【倫理的配慮】本研究はヘルシンキ宣言に沿って実施した。全対象者に事前に本研究内容を書面および口頭で十分な説明を行い署名にて同意を得た。尚,本研究は文京学院大学保健医療技術学部倫理委員会の承認の下で実施した。【結果】骨盤水平面アライメントはインフレア側が右9名,左2名であり,右インフレアが有意に多かった(p<0.05)。インフレア側とアウトフレア側の比較ではインフレア側内旋角度23.64±4.52°,アウトフレア側内旋角度20.45±5.68°であり,内旋角度はアウトフレア側と比べてインフレア側が有意に大きかった(p<0.05)。また,内旋角度と外旋角度の比較ではアウトフレア側内旋角度20.45±5.68°,アウトフレア側外旋角度28.18±5.6°であり,アウトフレア側は内旋角度に比べて外旋角度が有意に大きかった(p<0.05)。【考察】インフレア,アウトフレアは現時点では明確に定義されてはいないが,先行研究より仙骨面に対する寛骨の回旋や傾きの相違であると考えられる。触診によるASISの高さの相違から評価する方法が報告されており,本研究にも同法を用いた。骨盤アライメントにおいて仙腸関節の可動性は重要ではあるが,寛骨の動きは股関節の影響を大きく受ける。足底を接地していない状態では,インフレアは寛骨の前方回旋と前傾を伴うため,臼蓋は前外方へ向き大腿骨は内旋方向へ変位し,アウトフレアは寛骨の後方回旋と後傾を伴うため,臼蓋は後内方へ向き大腿骨は外旋方向へ変位すると考えられる。本研究結果も,臼蓋の向きが反映された結果であると考える。本研究により,体幹深層筋の機能に関連のある骨盤水平面アライメントは,股関節回旋角度とも関連のあることが明らかとなった。これは,体幹深層筋の機能を評価,治療介入するうえで,股関節回旋角度も含めて考察する必要があると考えられる。しかし,足底が接地している状態でインフレア側の足部が内向きになっていることは臨床上ほとんど認められない。これより,本研究の足底接地時と非接地時の分析検討は今後の課題である。【理学療法学研究としての意義】本研究により,体幹深層筋の機能に対して股関節回旋角度からの評価,治療介入も加えられる可能性を示唆でき,その股関節回旋方向の指標,選択に応用できると考える。
著者
加藤 太喜子
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.43-51, 2011-09-25 (Released:2017-04-27)

治療の差し控えや中止を決定するに際して、「医学的無益」という概念がとりあげられることがある。しかし「医学的無益」という概念には、定義が困難である、どの程度無益なら無益とみなすかについての線引きが恣意的である、医療資源配分の問題とともに論じられる危険がある、といった問題がある。医学的無益という観点で治療の差し控えや中止を検討する必要がある場合、公正プロセスアプローチと呼ばれる共同での意思決定の試みがあるが、このプロセスを経ることで、患者の同意のない治療の差し控えや中止が必ずしも倫理的に正当化されるとは限らない。「医学的無益」という概念を使って説明せざるを得ない場合には、どの治療がどんな目的に対してどの程度「無益」かについて、丁寧に注意深く明示する必要がある。
著者
伊谷 樹一 黒崎 龍悟 近藤 史 加藤 太
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

これは、経済成長にともなって深刻化しているタンザニア半乾燥地域の環境破壊に焦点をあて、人と林が共存しうる社会の形成を目指した実践的な地域研究である。環境破壊を引き起こしてきた内外の要因を探りながら、環境保全と地域経済に関わる活動を計画・実践し、それらの連携をとおして新たな循環型環境利用モデルを構築しようとした。諸活動のモニタリングや住民との議論を重ねるなかで、環境保全に取って不可欠な技術的・社会的要素を解明していった。
著者
加藤 太喜子 井川 昭弘
出版者
岐阜医療科学大学
雑誌
岐阜医療科学大学紀要 (ISSN:18819168)
巻号頁・発行日
no.2, pp.69-75, 2008-03

生命倫理学領域において自己決定権論は重要な地位を占めるが,自己決定権論の限界もまた生命倫理学領域の重要な話題であり続けてきた。本稿は,自己決定権論の限界について考察するために,その対抗理論となりうる人格主義生命倫理学に着目し,人格主義生命倫理学の視座から胚の道徳的地位に関するこれまでの議論を検討する。種に基づく議論,連続性に基づく議論,同一性に基づく議論,潜在性に基づく議論に対する人格主義生命倫理学の取りうる立場を検討したのち,人格主義的生命倫理学の立場からの現在の取り組みを,自己決定原理の持つ限界を超えうるものとして評価する。
著者
加藤 太一
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

難治性疾患である肺高血圧発症に対する分子状水素の抑制効果を評価するために、ラットモノクロタリン肺高血圧モデルを作成した。飽和水素水投与により、右室圧の低下、肺血管の筋性化の軽快を認めた。肺高血圧に対し脱水素水投与した群で増加していた肺血管周囲マクロファージ、線維芽細胞、酸化ストレスマーカー陽性細胞、細胞増殖マーカー陽性細胞は飽和水素水により減少した。これらの結果より分子状水素は肺高血圧症の改善に炎症の抑制、酸化ストレスの抑制、細胞増殖抑制を介して寄与する可能性が示された。