著者
沢村 信一 伊藤(中野) 恵利 加藤 一郎
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.93, pp.19-25, 2002-06-30 (Released:2009-07-31)
参考文献数
5

1) 荒茶の一般生菌数は,他の茶類(鳥龍茶・紅茶)と比較して多いことがわかった。蒸熱工程を含む緑茶特有の製造工程に起因しているものと思われる。2) 荒茶の一般生菌数を製茶法別に比較すると,深蒸し茶が普通煎茶より多い傾向にあった。深蒸し茶製造工程中の送帯式蒸機での一般生菌の残存と葉打ちから中揉にかけての二次汚染が原因と考えられる。3) 荒茶工場内の製茶工程毎に茶葉をサンプリングした結果,蒸機の種類により違いが見られた。送帯式蒸機の方が網胴回転撹拌蒸機より一般生菌数が多い傾向にあった。
著者
加藤 和子 Yohan YOON Roberto S UMALI Sumalee BOONMAR 峯木 眞知子 森田 幸雄
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.496-502, 2018 (Released:2018-07-28)
参考文献数
15

韓国, フィリピン, タイ, 日本の精米の一般生菌数, 大腸菌群数, セレウス菌数について調査した. 2015年5月から7月まで81検体を収集した. 日本では家に保管している精米と市販されている精米および韓国の市販精米はほぼ同じLog3.6-3.9個/gの一般生菌数であった. フィリピンとタイで市販されている精米は日本や韓国の精米に比べ有意に低くLog2.4-2.8個/gであった. 日本および韓国の精米から大腸菌群が分離された. エンテロトキシン産生セレウリド遺伝子非保有のセレウス菌は日本の農家保有精米1検体, フィリピンの市販精米1検体, タイの市販精米4検体から分離され, これらの陽性検体の菌数はLog2.5–2.9個/gであった. しかし, これらの精米を炊飯する加熱条件である98℃, 20分間加熱処理後の検体からは分離できなかった. これらのことから, 炊飯後のご飯のセレウス菌による食中毒のリスクは低いと思われる. しかしエンテロトキシン産生セレウスが炊飯前の米から分離されている. 食品の調理工程や保管に際して交差汚染を防止することは重要であると思われた.
著者
比嘉 梨乃 加藤 莉子 太田 穂波 江頭 祐嘉合 諏訪 聖二 今井 啓太 平井 静
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-23-00022, (Released:2023-06-02)

内臓脂肪型肥満者の脂肪組織では,酸化ストレスが亢進し代謝異常が引き起こされることで,メタボリックシンドロームの発症および進行に繋がる.ラッカセイ種皮は,通常,加工工程において,大量に廃棄されているが,抗酸化作用を有するポリフェノールを高含有していることが知られている.本研究では,ラッカセイ種皮含有黒酢飲料が,高脂肪食誘導性肥満マウスの糖・脂質代謝異常に及ぼす影響を検討した.6週齢のC57BL/6J雄マウスに60kcal% fat高脂肪食を摂取させるとともに,40倍(低濃度:LD)または20倍(高濃度:HD)に希釈したラッカセイ種皮含有黒酢飲料を20週間自由飲水させた.その結果,終体重は対照群と比較してLDおよびHD両群で有意に減少した.またHD群ではインスリン感受性指標であるHOMA-IRの有意な低下と,インスリン抵抗性指標であるQUICKIの有意な上昇が認められた.以上の結果より,ラッカセイ種皮抽出物含有黒酢飲料による肥満および糖代謝異常の改善が示唆された.
著者
北原 匠 加藤 泰介 小野寺 理
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.439-443, 2022 (Released:2022-12-27)
参考文献数
39

Cerebral small vessel disease is a common disease that affects small vessels in the brain and is associated with stroke, cognitive impairment, and motor dysfunction. The blood–brain barrier and endothelial cell function have been the focus of attention as the etiology of the disease. Recently, the mechanisms of waste removal and neural activity–dependent redistribution of blood flow in the brain have been clarified, and the functions of pericytes, smooth muscle cells, and arterioles have been studied. However, the pathogenesis of the disease is still unknown. Since the prevalence of cerebral small vessel disease increases with age, aging is the most important risk factor. Hypertension is also one of the most important risk factor for cerebral small vessel disease, but even in modern times when antihypertensive therapy is widely available, the onset and progression of symptoms have not been adequately controlled. Recent genome–wide studies have revealed that many genes related to extracellular matrix are included in the risk genes for sporadic cerebral small vessel disease, and their involvement in the pathogenesis is suspected. In addition, HTRA1, the causative gene of hereditary cerebral small vessel disease, is included in the risk genes. This suggests that extracellular matrix changes may be a common pathogenesis of sporadic and hereditary cerebral small vessel disease.
著者
加藤 一希 西増 弘志
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.107-109, 2023 (Released:2023-05-25)
参考文献数
3

Cas7-11はガイドRNA依存的に特定のRNAを分解する酵素である.筆者らは,クライオ電子顕微鏡を用いてCas7-11の立体構造を決定し,さらに構造情報をもとにCas7-11の小型化に成功した.小型Cas7-11はコンビニエントで使いやすい,RNAノックダウンツールとしての応用が期待される.
著者
菊池 真維子 中島 政信 室井 大人 高橋 雅一 山口 悟 佐々木 欣郎 土岡 丘 加藤 広行
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.176-181, 2019 (Released:2020-04-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1

食道癌根治切除術は他の消化器癌手術と比べ侵襲の高度な手術となり,不整脈などの術後合併症が重篤化することもしばしばで周術期管理は特に重要である.当科にて右開胸または胸腔鏡下での食道癌根治切除術を施行した症例中,術中および術後に120回/分以上の頻脈性不整脈の発現を19例に認め,術前から心電図異常を認め(p=0.0001),循環器疾患の既往を認めた症例(p=0.0061)で有意に頻脈性不整脈の発生を認めた.当科では頻脈性不整脈に対する治療の中で,19例中12例に短時間作用型β1選択的遮断薬である塩酸ランジオロール投与を行っており,12例に対する後方視的な検討を行った.塩酸ランジオロール投与により10例(83.3%)が洞調律への改善を認め,全例に血圧低下や呼吸状態の悪化は認めなかった.投与基準に従った食道癌周術期における頻脈性不整脈に対する塩酸ランジオロール投与は副作用を生じることなく安全に投与可能であり,術後成績向上の一助になると思われる.
著者
加藤 重広
出版者
富山大学人文学部
雑誌
富山大学人文学部紀要 (ISSN:03865975)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1-12, 1998-08-31

Saussure(1916)に示された,signifiantとsignifieの結合によって言語記号が構成されるという考え方は,現在でも言語学の基本的知見のひとつである。本稿では,ソシュール以前のシニフィアンとシニフィエをめぐる考え方、いわば意味観の流れを素描する。その中でもWilhelm von Humboldtの意味観をソシュール以前の言語研究の典型として,ソシュールのそれと比較して論じる。また,ソシュールの考えを継承しつつ,独自に発展させたラカンの思想にも触れる。本稿では,具体的なテーマを論じる前に,まず第1章で言語学史の意義と方法論を簡略に論じる。ついで,第2章で,シニフィアンとシニフィエをめぐる意味観の流れを考察することにする。
著者
幾浦 裕之 永崎 研宣 加藤 弓枝
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2023-CH-132, no.3, pp.1-8, 2023-05-13

日本古典文学資料において,和歌は『源氏物語』とともに最も早くから本文のデジタル化が進んだジャンルである.しかし作品本文の表示方法や検索機能が固定して利用されつづけており,研究者の読解や異文情報をデジタルテキストとして記述する方法も未だ模索されていない.本発表では勅撰和歌集とともに約 1100 年の長い歴史をもつ,歌合(うたあわせ)という和歌の優劣を競う作品形態を,TEI/XML 形式でマークアップする方法について提示する.具体的には中世和歌のひとつの到達点とされる『新古今和歌集』が成立した 13 世紀初頭の成立の『石清水社歌合』を対象とする.中世和歌の基本的な創作方法である題詠(だいえい)の表現形式をマークアップし,マークアップによって和歌作品の読解を深め,可視化し,デジタルテキストとして残すことができる方法を提案する.
著者
加藤 雅治
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
まてりあ (ISSN:13402625)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.317-322, 2008-06-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
4
被引用文献数
6 5
著者
加藤 道夫
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.39, no.Supplement1, pp.157-162, 2005 (Released:2010-08-25)

日本語における透視図, あるいは, 遠近法 (パースペクティヴ (perspective) ) の語源は, ラテン語のペルスペクティーヴァ (perspectiva) に由来するが, その本来の意味は「正しい視方」である.その理論的基盤は古代ギリシアのユークリッドに遡ることができる.しかし, その像を具体的に表現する技法, いいかえるならその作画 (作図) 法については説明されていない.つまり, この時点では, 現象は説明可能という意味で「科学」であっても, 「画像」を生成できないという意味で「技術」ではないということができる, ルネサンス期に具体的に図を作成するという作図法技術が考案され, 以降, 普及・発展した.その技術は, 「固定化された視点」という決定的な前提を含んでいた.見方を変えるならば, 視点を固定化するという条件を設定することで, 作画法が考案可能となったといえる.以降, 遠近法は変質し, その本来の意味である「正しい見方」から「偽りの見方」を表示する技術としての変化をとげる.一方で, 「固定化した視点」を克服するさまざまな試みも見られる.また, 近年の計算機の発展と普及は, ルネサンス以来遠近法が抱えてきた諸問題をクリアしたかに見える.他方で, 計算機による一義的な表現とは異なる手の痕跡を残した手描き画像の価値も見直されつつある.本発表は, 科学技術の視点から遠近法の歴史的変遷を俯瞰するものである.
著者
加藤 凌 佐藤 善人
出版者
日本体育科教育学会
雑誌
体育科教育学研究 (ISSN:13428039)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.1-17, 2022-03-25 (Released:2022-04-28)
参考文献数
42

The purpose of this study is to consider whether Korfball, the only true mixed-gender team sport in the Association of IOC Recognised International Sports Federations, is a ball game that will further the realization of “gender equality” in physical education classes by analyzing how children's awareness of being hard to deal with physical education changes. We conducted Korfball lessons a total of six times in 5th-grade physical education classes, and a distributed a questionnaire survey to measure awareness of being hard to deal with physical education before and after the classes. The results show that all students' and girls' awareness of escape decreased (p<.05) and the gender gap for awareness of escape, inferiority, and revulsion became smaller.M We argue that the cause of these results is that Korfball is a ball game in which both boys and girls can play together easily. Based upon this, it suggests that Korfball can bridge the gap between boys' and girls' awareness of being hard to deal with physical education and that Korfball can contribute to the realization of “gender equality” in physical education classes.
著者
加藤 日出男 永田 治 山崎 昌弘 鈴木 利広 仲野 善久
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.122, no.1, pp.57-69, 2002-01-01 (Released:2003-02-13)
参考文献数
15
被引用文献数
18 17

β2-Adrenergic agonists have been widely used to treat patients with asthma. Usually, oral dosage forms of β2-agonists have been used, but side effects such as palpitation and tremor have been reported because of excessive serum levels around Tmax. It is said that circadian variations exist in the manifestation of asthma with maximum incidence of asthma attacks in early morning at around 4 a.m., the so-called morning dip. Chronotherapy for asthma based on circadian rhythm should be more efficient and have a lower frequency of side effects. Accordingly we developed a transdermal delivery system of the β2-agonist tulobuterol adapted to the circadian rhythm. The system is designed to administer the appropriate dose of the drug at an optimal time using the so-called Crystal Reservoir System. The superiority of the transdermal formulation of tulobuterol over the current therapy using oral formulations of β2-stimulants was indicated by its excellent pharmacokinetic profile, and confirmed by the results of clinical trials. This formulation is the first transdermal chrono-delivery system reported anywhere in the world, and is expected to provide more effective and safe treatment of asthma and related diseases not only in adults, but also especially in children.
著者
近藤吉将 渡邊亮司 美馬敦 服部滋 加藤源太郎
雑誌
第55回日本脈管学会総会
巻号頁・発行日
2014-10-17

【はじめに】急性動脈閉塞症は,末梢動脈が塞栓子によって突然閉塞されるために阻血症状を呈する疾患である。上肢動脈の急性動脈閉塞は下肢と比べると頻度は低く,指切断や致命的となる症例は少ないといわれる。今回我々は当院で経験した上肢急性動脈閉塞症5例について検討を行ったので報告する。【対象および方法】対象は2012年9月から2014年6月までに当院で治療を行った上肢急性動脈閉塞症5例(男性4名,女性1名,年齢41歳~97歳,平均年齢76.6歳)とした。方法は,症状,原因,閉塞部位,治療開始までに要した時間,治療法,閉塞部位を同定したmodalityについて検討した。【結果】症状は冷感4例,知覚異常4例,蒼白3例,動脈拍動の消失2例,チアノーゼ1例,運動神経麻痺1例であった。塞栓症5例で原因疾患として心房細動2例(左房内血栓1例),OMI後心尖部壁在血栓1例,左鎖骨下動脈壁在血栓1例,原因不明1例であった。閉塞部位は左上腕動脈2例,右上腕動脈1例,左橈骨動脈および尺骨動脈1例,右尺骨動脈1例であった。治療開始までの時間は1から33時間で,平均15時間であった。治療法は血栓除去術3例,血栓溶解療法2例で,1例手掌以下の切断を要した。閉塞部位を同定したmodalityは超音波検査5例であった。【考察】文献的に塞栓は心房細動由来のものが多いとの報告であるが,われわれの症例で基礎に心房細動を合併した症例は5例中2例(40%)であった。心房細動以外の塞栓源の評価に血管エコーが有用であると思われた。【結語】上肢急性動脈閉塞症の評価に超音波検査が有用であった。
著者
松丸 秀夫 朝比奈 菊雄 加藤 仁
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.117-122, 1978-02-01 (Released:2018-08-26)

木枯しが吹き出すと落ちつかなくなり, そして雪が降る頃には時々姿を消し, 黒くなった顔で現われる人種, スキーの楽しさにとりつかれた人達-."スキー狂師"であることを自他共に認めておられる薬学人もあちらこちらに数多いようである.そこで, このような方々の間での隠された逸話や思い出話の一端なりとも御被露していただこうと先生方にお集りいただいたが, 出席を予定されていた津田先生には御都合がつかず, 紙上参加の形で思い出話を寄せていただいた.
著者
鈴木 美樹江 加藤 大樹
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.11-15, 2023-05-15 (Released:2023-05-20)
参考文献数
22

This study aimed to examine the potential associations between rolefulness and hardiness among high school students. We hypothesized that rolefulness would positively predict hardiness. The present study utilized data from assessments completed by 301 students (51% girls) in three waves over three years. Cross-lagged panel analysis indicated a significant relationship between rolefulness and hardiness. Specifically, social rolefulness at Time 1 influenced control at Time 2, and control at Time 2 predicted challenge at Time 3. Control at Time 1 influenced rolefulness at Time 2, and rolefulness at Time 2 predicted hardiness at Time 3.