著者
落合 博之 登尾 浩助 太田 和宏 北浦 健生 北 宜裕 加藤 高寛
出版者
土壌物理学会
雑誌
土壌の物理性 (ISSN:03876012)
巻号頁・発行日
vol.118, pp.13-17, 2011 (Released:2021-08-30)
参考文献数
8

土壌への熱水の浸透が均一でない圃場における研究では,温度分布の状況把握が行われていない.本研究ではサーモグラフィーを用いて熱水土壌消毒後のハウス内での熱水散布時における地表面温度分布について調べた.同時にセンサー埋設での埋め戻しによる土壌状態の変化によって起こる土壌中の水分移動の影響を温度変化を指標として評価した.熱水散布後,ハウス内全域で地表面温度分布がほぼ一様であることがわかり,これまで行ってきた 1 点での温度測定がハウス内全体の代表値となりうることがわかった.また,センサー埋設のために掘った穴の埋め戻し部表面では,熱水の浸透の影響と耕盤層破壊の影響で他の場所より温度が高くなった.このことより,埋め戻し部から選択的に熱水が浸透して深層土壌で不均一になることがわかり,不適切な埋め戻しが土壌水分量や地温の測定値に大きく影響する可能性があることがわかった.
著者
加藤 大地 橋爪 祥光
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.927-932, 2017 (Released:2019-06-25)
参考文献数
8

小型ハッチバック車を対象に,エアダムスポイラー装着による空気抵抗低減に伴う流れ場の分析を風洞試験および数値流体解析を用いて行ない,空気抵抗低減の流体力学的な機構を明らかにした.エアダムスポイラーは車両床下流の運動量流量を減少させ,車両の後流構造を変化させることで空気抵抗を低減することを明らかにした.
著者
石井 正和 加藤 大貴 伊東 育己
出版者
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
雑誌
日本禁煙学会雑誌 (ISSN:18826806)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.36-46, 2022-11-07 (Released:2022-12-30)
参考文献数
27
被引用文献数
2

【目 的】 加熱式タバコの煙や臭いによる頭痛の実態を明らかにするためにアンケート調査を実施した。【方 法】 インターネットでアンケート調査を行った。対象は20~40歳代の頭痛持ちの男女で、加熱式タバコ使用者に限定していない。【結 果】 有効回答は627人で、片頭痛は163人、その他の頭痛は464人だった。片頭痛群はその他の頭痛群と比較して、頭痛が日常生活に及ぼす影響が大きく、紙巻タバコだけでなく加熱式タバコの煙や臭いにより頭痛が引き起こされる人が有意に多かった。片頭痛群のうち、非喫煙者(117人)でも紙巻タバコだけでなく加熱式タバコの煙や臭いにより頭痛が引き起こされる人がいたが、喫煙者(46人)ではさらに多かった。【結 論】 頭痛患者のなかで、片頭痛患者は、喫煙や受動喫煙による紙巻タバコや加熱式タバコの煙や臭いにより頭痛を誘発しやすいことが明らかとなった。紙巻タバコと加熱式タバコを区別せずに禁煙環境を整備する必要がある。
著者
山田 胡瓜 福地 健太郎 大澤 博隆 宮本 道人 江渡 浩一郎 倉本 到 渡邊 淳司 前田 太郎 中村 裕美 寺島 裕貴 加藤 淳 米澤 朋子 塩見 昌裕 新山 龍馬 宮本 隆史 水野 雄太 櫻井 翔
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.71-77, 2019-12-15

研究者に,漫画家・山田胡瓜流のSF作劇手法を学んでもらった上でSF作品を書いてもらうという『情報処理』特集記事「『AIの遺電子』に学ぶ未来構想術」に寄せられた内の12作品を対象に,山田胡瓜氏を囲んで実施された講評会の様子を記す.各作品に対して,山田氏に加えて講評会に参加した研究らが,その意義や現実の社会に与えうるインパクトについての議論がなされた.議論の中で,『AIの遺電子』に描かれなかった設定についても山田氏本人から語られる場面があった.
著者
中川 理 赤松 加寿江 加藤 玄 野村 啓介 伊藤 毅 杉浦 未樹 大田 省一 岸 泰子 上杉 和央 中島 智章 坂野 正則
出版者
神戸女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

まず日本国内におけるテロワール調査として東京近郊における参照産品として、野田市の醤油工場見学および研究会を実施。ワイン以外にも「テロワール」の形成がどのようになされているのを検討する上で参照事例となった。将来的な成果発表を行う国際シンポジウムのため、シャンパーニュメゾンのドゥーツ社会長へプレゼンテーションを行い、11月には宇治茶の製茶会社である福寿園の担当者と研究交流会を開催した。1月には台湾調査を実施し、多様な茶生産が流通とともに変容しながらも、テロワールを構築している状況を調査することが出来た。2月には「テロワールと流通」を軸にテロワール報告会を実施。シャトー・クーテットに関する調査分析の進捗を確認し、「テロワール」形成の現場に触れ、研究を深化することができている。一方、2020年3月初めには、フランス・ボルドーのサンテミリオン調査を予定していたが、コロナ発生により断念することとなり、2020年度、2021年度に予算繰り越しにより、国外調査によらない研究活動を実施した。2020年度は研究会をオンライン中心で実施し、9月には東アジア環境史学会大会においてポスターセッション「テロワール研究」を立ち上げ、ボルドー大学のフレデリック・ブトゥル教授をコメンテーターにしたパネルディスカッションを実行することができた。2021年度には3回のオンライン中心の研究会を実施し、また2月に「若手研究セミナー」を京都で開催し、研究を深化することができた。また京都近郊和束町茶業集落および滋賀県のワイナリーの生産現場の調査を行い知見を深めることが出来た。また、国内におけるテロワールの現地調査として、九州における嬉野茶産地やワイン生産の現場の調査を実施することができ、国内外におけるテロワールの実態を把握することができた。
著者
加藤 敦 三宅 えり子
出版者
京田辺
雑誌
同志社女子大学現代社会学会現代社会フォーラム = Journal of contemporary social studies (ISSN:21870780)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.20-34, 2021-03-31

小論は,自営業家庭に育った子女は起業家になりやすいか,親世代から受け継ぐ⽛資産⽜には何があるか,特に女性起業家にどのような影響をもたらすか,明らかにすることを目的としている。そこで,起業活動と自営業の家庭について人的資本,非人的資本の観点から理論的に検討し,自営業の家庭で育ったことと起業の関係,並びに自営業の家庭で育った起業家がどのような資産を受け継いでいるかについて⽛新規開業実態調査(特別調査)⽜の個票データを再集計し検討した。小論で明らかになったことは次の通りである。第1 に創業時20代,30代の起業家については,男性,女性のいずれも,また創業時40代の女性起業家について,有意に自営業家庭の比率が高い。また,女性起業家についてみると,創業時の年代が若くなるほど,両親のいずれかが自営業であった比率が高くなる。第2 に自営業の家庭の子女は,起業する際に有利に働く経済資産・社会資産を受け継いでいること,起業家精神の形成につながるハビトゥスが体化されていることを確認した。また小論にもとづき,自営業家庭で育つことが,起業する上で有利に働く点をまとめると次の通りである。第1 に,自営業で用いた土地,店舗,施設・設備等の経済資産を継承することである。第2 に,両親が事業を通じて得た人的ネットワークを活用し,取引先やその他協力者などにアクセスしやすいという社会資産を受け継ぐことである。第3 に生育期に自営業者の家庭で獲得された思考プロセス,自営業者に対する肯定的態度が,起業家精神を高める上で優位に働く可能性があることである。ただし,こうした優位性は若いほど働きやすいので,⽛鉄を熱いうちに打つ⽜支援策が重要である。
著者
山田 恭平 加藤 貴志 外川 佑 藤田 佳男 三村 將
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.239-246, 2018-06-30 (Released:2019-07-01)
参考文献数
27
被引用文献数
7 2

4 つの下位検査からなる脳卒中ドライバーのスクリーニング評価日本版 (J-SDSA) が開発されたが, 本邦における参考値は明確になっていない。そこで本研究の目的は, 脳損傷者において J-SDSA を用いて運転可能と判断される各下位検査のカットオフ値を示すこと, さらに得られたカットオフ値と下位検査の組み合わせから実車評価結果の予測精度を明らかにすることとした。対象は 7 施設, 94 名の脳損傷者である。対象者には J-SDSA を施行し, その後実車評価を行った。実車評価の結果は, 教習所指導員の判定に基づいて運転可能群と運転不適群に分類された。群間比較では, J-SDSA の方向, コンパス, 道路標識の得点で有意差を認め, 可能群の成績が良好であった。上記 3 つの検査のカットオフ値を算出し, 検査の組み合わせを検討したところ, 3 検査ともカットオフ値を上回った対象者については 80%以上の精度で運転可能と予測できた。また, 3 つとも下回った対象者については運転不適と予測できた。
著者
加藤 晃太郎
出版者
物性若手夏の学校準備局
雑誌
物性若手夏の学校テキスト 第67回物性若手夏の学校 (ISSN:27582159)
巻号頁・発行日
pp.228-241, 2023 (Released:2023-02-07)

量子情報分野の発展に伴い、近年では情報エントロピーやエンタングルメント、量子誤り訂正符号といった情報理論由来の概念や手法が、基礎物理学的な観点からも注目されるようになってきた。中でもトポロジカル相に代表される非臨界系 (ギャップド系) の量子相の物理は、そうした情報理論的な解析手法が早期から取り入れられてきた研究領域である。本集中ゼミでは、量子情報理論の基礎的な概念の解説から始め、局所ハミルトニアン系の基底状態に対する応用を紹介することで、量子多体系に対する量子情報的なアプローチの一端に触れてもらうことを目標とする。応用例としては、トポロジカル量子コンピュータとの繋がりもある、スピン系のトポロジカル秩序相を中心的に取り上げる。
著者
加藤 光二 綿谷 一知
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.151-158, 1978-02-28 (Released:2011-08-10)
参考文献数
10

従来より標準体重の求め方には種々の方法が紹介されているが, 数式を用いて身長から標準体重を算出する方法としては, Broca法, Jones法などがあり, わが国では8roca法の変法である {(身長 (cm)-100) ×0.9}(kg) の式が慣用されている.しかしすでに諸氏の指摘もあるように, この式は簡単ではあるが, 実際と適合しない点も多い.今回, われわれは大阪府八尾市付近在住者の体格を調査する機会を得たので, この成績と過去の諸氏の成績や厚生省栄養審議会の答申資料などを比較検討した結果, 日本人の体格は戦後次第に向上し, 身長はかなりの伸びを示したものの, 青壮年期における身長に対する体重の比率に関しては, 年代差や地方差が少ないことを認めた.現在なお標準体重の定義に関して種々問題はあるが, 日本人の青壮年期の体型が年代の変化にあまり影響されなければ, 一応それを日本人の標準体重と考えてもよいのではないかとの観点から, 年代差ならびに地方差の少ない20~39歳の身長別平均体重を標準体重と考えて, 比較的これに近く, しかも計算が簡単な標準体重簡易計算式{(身長 (cm)-50) ×1/2}(kg)を作成した。
著者
落合 博之 登尾 浩助 北 宜裕 加藤 高寛
出版者
土壌物理学会
雑誌
土壌の物理性 (ISSN:03876012)
巻号頁・発行日
vol.112, pp.9-12, 2009 (Released:2021-09-05)
参考文献数
14

土壌消毒の中心であった臭化メチルの使用が全面禁止され,それにより低負荷消毒法として熱水土壌消毒法が脚光を浴び始めた.しかし,熱水土壌消毒法は,新しい消毒法のため研究例が少ない.そこで本研究では,硝酸態窒素と塩素,亜硝酸態窒素,アンモニウム態窒素の濃度変化を調べた.実験は,温度90 ◦C の熱水を土壌に 204 L m−2 供給し,熱水消毒前と熱水投入 9 日後,熱水投入 3 ヶ月後の溶質濃度を,地表面から深さ 40 cm まで 5 cm 毎に採土後,土壌溶液を抽出し,土壌溶液中の溶質濃度変化について調べた.その結果,熱水消毒により溶脱が促進された.また,熱水投下から 3 ヶ月後に,硝酸態窒素,塩素,亜硝酸態窒素は,30 cm 以深で溶質濃度の増加が見られた.一方アンモニウム態窒素は,熱水により硝酸化成菌が死滅したためにはじめはほとんど変化がなく,時間経過と共に硝酸化成菌の復活 により深層で減少したと考えられた.
著者
加藤 知子
出版者
星城大学
雑誌
研究紀要 = Research bulletin of Seijoh University
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1-16, 2020-03-01

The person who laid foundation of modern Kiyosato (Yamanashi Prefecture, Japan)was Paul RUSCH, an American lay missionary of the Anglican Church. He introducedknow-hows about the modern agriculture and tourism to Kiyosato after World War Ⅱ.Kiyosato’s post-war success is mainly due to Rusch’s first-class effort, thanks to whichthe area continues attracting tourists from regions like Kanto and Chubu in Japan. Being a Christian missionary full of passion, he built St. Andrew’s Church inKiyosato, hoping that one day Christianity would prevail in Kiyosato and Japan. Howsuccessful has this endeavor been? Why has the Christian population in Japanremained small despite the efforts by passionate missionaries like Rusch? Can we findany similarities among the Christian and Japanese cultural traditions? How will thereligious landscape change once Christianity becomes a major religion in Japan? With these research questions in mind, and taking Kiyosato St. Andrew’s Church asa starting point, this paper will give some thoughts on Christian evangelism in Japanfrom an intercultural understating point of view.