著者
松田 岳士 近藤 伸彦 重田 勝介 渡辺 雄貴 加藤 浩
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は,教学IR情報を用いた学生支援を目的として,大学生活を通じて学生が直面する具体的かつ真正性のある意志決定場面(初年次の科目選択・リメディアル科目の受講・所属研究室決定・留学)に注目し,判断に必要な情報を直接学生に提供するシステム,Decision Support with IR(以下DSIR)を開発・評価するものである.平成29年度は,四場面のうち,初年次の科目選択(およびリメディアル科目の受講)を支援するシステムを,履修授業推薦システムとして開発し,実際に研究代表者本務校のシラバスデータを用いて動作を確認した.平成29年度は,システム内のデータ処理アルゴリズム,特に学生のSDLRSと科目自体のデータのマッチング方法,表示されるデータが増えることによるインターフェースの工夫,システム管理者が修得できるユーザの操作データなど,設計にあたって考慮すべき案件が多数あり,代表者・分担者の間で担当研究分野を細かく割り振って,前年度を上回るペースで打ち合わせを重ねながら研究プロジェクトを進めた.設計協議の中で,パイロット版の形成的評価において学生から指摘された,表示される用語の意味が理解しにくい点や,単位の取りやすい科目推薦システムになってしまうのではないかという懸念を払しょくするため,用語の説明文を表示できる仕組みや,学生が獲得したい能力に基づいた推薦機能などを新たに追加した.また,研究成果としてまとまった知見は,システム完成を待たず,随時発表した.
著者
藤瀬 幸 孝田 雅彦 桑本 聡史 三好 謙一 木科 学 加藤 順 徳永 志保 岡野 淳一 北浦 剛 武田 洋正 村脇 義和
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.600-606, 2013-09-20
被引用文献数
1

症例は50歳代の女性.入院6年前(2004年3月)からトリクロルメチアジド,ロサルタン,入院3年前からロスバスタチン,入院1年前からはフルボキサミンを内服していた.2010年6月に肝酵素の上昇を認め,入院となった.AST 505 IU/L,ALT 1076 IU/Lと高度の上昇を認めたため,薬物性肝障害を疑いフルボキサミン,ロスバスタチンを中止した.しかし,入院3日目には,AST 545,ALT 1182とさらに上昇したため,トリクロルメチアジド,ロサルタンも中止したところ,肝機能障害の改善を認めた.肝生検では急性肝炎の回復期の像であり,DLSTでロサルタンが陽性を示し,中止後に肝障害の改善が見られたことより総合的にロサルタンによる薬物性肝障害と診断した.6年以上もの長期間ロサルタン内服後に薬物性肝障害を発症した例はまれであり,長期投与薬物も肝障害の原因であることが示唆された.
著者
前田 麦穂 加藤 靖子 坂田 真啓 橋本 鉱市
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.133-149, 2015-03-31

The purpose of this article is to clarify the recognition to the ability formation that agency managers in training schools of six professions have ― nurses, registered dietitians, social workers, clinical psychologists, pharmacists and childcare workers. We conducted a survey to agency managers of training schools of these six professions, asking about the ability formation in their professional education. This article shows the results of quantitative analysis.
著者
野波 寛 加藤 潤三 中谷内 一也
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.81-91, 2009
被引用文献数
1 1

The present research investigated the legitimacy of actors that participate in managing natural resources as commons, and the determinants of their legitimacy. Legitimacy was defined as the approvability of the rights of others and the self, to participate in the management of the commons. Traits that actors expected of managers were highlighted as the determinants of legitimacy. We examined the effects of three traits: expertise, partyship, and locality. A questionnaire survey targeted three actors-farmers, fishermen, and other workers-involved in the red clay flow problem that has damaged the local sea in Ginoza village, in Okinawa. As a result, the legitimacy of farmers and fishermen was higher than that of civil servants. Results also indicated that the parties to the problem were more favored as managers than the experts, and that the actors favored local community members as managers over experts. Furthermore, the favored traits of managers as determinants of legitimacy were inconsistent among the actors. These suggested that the subjective locations of actors in participating in the control of the red clay flow were different from each other. The contributions of these findings to the expansion of social governance in managing the commons are discussed.
著者
加藤 貞夫
出版者
名古屋大学教育学部附属中学校 : 名古屋大学教育学部附属高等学校
雑誌
名古屋大学教育学部附属中高等学校紀要 (ISSN:03874761)
巻号頁・発行日
no.16, pp.167-169, 1971-03-25

生徒文集,卒業アルバム,諸行事記録および写真など学校の歴史に関する資料を収集,整理するために校史資料件名標目表を作製。その標目表での整理を通じて校史資料の計画的収集について提案。国立情報学研究所で電子化したコンテンツを使用している。

3 0 0 0 OA 合歓の並木

著者
加藤武雄 著
出版者
博文館
巻号頁・発行日
1942
著者
加藤 健治
出版者
総合研究大学院大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

脳梗塞・脊髄損傷後による運動機能障害は、大脳皮質と脊髄間を結ぶ下行路が切断されているために起こるが、損傷領域の上位に位置する大脳皮質や、下位に位置する脊髄・末梢神経・筋はその機能を失っているわけではない。従って、機能の残存している大脳皮質より神経活動を記録し、損傷領域を超えて下位の神経構造へ、神経活動依存的な電気刺激を送る「人工神経接続」によって、失った随意運動機能を再建できる可能性がある。本研究では、脳梗塞モデルサルにおける大脳皮質-筋間の人工神経接続に対する運動適応過程とその神経メカニズムについて検討した。3頭のサルを用いレンズ核線条体動脈或いは前脈絡叢動脈を結紮することにより脳梗塞モデルサルを作成した。大脳皮質-筋間の人工神経接続は、大脳皮質前頭葉へ慢性留置したシート状電極のうち1極を任意に選択し、記録された脳活動よりhigh-γ帯域(80-120Hz)の特徴的な波形を検出し、その検出頻度に依存して電気刺激の強度と周波数を変調させることにより達成した。人工神経接続切断時では麻痺手の随意制御ができなかったが、人工神経接続中には、随意的に麻痺手の運動を制御することに成功した。さらに、一次運動野、運動前野、一次体性感覚野におけるいずれの脳活動を使っても、麻痺筋の随意制御は可能であり、手関節力制御タスクの成績は時間に伴って有意に向上した。その学習に関わる神経メカニズムを調べたところ、人工神経接続への入力信号を効果的に増加させることによって、自己学習できることがわかった。これらの結果は、脳梗塞サルであっても、自ら脳活動を大規模に再編成させて新規な大脳皮質-筋間の人工神経接続に対して自己適応し、失った手の随意制御を再建できることを示唆している。将来、このような神経代替方法によって、脊髄損傷・脳梗塞等で失った四肢の随意運動機能を補綴する基礎的なメカニズムの理解に、重要な貢献をなすものである。
著者
加藤 尚吾 加藤 由樹 島峯 ゆり 柳沢 昌義
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.47-55, 2008-12-05
被引用文献数
3

本稿では,携帯メールコミュニケーションにおける顔文字の機能について,コミュニケーションの相手との親しさの程度による影響を調べるため,女子大学生32名を被験者にした実験を行った.結果から,親しい間柄に対して送信した携帯メールで顔文字を使用する場合,顔文字以外の文字数が減る傾向が示された.また,相手に謝罪する場面で親しい間柄に送信した携帯メールでは,親しくない間柄に比べて,言葉で表された謝罪が有意に少なく,顔文字が謝罪の言葉に代替される傾向(メール本文代替機能)が示唆された.更に,親しい間柄に送信した携帯メールでは,親しくない間柄に比べてより多くの種類の顔文字を使う傾向(感情表現機能)が見られた.
著者
加藤 謙介
出版者
国際ボランティア学会
雑誌
ボランティア学研究 (ISSN:13459511)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.49-69, 2006-02-28

本研究では、コミュニティにおけるコンフリクトを解消するための「対話」の特徴について、横浜市磯子区において実施されている『地域猫』活動を事例として取り上げ、検討を行った。磯子区では、地域の野良猫問題への対策として、住民が話し合いを通して猫の飼育方法に関するガイドラインを作成・遵守し、地域住民と猫との共生を果たしている。本稿では、これらの取り組みを、猫をめぐる社会問題の構築過程として捉え、検討を行った。具体的には、ガイドライン制定のための住民集会の議事録、ガイドライン制定前後に推進団体が発行したニューズレターを分析した。分析の結果、ガイドライン制定前の住民集会の議事録には、「『地域の問題』としての野良猫問題」という社会問題が構築される過程が見出された。一方、ガイドライン制定後は、『地域猫』活動を行うボランティアの紹介等を通して、周辺住民の視点が示され、『地域猫』をめぐる「問題」の再構築が行われたことが示された。
著者
野口 義紘 齊藤 康介 江崎 宏樹 臼井 一将 加藤 未紗 舘 知也 寺町 ひとみ
出版者
一般社団法人日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.192-198, 2016 (Released:2016-03-19)
参考文献数
29
被引用文献数
3

Objective: Antiplatelet therapy is useful for infraction prevention.  But, in elderly patients, adverse events are easily observed, owing to the decrease in metabolism and excretion of drugs.  Furthermore, applying guidelines for medical care of each disease does not necessarily result in good conclusions.  Therefore, we used Japanese Adverse Drug Event Report database and assessed safety signals with signal detection about adverse events developed by the antiplatelet therapy in the elderly patients.Methods: We analyzed all adverse events reported on ticlopidine hydrochloride that should be carefully administered, and clopidogrel, bisulfate and aspirin that are recommended as the alternative drugs.  We used the proportional reporting ratio for a safety index of drugs.Results: While some adverse events were expressed in only ticlopidine hydrochloride, bleeding signal was detected in all the subject agents.  In addition, onset risk of ticlopidine hydrochloride was found to be the lowest value.  Moreover, adverse events expressed in clopidogrel bisulfate and aspirin were of a wide-variety compared with ticlopidine hydrochloride.Conclusion: It is necessary to carefully administer not only ticlopidine hydrochloride but also the alternative drugs to the elderly patients as indicated, and there is a need to pay careful attention to administration of the alternative drugs.
著者
加藤 圭介 野沢 和典 山下 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.124, pp.223-228, 2003-12-18

本報告では、日本人英語学習者の英文発話における韻律を自動評定する手法について述べる。学習者と英語母語話者の発話を比較し、基本周波数、パワー、発話長の類似度を算出して韻律パラメータとする。2つの発話を比較する際には単語や単語境界部などさまざまな比較単位ごとに比較し、比較単位による結果の違いを考察した。また、基本周波数とパワーに関してはパターン距離などの従来手法に加え、回帰曲線近似誤差を用いた評定手法を提案し、評定結果の妥当性を検証した。さらに、複数の韻律パラメータを組合せ、学習者発話の韻律を評定するモデルを作成した。In this paper, we describe techniques to score prosody of sentence speech uttered by English learners. Based on the comparison between learners' speech and native speaker's speech, we make prosodic parameters by calculating the similarity of learners' speech and native speaker's speech about F0, power and duration. The comparison is carried out every comparison unit, such as a word, a word boundary, and so on. We try a new scoring measure in terms of approximate error of regression fitting, as well as pattern distance, for F0 and power. Moreover, we make a multiple regression model for scoring prosody of English learners' speech by combining two or more prosodic parameters.
著者
大倉 健宏 村上 賢 加藤 行男
出版者
麻布大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

2012年から2014年にかけて実施した国内および米国での調査結果を分析し、「ペットフレンドリーなコミュニティ」を大都市の文脈から論じた。本研究では「飼い主」と「公園」および「ペット友人」をネットワークと考える。「ペットフレンドリーなコミュニティ」が飼い犬を中心として、ペットと共生できる街を提案する意義は大きいと考える。そこでは下位文化による結合が、「相談」「親交」「実用的」のいずれにも収斂しえない、住民の「ペットフレンドリーなコミュニティにおけるシビリティ」が想定されるだろう。
著者
加藤 千枝
出版者
社会情報学会
雑誌
社会情報学会(SSI)学会大会研究発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.247-252, 2012

The author clarified that relation between difficulty in human-relations and e-mail use of girls' high school students. As a result, there were 19 episodes of difficulty in human-relations related to e-mail use and we could classify them in six types. In addition, we found some episodes of maintained relations and the others broken off. In episodes of maintained relations, there were common territories in the real world, but there were no territories in episodes of relations broken off. Moreover, we found personal spaces in the Internet, and some girls had displeasure in being infringed on their personal spaces.
著者
小林 雅夫 兼平 千裕 加藤 孝邦 青柳 裕
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.159-165, 2003-03-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
16
被引用文献数
1

鼻前庭扁平上皮癌5例に小線源治療主体の放射線治療を施行した。鼻前庭に限局した3例には外部照射40Gy後に鼻腔内へ1cm径, 2cm長のアプリケータを挿入し, 18-20Gy/4frの高線量率腔内照射 (1例ではさらにAuグレインによる組織内照射を追加) を行った。鼻唇溝皮膚に浸潤した2例には外部照射50-60Gy後に30-40Gy/3-4日の低線量率組織内照射を施行した。1年2ケ月で他癌死 (肺癌) した1例を除くと全例 (7年8ケ月, 7年2ケ月, 2年6ケ月, 4ケ月) とも無病生存であった。重篤な晩期有害事象は認めなかった。T1-2N0鼻前庭扁平上皮癌に対しては, 小線源治療を主体とした放射線治療で高い局所制御率が得られ, 美容の面でも優れていた。鼻前庭に限局した病変には組織内照射と比べてより侵襲が少なく, 外来で治療可能な高線量率腔内照射が適していると思われた。