著者
加藤 貴雄
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Suppl2, pp.5-19, 2008-03-25 (Released:2010-09-09)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

QT延長症候群には, 遺伝的素因を有する先天性QT延長症候群と, 種々の外因によって生じる後天性 (二次性) QT延長症候群がある、先天性QT延長症候群は, 遺伝子異常に基づいて詳細に分類され, 病型によってQTの延び方やT波の形態に特徴があり, それぞれの異常遺伝子によるさまざまなチャネル電流の変化との関係が明らかにされつつある.一方, 最近薬剤による後天性 (二次性) QT延長症候群がきわめて重要視されるようになってきた.抗不整脈薬のみならず, 多くの非循環器薬でも高率にQT延長をきたし, 一部Torsades de pointes型多形性心室頻拍による突然死例も報告されている.新たな薬剤開発に際しても, QT延長リスクの詳細な検討が義務付けられるようになってきた, このような状況から, より詳細で客観的なQT時間計測法, QT延長評価法の開発が急務で, 臨床の現場においてもこれに対応したさまざまな工夫がなされている.
著者
宇野 彰 金子 真人 春原 則子 松田 博史 加藤 元一郎 笠原 麻里
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.130-136, 2002 (Released:2006-04-24)
参考文献数
33
被引用文献数
23 13

発達性読み書き障害について神経心理学的および認知神経心理学的検討を行った。はじめに, 読み書き検査を作成し健常児童の基準値を算出した。次に, 検査結果に基づいて 22名の発達性読み書き障害児を抽出し対象者とした。7~12歳までの男児 20名と女児 2名である。WISC-III, もしくは WISC-Rでの平均IQは 103.0, 言語性IQ 103.1, 動作性IQ 102.4であった。パトラック法による SPECTでは, 左側頭頭頂葉領域で右の同部位に比べて 10%以上の局所脳血流量の低下が認められた。音韻情報処理過程と視覚情報処理過程に関する検査を実施した結果, 双方の処理過程に問題が認められた児童が多かった。以上より, 発達性読み書き障害は局所大脳機能低下を背景とする高次神経機能障害であると思われ, 音韻情報処理過程の障害だけでなく, 少なくとも視覚情報処理過程にも障害を有することが多いと思われた。
著者
橋本 直樹 薗部 正和 加藤 尚志 村上 徹
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
pp.19-00095, (Released:2019-09-05)
参考文献数
11

JR east is developing a new ground coil to handle future speed increments in Shinkansen trains, as it is necessary to expand response distance of ground coils to cope with higher speeds. In addition, when lowering the mounting position of ground coils (as a measure against damage from falling ice), a need arises to adjust (expand) response distance. Therefore, in this research, we investigated measures to expand response distance of ground coils from the view point of feasibility, while maintaining compatibility with the current method. This research proved that an external power supply is effective for expanding response distance, so we have built a prototype ground coil with a built-in battery as a means of external power supply. The voltage detection control circuit supplies battery power only when electromagnetic waves are detected. The circuit configuration also uses a voltage induced by electromagnetic waves. This allows the battery to be used for more than 10 years. The high-speed rotation test confirmed that the prototype ground coil is capable of coping with 400 km/h even 300 mm from the ground coil and the on-board antenna. A falling-weight test confirmed that a new sturdier mounting base was capable of withstanding a load equivalent of 400 km/h. Since it was conformed that the prototype’s sufficient performance, we now plan to conduct a field test for practical use.
著者
加藤 隆雄
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.5-24, 1997-10-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
37
被引用文献数
2

Why does traditional femininity persist even though women seemingly have become free from traditional constraints? The types of answers to this question are that women adopt traditional femininity by (1) compulsory selection;(2) rational selection;(3) subjective selection;(4) unconscious selection. Each of these is insufficient. This paper suggests some integrated vision for this problem by focusing on the female culture (of younger women), especially its property as capital. Data from the survey reveals the ingredients of the female culture:(a) consummatory factor, (b) domestic factor, and (c) girls' culture factor. Each of them is related to traditional femininity through the DELAY-FUNCTION and the TRANFORMATIVE-FUNCTION (of meaning). The subjectively experienced meaning of the female culture are delay-transformed for reasons of the resemblance of the appearance to the factors of traditional femininity. This function can be precisely formulated as the function of HABITUS (Pierre Bourdieu's term). But Bourdieu did not explain habitus in the context of femininity and women's deprivation. So an extended concept for femininity is required. Habitus is the incarnated form of the capital (Bourdieu especially insisted capital culturel, i. e. CULTURAL CAPITAL). And this capital functions only in the FIELD (“Champ”) that is correlated and reflexively defined with capital. I named such FIELD as related women's properties as “PATRIARCHAL FIELD”, and its correlated capital as “PATRIARCHAL CAPITAL”. The patriarchal capital, as with other forms of capital such as cultural capital, economic capital and social capital, produces profits only within its field, and converts former forms into another. This process corresponds to the transformative function.Female culture and gender formation of women can be interpreted by Bourdieu's model. And this model will be able to explicate the hidden process of “the reproduction of gender” by the analysis of the conversion of and between such capital as discussed above.
著者
太田 剛 加藤 浩 森本 容介
出版者
教育システム情報学会
雑誌
教育システム情報学会誌 (ISSN:13414135)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.204-214, 2018-04-01 (Released:2018-05-25)
参考文献数
26

We developed a comprehensive learning-support system for Scratch, a visual programming language. It provides automatic assessment of computational thinking concepts such as conditional statements, loops, data, and parallelism in order to develop students’ programming skills. It also provides more than 60 sample functions that are commonly used in Scratch projects, and analyzes automatically which functions are used in a project. The system could be used in supporting mentors and learners of programming learning, and analyzing a lot of programs to understand how learners master programming.
著者
保理江 高志 榮樂 英樹 品川 高廣 加藤 和彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. [システムソフトウェアとオペレーティング・システム] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.110, pp.35-42, 2009-01-21
参考文献数
12

「セキュアVMプロジェクト」では2006年より、仮想マシンモニタ技術に基づくセキュアなコンピューティング基盤の実現を目指し、仮想マシンモニタ(以下、VMM)BitVisorの開発を行っている。BitVisorはICカード認証、ストレージの暗号化、仮想プライベートネットワーク(以下、VPN)の機能を提供し、それらを上位で稼働するオペレーティングシステム(以下、OS)からは不可避のものとして、強制することができる。本稿では、ダイレクトメモリアクセス(以下、DMA)に起因する不正アクセスのリスクを排除するため、"Intel VT for Directed I/O (VT-d)"等のハードウェアベースのI/O仮想化支援技術に基づいた機能拡張に関する検討及び実装について報告する。
著者
船山 道隆 前田 貴記 三村 將 加藤 元一郎
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.40-48, 2009-03-31 (Released:2010-06-02)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

両側前頭葉損傷後,強制的に人物とりわけ人の眼を中心に凝視ないしは注視 (forced gazing) を続ける2 症例を報告した。この2 例では,人が視界に入れば必ず凝視ないしは注視が誘発され,人が視界から消えるまで持続した。すなわち,この行動は,外部環境刺激に対して戸惑うことなく駆動され継続した。  forced gazing は,能動性がほとんどみられない患者に出現する,外部の環境刺激に対して視線が自動的に反応する被影響性が亢進した現象と考えられ,また前頭葉の損傷による抑制障害のため頭頂葉の機能が解放された結果,これらの行為/行動が出現したと考えた。本2 症例は前頭眼野を含む広範な両側前頭葉損傷であった。本2 症例に随伴した把握現象や道具の強迫的使用から両側前頭葉内側面損傷がforced gazing の責任病巣の中で最も重要と考えられ,前頭眼野も責任病巣の1 つと考えられた。
著者
宮﨑 茂明 鳥取部 光司 帖佐 悦男 石田 康行 河原 勝博 渡辺 将成 屋嘉部 愛子 平安 堅吾 濱野 友生 常盤 直孝 加藤 浩
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.703-708, 2013

〔目的〕投球動作における体幹回旋運動と肩甲帯周囲の筋活動の関連性を検討することである.〔対象〕高校の野球部投手(疼痛既往肩8名,コントロール10名)とした.〔方法〕検討項目は投球動作時の胸郭および骨盤回旋角度とその変化量,表面筋電図周波数解析による肩甲帯周囲の筋活動(平均周波数とその差分)とした.〔結果〕疼痛既往肩の投手は,胸郭回旋角度の変化量ではコッキング期に有意に低値を,加速期に有意に高値を示した.骨盤回旋角度の変化量はコッキング期に有意に低値を示した.肩甲帯周囲の筋活動はコッキング期に僧帽筋下部線維,前鋸筋で有意に低値を示した.〔結語〕投球障害肩の発生要因として,体幹回旋運動減少と肩甲帯周囲の筋収縮リズムに生ずるインバランスにより,肩関節への負荷が増大した可能性がある. <br>
著者
加藤 禎行
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:18826393)
巻号頁・発行日
no.13, pp.79-89, 2020-03-31

This article introduces three letters of Sata Ineko addressed to Narasaki Tsutomu. Narasaki Tsutomu (1901-1978)was an editor of the literary magazine Shincho in 1926-1945,and Sata Ineko(1904-1998) was a female writer known for her masterpiece KURENAI. Through the investigation of these letters, some of the new facts on Sata Ineko's and Narasaki Tsutomu's biographies were made clear.
著者
加藤 一郎
出版者
国立音楽大学
雑誌
音楽研究 : 大学院研究年報 (ISSN:02894807)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.41-56, 2014

本研究はバッハ復興の機運が高まりつつあった19世紀初頭にポーランドで生まれ、フランスで活動したピアノの巨匠フレデリック・ショパン(1810〜1849)が、どのようにバッハを受容していたかを、彼の弟子ポーリーヌ・カザレンの楽譜に記されたショパンの書き込みを基に考察したものである。全ての調による《24の前奏曲》作品28を書いたショパンの音楽は、様々な要素とレベルにおいて、バッハの音楽から大きな影響を受けていたと言われている。しかし、これまでショパンがバッハをどのように受容していたかを示す具体的な資料が明らかにされて来なかった為に、この分野の研究は類推的な段階に留まっていた。そうした中で、カザレンが用いていたバッハ《平均律クラヴィーア曲集》全2巻の楽譜が見つかり、そのうち、ショパンの手による書き込みが記されている第1巻の楽譜が2010年にパリ音楽学協会から複写版の形で刊行された(J.S.Bach.Vingt-Quatre Preludes et Fugues (Le Clavier bien tempere. Livre I) Annote par Frederic Chopin.Commentaire de Jean-Jacques Eigeldinger. Paris: Societe Fran&ccedil;aise de Musicologie.2010.)。本研究では、この楽譜に記されたショパンの書き込みを詳細に検討することによって、次のような知見を得ることができた。先ず、ショパンはカザレンの楽譜の第1番のプレリュードから第7番のプレリュードに亘って、当時、パリのヴェーヴェ・ロネール社から刊行されていたチェルニー版の注釈を、ほぼ完全な形で転記していた。これは、ショパンがチェルニーの校訂に一定の理解を示していたことと共に、この楽譜の教育的な価値を試そうとしていたことが推測される。ショパン独自の書き込みについては、テキストの修正、フーガにおける分析的な注釈、演奏に関する注釈に大別される。テキストの修正は本研究で最も重要なものであり、そこにはショパン独特な音響感覚が示されていた。彼は多くの個所でバッハが用いた自然的短音階を和声的短音階に修正しており、そこに含まれる半音進行と増2度進行は独特な歪な響きを作り出していた。また、テキストの修正には不協和音程の回避、拍毎に調が変化する調性の流動性、理論的な正当性に基づく音の修正、そして、3度の二重トリルといった彼独自のピアノ奏法を示すものも含まれていた。フーガにおける分析的な注釈は、フーガのテーマの開始部分と終了部分にテーマの形に応じて印を振るものであり、これはケルビーニの『対位法とフーガ講座』にも用いられている方法であった。演奏に関する注釈には彼独特な同じ指の連続使用を含む運指法や左右の手の取り分け、オルゲルプンクト等の重要な音に注意を向ける指示、更に、スティル・ブリゼといったフランス・バロックに由来する古典的な装飾技法等が含まれていた。本稿で得られた新たな示唆によって、ショパン理解が進展し、ショパン演奏に活かされることを願う次第である。
著者
加藤 正也 今高 城治 岡本 健太郎 谷 有希子 山口 岳史 荻野 恵 土岡 丘 加藤 広行 有阪 治 Masaya Kato George Imataka Kentaro Okamoto Yukiko Tani Takeshi Yamaguchi Kei Ogino Takashi Tuchioka Hiroyuki Kato Osamu Arisaka 獨協医科大学医学部 小児科学 獨協医科大学医学部 小児科学 獨協医科大学医学部 第一外科学 獨協医科大学医学部 第一外科学 獨協医科大学医学部 第一外科学 獨協医科大学医学部 第一外科学 獨協医科大学医学部 第一外科学 獨協医科大学医学部 第一外科学 獨協医科大学医学部 小児科学 Department Of Pediatrics Dokkyo Medical University Department Of Pediatrics Dokkyo Medical University First Department Of Surgery Dokkyo Medical University First Department Of Surgery Dokkyo Medical University First Department Of Surgery Dokkyo Medical University First Department Of Surgery Dokkyo Medical University First Department Of Surgery Dokkyo Medical University First Department Of Surgery Dokkyo Medical University Department Of Pediatrics Dokkyo Medical University
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.173-176, 2014-07-25

症例1は6歳女児.インフルエンザ感染症初日に発熱しオセルタミビルを開始.第3病日,右下腹部に限局した圧痛が出現.腹部造影CTで糞石を認め急性虫垂炎と診断.保存的に加療し炎症反応と腹痛は改善した.症例2は5歳女児.第1病日に発熱と腹痛を認め,第3病日に鼻咽腔迅速検査でインフルエンザB型と診断しザナミビル吸入を開始.触診で右下腹部に反跳痛を認め,腹部単純CTで虫垂壁の肥厚と糞石を確認.急性虫垂炎の併発と診断し,第4病日に虫垂切除術を施行.切除虫垂に膿瘍を認め腹腔ドレーンを留置.第5病日に解熱し経過は順調であった.インフルエンザに伴う腹痛では感染に付随する腹痛と断定せず急性虫垂炎の可能性も考慮し腹部CTなどの画像検査を行うことが肝要である.
著者
加藤 拓也 稲本 万里子 小長谷 明彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.2D105, 2018 (Released:2018-07-30)

源氏絵とは,『源氏物語』を題材とした絵画の総称である.源氏絵の絵師には土佐派をはじめ狩野派,岩佐派,など多数の流派があり,各流派独自の個性がある.これまでに見つかった作品にはどの流派の絵師が描いたかわからないものがあり,美術史の専門家たち中でも意見が分かれている.そのため新たな知見から流派を判断する手法が望まれる.近年,深層学習の一種である畳み込みニューラルネットワークの画像分類能力の向上は著しく,一部の分野では人間よりも高いという報告もある.深層学習では特徴量がデータから学習されるため,これまで人間が発見していない特徴量に基づく分類をすることが期待できる.本稿では,深層学習による物体検出手法を用いて顔を自動認識し,畳み込みニューラルネットワークにより流派を推定する.5分割交叉検証を行った結果,96.5%の精度で分類することに成功した.