著者
北村 和哉 飯田 宗穂
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

潰瘍性大腸炎は原因不明の腸管の慢性炎症性疾患であるが、その一因に腸内細菌叢の乱れが存在する。この乱れを是正する方法として糞便細菌叢移植がある。糞便細菌叢移植を成功させる要素として、移植細菌の患者粘膜への生着が重要である。本研究では、移植細菌が患者粘膜に生着する免疫学的機序を明らかにすることを目的とした。今研究の結果、糞便細菌叢移植の移植細菌の生着に、ステロイドが負の役割を果たすことが明らかとなった。このステロイドの作用は、主に粘液中のMUC2の発現抑制によるものであり、外的に粘液を投与したり、内的な粘液分泌を促すレバミピド投与で、移植細菌叢の生着が改善することが明らかとなった。
著者
三井 康裕 寺前 智史 田中 久美子 藤本 将太 北村 晋志 岡本 耕一 宮本 弘志 佐藤 康史 六車 直樹 高山 哲治
出版者
一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
雑誌
家族性腫瘍 (ISSN:13461052)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.53-59, 2019 (Released:2020-02-29)
参考文献数
28

GAPPSは胃底腺ポリポーシスを背景とした胃癌を発生する新規の常染色体優性遺伝性疾患である.その原因としてAdenomatous polyposis coli(APC)遺伝子promotor 1Bの病的バリアントが報告されている.GAPPSの報告は欧米の家系のみであったが,近年になって本邦からも少数例認められるようになった.しかし,Helicobacter pylori感染率が高い本邦においては疾患の拾い上げが十分でない可能性がある.また,GAPPSの自然史は未だ不明な点が多く,臨床的に高い悪性度を示すものの,予防的胃全摘術の適応を含むサーベイランス方法は十分に定まっていない.今後,本邦をはじめ,より大規模な調査によりGAPPSの臨床病理学的特徴,病態およびサーベイランスのあり方について十分に検討する必要がある.
著者
北村 文雄 堀内 孝雄
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.112-116, 1983-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
12

サクラ類には多くの種・変種・品種があるが, 寒冷地に適するものは多いとはいえず, 北日本に植栽する場合に種類の選択が問題となる。本研究はサクラ類の植栽利用に関する研究の一環として, 寒冷地における植栽利用の基礎になるサクラ類の耐寒性について, 実験的に追求したものである。サクラ類の枝を低温処理し, その後の生育状態の調査をもとに耐寒性の分類を行い。その適合性の検討を行った結果を報告している。サクラ類には多くの種・変種・品種があるが, 寒冷地に適するものは多いとはいえず, 北日本に植栽する場合に種類の選択が問題となる。本研究はサクラ類の植栽利用に関する研究の一環として, 寒冷地における植栽利用の基礎になるサクラ類の耐寒性について, 実験的に追求したものである。サクラ類の枝を低温処理し, その後の生育状態の調査をもとに耐寒性の分類を行い。その適合性の検討を行った結果を報告している。
著者
鏑木 豊 田辺 俊成 義澤 雄介 飯泉 陽子 北村 啓次郎
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.292-295, 1998 (Released:2010-08-25)
参考文献数
9

42歳男性。南会津の山中を歩いた10日後より, 38℃ 台の発熱, 右鼠径リンパ節腫大と全身に多発散在する小紅斑が出現した。近医にてセファロスポリン系の抗生剤が投与されたが症状が改善しないため当科を受診した。皮疹は自覚症なく小豆大ないし爪甲大の紅斑で浸潤を触れない。右下腿に刺し口が見られた。ツツガムシ病を疑い検査を進めたところ, 免疫ペルオキシダーゼ法でKarp型リケッチア感染と診断された。ミノサイクリン経口投与により治癒せしめた。
著者
北村 八祥 森 利樹 小堀 純奈 山田 信二 清水 秀巳
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.89-95, 2015 (Released:2015-03-31)
参考文献数
9
被引用文献数
8 8

炭疽病抵抗性と極早生性を併せ持つ高品質な促成栽培用イチゴ品種‘かおり野’を育成した.1990年に‘女峰’,‘アイベリー’,‘とよのか’および‘宝交早生’の間の総当り交配により育成を開始し,その後‘章姫’,‘あかしゃのみつこ’,‘とちおとめ’および育成集団から品種化された‘サンチーゴ’を交配親として加えながら,9世代に亘り相互に交配を繰り返して改良した炭疽病抵抗性系統群のうち,系統‘0028401’と系統‘0023001’を2003年に交配して得られた実生から選抜された.特性調査,現地適応性試験を経て2008年に品種登録出願を行い,2010年に品種登録された.最重要病害であるイチゴ炭疽病に対して,‘宝交早生’および‘サンチーゴ’と同等の強い抵抗性を持つ.‘章姫’よりも強い早生性を示し,普通促成栽培において11月下旬から収穫を開始することができ,12月までの早期収量,3月まで総収量ともに高い.食味は高糖度,低酸度で甘みを感じやすく,上品な香りを特徴としている.果実は大きく,果形は円錐形で,果皮は光沢の強い橙赤色,果肉色と果心色は白である.品種の普及には,行政,研究および普及の各組織と生産者団体が一体になったプロジェクトにより取り組み,三重県に限定せずに県内外の生産者に生産を認める許諾制度を設け,栽培指針を改良しながら消費者に対する販売促進を進めた結果,‘かおり野’を選択する生産者は三重県内外で大きく増加した.
著者
北村 正樹
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.109-112, 1997-02-15 (Released:2011-08-16)
参考文献数
7
被引用文献数
1
著者
北村 大介
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

自己免疫疾患や慢性アレルギーといった免疫病の原因である自己抗体やIgE抗体の産生機序は不明である。しかい近年、B細胞除去療法の結果より、記憶B細胞の断続的な活性化が長期抗体産生に関わっていること、また、記憶B細胞の抗原提示・エフェクター機能が病因として注目されている。本研究では、このような病原性記憶B細胞に焦点を当て、自己免疫疾患の病態における記憶B細胞の役割や作用機序、制御機構を明らかにし、病原性記憶B細胞を標的とした免疫制御方法を見出すことを目的とする。その成果は、自然抗体や制御性B細胞を損なうことのない、免疫病の新たな原因療法の創出に繋がると期待される。
著者
伊藤 詩織 北村 勝朗
出版者
日本スポーツパフォーマンス学会
雑誌
スポーツパフォーマンス研究 (ISSN:21871787)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.9-23, 2023 (Released:2023-03-16)
参考文献数
25

女性競技者の月経に対する支援自体は存在するが,利用につながっていない点,支援を受けていると感じられていない点が課題として挙げられる.女性競技者の月経に対する考え方やその視点から見える環境などを詳細に聞き取り,知ることが重要と考えられるため,本研究では,女性競技者の月経に関わる現象を聞き取り,探求することを目的とする.経験や認知,行動といった現象を探求する目的で半構造化インタビューを実施し,個別性を明らかにするため,1 名を対象に深く考究する.質的データ分析方法に基づいた分析の結果,女性競技者と月経との関係性は,【パフォーマンスに必要な身体感覚】【試合に被って欲しくない月経】【自分に合った月経サポートが見つからない】および【競技における信念】の4 つのカテゴリーによって示された.月経に関するさまざまな経験をすることで,女性競技者の各カテゴリーは循環するように互いに影響を及ぼし合い,信念や対処方法を変化させていく点が推察された.競技者に月経という現象がただ付随しているのではなく,月経があることで生じる競技者特有の問題が生じ,競技生活を送る個人の思考や感覚,人間関係の中全体に月経が存在していることが見出され,困難や葛藤,対処が生じている点が見出された
著者
小和田 侑希 内田 大貴 北村 亘
出版者
アクオス研究所
雑誌
水生動物 (ISSN:24348643)
巻号頁・発行日
vol.2023, pp.AA2023-4, 2023-02-20 (Released:2023-02-20)

The bluegill Lepomis macrochirus, an invasive alien fish species, has been confirmed in the Tsurumi River in Kanagawa Prefecture, Japan. To investigate the impact of the bluegill on native species in terms of predation and competition, the stomach contents of the bluegill captured in the Tsurumi River were analyzed. Invertebrates predominated the stomach contents and no fish species was observed, in which larvae of the insect family Chironomidae were the most abundant, followed by an amphipod Crangonyx floridanus and an insect Micronecta sahlbergii. These results suggest that the bluegill may be exerting a foraging influence on native species.
著者
内海 好規 吉田 真由美 Perigio B. Francisco Jr. 澤田 隆行 北村 進一 中村 保典
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
Journal of Applied Glycoscience (ISSN:13447882)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.215-222, 2009 (Released:2010-01-29)
参考文献数
42
被引用文献数
9 15

植物はデンプンを合成するために進化の過程で異なる機能を持つ酵素アイソザイムを分化させてきた.デンプン枝作り酵素(BE)はα-グルカンのα-1,6グルコシド結合を形成する唯一の酵素であり,アミロペクチンのタンデムクラスター構造の形成に必須である.アミロペクチン分子の分岐結合の位置と数に認められる高度の規則性はBE反応により制御されており,アミロペクチン構造のバリエーションはデンプンの性質を決定する重要な因子である.したがってデンプン構造の生合成調節メカニズムを解明する上でBEの特性に関する理解は不可欠であるが,BEの反応メカニズムは依然ほとんど不明である.BE特性解明の第一歩は酵素動力学的解析であるが,再現性良く活性を定量し,しかも多数のサンプルを簡便に分析できる方法がなかった.本研究では,BE枝作り反応の結果,生ずるα-1,6グルコシド結合を枝切り処理後,増加する還元末端数を定量することによって活性を直接測定する方法を確立することを目的とした.まず,還元末端数を定量できる銅-ビシンコニニック酸法(BCA法)の基本特性を調べた.その結果,1)BCA法では,560 nmの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定することにより,測定液150 μLあたり0-3.75 nmol(0-25 μM相当)のマルトースを定量することができ,その吸光度は呈色反応終了後10時間まで安定であった.2)グルコースからグルコース数平均重合度(DPn)1658の酵素合成アミロースに対して,分子数あたりの還元糖量は一定で,DP値の影響を受けなかった.3)大腸菌に発現させたイネリコンビナントBEIIb(rOsBEIIb)の活性と特性を調べた結果,酵素合成アミロースやアミロペクチンに対して信頼性の高いKm値やVmax値を求めることができた.結論として,BCA法は従来法に比べて,BE活性を定量するための優れた方法であることが明らかになった.
著者
西郷 健一 中岡 博史 早野 崇秀 Phuong Thanh NGUYEN 青山 博道 圷 尚武 北村 博司 丸山 通広 井ノ上 逸朗
出版者
一般社団法人 日本臓器保存生物医学会
雑誌
Organ Biology (ISSN:13405152)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.007-014, 2023 (Released:2023-02-21)
参考文献数
22

Acute or chronic graft rejection is the primary threat to transplant recipients. The golden standard for rejection diagnosis is invasive biopsy. Measurement of donor derived cell free DNA (ddcfDNA) in the blood have been described as a non-invasive biomarker for organ transplantations. To develop a diagnostic system to detect graft injury before diagnosis by biopsy, we established capture-based sequencing procedure on extracted cf DNA which targets 1000 selected single nucleotide polymorphism sites. The ddcfDNA percentages were highly elevated on the first days after transplantation, but ddcfDNA percentages were decreased gradually within 7-14 days in stable patients with no sign of rejection. In 80% of cases having rejection episodes and all cases having biopsy proven rejection, ddcfDNA levels showed greater expressive signals on days of rejection episode. Additionally, we found evidences showing that ddcfDNA level sensitively corresponded with immunosuppressant dosages which were administered on recipients. This non-invasive method enables us close follow up the graft injury and prevent graft rejection.
著者
北村西望著
出版者
日本経済新聞社
巻号頁・発行日
1983
著者
北村西望〔作〕
出版者
新三多摩新聞社
巻号頁・発行日
1982
著者
北村 美紀 森 恵美 前原 邦江
出版者
一般社団法人 日本母性看護学会
雑誌
日本母性看護学会誌 (ISSN:1345773X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.9-16, 2022-10-28 (Released:2022-10-29)
参考文献数
16

本研究の目的は、生後4か月までの双子の親の子育てにおけるソーシャル・サポート体験を明らかにすることであった。双子の親22名を対象に半構造化面接を行い、質的帰納的に分析した。その結果、8テーマ:【双子の子育て奮闘中の私への自分時間の享受】、【双子の子育て奮闘中の私に対する寄り添いへの感謝と不満】、【連携・協働による双子一人ひとりを尊重した私なりの子育てへの自信】、【双子の子育ての協働・巻き込みに対する申し訳なさと感謝】、【私と双子の子育てに関する専門的・情報的支援に対する満足と要望】、【双子の親同士の交流による子育て体験の共有と情報の活用】、【私たち夫婦なりの双子の子育てにおける協働の自信】、【双子の子育てに対する私たち夫婦なりの多様な資源の活用】が見出された。双子の親やその家族に対し、妊娠期から産後の子育て生活に関する具体的な情報提供、支援の必要性の理解促進、悩みや不安を相談できる場の提供等の看護支援の必要性が示唆された。
著者
石黒 智紀 松井 照明 松本 圭司 渡邊 由香利 濵嶋 浩 池山 貴也 窪田 祥平 北村 勝誠 高里 良宏 杉浦 至郎 伊藤 浩明
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.70, no.9, pp.1207-1210, 2021 (Released:2021-11-10)
参考文献数
7

12歳,女児.既往に気管支喘息,アレルギー性鼻炎あり.自宅で作ったたこ焼きを4個摂取直後にアナフィラキシーショック,呼吸不全を認めた.開封後1カ月間室温で保存したたこ焼き粉を使用したこと,ダニ抗原特異的IgEがクラス6と強陽性であったことからパンケーキ症候群を疑った.被疑粉が破棄されていた為,冷蔵保存されていたたこ焼きから虫体数と抗原量の測定を試みた.ワイルドマン・フラスコ法によるダニの洗い出しとELISA法による抗原量測定を実施した.結果は,コナヒョウヒダニ430匹/gを認め診断に至った.ELISAではDer f 1 21.1ng/gを検出したが,これは虫体数に比して少なかった.検出されたダニ抗原量が少なかった原因として,加熱や還元剤による抗原性の減弱,ダニ抗原とグルテンとのジスルフィド結合による不溶化等が考えられた.パンケーキ症候群が疑われるが被疑粉の入手が困難な場合,調理された食品の鏡検を行うことで直接ダニ虫体を確認することを考慮すべきである.