著者
河嵜 唯衣 赤松 利恵 酒井 雅司 藤原 恵子 玉浦 有紀
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.175-184, 2021-08-01 (Released:2021-10-02)
参考文献数
29

【目的】高齢の入院患者等の栄養管理に関する看護・介護職員の態度尺度(The Staff Attitudes to Nutritional Nursing Geriatric Care Scale: SANN-G)の日本語版を作成し,妥当性・信頼性を評価すること。【方法】日本語に翻訳したSANN-G18項目を用いて,自記式質問紙調査を実施し,都内の病院及び介護老人保健施設に勤務する看護師・看護助手及び介護士計493名が回答した。1か月後,回答者のうち108名を対象に再調査を実施した。構成概念妥当性,基準関連妥当性,内部一貫性及び再現信頼性を検討した。【結果】490名を解析対象とした(適格率99.4%)。探索的因子分析の結果,2因子10項目が得られ,確証的因子分析の適合度指標も良好な値が得られた。10項目のクロンバックαは0.733であり,初回調査と再調査の合計得点の相関係数は,ρ=0.628(p<0.001)だった。基準関連妥当性の検討では,栄養管理の知識,栄養管理より優先される業務負荷及び入院患者等の栄養管理に関する情報共有との相関係数は,それぞれρ=-0.021(p=0.639),0.158(p<0.001),0.176(p<0.001)だった。【結論】SANN-G日本語版は,原版の因子構造とは異なっていたものの,妥当性・信頼性が確認された。
著者
山西 貞 花井 精子 福原 恵子 稲垣 長典
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
お茶の水女子大学自然科学報告 (ISSN:00298190)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.101-108, 1954-08

我々は,比較的精度がよくて簡単な罐詰魚肉(赤身魚肉)の鮮度判定法を見出した。この方法は,魚肉の水抽出液中のHistamineをPaper Chromatographyにより定量し,判定の目やすとするものである。この場合,Histamineの量はHistamine-Spotの面積から算出する。実際に,この方法をサンマ水煮罐詰魚肉の検査に適用し,従来の揮発性塩基やTrime-thylamineの定量による方法より優れていることを認めた。終りに,この研究において有益なご助言を頂いた当研究室の辻村みちよ教授,ならびに研究の進行に種々の面でご援助頂いた東大農芸化学藤巻正生講師に深甚の謝意を表する。
著者
高橋 晶 伊藤 ますみ 岡崎 光俊 田中 晋 原 恵子 渡辺 雅子 開道 貴信 大槻 泰介 加藤 昌明 大沼 悌一
出版者
日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 = Journal of the Japan Epilepsy Society (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.74-80, 2007-08-31
参考文献数
9

われわれは成人期に脳出血が生じ、初めてウィリス動脈輪閉塞症(もやもや病)と確定診断された側頭葉てんかんの1例を経験した。症例は36歳男性。8歳時月に1&sim;2回の嘔吐から始まる短い意識減損発作が出現した。17歳時、脳波上左前側頭部に棘波を認め側頭葉てんかんと診断された。27歳時けいれん発作重積とひき続くもうろう状態が2日持続した。その後MRIにて両側海馬硬化、右脳内出血瘢痕を認めた。36歳時、遷延する意識障害を呈し画像所見にて脳内出血を認め、もやもや病と診断された。本例の発作は、臨床症状および脳波所見からは側頭葉起源のてんかん発作と考えられ、もやもや病は偶発的に合併したものと判断した。ただし、てんかん原性獲得にもやもや病による慢性的血行動態異常が関与した可能性は考えられた。以上からてんかんの経過中であっても他の脳器質疾患の並存を考慮すべきと思われた。<br>
著者
堀川 俊二 只佐 宣子 平原 恵子 井藤 久子 森末 志津恵 原田 貴治 江木 康夫 大森 一郎
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.16-21, 2008

平成18年はノロウイルスを原因とした感染性胃腸炎が早くから発生し,医療施設,老人福祉施設等での集団発生が多発した。JA吉田総合病院においても,平成18年10月3日~17日の間に,6病棟のうち3つの病棟で嘔吐・下痢症状を有する者,入院患者29名,職員18名,合計47名を認めた。保健所へ報告,緊急院内感染予防対策委員会を開催し,現状の把握,感染拡大防止策,有症者への説明,入院制限,面会制限等を保健所の指導下で行ない,10月17日には新規有症者は0となった。Infection Control Team (以下,ICT) は集団発生事例の調査検討を行ない,現行のマニュアルを見直し,緊急時の対応,各職員の職務分掌,環境整備の方法等「感染性胃腸炎発生対応マニュアル・作業マニュアル」を作成した。ICTは,感染対策の知識の普及とともに,いかなる場合でも実働部隊として対応できる準備をしておく必要がある。
著者
柄澤 美季 玉浦 有紀 藤原 恵子 西村 一弘 酒井 雅司 赤松 利恵
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.179-187, 2020-10-01 (Released:2020-11-09)
参考文献数
32

【目的】地域活動参加頻度,参加する活動の種類数を用いた地域活動参加状況と主観的健康感の組合せを用い,介護予防事業参加高齢者の特徴を把握すること。【方法】2018年6~12月,東京都東村山市の介護予防事業参加者に自記式質問紙調査を実施した。解析対象は153人であった。質問紙では,地域活動参加状況,主観的健康感,ソーシャルサポート種類数・満足度,属性,地域活動に関するセルフ・エフィカシーをたずねた。地域活動参加状況と主観的健康感の組合せごとに,参加者の特徴をχ2 検定,Kruskal-Wallis検定で比較した。【結果】頻度・種類数の少なくとも一方が高い者を参加高群,いずれも低い者を参加低群としたとき,参加高・健康群は106人(69.3%)が該当した。参加低・健康群(28人,18.3%)は,一人暮らしが多く(p=0.024),参加高・健康群に比べ,ソーシャルサポート種類数は少ないが(p<0.001),その満足度には差はなかった。参加高・不健康群(9人,5.9%)は,参加高・健康群に比べ,地域活動に関するセルフ・エフィカシー得点が低かった(p=0.001)。【結論】地域活動への参加が多い者は,参加が少ない者に比べ,主観的健康感が高い者が多かったが,地域活動への参加が少ない者でも健康だと感じる者が存在し,地域活動参加状況と主観的健康感の組合せで特徴が異なった。
著者
玉浦 有紀 赤松 利恵 藤原 恵子 西村 一弘 柄澤 美季 酒井 雅司
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.89-101, 2020-06-01 (Released:2020-07-17)
参考文献数
21

【目的】高齢者の社会的フレイル改善で重要視される「社会参加」に焦点を充て,参加状況とその背景にある実態(課題・ニーズ)を把握する。【方法】都内1地域の集合住宅839世帯を対象に,自己記入式質問紙調査を実施した。質問紙では,世帯構成(属性),社会参加状況,日常生活動作(activities of daily living: ADL),社会的フレイル状況(ソーシャルサポート)の評価に加え,これらの回答理由と現状改善に向けた要望を自由記述で求めた。解析は,65歳以上が居住する世帯の社会参加状況で,ADLやソーシャルサポートに相違があるかをχ2 検定,又はFisherの正確確率検定で検討した。また,社会参加に関する課題・ニーズを,自由記述の回答から,質的記述的検討で整理した。【結果】世帯構成を含む回答を得た281世帯(有効回答率33.5%)の内,65歳以上が居住する世帯は224世帯(79.7%)であった。社会参加状況(地域の組織・活動との関わり)で,「関わりたいが関われない」「関わりたくない」と回答した世帯(37.0%)は,ADLやソーシャルサポートで,不安や課題を有する割合が高かった。これらの世帯では,「体の不調(体調)」や「加齢に伴う体力・気力低下,不安」など身体的フレイルを疑う状況がうかがえた。【結論】社会的フレイル状況の改善には,身体的フレイルの存在も踏まえた評価と介入が望まれる。
著者
桑原 明日香 山原 恵子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.604-609, 2019-12-01 (Released:2019-12-01)

ライフサイエンス・臨床医学分野は,健康・医療をはじめ,食料,環境など広範な社会基盤の形成に寄与する分野である。これを支える科学技術について,1年間の俯瞰調査を実施し,2019年3月に報告書を発行した。調査によれば,最先端の機器による計測・分析で得られた大量の生命情報を定量化し活用する「データ駆動型」の研究が現在の潮流であり,今後もデータの取扱いがさらに大量化,複雑化すると考えられる。これに対応するには,高額な機器を共有しながら,数理・情報の研究者を巻き込み,各研究者からのデータ・情報を集約・統合するプラットフォームを作り,モデルベース解析を推進する体制を構築していくことが必要となる。
著者
吉原 恵子
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.107-124, 1995-10-20 (Released:2011-03-18)
参考文献数
23
被引用文献数
4 1
著者
小池 恭子 河嵜 唯衣 玉浦 有紀 赤松 利恵 酒井 雅司 藤原 恵子 鈴木 順子 西村 一弘
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.130-137, 2018-10-01 (Released:2018-11-06)
参考文献数
26

【目的】保存期慢性腎臓病(CKD)患者において,食事療法に対する意思決定バランスを属性ごとに比較する。【方法】2016年2月~9月,都内1病院に通院するCKD患者54名を対象とし,食事療法に対する有益性,障害の項目を含む質問紙調査を実施した。初めに,各項目の人数分布を算出した。その後,有益性,障害の合計得点と性別,年齢,BMI,eGFR,糖尿病既往歴,調理担当者の項目でMann–Whitney U検定を用いて比較した。合計得点で有意差もしくは有意傾向のみられた属性は,各項目で得点を比較した。【結果】対象者54名中,男性は27名(50.0%)であった。有益性,障害の各々の合計得点と属性を比較した結果,有益性では有意差はみられなかったが,障害では,性別と調理担当者の2つの属性で,合計得点と有意差もしくは有意傾向がみられた(各々p=0.034,p=0.057)。障害の項目別では,「食事療法を行うと,食事の準備や選択に手間がかかる」の項目で性別に有意差がみられ,女性(2.0(2.0,4.0)点)よりも男性(4.0(3.0,5.0)点)の方が(各々中央値(25,75%タイル値)),食事の準備や選択に手間がかかると回答していた(p=0.02)。【結論】保存期CKD患者において,食事療法に対する有益性では属性による差はないが,障害では性別や調理担当者により捉え方が異なることが示唆された。
著者
久原 恵子 波多野 誼余夫
出版者
The Japanese Association of Educational Psychology
雑誌
教育心理学研究
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.65-71,121, 1968

1次元上の値により定義される概念の学習過程において, 子どもの知的発達の程度により, 不適切次元の数, 適切次元の直観性がどのような影響をもつかを調べるために2実験を行なった。<BR>主な結果は次のとおりである。<BR>1) 不適切次元数の効果不適切次元数が増えると課題は困難になる, という結果が得られた。この抑制的効果は, この実験で扱った被験者の範囲では, 知的発達の程度 (MA) と関係なく認められた。すなわち, Oslerらの仮説は否定された。<BR>この効果が小さいのは, 適切次元の直観性が高く, かつ学習者が直観的印象の集積にもとついて適切手がかりを発見する場合であろうという予想も支持されていない。しかし, この点については, あらかじめ全変化次元を教えない事態であらためて検討する必要があろう。<BR>2) 適切次元の直観性の効果適切次元を直観的にとらえられやすいものにした場合には課題は容易になる。この効果は, 学習前に変化次元のすべてに気づかせる手続きをとった場合にも生ずる。この効果が小さいのは, 体系的に仮説を吟味していく学習者 (形式的操作期の子どもであればこの条件を十分充たすであろう) すなわち, 知的発達の程度 (MA) が相対的に高い場合であると思われる。これは実験I, II で, ともに支持された。<BR>Brunerほか (1956) のいうような方略は, すべて仮説が等価なものであるときにのみ適用可能であることを考えれば, この結果のもつインプリケーションはあきらかであろう。形式的操作期の子どもにとっては, 刺激のそれぞれの手がかりは, 一種の命題的性格を与えられる結果, 等価とみてなされており一おとなの実験者にとっもそうなのであるが一, したがっていったん適切でないとわかった手がかりに固執することはない。しかし, 知的発達の低い段階においては, 仮説の選択を順次行なっていく能力が欠けているばかりでなく, 各次元が等価でないため, 検証一棄却の論理的手続きも不能となるのである6<BR>3) 不適切次元数と適切次元の直観性の交互作用<BR>不適切次元数がふえるほど, 適切次元の直観性の寄与が大となる, という予想は, 今回の実験からは, 実験II の小4を除いて統計的には確かめられなかった。<BR>なおさらに, これと, 知能との交互作用すなわち, 適切次元の直観性が高いときには, 不適切次元数の増加がもつ抑制的効果は知能の高いものにおいて大きいが, 直観性が低いときには知能の低いものにおいて大きい, という傾向が実験IIにおいてみられたことは注目してよかろう。
著者
石原 恵子 吉田 倫幸 岩城 達也 小森 政嗣 木野 和代 加藤 荘志 内田 照久 出木原 裕順 石原 恵子
出版者
広島国際大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

ヒトがモノに重ねるイメージと、愛着形成に必要なモノの要素を重点的に検討した。別のヒトとのコミュニケーションに用いるモノのイメージ贈り物:贈り物選択時に贈り主はモノへの価値づけ(客観的価値、実用的価値、感情的価値、他者表現性)を行っており、それらが贈ったモノへの愛着につながると期待していることがわかった。メディア:職場の対人関係とお詫びを伝える際の各種メディアのイメージを、送信者と受信者の両方の視点から検討した。その結果、心理的負荷や上下関係に関わらず、気持ちを伝えるために対面が最も適切であり、目上に対して携帯メールは礼儀正しくないと判断された。一方、同輩や目下に対しては電話(速い)や電子メール(正確)も容認されていることがわかった。ヒトとヒトでないモノとのやりとりについて道具:むだ時間系に対するヒトの運動適応について検討した。その結果、短期の運動学習スケジュールでは、制御成績には顕著な改善が見られなかったものの、操作者の運動意識には正の効果が惹起されることが明らかとなった。ロボット:人型二足歩行ロボットでは、ヒトへの接近行動が、ロボットを主体性を持つモノと認識させ、ヒトと協調して仕事を行う役割を期待させることが示された。より単純な、車輪移動と胴体後部の棒を振る機能だけをもつロボットでは、ロボットを擬人化・擬生物化する傾向がより顕著で、ヒトに「ついてくる」「しっぽを振る」ことが愛着に重要であるとともに、自律ロボットへの恐怖感や違和感が「しっぽ」により大きく緩和されることがわかった。快適性評価技法の開発感性評価の軸となる快適性を脳活動から評価する技法を検討した。脳波α波の周期ゆらぎによる快適性推定技術を検証し拡張するために、心地よさを伴う入眠に着目して、入眠潜時とゆらぎ係数との関係を検討した。その結果、左前側頭部のゆらぎ係数から入眠潜時を推定可能なことが示唆された。
著者
蔦 瑞樹 相山 怜子 塚原 正俊 塚原 恵子 平良 英三
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.577-583, 2017
被引用文献数
1

<p>泡盛,4-ビニルグアイアコール(4-VG)およびバニリンの標準試薬の蛍光指紋を測定した.泡盛サンプルの蛍光指紋は,励起/蛍光波長が254.3/290.4,254.3/338.0および296.2/340.3nmの3つの蛍光ピークを有していた.後二者はサンプルの熟成期間の長いほど減少する傾向があった.励起波長300-350,蛍光波長400-450nm付近の蛍光強度は弱かったが,熟成期間の長いほど増加する傾向があった.蛍光指紋データの主成分分析により,新酒と古酒が主成分スコアプロット上で明確に分離された.一方,酒造所間の明確な差異は観察されなかった.減圧蒸留で製造されたサンプルは,熟成期間にかかわらず,常圧蒸留された新酒の近くに位置していた.泡盛,標準試薬の蛍光指紋とおよび主成分ローディングのピーク位置を比較すると,これらのピークは6つのグループに分類できることが明らかになった.そのうち,2つのグループは4-VGの,他の2つはバニリンの蛍光に由来することが分かった.これらの結果から,蛍光指紋により貯蔵期間等の泡盛品質を簡易かつ迅速に評価し,消費者への情報提供や工程管理に応用できる可能性が示唆された.</p>
著者
石原 恵子 長町 三生 大崎 紘一 石原 茂和 辻 昭雄
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.9-16, 1998
被引用文献数
3

市販の色セロファンを使った75歳相当の透過率をもつ眼鏡を用いて, 高齢化に伴う眼の水晶体の黄変化を模擬体験し, 高齢者の視界が日常生活にどのような影響を及ぼしうるかを調査した. 食事の場面・買い物・道路で調査した結果, (1) 色が変わってみえるだけでなく, (2) 色による区別がつきにくくなる, (3) 液体など不定形のものが知覚しにくい, (4) 立体感や奥行き感が減少する, (5) 光るものがみづらい, ことがわかつた. 具体的には, 食品の鮮度を誤認したり飲み物の種類や量がわかりにくい, 商品の区別が困難, 段差への対処が遅れるなどの生活上の困難があげられた. 色紙を用いた実際の高齢者による色の同異判断実験では, 黄と白, 青と緑, 濃青と黒, 紫と濃赤という, シミュレーションで誤認しそうな色の組み合わせに対して同じように誤認する高齢者がいることが確認され, ヒアリングでもシミュレーションであげられた困難に関連する事柄があげられた.
著者
榊原 香代子 村元 雅之 藤田 恭明 上原 恵子 金原 真紀 佐藤 由美子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第60回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.331, 2011 (Released:2012-02-13)

症例は78歳男性。上行結腸癌、十二指腸浸潤に対し平成22年8月16日に結腸右半切除術、十二指腸合併切除術が施行されている。組織学的進行度が_III_bと進行していたため、FOLFIRIによる術後補助化学療法を継続中であった。嘔気嘔吐の副作用はなく食事摂取は良好に保たれていたが徐々に低アルブミン血症が進行し、ついに2.0g/dlとなり下肢浮腫を伴ったため平成23年1月11日に栄養介入目的で入院となった。投与カロリーは軟食1000cal、免疫強化経腸栄養剤750cal、PPNで210cal、脂肪乳剤200calに加え、L-グルタミン製剤2.7gを併用した。1月12日に測定した血清Zn値は17μg/dlと著明に低下しており、亜鉛欠乏症から蛋白合成不全を引き起こしていたと考え、Zn含有胃潰瘍治療剤の投与を1月18日から開始した。血清Zn値の上昇に伴い徐々に血清アルブミン値は上昇し、浮腫も消失して1月29日軽快退院となった。 今回我々は亜鉛欠乏症が原因と思われた低アルブミン血症の1例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。
著者
原 實 松田 一巳 原 恵子 三原 忠紘 八木 和一 鳥取 孝安 大沼 悌一 桑名 信匡 青木 恭規 大沢 武志
出版者
日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.33-40, 2008-06-30

39歳の男性。既往歴に1歳時の髄膜炎と、5歳、6歳時各1回の単純型熱性けいれん。10歳時に複雑部分発作(CPS)で発病した。二種類の精神障害がCPS後にみられ、一種類は18歳8カ月から7回みられた不機嫌症で、意識障害がない。他の一種類は20歳2カ月から4回みられ、CPS後に意識清明期を経て現れる意識障害・反復叫喚・自己破壊的行動・攻撃性で、意識清明時に妄想、感情障害が認められた。頭蓋内脳波/ビデオ記録で左海馬と左眼窩前頭部に独立性2発作起始域が記録され、18歳7カ月からみられた左方眼球間代/偏椅・頭部回旋は、左眼窩前頭部の発作症状であった。難治性で、22歳時に左前側頭葉切除術がおこなわれた。術後17年、抗てんかん薬断薬後9年経過し、発作再発せず精神障害もみられない。精神障害の一種は左海馬起始の発作発射拡延による左眼窩前頭部の発作後機能障害、他の一種は左海馬と左眼窩前頭部が関与する発作後精神病と考えられた。
著者
沖田 英人 村元 雅之 藤田 恭明 上原 恵子 榊原 香代子 金原 真紀 佐藤 由美子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第60回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.409, 2011 (Released:2012-02-13)

アルブミンとCRPの関係について<BR>知多厚生病院NST<BR>沖田英人・村元雅之・藤田恭明・上原恵子・榊原香代子・金原真紀・佐藤由美子<BR>褥瘡治療の大きな壁は誤嚥性肺炎である。感染症でCRPが増加する際にはアルブミン(以下Alb)も低値を示しやすく、一般には感染により増加したストレス係数の分だけ投与エネルギーを増量する。逆に近年は、AlbとCRPは負の相関にあり、CRPの増加する感染時には宿命的に内因性エネルギーが産生されているため、overfeedingにならないよう外因性エネルギー投与量は控えるべき、との意見がある。そこで我々は、スキンケア委員会(褥瘡委員会)とNSTで半年以上観察した重度褥瘡患者11名を対象にAlb、CRP、投与エネルギー量を検討し相関性を調査した。AlbとCRPの相関関係数はほぼ全例で負となり、うち負の相関が得られたのは1例で、その相関係数は-0.86であった。また投与エネルギー量との相関は、ほぼ全例でAlbよりも希薄であった。<BR>今回の調査では、予想していたほどはAlbとCRPの逆相関は得られなかったが、感染や浸襲時には骨格筋が崩壊して肝はCRPを作るためAlb合成がおろそかとなり、この時外因性にエネルギーを投与しても蛋白異化抑制できず、従って感染の消退までエネルギー量を控える、とする考え方は妥当であると思われた。